2020年05月13日
【メンタル】『理由のない不安を一瞬で消す方法』高牟禮憲司

理由のない不安を一瞬で消す方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」でも人気を集めていた1冊。メンタル系の作品は、当ブログでは安定した人気がありますから、セール記事の時点から注目しておりました。
アマゾンの内容紹介から。
明日の衣食住に困るわけではないけれど…モヤモヤした不安をマインドフルネスを使った方法で消し去る。2万人以上のカウンセリングから生まれた「あなたの気持ちに寄りそう不安除去法」。漠然として不安から解放されます。
送料を足した中古よりは、Kindle版が1000円弱、お買い得となります!

Portrait of cute female relaxing at home / shixart1985
【ポイント】
■1.不安を解消する「クイック・マインドフルネス・テクニック」(1)ゆっくりと右手を強く握りしめ、拳をつくる(10秒程度)私たちは強い不安を感じると、知らないうちに両手を強く握りしめることが多いのですが、握りしめている感覚にほとんど気づきません。それは、触覚の感度が低くなっているからです。
(2)ゆっくりと左手を強く握りしめ、拳をつくる(10秒程度)
(3)握りしめる強さが左右同じになるように観察し、調整する(10秒程度)
そこで意識的に手を握り、同時に触覚を観察する練習をしていきます。繰り返し行うと触覚の感度が高まっていきます。(中略)(4)右の拳の力を半分にゆるめる(10秒程度)拳の力をゆるめると、「戦うか逃げるか反応」が和らぎ、心の柔軟性も戻ってきます。最初は、力を半分にゆるめるのは中途半端に感じ、違和感があるかもしれません。
(5)左の拳の力も半分にゆるめる(10秒程度)
(6)そのまま握りしめる力が左右同じになるように観察し、調整する(30秒程度)
しかし、繰り返し行っていると、この力の入れ方に慣れてきて、ものの見方も「白か黒か」から「グレー」に変わり、視野が広がってきます。不安があっても「いい」「悪い」という判断が入らない、ニュートラルなスタンスで観察できるようになります。
■2.単純作業に没頭する
あなたは、食器洗いやぞうきんがけをやっていたら、いつの間にか無心になり、気持ちがリフレッシュしたことはありませんか? 掃除にしても料理にしても、取り組んでいるのは心の外側でなされている能動的な作業です。
このように、単に受け身で観察するだけではなく、能動的に単純作業を行うことで、集中力が上がりやすくなります。過去の記憶でイヤな気分になっても、目の前の作業を淡々とこなすことによってスッキリした気分になるのです。
スッキリするためのコツは、単純作業であってもていねいに行うことです。いいかげんな気持ちで雑に作業をすると、集中力が落ち、イヤな気分のままになりやすいからです。ていねいさを心がけて集中力を保てば、過去の記憶を思い出す余裕がいい意味でなくなり、気分もラクになるのです。
■3.「役に立つ不安」と「役に立たない不安」を仕分けしてみる
「役に立つ不安」=自分の具体的な行動でリスクを減らせる不安。もちろん、役に立たない不安について悩んでもいいのですが、まずは有益か無益かの仕分けをすることで心の整理がつきます。手間はかかりますが、この仕分けには意味があります。
「役に立たない不安」=自分の行動でリスクを減らしようがない、あるいはリスクが存在していないのに、思い悩んでしまう不安。
「不安に感じていることのリスクを減らすため、自分にできることはあるだろうか?」という問いかけをすることで、見分けがつくと思います。
この問いかけにより、もしできることがあるなら、それは「役に立つ不安」です。具体的な行動をすれば不安は解消するでしょう。
また、もしできることが何もないとしたら、それは「役に立たない不安」です。行動してもしなくても結果は同じです。
■4.自分の緊張やプレッシャーを肯定するような言葉をかける
緊張しているときに「リラックス」という言葉は緊張を否定し、戦っていることになります。これは逆効果になることが多いのです。これを「努力逆転の法則」と言います。たとえば、面接を受けに行ったときに面接官から次のように言われたらどうでしょうか?
「そんなに緊張しなくても大丈夫です。どうぞリラックスなさってください」
おそらく、ますます緊張してしまうでしょう。顔が引きつる人も多いようです。緊張を否定されたと感じてプレッシャーになるからです。
では、次のような対応はどうでしょうか?
「面接は緊張しますね。無理もありません。緊張したままでかまわないので始めましょう」
緊張していることをそのまま受け止めてもらえるので、リラックスしてのびのびと話せるようになるのです。
最初は難しいかもしれませんが、本番前、「自分の緊張やプレッシャーを肯定するような言葉」をかけてみてください。
■5.実害がないかぎり、家事のハードルは下げてもいい
家事は毎日のことなので、常に全力疾走でいたのでは身が持ちません。陸上競技にたとえるなら家事はマラソンです。決して100メートル走ではありません。
しかし完璧主義の人は、マラソンを100メートル走と同じペースで走ろうとします。これでは息切れして当然です。
大切なことは、完走できるように走ることです。しかも競技ではありませんから、最速である必要はありません。タイムを気にしないで走る市民マラソンのようなものです。「完走できればいいかなぁ」くらいのスタンスでやっていければ十分なのです。
市民マラソンのように、家事に対する要求レベルを少しずつ下げていきましょう。メリハリをつけることも大切です。体調がよく時間もとれるときはしっかりやるのもいいでしょうが、 体調がおもわしくなく時間もないときは、省エネモードで家事をしてもいいのです。
【感想】
◆本書のテーマは、今現在のコロナ問題のように「理由が明らかな不安」ではなく、「理由がない不安」の解消法です。もっとも「理由がない不安」と言っても、その状況や要因は人それぞれなのですが、最近増加傾向にあるのは、著者の高牟禮(たかむれ)さん曰く、「五感の使い方が偏ってるから」なのだそう。
最近は、テレビ、コンピュータ、スマートフォン、ゲーム機器をはじめとしたIT機器の普及によって、仕事でもプライベートでも視覚・聴覚の2つを使うことが極端に増えました。残りの嗅覚・味覚・触覚の使用頻度は相対的に減っているといわれています。その結果、不安が慢性的なものとなり、何が理由なのかわからなくなってしまうことに。
実は、不安という感情は、「触覚」を通じて気づくものです。しかし、触覚の使用頻度が減ったことで感度が下がってきています。だから、未来のリスクに対して「不安」があっても気づけない人がかなり増えてきているのです。
そこで本書の第1章で、特に「触覚」の感度を高めるTIPSとして紹介されているのが、上記ポイントの1番目にある「クイック・マインドフルネス・テクニック」です。
実はこの「クイック・マインドフルネス・テクニック」、本書の他の章でもアレンジされてちょこちょこ出てくるのですが、そのくらい効き目があり、汎用性が高いということかと。
◆続く第2章では、つらい過去の記憶の対処法について。
これはひとえに、過去ではなく今現在に意識を向ける必要があります。
そのためのテクニックの1つが、上記ポイントの2番目にある「単純作業に没頭する」こと。
これは類書でも触れられていたように、まさに「マインドフルネス」に通じるものでもあります。
また、割愛した中で興味深かったのが、「五感に意識を向ける」というもの。
今自分が見ているもの、聞いているもの、匂っているもの、体で感じているものに意識を集中させることで、過去のイヤな記憶はかなり薄れてくるのだそうです。
「今、何が見えているかな? 何が聞こえているかな? 何が匂っているかな? 体の感覚はどうだろう? 気持ちいいかな? 痛いかな? 暖かいかな? 寒いかな?」こちらもぜひ、お試しいただきたいところです。
こうした練習を続けることで、過去の記憶を思い出していることに気づくのが速くなっていきます。さらに五感に対する集中力も上がり、心の切り替えもスムーズになっていくでしょう。
◆一方、逆に第3章では「将来への不安」への取り組みが。
これについては、上記ポイントの3番目の「不安の仕分け」が役立ちます。
確かに、自分が何もできないことで悩んでいてもしょうがありませんから、放っておく、というのは正解かと。
なお、「役に立つ不安」が分かったら、次にこれらの「重要度や緊急性」を数値化したり、解決策を考えたりしていきます。
その際、目標を細分化するという「スモールステップ」を用いるのですが、この辺は自己啓発書ではおなじみかもしれませんね。
◆また、第4章では、仕事の取り組み方や人間関係のつくり方がテーマ。
スピーチやプレゼンの前に緊張して、あがってしまう、という方も多いと思います。
こういう時に実践したいのが、上記ポイントの4番目で挙げた「緊張やプレッシャーを肯定するような言葉がけ」。
さらに上記ポイントの1番目で触れた「クイック・マインドフルネス・テクニック」も役立つのだそうです。
……確かにいったん拳をにぎりしめ、それをゆるめる、という行為は、緊張に効きそうな感じ。
そして第5章の恋愛はパスして(?)、第6章の結婚・子育てのパートでは、上記ポイントの5番目の「家事の不安への対処法」を挙げてみました。
実際、完璧にやろうとしても続きませんし、それをパートナーに強いるのもよくありません。
この章では他にも「子どもが勉強しない」「ママ友とのつきあいがストレス」といった不安も登場しますから、心当たりのある方はご覧になってみてください。
何らかの「不安」から逃れたい方なら、一読の価値アリ!

理由のない不安を一瞬で消す方法
第1章 「理由なき不安」におびえる人が増えている!
第2章 これで「つらい過去の記憶」は、みるみる消える!
第3章 漠然とした将来への不安に対処する
第4章 仕事の取り組み方、人間関係のつくり方
第5章 恋愛下手を治す処方箋
第6章 結婚・子育てで起こる不安・不満
第7章 美容・健康改善に必要なメンタル・テクニック
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
スマホ廃人 (文春新書)
当ブログでは下記の本を2月にご紹介していますが、同じくスマホ問題を扱った本書は、Kindle版が300円以上お得。
参考記事:【ヤバ本?】『スマホ依存から脳を守る』中山秀紀(2020年02月26日)

つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく (生活人新書)
当ブログ向きとは言い難いものの、レビュー13の平均が「4.6」という高評価なこの本は、中古に送料を足すと定価を上回りますから、Kindle版が500円弱お得な計算です!

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