2020年06月11日
【科学的勉強法?】『進化する勉強法:漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』竹内龍人
進化する勉強法:漢字学習から算数、英語、プログラミングまで
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、本日が最終日となる「Kindle本 ビジネス書キャンペーン」の中でも、個人的に読んでみたかった勉強本。昨日の前日ランキングには入ってきませんでしたが、単行本の帯でメンタリストDaiGoさんが推薦されているだけあって、その主張はガチガチにエビデンスベースとなっています。
アマゾンの内容紹介から。
科学的根拠にもとづく、子供にとってベストな学習法を紹介。才能や経済力に関係なく、だれでも実践できるメソッドです。
中古がまだ高いため、送料を考えるとKindle版が600円弱、お買い得となります!
studying in math class / woodleywonderworks
【ポイント】
■1.漢字は音読しながら書く漢字を学習する時には、その漢字を書いて形を覚えると同時にその読み方を学習すること、つまり音読しながら書いてみるとよいことがわかりました。
この方法だと、より短い時間で、つまり、より少ない書き取り回数で覚えられる可能性が高くなります。これは、脳の中で視覚の情報(漢字の形の情報) と聴覚の情報(読み方の情報) が結合されることにより、その漢字がしっかりと記憶に定着するのだと考えられます。
学習する場所によっては、声を出しにくいこともあるでしょう。そうした時は、10回書くごとに1回読んでみるとか、心の中で読んでみるなど工夫してみましょう。小学校も高学年になると音読をしなくなる人もいるでしょうが、音読はやはり有効なのです。
■2.多肢選択問題の答え合わせは最後に行う
なぜすぐに答え合わせするよりも効果が高いのか、その理由は2つあります。その1つは、 こちらで解説した「分散学習」の効果です。つまり、同じテーマを学習するのであれば、続けて行うよりも、しばらく間をあけて行う方が効率がよくなります。
答え合わせを時間をおいてあとで行うということは、まさに分散学習に他なりません。テスト効果と分散効果を組み合わせると、それは最強の学習方法になります。(中略)
もう1つの理由は、答え合わせを遅らせている間に、多肢選択問題において自分が選んだ誤った解答を忘れる時間ができるということです。このために答え合わせの効果が高まるのです。
■3.読むだけの復習よりテストによる復習を行う
1 全単語の再学習と再テスト研究21−図2をみると、グループ1とグループ2が高得点をおさめています。グループ1はすべての単語を何回も学習したのですから、最終テストの得点が高くて当然です。ポイントは、総勉強時間が少ないグループ2でも得点が高かったということです。グループ2の総勉強時間は、グループ1の7割程度しかないことに注目してください。グループ2と同じくらい勉強時間を使ったグループ3は、グループ2の半分しか点数がとれませんでした。
2 不正解だった単語のみ再学習し、全単語再テスト
3 全単語の再学習し、直前のテストで不正解の単語のみ再テスト
4 直前のテストで不正解の単語のみ再学習と再テスト
つまり、再学習よりも再テストに時間を使った方が、同じ時間を勉強するのであれば得点はずっと高くなるのです。この結果は、教科書や参考書を読むだけではほとんど記憶に残らない、ということを意味します。テストを利用して自分で思い出す努力をする復習方法こそが、効率的かつ効果的な方法なのです。
■4.テスト前に不安感を書き出す
研究34−図1をみると、プレッシャーのかかるテスト前に不安について書き出しを行ったグループの得点は上昇し、書き出しを行わなかったグループよりもよい結果を出すことができました。またこの方法は、テストに対して強く不安を感じる参加者に対して、より効果がありました。
この結果から、テスト前に不安感を書き出すという作業をするだけで、不安や緊張が弱まり、ワーキングメモリーをしっかりと働かせることができることがわかりました。(中略)
なぜ書き出すことで不安感が減少するのでしょうか? それは、自分の心の中でうずまいている不安な気持ちを文章にしてしまうことにより、その気持ちがあたかも他人事であるかのように作りかえられてしまうからなのです。
そのために、主観的であったはずの不安な気持ちを、まるで小説を読むように、客観的にとらえることができるようになるのです。
■5.ライバルは少ないと思い込む
たとえ自分の周りに誰もおらず、1人でテストを受けた場合でも、「自分は100名と競争している」と考えたときの方が、「自分は10名と競争している」と考えたときよりも、回答に時間がかかってしまったのです(研究36−図1)。
この実験から、人数が多いと成績が下がる効果は、実際に多人数のライバルを目の前にして圧倒されたのではなくて、錯覚による思い込みによるものであることがわかります。
この実験では、賞金をもらえる難しさは上位20%と、ライバルの人数によって変わらないのですが、人数がもたらす錯覚は成績に影響してしまいました。
こういった人間の心の特徴を逆手にとって、自分は錯覚にはだまされないぞ、と考えることが重要です。(中略)
たとえ会場にたくさん受験生がいたとしても、実はこの中で真のライバルと呼べる人はほんの少数なのだ、と考えるようにしてみましょう。実際そうなのですから。
【感想】
◆本書の無料サンプルをご覧になった方は、サンプルの目次の最後に、本書が下記の本をもとに「大幅に加筆・修正を加えたもの」である旨、注書きがあることに気が付かれたと思います。実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: 復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!
参考記事:【勉強法】『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』竹内龍人(2014年04月28日)
実際、上記参考記事は、今ではありえないほどブクマ(300弱)されて、ホッテントリ入りしていますから、この本をお求めになった方も多いハズ。
ただし、よくある(?)ちょこちょこっとページを追加しただけの焼き直しとは違い、「違う本」と言ってもいいくらい、中身は変わっていました。
そもそも、表紙にある「勉強本とは思えないようなイラスト」は、以前は各項目ごとに挿絵風にあったのですが、これらが一掃されて、真面目度が大幅にアップ!
また、実験等の各種のエビデンスも、旧版が出た後に行われたものがいくつかありました。
逆に、上記ホッテントリ記事で触れた「中間テスト効果」に触れられていないのは、その後反証実験でもあったのかもしれません。
◆そして、各項目ごとに「まずエビデンスありき」なのは旧版同様。
エビデンスの大抵が海外での実験や研究の成果で、それぞれのエビデンスから導き出される「学習のヒント」がまとめられている、という仕様です。
とはいえ、それらの実験等まで引用すると、結構ボリューミーになってしまうのがつらいところ。
さすがに、どういうグループ分けをしたか書かないと分からない、上記ポイントの3番目は最低限の部分だけ抜き出しましたけど、これでもまだ分かりにくいですよね……。
一応、実験内容について触れておくと、こんな感じです。
実験参加者は、外国語の単語とその意味を覚える学習とテストを繰り返しました。ここで言う「図1」というのが、ポイントの3番目で引用している4グループの説明のこと。
直前のテストで不正解だった単語に関する再学習・再テストの方法を、図1のように変えて、実験参加者を4グループに分けました。
再学習では、復習として単語とその訳語を見直しました。再テストでは、単語だけを見て、その訳語を自分で答えます。1週間後に最終テストを行いました。
ただし、その結果も実はグラフで表されていて、そちらを見ると実は一目瞭然(グループ3&4は、だいたいグループ1&2の半分くらいの点数)なのですが、画像は引用できないのでお許しください。
◆一方、上記ポイントの4番目の「不安を書きだす」というTIPSは、類書でも見た記憶が。
もっとも、その理由が「ワーキングメモリー」にあるとは知りませんでした。
要は、プレッシャーがかかるとワーキングメモリーが働かなくなるため、「頭が真っ白」になってしまうということ。
ちなみに興味深いのは、このようになる人というのは、元のワーキングメモリーの能力が高い人であって、能力の低い人は、プレッシャーがかかってもあまり変わらないのだそうです。
……私はプレッシャーに動じない方だと思っていたのですが、単にワーキングメモリーが足りないだけなのかも(涙目)。
◆また最後の上記ポイントの5番目も、実験の前提に触れておかないと、分かりにくいと思うのでご紹介。
実験参加者は2つのグループに分けられました。上記ポイントを読んだだけでは、周りに「99人」か「9人」がいそうに思いますけど、実際には独りぼっちで受験していますから、単に「思い込み」の差でしかありません。
1つのグループには、「あなたの他に10名の人が同じ問題を解きます。早く解けた上位20%の人には賞金5ドルを差し上げます」と伝えました。
もう1つのグループには、「あなたの他に100名の人が同じ問題を解きます。早く解けた上位20%の人には賞金5ドルを差し上げます」と知らせました。
各実験参加者は、周りに誰も人がいない状況で問題を解きました。
逆に普通の試験であれば、むしろ周りに大勢人がいますから、ポイントの5番目の最後で述べているように「この中で真のライバルと呼べる人はほんの少数なのだ」と考えるべきかと。
これなどは勉強法ではなくて、当日の「試験ハック」ですから、その気になればどなたでも実践できると思います。
◆なお、本書の内容は、「勉強法」というよりは、勉強に対するアプローチの仕方や考え方、理屈を明らかにしている、と言えるでしょう。
勉強本でよくある、受験突破した個人の実体験に基づく、属人性の強いやり方とは一線を画すもの(上記ポイントの3番目に「教科書や参考書を読むだけではほとんど記憶に残らない」とありますしw)。
そのベースとなるのは、繰り返しになりますが、各種のエビデンスであり、それがゆえに、メンタリストDaiGoさんも推奨しているのだと思います。
できれば本書の内容を用いて、実際の受験に挑戦してみる指導者さんなり学習塾があれば、さらに説得力が増すのでしょうが、影響を受ける受験生が多いと、なかなか難しいかも。
もちろん、本書を読んで納得された読者さんが、ご自身で実践されるのが、一番いいのですけどね。
お求めになるなら、「50%OFF」の本日中で!
進化する勉強法:漢字学習から算数、英語、プログラミングまで
第1章 勉強法の基本―脳の特性を生かすアイディア
第2章 実践的な勉強法―テクニック編
第3章 実践的な勉強法―メンタル編
【関連記事】
【勉強法】『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』竹内龍人(2014年04月28日)【オススメ】『Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』アーリック・ボーザー(2019年05月22日)
【科学的勉強本】『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』メンタリストDaiGo(2019年03月09日)
【「1万時間の法則」の真実】『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン,ロバート・プール(2016年08月05日)
【スゴ本!】『才能を伸ばすシンプルな本』ダニエル・コイル(2013年06月08日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。唯誠 さらば矢野康生
当ブログではあまりなじみのないジャンルである本書は、Kindle版が1300円弱お得。
驚くほどお金を引き寄せる! 龍神風水
149個のレビューの平均が「4.4」という高評価な風水本は、中古が値崩れしているものの、送料を足すとKindle版がお買い得となっています!
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「私と100冊の勉強本」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
10月10日まで
9月26日までのところ一部値引に移行して延長中
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです