2020年04月07日
【もう1人の天才?】『ティム・クック−アップルをさらなる高みへと押し上げた天才』リーアンダー・ケイニー
ティム・クック−アップルをさらなる高みへと押し上げた天才
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「SBクリエイティブ 50%ポイント還元キャンペーン」でも人気の1冊。ごぞんじアップルのCEOであるティム・クックを深く掘り下げた、注目の作品です。
アマゾンの内容紹介から。
ジョブズは製品開発こそ一流だったが、CEOとしては二流だった…。ジョブズと180度違う経営でAppleを世界初の1兆ドル企業へ押し上げた寡黙なCEO。何を考え、何をするのか?秘密のベールに包まれた天才の真相を単念に紐解く。
Kindle版が「50%OFF」のところ、さらに「50%ポイント還元」ということで、送料を足した中古よりも500円以上お買い得となっています!
Apple CEO Tim Cook / deerkoski
【ポイント】
■1.オペレーションの新たなリーダー1998年3月、ジョブズは当時37歳のクックをワールドワイドオペレーション担当上級副社長として雇い入れた。その基本給は40万ドル(約4500万円)で、さらに50万ドル(約5600万円)が契約金として支払われた。クックはアップルの製造と流通を徹底的に見直すという、非常に重要な役割を与えられていた。そしてこれは、ジョブズがこれまで決断した中で最高の人選の1つだった。
アップルに勤めて30年の古株であるグレッグ・ジョズウィアックは、クックがオペレーションに優れていることは、採用前からすでに明らかだったと語った。「スティーブがティムを面接したときのことを覚えています。終わった後、スティーブは明らかに面接中に彼から学んだと思われる、オペレーションに関する素晴らしい考えについて、私たちに聞かせたのです」。アップルパークでのインタビューで、ジョズウィアックは私にこう語った。「彼はまさしく自分が雇われる以前から、我々のオペレーションに関する考えに影響を与えていたのです」。
■2.マネージャーとしてのクック
クックのアプローチ方法はジョブズのそれとは異なるものだったが、きちんと結果につながっていた。スティーブ・ジョブズは、アップルのチップ製造業者が十分な量のチップを期日通りに納品できなかった場合、彼らに面と向かって「お前たちは腰抜けのクソったれだ」と言うような(そして実際に言った)人物だった。また結果を出せなかった人たちに憤慨して怒鳴り散らし、彼らをけなして「クソ野郎」と侮辱するような人物だった。
クックの戦術はこれとは著しく異なっていた。彼が声を荒げることはほとんどなかったが、問題の核心に迫ることに執着し、質問を延々と投げかけて人々を疲弊させた。「彼はとても静かなリーダーです」とジョズウィアックは語った。「叫ぶことも怒鳴ることもなく、非常に冷静で落ち着いています。しかしとにかく人を質問攻めにするので、部下たちは問題についてしっかりと把握しておく必要があるのです」。
■3.クック初の主要製品:Apple Watch
2014年9月のよく晴れた日、クックはついに待望のApple Watchを発表し、それを「アップルの物語の新たな章」と呼んだ。
この製品は心拍数モニターとフィットネス追跡機能を特徴とするもので、自分のトレーニングをモニターして追跡することを望む健康オタクを主なターゲットとしていた。内蔵されたActivityアプリは、ユーザーが立ち上がって運動し、身体を健康に保つことを奨励していた──そして毎日の目標を達成した人には、仮想のメダルが授与された。これは明らかにフィットネスに熱心なクックの心が反映されたものだった。彼はApple Watchを「正確な時計であり、手首につけて親密なコミュニケーションができる新たな手段であり、総合的な健康とフィットネスのための機器」であると説明した。
■4.クックは太陽光発電に力を注ぐ
2015年10月、アップルは、地元のサプライヤーをより持続可能なものにするための取り組みの一環として、中国で200メガワット──26万5000世帯に電力を供給するのに十分な量──の太陽光発電プロジェクトに着手する計画を発表した。このプロジェクトにより、アップルの二酸化炭素排出量の70%を占めていた「サプライチェーンで使われるエネルギーを相殺する」ことが可能となった。クックは、「気候変動は、我々の時代の大きな課題の1つであり、今が行動を起こすときなのです。新しいグリーン経済への移行には、革新と大志、目的が必要です。他の多くのサプライヤーやパートナー、そして企業が、この重要な取り組みに参加してくれることを願っています」と語った。
■5.同性愛者であることのカミングアウトの意義
10月30日、クックはブルームバーグに「ティム・クックは語る」というタイトルの感動的なエッセイを掲載し、そこで初めて自分が同性愛者であることを世間に向けてはっきりと表明した。彼のセクシュアリティに関する噂は以前から存在し、クック自身もアップルの「多くの」同僚たちには、ゲイであることを打ち明けていた──しかし世界に対してそれを認めたのは、このときが初めてだった。(中略)
その後、CBSの「ザ・レイト・ショー」に出演したクックは、自分がアメリカのセクシュアル・マイノリティの若者たちを助けることができると気づいてから、自らのセクシュアリティを公表することを決めたと語った。「子どもたちは学校でいじめられ、その多くは差別され、両親から拒絶されています。私が何とかしなければならないと感じたのです」と彼は語った。「私は自分のプライバシーを非常に重視していましたが、他の人のために何かをすることのほうが、それよりもはるかに重要だと感じたのです。皆さんに私の真実を伝えたいと思いました」。
【感想】
◆非常に興味深い1冊でした。と言いますか、ワタクシ、アップルの製品を全然持っていないせいか、その社長であるティム・クックのこともほとんど知らない状態で本書を読んだわけです(ジョブズ本はそこそこ読んでいますが)。
ですからてっきり、クックは「ジョブズの遺産で食いつないでいる普通の社長」みたいに思っていたのですが、あにはからんや。
まず、生前のジョブズに請われてアップルに来た大きな理由が、上記ポイントの1番目にもある彼のオペレーション能力です。
それまでのアップルは、在庫の山を抱えたり、逆に在庫が足りなくて売るタイミングを逃したりしていたのですが、クックによって売れ残った在庫ストックは、4億ドルから7800万ドルにまで減少したのだそう。
また、かつては自社工場を持っていたアップルで、アウトソーシング化を積極的に進めたのもクックであり、おかげで急な仕様変更等にも自由に対応が効くようになりました。
ただしあのフォックスコンをはじめとしたサプライヤーの工場では、費用削減のために劣悪な環境での労働が強いられたワケで、のちにその問題にも着手せざるを得なくなるのですが。
◆一方、クックの人となりについては、上記ポイントの2番目にあるとおりです。
……もっともあのジョブズと比較したら、誰でも温和な印象を持たれて当然かもしれませんが。
さらに、ここでは割愛したものの、大変な仕事中毒な模様。
彼は日曜日の夜に電話会議を受け、午前3時45分にメールの返信を行い、毎朝午前6時までには自分のデスクについていた。そしてオフィスで12〜13時間働き、家に帰ってからはもっと多くのメールに返信した。「ティムは午前3時45分〜4時15分の間にいくつかのメールを送ってきました」。そして「4時半〜6時の間は返信が途絶えていました」。アップルの元法務顧問で、クックの同僚だったブルース・シーウェルはこう語った。「この時間に彼は起床し、朝食をとったり、ジムへ行く準備をしたりしていました」。そして6時15分くらいには、すでに仕事にとりかかっていた。この忙しさの中にもジムに行ってることからも分かるように、実は意外と運動好き。
また、熱心なサイクリストでもあり、そうした「健康オタク」ぶりが、上記ポイントの3番目でも触れている「Apple Watch」につながっているようです。
もっとも「Apple Watch」は、「健康」どころか緊急時に通報もしてくれるみたいですが。
Apple Watch で転倒検出機能を使う - Apple サポート
◆こうした自然とのふれあいもあってか、クックは環境問題にも熱心に取り組んでいます。
実はこの辺もジョブズとは違うところで、本来、環境汚染や作業員の中毒の問題は、委託している「サプライヤーの問題」としても良いところ、クックはアップルとしてサプライヤーを監視等して、問題に対処。
また、環境保護庁の長官を務めていた女性(リサ・ジャクソン)を、経営陣に引き入れたり、上記ポイントの4番目にあるように、太陽光発電にも注力しています。
アップルの再生可能エネルギー利用率が93%へ、1年間で6%増加 (2/2) - スマートジャパン
さらには、「クローズドループのサプライチェーン(iPhoneや他の機器の製造をリサイクルされた原料のみで行うこと)」を目指したり、自社の製品包装の100%を持続可能な資源から調達することを約束し、2018年現在、すでに99%提携しているのだとか。
あのグリーンピースに「他の企業のCEOが、この問題にこれほど関わることはありません」とまで言わしめるのですから、大したものです。
◆そしてもっともインパクトが強かったのが、上記ポイントの5番目に挙げたカミングアウトの件。
基本的にプライベートを一切語らなかったクックが、あえて「秘密」を公けにした理由は、引用したように「セクシュアル・マイノリティの若者たちを助けることができる」からでした。
彼のこうした考えは、「多様性」や「平等」についても影響を与えていて、障害者や退役軍人のようなマイノリティの雇用に積極的だったり、まだ数字的には少ないものの、女性幹部の登用にも力をいれているのだそう。
また、会社としての取り組みと同時に、アップルは製品自体、視覚や聴覚に障害のある人でも使用できるように設計されています(詳細はアップルユーザーの方がお詳しいかと)。
クックは、製品をアクセスしやすいものにすることで、アップルが金銭的な不利益を被る可能性があることを認識していたが、彼は気にしていなかった。「我々は、わが社の製品を使用するすべての人を驚かせ、喜ばせるために設計しており、投資収益率を気にかけることは決してありません」と彼は語った。「我々は、それが正しいことだからやっているのです。そしてそれは、人間の尊厳を尊重するために必要なことであり、私はアップルのこのような一面を非常に誇りに思っています」。この本が実質「ワンコイン弱」というのは、お買い得としか言いようがありませぬ。
ジョブズとは違う「天才の真実」を知るために読むべし!
ティム・クック−アップルをさらなる高みへと押し上げた天才
イントロダクション
第1章 スティーブ・ジョブズの死
第2章 深南部で形作られた世界観
第3章 ビッグブルーで業界を学ぶ
第4章 倒産寸前の企業に加わる一生に一度の機会
第5章 アウトソーシングでアップルを救う
第6章 スティーブ・ジョブズの後を引き継ぐ
第7章 魅力的な新製品に自信を持つ
第8章 より環境に優しいアップル
第9章 クックは法と闘い、勝利する
第10章 多様性に賭ける
第11章 ロボットカーとアップルの未来
第12章 アップル史上最高のCEO!
【関連記事】
【神話完結】『スティーブ・ジョブズ II』ウォルター・アイザックソン(2011年11月03日)【速報】『スティーブ・ジョブズ I』が想像以上に濃厚だった件(2011年10月25日)
【スゴ本再び】『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則』カーマイン・ガロ(2011年06月27日)
【全11冊】私の読んだジョブズ&アップル本あれこれ(2011年10月09日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
私も持ってる(でも積読中)の米原万里さんの書評集は、中古が値崩れしているものの、「80%OFF」という超激安設定ゆえ、Kindle版がお買い得。
大人のADHD ――もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)
読む方を選びそうな1冊は、中古がそれほど値下がりしていないため、Kindle版が400円強お得。
臨死体験(上) (文春文庫)
おなじみ立花隆さんの少々オカルトチックな作品は、中古が値崩れ済みですが、Kindle版の方がお求めやすくなっています。
【編集後記2】
◆昨日のの記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。世界一速い問題解決
参考記事:【問題解決】『世界一速い問題解決』寺下 薫(2019年03月20日)
集中力はいらない (SB新書)
外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム (サイエンス・アイ新書)
99%の努力はいらない
本日のクック本同様、どれも、「50%OFF」と「50%ポイント還元」のダブル適用で大変お買い得ですから、よかったらご検討ください!
ご声援ありがとうございました!
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