2020年05月31日
【自己啓発?】『大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜』田中修治
大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜 (NewsPicks Book)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「幻冬舎フェア」の中でも人気の作品。『破天荒フェニックス』の著者としてもおなじみである田中修治さんの、4月の未読本記事にてご紹介している新作です。
アマゾンの内容紹介から。
何故、世の中でこれほど「成功にまつわる本」が売れるのだろうか?それは読んでも成功なんてしないからだ―。“立派な大人”の言うことの99パーセントは真っ赤な嘘だ!
中古価格も定価を超えていますから、Kindle版が800円以上お買い得です!
New Glasses / Amy Loves Yah
【ポイント】
■1.自分の時間を「お金+α」と交換するお金を沢山手にしたければ、「とにかくお金は大切」「お金がもらえてラッキー」という単純な発想から「これは得な交換かどうか?」という発想に切り替えることだ。
だから仕事をする中でも指示された作業をただこなすだけではなく、「交換できるもの」を自ら増やしていかないといけない。たとえば、19歳の僕がやっていた弁当工場で総菜を詰めるだけの仕事でも「言われた作業をこなして1万円もらうだけじゃもったいないから、これ以外に1つでも何かを得て帰らないと」と思えば得られるものは沢山あったと思う。(中略)
自分の時間を「お金」だけと交換するのか? 「お金+α」と交換するのか? その積み重ねによって、あなたがお金と交換するものの選択肢はどんどん増えていく。
■2.仕事をゲームに変える5つの要素
●成長成長は自分が店長になるとか、エリアマネージャーになるとか、給料が上がるとか、役職が変わり責任や仕事の範囲が大きくなるといったことで感じられる。●育成育成はそのまま、主に部下や後輩の育成を指す。新しく入ってきたスタッフに、自分が苦労して手に入れた技術や知識を教えてあげる。●バトルゲーム化する為の5つの要素の中で一番盛り上がるのは「バトル」だ。みんな戦いや勝負事には我を忘れて熱くなることができる。OWNDAYSでは全ての管理職は社員同士による選挙で決められる。これはまさに「バトル」だ。●収集まずは収集。これは無遅刻・無欠勤だったり、売上予算を達成したり、世界中のOWNDAYSのお店を訪れてチェックインしたりと、OWNDAYSに関する様々なイベントを通じて、仮想通貨である「OWNDAYSマイル」を獲得することができ、自分のウォレットに貯めることができるようにした。●交換貯まったマイルは様々なものと交換することができる。アプリ内で簡単にiPhoneやダイソンの掃除機などの家電製品や、ディズニーランドのチケットや屋形船にスカイダイビング、海外旅行など数百種類以上の魅力的な景品と交換できるのだ。
■3.成功はアート、失敗はサイエンス
野球でもサッカーでも、点を取られなければ負けはしない。ビジネスも赤字にさえならなければ潰れることはない。
だから一番多くの時間を割いて学ばなければいけないのは、とにかく「他人が起こした失敗」なのだ。 沢山の失敗事例を勉強して、同じ轍を踏まないように気をつける。負けない体制を作れば、何回でも打席に立つ機会は回ってくる。打席に立つ回数が増えればいつかは絶対にヒットが出せる。でもほとんどの人はヒットばかり打とうとして、その間に凡ミスを繰り返して点を取られて試合に負けてしまうのだ。大切なのは、勝ちパターンを再現しようとすることではなく、負けパターンを徹底的に見つけ出して、同じ轍を踏まないようにすることだ。
まさに成功はアート、失敗はサイエンスなのだ。
■4.人生の「選択」そのものにはあまり意味はない
みんな選択することを、まるでウルトラクイズの○×みたいに考えすぎなのだ。
どちらかが正解で間違いの方を選択して飛び込むと、その先で泥水に落ちる、「さあ、どちらを選べば天国か? 地獄か?」みたいなやつ。アレと同じだと思っている。だから選択に迷った時に、「どちらを選んだら正解なんだろう?」と考えて頭を抱えて悩んでいる。
でも本当は違う。人生における選択の先には、どちらにも天国と地獄が待っているのだ。結局は、自分が選択した道が間違いじゃなかったと思えるかどうかは、そのあと、どう行動したかが大事だし、その選択が正解になるのも間違いになるのも、自分の行動の結果でしかないのだ。
自分の思いどおりに物事が進まないと「あの時の判断が間違いだった」と思う人があまりに多すぎる。でもそれは絶対に違う。「選択」そのものにはあまり意味はないのだ。
■5.人事は選挙で決めた方がいい
OWNDAYSは現在この選挙制度で、店長からスーパーバイザー、エリアマネージャー、教育トレーナー、果ては海外店舗の立ち上げ責任者まで、主要な役職に就く人の全てを決めている。
なぜこういう方式をとっているかというと、理由は沢山あるが、一番大きいのは技術や知識、経験はいくらでも与えてあげることができるが「やる気」は誰にも与えることができないということだ。
「やる気」というのは人から与えられるものじゃなくて、自分の内側から絞り出されるものだ。そんな考え方が、OWNDAYSの人事に対する理念の根底にある。
人はみんな、失敗したくないので、いろんな役職や責任者を決定する際に、なんとなくベテランで技術や知識の豊富な人間に任せることがよくある。実績や経験なんかを考慮して「やれそうな人」に任せるのだ。しかし仕事で成果を出す為には「やれそうか?」ではなくて「やりたいか?」が実は一番重要なのだ。好きこそものの上手なれ。その仕事に対して強い情熱があれば、最初は苦労するかもしれないが、大概のことは乗り越えられてしまうものなのだ。
【感想】
◆当初、本書のタイトルの「10のウソ」というのを見て、著者である田中修治さんが、他の人に対して、何かしらの「ウソ」をついているのかと思っていました。しかし実際はそうではなく、世間一般で言われている色々な「常識」に対して、田中さんが「それは本当は違う」と主張していくスタイル。
つまり、田中さんにとっては、そういった常識こそが「ウソ」だと思っているわけです。
そしてその対象となる常識は、下記目次にあるように全部で6つ。
それぞれの主張に関しては、「なるほど確かに!」と納得するものもあれば、「必ずしも同意はできないけど、そういう考え方も『アリ』だよね」と、やや距離を置きたいものもある感じでしょうか。
……この辺の「逆張り」傾向は、森博嗣さんのように、ご自身がいつもそうなのか、編集サイドのやり方なのかはわかりませんが。
◆まず、上記ポイントの1番目のお話は、第2章の「お金論のウソ」からのもの。
「『お金』とは『交換ツール』にすぎない」という主張のもと、ご自身の経験や考え方を述べられています。
お金に貴賤はない。ただの交換ツールであってそれ以上でもそれ以下でもない。僕らは一刻も早くお金の洗脳から抜け出して、フラットに「交換で成立している世界」を正しく見る必要があるのだ。さらには子育てにおいても、お子さんに「〇〇買ってきて」と言わず「〇〇と、この300円を交換してきて」という風に言われているそう。
確かに子どもの頃から、言葉から刷り込まれると、思考も変わってきそうです。
◆続く第3章の「仕事論のウソ」からは、ちょっと長くなりましたが、上記ポイントの2番目の「仕事をゲームに変える5つの要素」を抜き出してみました。
これは具体的に田中さんが、ご自身の会社であるOWNDAYSで実践されていることなので、「じゃあ自分も(自分の会社も)!」とはなりにくいのが難しいところ。
たとえば3番目の「バトル」で言うなら、お店でどうして成績を競うのは、他の会社でも行われているでしょうけど、「全ての管理職が社員同士による選挙で決められる」なんてやり方は、まず無理でしょう。
また、それに続く「収集」と「交換」は、社内で「STAPA」というアプリを作り、そこでオリジナルの「仮想通貨」を用いて行われるものなのだそう。
STAPA(スタパ)- 社内仮想通貨を使った新しい福利厚生サービス
なるほど、他社でも導入ができるんですね、これ。
◆一方、上記ポイントの3番目の「成功はアート、失敗はサイエンス」は、成功論を論じた第4章からのもの。
田中さんにとって、他人の成功を書いた本は「単に気分を盛り上げる物語」にすぎないのだとか。
もっと言えば、『スター・ウォーズ』を見るのと一緒。暇潰しであり、娯楽だ。自分の経営に実際に役立てようとはほとんど思っていない。僕自身の人生における勝ち方、企業の成長の手法は自分自身で失敗を慎重に管理しつつ、挑戦を繰り返して見つけていくしかないのだ。ちなみに、成功するためには行動をしなければならないのは、多くの書籍でも言われていることです。
そこで、その行動を起こせるようになるための、田中さんの具体的なアドバイスというのが、「毎日違うドリンクを飲む」というもの!?
これさえできれば、誰でももっと簡単に行動を起こせるようになると思うので是非、実践してみてほしい。賢明な読者のあなたなら、必ず生活に変化が出てくるはずだ。その理由については、本書にてご確認を。
◆また、第5章の「人生論」で一番腑に落ちたのは、上記ポイントの4番目の「選択」に関するお話でした。
なるほど、どちらの道を選んでも、成功するか否かはその後の努力次第、という考え方は、ある次元までは正しいと思います。
……ただし、世の中にはそのせいで努力するまでもなく即、会社が潰れるような「決定的な選択ミス」や、「結局どっちに転んでも地獄」みたいな話もちらほらあるんですけどね。
なお、最終章の「経営論」からは、上記ポイントの3番目でも軽く触れた「選挙」について、再度ポイントの5番目として抜き出してみました。
田中さんのOWNDAYS自体、このようにユニークな経営方針を持たれているので、話として読む分には非常に興味深いものの、どの規模の会社であっても、実践するのは難しいかと。
じゃあこの考えに賛同した人はどうすればいいか、というと、OWNDAYSに入社するのが一番手っ取り早いでしょうから、ある意味本書は会社の広報的な役割も果たしていると言えそうな!?
『破天荒フェニックス』のファンの方なら、必読の1冊!
大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜 (NewsPicks Book)
1 幸福論のウソ
2 お金論のウソ
3 仕事論のウソ
4 成功論のウソ
5 人生論のウソ
6 経営論のウソ
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【編集後記】
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ご声援ありがとうございました!
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