2020年03月11日
【発想法】『1%の努力』ひろゆき
1%の努力
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中で、もっともお求めいただいている1冊。おなじみひろゆき氏が、自身の人生観や処世術について語った作品です。
アマゾンの内容紹介から。
ラクを極めた管理人がマジメに語る、「生い立ち」「起業」「ビジネス」「これから」の話。「頭のいい生き方」を教えよう。
中古がやや値下がりしてきましたが、1割引きのKindle版の方がお求めやすくなっています!
Housing complex / haru__q
【ポイント】
■1.戦略的に離婚する幸いなことに桐ヶ丘団地には、生活保護の大人がすごく多かった。
子ども部屋おじさんも、ニートも、うつ病の人も、僕のまわりにはずっといた。
だから、大人が働いていない状況を、僕は当たり前に感じられる。
離婚もそうだ。
当時、よく遊んでいた友達がいた。
その家には、お父さんとお母さんがいた。けれど、離婚をしていた。
団地に住んでいると、共働きで収入が増えると、それに応じて家賃が高くなってしまう。
それを避けるため、離婚届を出し、母子家庭や父子家庭になることで家賃が上がらないようにしていた。
家賃を安くするために離婚をするのが、団地内では普通だった。
だから、どこの家庭が離婚していたって、みんな驚きもしなかった。子ども心にみんなわかっていた。
戦略的に離婚をしている人たちがまわりにたくさんいたのだから、書類上の夫婦関係なんて生き延びていく上では、「しょせん紙切れなんだ」と思う。
■2.優先順位を決める思考法
情報の刺激を受け続けると、優先順位の軸は揺らぐことだろう。優先順位がハッキリせずに、できないことが増えていき、人生が不幸になっていく。
そこで、僕から「考え方の考え方」を1つ教えよう。
「それは修復可能か?」
という判断軸だ。
もし修復が可能だったら、後回しにしてもいいというルールである。
冒頭の「大きな岩」の話と組み合わせるといいだろう。
僕の場合、寝不足で頭の 冴えない状態は、他の方法で修復ができない。寝ないとボーッとするのだから寝るしかない。
だから、睡眠を大事にする。(中略)
そうやって不可逆的に戻らないものを優先させると後悔が減る。
「勉強していなくて焦る」
「物を買ってしまいそうになる」
そんな瞬間に、「大きな岩はなんだろう?」「それは修復可能か?」と自問自答することで乗り切れる。
■3.「それがないと自分が困る」ものは何か?
発明王のような人が、「自動卵割り機」みたいな発明をテレビで紹介することがある。しかし、これらは「ないと困る人」がいない。
エピソード1で紹介した「エッグスタンド」の話も同じだ。僕がエッグスタンドの必要性にピンとこなかったのは、そういう理由がある。
「2ちゃんねる的な場所」は、ないと困る人がいる。
「匿名で何かを吐き出す場所」は、絶対に未来永劫、なくなることはない。
「この体験が、なくなったら困るな」と、あなたがそう強く感じられるものを安定収入にするのがいい。あるいは人生を捧げてもいいかもしれない。
そこには第三者の意見が入る余地はない。
誰がどう思っているかは、どうでもいい。
ほかの誰でもない、「この自分」が困るのだから、自分でやる。
■4.逆張りで考える
たとえば、就職活動の場合を考えてみよう。
資格を取ってアピールしたければ、「簿記や英検くらいは取っておこう」と考えてしまうし、出版社の面接を受けるときは、「紙の手触りは素晴らしいですね」と答えてしまう。
こういう人は、紋切り型の思考だ。
逆張りで考える人は違う。
「男ですが秘書検定1級を持っています」
「紙の時代は終わったと思います」
こういうことを言えるのが、逆張り思考の人だ。
世の中は、本当にみんな同じことしか言わない。そんな中で、ちょっと違う視点からモノが言えれば、一気に抜きんでることができる。
もちろん、常に斜に構える必要はないのだが、一度、頭の中だけでも逆張りで考えてみることをクセにしておいたほうがいい。
できれば、「逆にこういうのはどうですかね」と、前置きした上で、口に出してみる。発言をしてみる。
その積み重ねで自分だけのポジションを確立していけるはずだ。
■5.予測不能なものにだけお金を払う
今週を振り返ってみて、1つでも「新しいこと」はあっただろうか。
子どもが生まれたり、転職が決まったりなど、大イベントはそうそう起こることはない。
だから、「新しい人に会った」「新しいものを食べた」「新しい概念を知った」など、些細なことでもいいので、新しいことを1つ挙げられるだろうか。
パッと出てこなければ、あまり人生を楽しめていない可能性がある。(中略)
僕の場合は、次のようなルールを作っている。
「予測不能なものにだけお金を払う」というものだ。
知らない唐辛子があれば食べてみる、見たこともない飲み物は飲んでみる。あるいは、話の中で聞いたことないキーワードがあれば調べる。(中略)
同じ場所で、同じものを食べ、同じ仕事をし、同じ人間とだけ付き合っていれば、それは人前で話すコンテンツがないのも当たり前だ。
パターン化したら、次にいこう。別パターンを楽しめる領域にいこう。予測不能なものを体験しよう。
そうすることで、仕事にも人生にも、ある程度は楽しんで取り組むことができる。
【感想】
◆いわゆる「ひろゆき」テイストが楽しめながらも、従来の作品とは少々違う切り口がある作品でした。……と言っても、私はそれほどひろゆき氏の著作をチェックしているわけでなく、下記関連記事にあるようなホリエモン氏との対談や勝間さんを含んだ鼎談、それと一昨年に新刊の時点で当ブログ的に大ヒットした論破本の3冊くらいなのですが。
ただ、それらとの違いは、上記ポイントの1番目にある、ひろゆき氏の生まれ育った場所やその環境にも触れられていること。
これは第1章(本書では「章」ではなく「エピソード」で分けられていますが)の「団地の働かない大人たち」から抜き出したものであり、ひろゆき氏があくせく働かない生き方のバックボーンに、こういった幼少時の経験が影響を与えていることが伺われます。
もちろん、彼のお父さんが税務署職員であったことは広く知られていたワケで、一応国家公務員の家庭ですから、裕福ではないものの、それなりの環境で育ったものと私も思っていました。
ところがその「周囲」は、意外と「底辺」に近かったようで、おそらく本書を出したダイヤモンド社さんのビジネス書を読むような層には、あまり身近ではないでしょう。
ただし、本書内でもひろゆき氏が指摘しているように、そういう「世界」を知っているのと知らないのとで、発想や考え方に差が出てきますから、リアルで体感できたのが「強み」になっているようです。
◆さらに「考え方」という意味で押さえておきたいのが、上記ポイントの2番目。
リンクを張った「大きな岩」の話というのは、よく聞く「壺にはまず大きな岩から入れないと、砂利や砂は入らない」というヤツですね(リンク先もひろゆき氏のサイトです)。
それプラス、ひろゆき氏の場合、修復可能はものは、後回しにしたり無視するとのこと。
たとえば肺はタバコで真っ黒になるものの、禁煙して10年もすれば、キレイになる(つまり「修復可能」)なので、タバコをやめないのだそうです。
逆に、「学生時代のバイト」は「学生時代にしかできない」ので、「修復できない」ものとして、学生時代にやって正解だったと振り返っています。
これがもし、大卒の会社員として彼らを管理する立場から接点を持ったとしても意味がない。上司がいる前では、彼らはマジメに頑張っているフリをするからだ。「親に出してもらった学費で大学に通っているのにバイトするなんて本末転倒」という話もありましたが、学生時代のバイトもお金以外に「意味」があったのだな、と。
どうやって手を抜いて、どんなズルをしているかは、同じ立場でないと話してはくれない。
「こいつらダメだな」という状況をリアルに味わえるのは、たぶん学生時代だけだ。
◆また、上記ポイントの3番目は、第3章の「なくなったら困るもの」から引用しました。
なるほど「匿名で何かを吐き出す場所」というのは、「ないと困る人がいる」というのは納得できます。
一時、ネット界隈で、「匿名」か「実名」かで、大論争になったことがあり、ひろゆき氏は当然「匿名派」だったのですが、譲るわけにはいかなくて当然でした。
2ちゃんねるの利用者が増えたのは、「匿名」という部分を変えなかったからだ。同じように「ニコニコ動画」は、目の前のものに「ひと言言いたい」ニーズをくみ取った模様。
正直、匿名であることで、やっかいな問題はかなり増えた。しかし、やっかいな問題は置いておき、利用者が増えるほうを選んだのだ。
そして、コメントを見た出演者がそれに答えることができた、という意味では、「ニコニコ動画」こそが、メディアにおける初の「双方向性」の実現だったかもしれません。
◆一方、上記ポイントの4番目の「逆張り」の発想は、いかにもひろゆき氏らしいもの。
ちなみにこれは、本書の第4章からのものであり、この章内では、繰り返し「他の人との違い」を意識するお話が出てきます。
その中に「本音を言う」というTIPSがあるのですが、ひろゆき氏が本音を言えるのは、上記ポイントの2番目で出てきた「修復可能かどうか」を意識した上でのことのよう。
また、ポイントの5番目は、第6章の「明日やれることは、今日やるな」から抜き出したお話で、個人的にはさっそく試してみたくなりました。
以前、似たような考えで「違った道を通って帰る」みたいなのもありましたけど、やはり「お金」を払った方が、インパクトもありそうな気が(撃沈することもあるでしょうが)。
なお、この章で目からウロコだったのが、トイレに行きたくなってコンビニに入ったら、そこで何か買うか否か、というお話です。
私は買っちゃう方なのですが、これは経営者視点の考え方である、と。
そこに、「バイトでダラダラしたい学生フリーターの気持ち」という理解力は働かない。最初の「底辺」のお話じゃないですが、こういう「違った視点からの考え方」もできないといけないんですね。
そもそも経営者というのは多忙だ。
IT企業の経営者でも、ネットを長時間見たり、ネット上で何かを作ったりする、いわゆる「暇人」たちの気持ちがわからなかったりする。
ネット民たちの気持ちがわからない経営陣が判断の権限を持つと、彼らを喜ばせる企画を選ぶことができないと僕は思っている。
「ひろゆき流」の発想法を身につけたい方なら必読!
1%の努力
序文 「1%の努力」とは何か
エピソード1 団地の働かない大人たち ――「前提条件」の話
エピソード2 壺に何を入れるか ――「優先順位」の話
エピソード3 なくなったら困るもの ――「ニーズと価値」の話
エピソード4 どこにいるかが重要 ――「ポジション」の話
エピソード5 最後にトクをする人 ――「努力」の話
エピソード6 明日やれることは、今日やるな ――「パターン化」の話
エピソード7 働かないアリであれ ――「余生」の話
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【編集後記】
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