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2020年04月19日

【整理整頓】『仕事の効率を上げミスを防ぐ 整理・整頓100の法則』桑原晃弥


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仕事の効率を上げミスを防ぐ 整理・整頓100の法則


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、3月末の「未読本・気になる本」の記事の中で、実は一番人気だった作品。

企業本等でおなじみである桑原晃弥さんが、「整理・整頓」をテーマに論じた1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
「~すれば、~できる」という速効仕事術を、1項目2頁で100項目まとめた人気シリーズの最新刊。
仕事を効率的に進め、ミスを防ぐために不可欠な整理・整頓について、トヨタ式やGoogle、アップルなど洋の東西を問わず様々な企業を研究し尽くし、プロの技術を実践提唱している著者から、誰もがすぐに試すことができる普遍的な法則をやさしく解き明かしていきます。
整理・整頓について気になっているものの、なかなか1冊を読み通す時間のない方、項目ごとに実践してみたいという方々のニーズに応えます。

相変わらず中古が定価の倍値以上しますから、お買い得なKindle版がオススメです!





Desk Tidy / jeffedoe


【ポイント】

■1.整理整頓を標準化する
世の中には整理整頓が上手な人もいれば、机の上が物置状態になっていても一向に気にならない人もいます。そういう人に対して「整理整頓を」と言ったとしても、「自分は何がどこにあるか分かっているし、この方が仕事の効率もいいので」と気に留めることはありません。
 これでは職場全体の整理整頓が進むことはありません。職場での整理整頓のためにはある程度の「標準」が欠かせません。たとえば、トヨタの職場ではこんな問いかけがあるといいます。
□ 必要な書類は10秒以内に取り出すことができますか?
□ 机の引き出しの一番奥に何があるか即答できますか?
□ 机の上に1カ月以上触れていない書類はないですか?
 この問いかけの1つにでも「ノー」の場合、その人の机は「整理整頓ができていない」ことになります。そして「すぐに整理整頓をする必要がある」ということになるのです。
 これはトヨタのケースですが、他の企業では「机の上の書類は何センチまで」と高さを決めているところもあります。こうした標準があれば、「汚いから整理整頓を」と言う必要もありませんし、「自分はこの方が仕事がやりやすい」などと言い訳をするわけにもいきません。


■2.まとめ買いをしない
企業が「まとめて買うと安くなる」を信じ込むと厄介なことになります。たとえば、必要な部品が1000個のところを「3000個買えば1割安くなるから」と3000個購入してしまうと、すぐには使わない部品が2000個も余ることになってしまいます。
 その2000個はいずれ使う予定かもしれませんが、すぐには使わない部品のためにお金を先払いした上に、保管するための場所も必要になります。さらに何百種類の部品や部材を同じように「まとめて買うと安くなる」と購入してしまうと、倉庫はもので溢れ、新たな倉庫を借りなければならなくなったり、管理のための人や設備投資も必要になってきます。
 こうした「まとめて買うと安くなる」や、「まとめてつくると安くなる」は大きなムダであり、見かけの錯覚にとらわれることなく「必要なものを必要な時に必要な量だけ」買い、そしてつくることこそが最も安くつくというのがトヨタ式の考え方です。


■3.新しいものは「とりあえず」置かない
 家庭でもオフィスでも新しく道具や備品などを購入すればものは増えます。しかも、こうした道具や備品は最初の整頓の時には想定していないだけに「どこに置くか」「どうやって整頓するか」が決まっていません。
 そんな時、最もやってはいけないのが「とりあえずここが空いているからここに置くか」というやり方です。整頓において厄介なことの1つは「とりあえず」置かれたものが「そのまま」になってしまうことなのです。こうした置き場所の決まっていないものや適当に置かれたものが増えてくれば、整頓が乱れるのは当然のことと言えます。
 そうならないために新しくものを購入する場合には、今まで使っていたものの中に整理できるものはないかを考えます。「整頓」を考える前に最初の「整理」に遡って、整理するものを考え、「新しく買ったものを使うのでこれはいらなくなるな」というものがあれば、「整理」しますし、整理できるものがなければ整頓を行った時と同様に「使う頻度」や「使いやすさ」などを考慮して新しく置き場所を検討します。


■4.「カバン1つで仕事をする」覚悟を持つ
社員にとって「ものを置く場所」は限りなく小さくなり始めています。当然、社員としても、職場としても整理整頓を徹底するほかありませんが、それにしてもなぜこれほどにものの置き場所は小さく少なくなっているのでしょうか?
 こうしたオフィス改革を推し進めた企業のある経営者は「こんなに収納場所が少ないと仕事に差し支える」と抵抗する社員にその意味をこう伝えました。
「将来、みなさんが自宅でも仕事ができるようにするために、この改革を受け入れて欲しい」
 経営者によると、社員がなぜ会社に来て仕事をしなければならないかというと、必要な書類やものがすべてオフィスに揃っているからです。ちょっとした仕事も会社に置かれた書類やものがないと進めることができないからこそ社員は時間をかけて通勤し、長い時間、オフィスで仕事をすることになりますが、もしものを最小限に減らして、ペーパーレス化も進めば、社員は会社以外のどこにいてもパソコンやタブレットを使って仕事をすることができます。
 つまり、会社のためではなく、社員1人1人が自分にあったより良い働き方ができるために徹底した整理整頓を行わなければならないというのが、その経営者の考え方でした。


■5.整理整頓したくても必要ないほど改善する 
 たとえば、整頓を行うことで、ものの置き場所がすべて決まったからといって、そのルールは最初から守られるわけではありません。
 既に触れたように入れる場所を間違って違うものを入れるという問題も起きるでしょうし、使ったものは戻さなければならないのに「面倒だから」と適当な場所に置いてしまう人もいるかもしれません。あるいは、仕事が忙しくて、「あとでちゃんとやるから」とまるで違う場所にものを置かざるを得ない人もいるかもしれません。
 実はこうした間違いやルール違反こそが改善のチャンスとなります。場所を入れ間違えるのには表示の分かりにくさという理由があるからかもしれませんし、忙しくて戻せない人も、もし戻す場所がすぐ近くにあれば、面倒くさがらずに決められた場所に戻すかもしれません
  整理整頓で大切なのは、一旦決めたルールを「何が何でも守る」ことではありません。法律で決められたルールは守らなければなりませんが、職場で決めたルールは常により良いものに変えていくことが必要です。
 整理整頓に関する問題が起きた時は「改善のチャンス」と考えましょう。そんな小さな改善を積み重ねることができれば、「整理整頓をしたくても必要ないほどのレベル」にまで近づくことができます。


【感想】

◆まず本書を読んで最初に思ったのが、「トヨタ式ネタ、ちょっと多くね?」ということ。

改めて冒頭の内容紹介を見ると「トヨタ式やGoogle、アップルなど洋の東西を問わず様々な企業を研究し尽くし、プロの技術を実践提唱している著者」とあり、確かに桑原さんはトヨタ以外にも、様々な企業をテーマにした本を出されています。

Amazon.co.jp: 桑原晃弥: 本

ただし、今回の作品のテーマである「整理整頓」で言うのなら、内容的にトヨタ式がもっとも当てはまっているのは言うまでもありません。

……ぶっちゃけGoogleやアップルの整理整頓術など、聞いたことないですし。

ちなみに、巻末の「おわりに」では、参考文献が挙げられており、その中には当ブログでもレビュー済みのこの作品もありました。

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トヨタの片づけ

実はこの本のレビューは、かつて当ブログがブイブイ言わせていた(死語)頃、ブクマが1200を超えてホッテントリ入りした、記念すべき作品でもあります。




◆それはさておき、まず本書の第1章では、整理整頓の必然性等についての言及が。

上記ポイントの1番目の標準化の話はここからであり、トヨタにおいては、これらの基準にひっかかると、「整理整頓ができていない」ことになるようです。

よくある「俺は机が汚くとも仕事ができるから問題ない」という言い分は通じない模様。

続く第2章は、「整理整頓」の「整理」がテーマで、主にモノの捨て方について指南されています。

上記ポイントの2番目の「まとめ買いをしない」というのも、目先の利益だけを見るとやりがちなこと。

また、割愛した中では「『顔が思い出せない名刺』は思い切って捨てる」というのは、さっそく実践したいです(私は名刺の裏にラフな似顔絵書いてますが)。

もっとも「捨てる」場合にもっとも迷うのが「いつか使うもの」をどうすべきかであり、本書ではその「いつか」に「期限を定める」ことを推奨。

1ヶ月なり半年なり定めた期限まで使わなかったら、それはもう「ずっと使わないもの」として処分すべきなのだそうです。


◆一方第3章では「整頓」がテーマ。

「整理」して必要なものだけになった状態から、それらが「誰にでもすぐに取り出せる」ようにします(見栄えを良くする「整列とは違います)。

書類であれば、まず立てますし、「人の動き」に合わせてものを置くようにすべし!

その、ものを置く際に注意したいのが、上記ポイントの3番目です。

「とりあえず」が「そのまま」というのはよく聞く話ですし、そもそも新しいものを1つ買った時点で、何かを処分すべきでしょう。

また、上記『トヨタの片づけ』のレビューでも抜き出していたので今回は割愛しましたが、床や机の上に、ものの正しい置く位置を示す「区画線」をテープ等で引く、というのはぜひ取り入れてみていただきたいところです。

私自身、『トヨタの片づけ』を読んでから、事務所のごみ箱の置き場所をテープで示してみたら、なかなか便利でした。


◆さらに第4章では、ものの整頓だけにとらわれない、仕事の整頓術が登場します。

もっとも、書類をA3の紙1枚にまとめたり、メールの受信トレイを空にする、といった辺りは、類書でもおなじみのやり方かもしれません。

なお、上記ポイントの4番目の「カバン1つで仕事をする」というのは、今現在のテレワーク活用時には、図らずとも重要なTIPSとなってしまいました。

自宅でフルタイムで仕事をしたり、たまに職場に出て短時間で仕事を済ませるには、やはり日頃から「整理整頓」をすべきだと思われ(自戒を込めて)。

そして最後の第5章では、いったん達成した「整理整頓」の状態を持続させる方法を検討しています。

定期的にチェックするのはもちろんのこと、上記ポイントの5番目にあるように、もし問題が起きたら、それを「改善のチャンス」として、さらに上を目指す次第。

……ちょうど私もテレワークで家にいることが多いので、まずは自室での仕事環境を整えなくては。


整理整頓を基礎から学べる1冊です!

4820727869
仕事の効率を上げミスを防ぐ 整理・整頓100の法則
第1章 「効率が悪い」「ミスをする」の原因は整理整頓にある
第2章 整理のスタートは「捨てる基準」を明確にすること
第3章 必要なものがすぐに取り出せる整頓術
第4章 仕事のムダをなくすための整頓術
第5章 「整理整頓」のリバウンドを防ぐために


【関連記事】

お前らもっと『トヨタの片づけ』の凄さを知るべき(2012年11月22日)

【紙1枚!?】『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』浅田すぐる(2015年02月17日)

【トヨタ式?】『トヨタ式5W1H思考 カイゼン、イノベーションを生む究極の課題解決法』桑原晃弥(2019年03月15日)

【超整理?】『コクヨ式 机まわりの「整え方」 社内で実践している「ひらめきを生む」3つのコツ』齋藤敦子(2014年06月02日)

【整理術】『会社では教えてくれない! 頭のいい整理術・ファイリング術』桃山 透(2013年10月09日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B083Z5NVBV
人生を変える単純なスキル

つい先日、未読本記事経由で買ったばかりのこの作品が、早くも日替わりセールに登場(涙目)!

まだ中古がそれほど値下がりしていないところに、「67%OFF」という激安設定ゆえ、Kindle版が800円以上お買い得となっています!

参考記事:【TIPS5選】『人生を変える単純なスキル』豊田圭一(2020年01月22日)


【編集後記2】

◆昨日の「ビジネス・実用書フェア」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B07PT4PCTY
調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 (SB新書)

参考記事:【知的生産術】『調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意』佐藤優(2019年04月08日)

B07TLMQZPQ
すごろく経営学 (SBビジュアル新書)

B07KWX513W
誰かに教えたくなる道路のはなし (SBビジュアル新書)

B07P1VYKKM
最高のリーダーは2分で決める

参考記事:【リーダーの仕事術】『最高のリーダーは2分で決める』前田鎌利(2020年02月20日)

宜しければ、参考になさってください!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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