2020年05月06日
【レジャー指南?】『ホイチョイの リア充王 遊びの千夜一夜物語』ホイチョイ・プロダクションズ
ホイチョイの リア充王 遊びの千夜一夜物語
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる「講談社 ノンフィクションキャンペーン」にて、意外と人気のあったレジャー本。今年のGWはどこへも行けませんでしたから、こういう本で「エアレジャー」を楽しんでみるのもいいかもしれません。
アマゾンの内容紹介から。
ホイチョイ・プロダクションズの「新・見栄講座」スキーやゴルフ、サーフィンなど、バブルの頃にみんながこぞってやったあのアウトドア・スポーツは、平成も終わろうとする今、驚くべき進歩を遂げています。道具は便利になり、料金は安くなり、しかも参加人数が減ったせいで待ち時間もなく楽しめるようになっているのです。かつてのミーハーのための新しい見栄の張り方を教えます。
中古は値崩れしていますが、送料を加味するとKindle版が300円弱お得です!
SUP / thomasrdotorg
【ポイント】
■1.スキーは「GoPro」で撮った画像をアップするお侍さんのチョンマゲにしか見えないあれは、実はGoProという軽くて耐久性に優れたアウトドア用のカメラなんです。スキーの場合、板、ストック、ヘルメット、二の腕など、いろいろな場所につけて、迫力ある動画を撮ることができます。しかも、あんなに小さいのに、映像は4K。その上、通信機能がついていて、撮影した動画をスマホで見て、その場でインスタグラムに上げることも可能です。今どきのスキーは、GoProで撮った画像をインスタにアップし、みんなから「いいね!」を貰って、初めてコンプリートなのです。(中略)
しかも都合のいいことに、頭の上に付けたGoProで撮った画像には、自分のフォームは映りません。映るのは、スピード感と自然の美しさだけ。ですから技量なんか関係ないんです(但し、晴れた日に背中から太陽の光を受けると、影が映り込んでフォームがバレるのでご注意ください!)。
■2.サーフィン界で今、大人気な「SUP」
オルタナと並んで、もう一つ、近年のサーフィン界で流行しているのが、専用の長いボードの上に立ち、櫂で波を漕いで進むSUP(Stand Up Paddle Surfing)です。(中略)
当初、SUPは、サーファーからは「カッコ悪い」「何が楽しい?」とバカにされていましたが、板の上に腹ばいになって腕で波を搔かなければならないサーフィンと違い、SUPは、最初から立ったまま乗れるのでテイクオフが簡単だわ、櫂で漕ぐ分、力のない人も簡単に波に乗ることができるわ、風や波の状態に関係なくどんなコンディションでも楽しめるので「波待ち」「風待ち」が不要だわと、結構ずくめ。しかも、全身の筋肉の85%を動かす全身運動なうえ、不安定なボードの上に立ってパドルで漕ぐと体幹筋が鍛えられて基礎代謝が上がるため、ダイエット効果も抜群。漕ぐだけなら誰でもできるので、彼女も一緒に楽しめるし、漕ぎながら会話もできるしで、極めてデート向きのスポーツとも言えます。最近は、SUPの上でヨガをやる「SUPヨガ」なんてものまで生まれています。
■3.キャンプ業界の新潮流「グランピング」
さらにここに来て、キャンプ業界を席巻しているのが、お金持ちたちが行うゴージャスなグランピングです。グランピングとは、「グラマラス」と「キャンピング」を合わせた造語で、その起源は、交通機関が発達し、「大旅行時代」が到来した19世紀のヨーロッパで、貴族が召し使いにルイ・ヴィトンの旅行鞄を運ばせ、アフリカの大自然の中で、優雅にキャンプを楽しんだこと、と言われています。(中略)
但し、本格的なグランピングは荷物がやたら多く、行こうと思ったらアート引越センターを雇わなければなりません。そこで日本では最近、寝間着以外、手ぶらで行ってグランピングを楽しめる施設が各地に誕生しています。走りは、2014年に三重県志摩市のオート・キャンプ場『伊勢志摩エバーグレイズ』(イラスト参照)が開設した「グランピング・サファリテント」。このテント、1泊2名で5万円前後と、一流ホテル並みの料金ですが、雑誌で紹介されるやいなや、予約が取れない人気となり、1年後の2015年春には3棟を増設。これを見た各地のキャンプ場が、とにかく「グランピング」と銘打てば、客単価を倍以上に上げられることに気づき、2017年から続々と常設のノルディスク・テントを並べ始めました。
■4.手軽なカヤック「ファルト・ボート」
日本では、カヤックを置けるくらい広い家に住んでいる人は滅多にいないので、パドラーが持っているのは、たいてい、折り畳み可能なファルト・ボートです。ファルト・ボートは、畳めば大きめのリュックサックほどのサイズになり、背負って電車に乗ることも可能。水辺でフレームを組み立て、そのフレームに船体布と呼ばれるゴム製の布を張ると、立派なカヤックになります。(中略)
ファルト・ボートは、郵便局に局留めで送ることができます。自分で背負って運ばなくても、川の近くの郵便局に送っておいてそこで受け取れば、川原で広げて組み立て、防水パックにテントや食糧を入れて艇に詰め込み、川辺でキャンプしながら川をのんびり下る、キャンプ・ツーリングが楽しめるわけです(帰りは、畳んで再び下流の郵便局から自宅に返送すればOKです)。カヤックで川をツーリングすると、舟でしかアプローチできない川原に上陸したり、水鳥がすぐ近くまで寄ってきたり、あるいは川辺に飛ぶホタルを見たり、フォトジェニックな冒険旅行が体験でき、SNS受けする写真がたくさん撮れます。
■5.身近になったクルーザー
日本のクルーザー事情は、ここ15年で大きく変わりました。変わったものの筆頭が船舶免許です。セーリング・クルーザーは、港の出入り用にエンジンが付いているため、船舶免許を持った人が最低ひとり乗っていないと動かすことができませんが、この免許の試験が、日本は世界一厳しかったのが、2003年以降、制度が改正されて、劇的に簡単になったのです。
船舶免許の取得がこれだけ簡単になった背景には、GPSの進歩があります。昔は、船で外洋を航行するには、海図と三角定規を駆使して船の位置や針路を正確に割り出す技量が必要でしたが、今は、GPSのガイドによって、誰でも簡単に位置や針路を知ることができます。しかも今のGPSの地図には、浅瀬、岩礁、軍事施設から定置網の位置までが正確に表示されており、船のGPSの便利さはカーナビの比ではありません。
さらに、昔は船舶無線が使えないと、海岸から1キロ沖で座礁しても生命の危険があったのですが、今は、陸が見える範囲を航行する分には、緊急連絡は携帯電話で十分。日本の海岸線でドコモが繫がらないところは、数ヵ所しかないそうですし、衛星電話を借りれば(1ヵ月5万円弱でレンタル可能)、太平洋の真ん中からツイッターで「太平洋なう」とつぶやくことも可能です。
【感想】
◆20代の頃、ホイチョイの一連の作品にハマった私にとっては、非常に楽しめる作品でした。特に、ホイチョイの名を世間にとどろかせたこの映画が楽しめた方なら、かなりオススメ。
私をスキーに連れてって [DVD]
ある世代以上の方にとっては、今さらなのですが、若い方のために一応予告編を。
私自身はほとんどスキーをしたことがない(未だに)のですが、この映画によるスキーブームや、その後の『彼女が水着にきがえたら』によるスキューバダイビング(本書では「スクーバ」と表記)の一般化等、ホイチョイが生み出すレジャーブームの凄さは、まさに体感していたワケでして。
本書は、こうしたレジャーだけでなく、それらを行う際に使うと便利なアイテム等の周辺知識を含めた「ホイチョイテイスト」を、「今現在」に復活させたものであるといっても良いと思います。
◆こうしたバブル時のレジャーブームとの大きな違いは、まずは競技人口でしょう。
本書にも記されていますが、たとえばスキーはピークである1994年の1860万人から、22年後の2016年には1/6の330万人になっています。
またサーフィンも過去20年間で140万人から30万人へと1/4以下に。
同様に、テニスも1994年には1380万人だったのが、2014年には560万人で、2015年には580万人に微増した(錦織クンのおかげ)ものの、やはり半減以下へと激減しています。
……ちなみにテニスが2015年に持ち直したのは、50〜60代が再び始めたからで、20〜30代の新規流入はまったくないと関係者は口を揃えているのだとか。
もちろん、そもそも人口が減って、かつ老人世代が増えているのもあるのですが、やはり自家用車が減っているのも大きいような気がします(地方はまた違うと思いますが)。
いずれにせよ、滑っている時間よりもリフト待ち時間の方が全然長くて、スキーがイヤになった私のような悲劇は起こらない模様。
◆そしてもう1つの違いはSNSの存在。
今やレジャーも単にやるだけでなく、上記ポイントの1番目にあるように、インスタにアップして(&「いいね!」をもらって)ナンボになりつつあるようです。
なお、今回のエントリーではほとんど割愛していますが、本書ではインスタにアップする際の注意点や、「いいね!」をもらうコツがちょこちょこ出てきており、この辺はさすがホイチョイ、といったところ。
たとえば、スマホとSNSの出現によって、以前と遊び方が変わったものの代表格がスクーバで、こんな話もあるのだそう。
また、ことさら珍しい魚を狙わなくても(たとえばハゼのような平凡な小魚でも)、4Kカメラで正面から撮れば、正方形のインスタグラムの画面上では十分に映えますし、そのうえ背景にカラフルな海綿なんか入れ込んだりした日にはもう、「いいね!」の嵐。ですから、今どきのダイバーは、昔みたいにあちこちを泳ぎ回ったりせず、お目当てのハゼが絶好のカメラアングルに入るまで、前でタンク1本分(時間にして30〜60分)待ちつづけることもしばしばと聞きます。本書ではイラストで、典型的な「いいね!」画像が掲載されているのですが、こんな感じです(この方が「待機」して撮ったワケではありません)。
◆加えてレジャーの「進化」も、私には知らないことだらけでした。
たとえば上記ポイントの2番目の「SUP」は、本エントリーのサムネイル画像でも挙げていますが、板に立ったまま、パドルで漕ぐサーフィン。
また、上記ポイントの4番目の「ファルト・ボート」は、こんな感じで組み立てるようです。
さらには上記ポイントの5番目にあるように、船舶免許という法規制が変わったのも、技術の進化あればこそ。
こうした時流を見るにつけ、かつてハマっていた方や、泣く泣く断念された方も、本書を読んで再度トライしてみようかと思われるかもしれません。
◆個人的には、レジャーするだけでなく、マーケティング的な視点から本書を読むのも面白いかと。
上記ポイントの1番目以外にも、本書では何度も登場する「GoPro」のように、SNS向けに商品を開発するのも面白いですが。
上記ポイントの3番目にある「グランピング」のように、今あるものに、ちょっと手を加えるだけで、違う価値を生み出すことができる、というのは非常に興味深いと思います。
また、本書を読んで初めて知ったのですが、日本は世界有数の「雪に恵まれた国」であるとのこと。
世界の人口10万人以上の豪雪都市ベスト10のうち、上位3位までは日本が独占しています。1月の日本の雪国は月の半分以上雪が降り、一度シュプールがつけられた斜面も、すぐに上から雪が積もってまっさらな新雪に戻ります。海外でこれだけ雪が降るのは標高2千メートル以上の山だけ。大都市圏からすぐ行ける場所にこれだけの豪雪地帯がある国は、日本しかありません。もっとも、今年のように雪不足になったり、それ以前に新コロナの影響で、今後インバウンドがどうなるか分かりませんけど、日本の大きな「ウリ」ではあるんですよね……。
ホイチョイやその文化と過ごしてきた方なら、読むだけも楽しめること必至の1冊!
ホイチョイの リア充王 遊びの千夜一夜物語
スキー
サーフィン
スクーバ・ダイビング
ゴルフ
テニス
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乗馬
ウィンドサーフィン
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マウンテンバイク
オートバイ
スノーボード
リア充王とジニーのその後の物語
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【編集後記】
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【編集後記2】
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参考記事:【知的生産】『知識を操る超読書術』メンタリストDaiGo(2019年11月22日)
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