2020年04月27日
【英語学習】『同時通訳者が教える 脳に定着する“超効率”英語学習法』小根山麗子

同時通訳者が教える 脳に定着する“超効率”英語学習法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本GWキャンペーン」でも人気の英語学習本。著者の小根山さんは、上智大学外国語学部語学科卒業後、博報堂に入社され、その後豪州クイーンズランド大学大学院 MAJIT(日英同時通訳翻訳修士課程)を首席で修了し、現在は同時通訳者として活躍されてらっしゃいます。
アマゾンの内容紹介から。
同時通訳者が実践している超効率的な英語学習法とは?内閣官房長官定例会見、国連事務総長の長崎視察随行ほか国際会議で活躍する同時通訳者が伝授する、記憶力・集中力・リスニング力・パフォーマンスを最大まで引き出すコツ。
中古価格が定価を大きく上回っていますから、セール期間中であれば、「50%OFF」のKindle版が800円以上お買い得です!

Translator workshop / TED Translators
【ポイント】
■1.「五感」をフル活用する文字を追って英単語をインプットしようとした場合と、視覚的な情報を確認しながらインプットするのとでは、理解や記憶効率が大きく異なります。
記憶するときに大切なのは、「五感」をフルに活用することです。(中略)
覚えたい例文があるのなら、声に出して読んでみることです。口や舌を動かすことは、黙読よりも多くの刺激を与えてくれます。自分の声が耳から入ってくるので、聴覚でも感じとることができます。(中略)
大切なのは、黙読するだけで満足しないこと。チャンスがあれば口に出したり、書き取ったりして、出来るだけ複数の感覚を刺激することです。
これを意識するだけでも、あなたの英語力は格段にアップしていきます。
■2.海外ニュースは「流し聞き」ではなく「集中して聞く」
特に海外のニュース番組では、キャスターが、入念に作り込まれた無駄のない原稿をもの凄いスピードで読みあげます。日常会話では使用されないような難易度の高い単語も多く使われています。(中略)
同時通訳者が通訳をする際に目安としている時間は、約15分です。それくらい集中して耳を傾けないと、内容を漏らさず正確にアウトプットをしていくことが難しいということになります。同時に言語変換をして、自分の言葉をモニタリングもしますから、なおさら集中力を求められます。
集中して聞く……。これが英語学習にも不可欠です。
目的なく映画やDVDを流し見する行為は、集中からかけ離れた行為です。英語耳を養うことはできても、総合的な英語力の向上にはなかなかつながりません。
2時間の映画をなんとなく聞いて見るより、2分間の英語を集中して聴いて視る。そして、その2分間を完全に理解することのほうが、はるかに英語をものに出来るでしょう。
■3.テキスト素材は「スラッシュリーディング」で区切りを理解
リーディングから一歩進んだのが、これからお話ししていく「スラッシュリーディング」です。
これは1つの英文を、いくつかの意味の塊に分けて読み進めて行くことです。区切るときに「slash(スラッシュ)」を入れるから、スラッシュリーディングと呼ばれます。
長い一文を複数の意味の塊で区切っていくと、短くなって読みやすくなる上、文章構造がつかみやすくなります。音読する際の息継ぎのタイミングもわかってきます。
慣れると音読しながらスラッシュを入れられますが、最初はテキスト全体にスラッシュを入れてから、音読に取り組んだほうがいいでしょう。
この際意識すべきは、とにかく「意味の塊で区切る。」です。
おおよその目安は、次の通りです。スラッシュを入れる目安
● 主語の後
● 動詞の前後
● 修飾節の前後
●「what」「when」「where」など、関係詞の前
●「and」「but」など、接続詞の前後
●「 , 」「 - 」「 : 」「 ; 」の後
■4.聞いた英語を忠実に書き取っていく「ディクテーション」
ディクテーションによって得られる効果のすばらしいところは、「英文の構造」が理解できることです。
定冠詞や不定冠詞の使い方、前置詞の選び方など、教科書的英語学習では理解しきれない細かい部分がわかるようになります。
ディクテーションを進めていくと、必ず何度聞き返しても聞き取れない英語が出てきます。それはヒアリングできない単語か、初めて出会った英語です。
この出会いこそが、あなたの英語力を向上させてくれます。
まずは書き出すことを優先して、英語の「抜け」があってもそのまま進んでいきましょう。いちいち止まっていたら、終わらなくなるからです。スペルがわからないときも、適当でいいので進んでいきます。
一通り最後まで書き取ったら、抜けの部分に戻ります。
前後の文脈を再度見返して、聞き取れなかった英語を推察してみてください。このプロセスは英語の「comprehension(理解力)」を高めます。
■5.邦画の英語字幕から学ぶ
私のオススメは「日本の映画やドラマの英語字幕版」です。単純に好きな作品でもいいですし、趣味や仕事に関連する作品でもいいですね。
もちろん、ある程度の英語力がついたら洋画を英語字幕で見ることにメリットはあります。自分で英語を聞き取る自信はないけれど、とても好きな洋画なので何度も何度も繰り返し見ているような場合、ストーリーは既に頭に入っていますし、場合によってはセリフまで覚えている方もいるでしょう。
このような場合であれば、視覚情報や事前知識が(英語理解力)の助けにもなりますし、「前後の文脈の中で英語を覚える」という、本書の中で繰り返し出てくるポイントもクリアすることができます。
「なるほど、このフレーズはこういう状況で使うのか!」という発見もあるでしょう。同時通訳者の私でも、洋画やドラマを見ながら多くの言葉を学ぶことが出来ます。ベーシックな単語でも新しい発見があったりするのです。
【感想】
◆なかなかに「硬派」な英語学習本でした。「同時通訳者の方の作品」というと、以前下記の作品をレビューしたことがあるのですが。

同時通訳者のここだけの話ープロ通訳者のノート術公開ー
参考記事:【英語】『同時通訳者のここだけの話ープロ通訳者のノート術公開ー』関根マイク:マインドマップ的読書感想文(2019年09月27日)
こちらは内容的には、勉強法というよりも、同時通訳がどういうお仕事で、どんな出来事(事件?)があったか、みたいな裏話が中心(巻末に「プロ通訳者のノート術」なるものが付されていましたが)。
これは版元がアルクさんで、実際に「同時通訳」という職業を志望されている方をメインターゲットにしているからかもしれません。
それに対して、本書はあくまで一般ビジネスパーソンが、仕事で用いる英語スキルをアップするため、といったところ。
社会人向けにありがちな「TOEIC」の「T」の字も出てこなかったのが、少々意外でした。
◆さて、まず本書の第1章では「覚え方」を指南。
上記ポイントの1番目の「五感を使う」というのは、記憶法の定番ですね。
最近の電子辞書には、発音再生機能が搭載されていますし、本書で紹介されている「Weblio」というサイトでは発音記号と発音が同時に確認できます。
英和辞典・和英辞典 - Weblio辞書
続く第2章では、インプットのコツについて。
上記ポイントの2番目にあるように、「流し聞き」には限定的な効果しかないようです。
また章題にあるような「アウトプットしやすいインプット」とは、「自分の趣味」や「自分の仕事」に関することとのこと。
いくら知的で高尚なことでも、興味がなければ頭に入りませんし、予備知識がなければイメージすら出来ません。当然ながら、アウトプットする機会にも出会えないものです。なるほど確かに!
だからこそ、漫然と洋画や海外ニュースを流しておくだけでは、英語力向上に結びつかないのです。
そうではなく、趣味として楽しめることや、仕事で使うことから英語学習の素材を選んでください。そうすればどこかできっと使う機会が訪れます。
◆そして実際に「通訳学校」で行われているトレーニング法が紹介されているのが、本書の第4章です。
いくつかある中で、上記ポイントの3番目の「スラッシュリーディング」というのは、私は初めて知りました。
本書では具体的にスラッシュの引かれたテキストの例が掲載されていますので、ぜひご確認いただきたく。
また、第4章の後半では「スラッシュリーディングの上級編」なるものも登場するのですが、そちらも長くなるので今回は割愛しました。
簡単に言うと「文頭から順に訳す」という、確かに上級レベルのものなので、まずは普通の「スラッシュリーディング」ができてからでしょうか。
◆同じく上記ポイントの4番目の「ディクテーション」も、英語学習ではおなじみのもの。
ただし「『英文の構造』が理解できる」というメリットは、意識したことがありませんでした。
この第4章では他にも、「リプロダクション」「シャドーイング」といった学習法も紹介されていますから、ぜひご一読ください。
もちろん「そんなの知ってる」という方も多いでしょうが、「同時通訳者」である著者の小根山さんならではの視点もちらほらと。
たとえば、英語ネイティブが気になる発音というのが、「アクセントの位置」と「LとRの取り間違い」なのだそうです(知らなんだ)。
この辺は「シャドーイング」で、ネイティブの発音をそのまま真似るようにして、改善してみてください。
◆なお、上記ポイントの2番目で「映画やDVDを流し見する行為」はあまり効果が期待できない、と述べていましたが、上記ポイントの5番目にあるように、内容を理解して集中できるならプラスになるのだそうです。
ただし、「日本の映画やドラマの英語字幕版」が良いというのは、目からウロコ。
てっきり海外版を英語字幕で見るのが良いと思っていました(後半部分ではそれも推奨されていますが)が、確かに日本のものであれば、「こういう時は、こういう表現を使うのか」という気づきも得られそうです。
また、第6章にある「英字新聞」の読み方や、手作り単語帳の作り方も、ビジネスシーンで活かせる英語を身につける上では、きっと役に立つハズ。
さすがプレジデント社さんらしい、英語学習本だと思った次第です。
仕事で使える英語をマスターしたい方に!

同時通訳者が教える 脳に定着する“超効率”英語学習法
序章 同時通訳者が実践している「超効率的」な英語学習法
第1章 同時通訳者は「英語を的確に覚えるコツ」を知っている!
第2章 英語学習では「アウトプットしやすいンプット」を意識
第3章 「日本語脳」と「英語脳」のいちばんの違いとは?
第4章 「通訳学校」で行われる実践的なトレーニング
第5章 日常的に「活きた英語」に触れられる環境づくり
第6章 英字新聞やインターネットを使った「 仕事に関わる英語」の見つけ方
第7章 毎日の仕事を通じて、英語力をアップさせよう!
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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【編集後記2】
◆昨日の「Kindle本GWキャンペーン 追加分」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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参考記事:【オススメ】『電子書籍を無名でも100万部売る方法』ジョン・ロック(2012年12月09日)

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