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2020年03月28日

【問題解決?】『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』高松康平


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筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは先日の「未読本・気になる本」の記事でも、予想どおり人気だった問題解決本。

著者の高松康平さんは、大前研一先生率いるビジネス・ブレークスルー大学で専任講師を務めてらっしゃるだけに、「新しい問題解決の教科書」として、本書を書かれたのだそうです。

アマゾンの内容紹介から。
事業全体を俯瞰して課題を発見する。経験がなくても筋の良い仮説を立てられる。ビジネスリーダーが現場で使える。

なお、Kindle版が「25%OFF」という高値引率のため、送料を足した中古よりも500円弱、お買い得です!





Computer problem solving flowchart / mikebogle


【ポイント】

■1.問題解決は、まずはともあれ「WHERE」から
 まずは、どこで問題が起きているのか確認する。ここから問題解決は始まります。しかし、人間の特徴として、どうしても現状理解(WHERE) よりも、次のステップである本質的課題発見(WHY) や解決策立案(HOW) に進みたくなる傾向があります。(中略)
 原因分析のプロセスで「こういうことが原因ではないか」とWHYを追及しているほうが思考を拡げることができますし、さらにHOWになると「こんなことができたらいいのに」と楽しく考えることができます。だから、人間は先にWHYやHOWに飛びつきたくなるのです。
 でも、人間の脳の癖自体を変えることはできません。人間の脳の特徴を変えて、現状分析という地味なプロセスを楽しいと感じるようにしましょう、なんてことは言えないわけです。現状分析は地味な作業であって、やらなければならないと理性で理解するしかありません。人間の脳の癖を理解して、問題解決に取り組めばよいのです。


■2.原因仮説の7つのパターン
(1) 市場に変化が起きているのでは?  
(2) ターゲットセグメントに変化が起きているのでは?  
(3) 顧客ニーズを満たせていないのでは?  
(4) 顧客に自社商品・サービスの魅力を届けられているか?  
(5) 顧客価値を継続的に提供するバリューチェーンを構築できていないのでは?  
(6) バリューチェーンを支える組織に問題はないか?  
(7) 外部環境に大きな変化はないか?

(詳細は本書を)


■3.「3C」の順番を意識してまとめる
 考える起点は、あくまで市場・顧客です。だから、まとめる際も、最初は市場・顧客になります。市場・顧客が何を求めているかを認識することが起点になります。そして、次が競合です。市場・顧客が求めているものに対して、競合はどこまで対応しているのかを見ていきます。そして、最後が自社になります。つまり、
・最初は市場・顧客。市場は、どう変化しているか。顧客は何を求めているのか。
・次が競合。顧客の要望に対して、競合がどこまでの対応をしているのか。
・最後が自社。顧客の要望に対して、競合と比較して、自社はどこまでの対応ができているのか。
 3Cの流れは、市場・顧客→競合→自社となります。この順番でまとめることができれば、事業全体の課題をうまくまとめることができます。多く集めた情報を統合的に活用しながら、まとめることができるのです。


■4.直感で出したアイデアをロジカルに広げるための3つの言葉
(1)「つまり、どういうことか?」
 この質問を使うことで、出てきたアイデアの抽象度を上げていくことができます。直感で出てきたアイデアの多くは、具体的な内容が多いでしょう。そのアイデアの抽象度を上げてみることで、他のアイデアがないかを考えてみることができます。
(2)「具体的には?」
 もし出てきたアイデアが抽象的なものであったら、「具体的には?」と問いかけてみてください。そうすることで、細かいアイデアを考えることができます。
 抽象的な言葉はブレークダウンすることで、どんどん詳細なアイデアを考えることができるのです。
(3)「他にないか?」
 このように、抽象と具体を行き来することで、少しずつアイデアが増えてきましたが、ここで満足してはいけません。ここからアイデアを拡げていくのです。
 そこで問いかけてほしい3つ目の言葉は、「他にはないか?」
 この言葉を使うことで、さらにアイデアを拡げることができるのです。


■5.アイデアを選ぶ際には視点を変えてみる
 たとえば、自社がとるべき打ち手はどれかを選ぶための判断軸を考えていると想定してください。このとき、「自社がとるべき打ち手はどれか?」という問い自体を変えてみてください。
「競合が一番嫌がる打ち手はどれだろうか?」と、問いを変えてみるのです。
 競合に勝つためには、自分がやりたいことを実施するだけでは勝てません。競合が嫌がることや競合ができないことをやるという視点も大切です。
 もし、競合も同じような施策ができるのであれば、すぐに真似されてしまいます。競合が実施していない施策を自社が実施しようとしている際には、もっと慎重に考えます。競合はあえて実施していないのではないかと考えてみましょう。
 なぜ、これまで競合は実施してこなかったのだろうかと想像しておくのです。自分が思いついたアイデアを競合が思いつかなかったと考えるのは、うぬぼれだと思います。


【感想】

◆問題解決本は、下記の関連記事を初めとして、当ブログでは結構取り扱ってきましたが、本書もまた、新たな「気づき」がある作品でした。

まず、「なるほど」と思ったのが、第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目にある「WHERE」を重視する、というお話です。

「WHERE」とは、そこにもあるように「現状理解」のことであり、「どこ」で問題が発生しているかを把握する、ということ。

本書は「オーダースーツを販売する会社(スーツスペシャル)の業績不振」という問題をケーススタディとして掘り下げているのですが、たとえばこのケースですと、
・特定の商品が売れなくなっているのではないか?
・特定の店舗で売上が下がっているかもしれない?
といったところが「WHERE」にあたるわけです。

……確かに、業績不振というと「何で?」とか「どうしたら?」みたいな話に飛びつきやすい気が。 


◆さて、「WHERE」を探った結果、データ分析から明らかになった問題は以下の2つ。
・オリジナルモデルの比率が下がり、購入単価が下がった
・予約件数は増えたが、購入率が下がった
補足しておくと、この会社は比較的手頃な価格帯の「スタイリッシュモデル」&「ヨーロピアンモデル」と、高価格帯の「オリジナルモデル」がある設定です。

それを踏まえて行う原因分析が、上記ポイントの2番目にある7つのパターン。

本書の第3章では、この7つについて、それぞれ解説されていますので、詳細はそちらでご確認ください。

また、続く第4章では、実際のアンケートや調査会社のレポート、さらには社内の各部門(マーケティング担当、店長等)へのインタビューも踏まえて、さらに問題を分析。

上記ポイントの3番目の「3Cの順番」は、その中の1つである「フレームワークを意識してまとめてみる」からのものなのですが、今まで私は、順番なんぞ気にしたことありませんでしたよ(白目)。

本書では、具体的なフォーマットを使ってまとめているものの、本記事で画像は引用できないので、こちらもまた本書にてご覧いただきたく。


◆一方、第5章からは解決策を検討していきます。

戦略の方向性は、大きく分けて4つあり、具体的には以下のとおり。
1.コスト・リーダーシップ戦略
 シェアトップ企業が規模を活かして、安い価格で高品質の商品・サービスを提供する。
2.差別化戦略
 特定セグメントの顧客ニーズに応えるためにバリューチェーンを強化する。
3.顧客ロックイン戦略
 お客様に買い続けてもらうために囲い込む。
4.ソリューション戦略
 お客様のご要望に応える対応力を用意するために組織・人材を強化する。
これまた個々について第5章で解説されているのですが、一般論のお話なので、説明はそちらに任せたく。

そして第6章では、いよいよアイデア出しをしていきます。

その際意識したいのが、上記ポイントの4番目にある「3つの言葉」。

まさに、つい先日ご紹介したこの本でもテーマになっていたように「抽象と具体を行き来する」ワケですね!

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「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書)

参考記事:【具体⇔抽象】『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功(2020年03月26日)


◆こうして出てきたアイデアのどれを選ぶかについて述べられているのが、本書の第7章です。

上記ポイントの5番目にもあるように、「視点を変える」のは大事だな、と。

また、同じように大事なのが「時間軸」です。

短期的には正解であっても、長期的には間違いなこともありますから、そちらも忘れずに!

ちなみに本書のケースですと、社長から「すぐに効果が欲しい」と言われていたため、本質的な改善にはならないかもしれないものの、短期間で着手できて、効果が出そうなものが選ばれた次第。

……個人的には結構「目からウロコ」(「そんなのでいいんだ」的に)でしたから、ぜひ最後まで読んで、ご確認いただきたいところです。


「問題解決」の手法を深く理解するために読むべし!

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筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」
第0章 問題解決マップ
第1章 ステップ1―現状分析
第2章 ステップ2―問題認識
第3章 ステップ3―情報収集
第4章 ステップ4―課題抽出
第5章 ステップ5―解決策の方向性
第6章 ステップ6―アイデア創出
第7章 ステップ7―評価


【関連記事】

【具体⇔抽象】『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷 功(2020年03月26日)

【思考術】『問題解決力を高める「推論」の技術』羽田康祐 k_bird(2020年01月10日)

【問題解決】『世界一速い問題解決』寺下 薫(2019年03月20日)

【問題解決】『「ゴール仮説」から始める問題解決アプローチ』佐渡 誠(2019年01月30日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B07WFZF28K
「会社四季報」業界地図 2020年版

よりによってこの荒れ相場のときにセールにしなくても、と思うのですが、転職される際にも使えるこの1冊は、Kindle版が900円強お得。

B07P5WXGVM
45分1000kcal消費を可能にする b-monsterの自宅筋トレメソッド

筋トレ本はセールでも人気ですから、このKindle版が800円弱お買い得な作品もご検討を!

B078L17LP6
世にも奇妙なニッポンのお笑い NHK出版新書

25レビューの平均が「4.3」という高評価なお笑い分析本は、送料を足した中古よりもKindle版がお得な計算です。


【編集後記2】

◆昨日の「Kindle春の大セール」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B00ZBR20YQ
1分間文章術

B084223R4Q
世の中の運がよくなる方法を試してみた

B07BMN4CPB
簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン

参考記事:【文章術】『簡潔で心揺さぶる文章作法 SNS時代の自己表現レッスン』島田雅彦(2018年08月20日)

B07DHLHLQ1
高卒自衛官が実現した 40代で資産2億円をつくる方法

参考になりましたら幸いです!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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