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2020年03月06日

【オススメ!】『ULTRA LEARNING 超・自習法 どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド』スコット・H・ヤング


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ULTRA LEARNING 超・自習法 どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて大人気だったスキルアップ本。

当ブログ向きのテーマな上に、ノウハウがてんこ盛りだったため、思わずハイライトを引きまくりました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
TEDで話題騒然!「世界中の勉強法マニア」をザワつかせる注目の学習法を初書籍化!
全米が認める「ウォール・ストリート・ジャーナル・ベストセラー」!
語学・プログラミング・文章力・デッサン・ゲーム開発・プレゼン…。あらゆるスキルに通用する「究極の学習法」そのメソッドがついに明らかに!

版元がダイヤモンド社さんということで、Kindle版なら1割引きでお求めになれます!






practice / mikecohen1872


【ポイント】

■1.強調/除外法
 強調/除外法ではまず、学習領域の中で、最初の準備作業で明確にした自分の目標に合致している部分を見つける。もしフランス語を学ぶ目的が、パリに2週間滞在して店やレストランで会話をしたいということであれば、正しい綴りを書けるようになることよりも発音を上達させることに集中すべきだろう。もし自分のアプリをつくりたくてプログラミングを学んでいるのであれば、コンピューターの理論よりもアプリ開発の流れを中心に学ぶべきだ。
 このステップが終わったら、次にベンチマークしたカリキュラムの中から、自分の目標に合致しない部分をスキップしたり、後回しにしたりする。たとえば著名な言語学者で、中国研究者でもあるビクター・メアのような人々は、標準中国語を学ぶ際のアドバイスとして、読みに挑戦する前に会話に集中することを推奨して いる。これは唯一の方法ではないが、学習の目的が言語を話せるようになることであれば、この方が効果的だ。


■2.律速段階
 化学には「律速段階」という概念がある。これはある化学反応が、複数の段階を経て発生する場合に起こる(たとえばある段階での生成物が、別の反応の試薬となるような場合)。律速段階はこの一連の反応の中で最も速度が遅い部分を指し、ボトルネックとなって、化学反応全体が完了するまでに必要な時間を左右する。
 私は学習においても、同じことが言えると考えている。学習全体の中にある特定の要素が、目標とするスキルが上達するスピードを左右するボトルネックとなっているのだ。
 数学の学習を考えてみよう。それは多くの異なる要素から構成される、複雑なスキルだ。基本的な概念を理解し、特定の種類の問題を解くためのアルゴリズムを記憶し、それをどのような文脈で使うのかを知らなければならない。
 さらにこれらの能力の根底には、目の前の問題を解けるように計算と代数を使う能力がある。計算が苦手だったり、代数をきちんと理解していなかったりすると、他の概念をマスターしていても答えを間違ってしまうのである。


■3.先行テスト効果
 別の場所で(教科書を読むなり授業を聞くなりして) 学習した知識を評価するためのもの、というのがテストに対する一般的な捉え方だろう。回想の概念は、この考え方を逆さまにするものだ。
 つまりテストを受ける行為は、学習の源であるだけでなく、同じ時間を復習に使うよりも学習効果が高い手法というわけである。しかしこの点は、最初に知識を習得し、その後に強化やテストを行うという従来の考え方に依然として合致している。
 回想に関する研究から得られた、「先行テスト効果」として知られる興味深い現象は、回想は過去に学んだことを強化するだけでなく、より良い学習に向けて準備することにも役立つと示して いる。以前に学習した情報を定期的にテストすることは、新しい情報を学習することを容易にする。
 これは回想が、未来の学習も強化することを意味している。まだ回想するものが頭の中になくても良いのだ。


■4.3つのフィードバック
「結果フィードバック」
 第1のフィードバックは結果のフィードバックで、これは最も細分化されていない。
 結果フィードバックは「全体的にどれだけ上手くいっているか」を示すが、何が良くなっているのか、あるいは悪くなっているのかに関しては何も提供しないのである。
「情報フィードバック」
 2番目は情報フィードバックだ。このフィードバックは何が間違っているかを教えてくれるが、必ずしも修正方法を教えてくれるわけではない。外国語のネイティブスピーカーとその言語を使って(自分に理解できる言語は使わずに) 話すことは、情報フィードバックの練習になる。間違った単語を使うと、相手の混乱した表情から、自分の誤りに気づくことができる。しかし正しい単語が何であるかまではわからない。
「修正フィードバック」
 フィードバックの中で最も望ましいのが、修正フィードバックだ。これは何が間違っているかだけでなく、それを修正する方法を示してくれるフィードバックである。多くの場合この種のフィードバックは、コーチやメンター、教師を通じてのみ得られる。ただし適切な教材を使用している場合には、自動的に得られる場合もある。


■5.ファインマンテクニック
1.理解したい概念や問題を、紙の一番上に書く。
2.その下の余白を使って、その概念・問題を他の人に教えるかのように説明する。
 a.説明するのが概念の場合、それを聞いたことのない人にどのように伝えるかを考えてみる。
 b.問題の場合、それをどうやって解くかを説明し——ここが重要な点だが——なぜその解法が自分から見て筋が通っていると思うかを説明する。
3.行き詰まったとき、つまり自分が明確な答えを書けるほど理解していなかった場合には、教科書やノート、教師、教材に戻って答えを見つける。
 最も重要なのは、この手法は説明深度の錯覚を回避するためのものという点だ。私たちの「理解」の多くは明確に表現されることがないため、本当は理解していなくても、理解していると簡単に錯覚してしまう。ファインマン・テクニックでは、詳細まで理解したいと思っている概念をはっきりと説明しなければならないため、この落とし穴を避けることができる。


【感想】

◆この手のスキルアップ本は、当ブログではかねてから何冊もレビューしてきましたが、それらと比べても、かなりの充実ぶりでした。

特に「短期間で習得する」という点で、本書に近いのがこちらなのですが。

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たいていのことは20時間で習得できる

参考記事:【超速スキル獲得法?】『たいていのことは20時間で習得できる』ジョシュ・カウフマン(2014年09月22日)

この本が、主に著者のジョシュ・カウフマンの個人の体験に基づくのに対して、本書は数多くの体験者に話を聞いている分、汎用性は高そうな。

本書はこうした「多分野に通用する集中的なスキル習得法」を「ウルトラ・ラーニング」と呼び(脚注によると、実際には他の人に命名されたとのこと)、本書内でもその実践者を「ウルトラ・ラーナー」と称しています。

本書の第1章ではこうした「ウルトラ・ラーナー」たちの輝かしい成果を、そして第2章では「ウルトラ・ラーニング」がどういうものかについて言及されているのですが、今回は「ノウハウ優先」にしたかったので、とりあえず割愛。

第3章で明らかにされた「ウルトラ・ラーナーになるための9つの原則」(下記目次参照のこと)を、第4章以降でそれぞれ深堀りしているため、そちらから引用してみました。


◆まず上記ポイントの1番目の「強調/除外法」は、第4章の「原則1 メタ学習」からのもの。

「ウルトラ・ラーニング」を行うに際しては、まず「なぜ」「何を」「どうやって」について、それぞれ検討するのですが、そのうち「どうやって」の中の1つの方法になります。

ちなみにこうした、準備作業である「メタ学習」は、学習を始める前に「予想される全学習時間のおよそ10パーセントを投じるべき」とのこと。

また、上記ポイントの2番目の「律速段階」は、第7章の「原則4 基礎練習」から。

たとえば、外国語を学ぶ際には、往々にして「語彙力」がボトルネックになるのは、類書でもよく指摘されていることですね。
律速段階はスキルによって獲得される総合的な能力を左右するため、それを集中的に改善することで、スキルのすべての面を一気に練習するよりも早く上達できるのだ。
本書では、「基礎を身につけるための5つのワザ」なるものも紹介されていますから、そちらもご確認いただきたく。


◆一方、上記ポイントの3番目の「先行テスト効果」は、「原則5 回想」から抜き出したものになります。

ここで言われているように、「テストを受ける行為」自体に学習効果があることは、下記作品でも触れられていました。

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実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~

参考記事:【勉強法】『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』竹内龍人(2014年04月28日)

……この本、装丁や挿入されたイラストがこんな感じで軽すぎるのですが、中身はピカイチ(中古が元の定価を上回っています)なので、良かったらご一読を。

さらには、引用部分が長くなってしまいましたが、上記ポイントの4番目の「3つのフィードバック」は、章題どおり「原則6 フィードバック」から。

そもそも「フィードバック」自体が、「ウルトラ・ラーニング」の根幹をなすものの1つなのですが、もちろん類書でも「フィードバック」の重要性はうたわれています。

とはいえ、本書では「フィードバック」を、このように3種類に分けて考えている点が秀逸だな、と。

なお、より良い「フィードバック」を得るための具体的な戦術も、4つほど挙げられていましたから、そちらもお見逃しなく。


◆また、今回は割愛してしまいましたが、「原則7 保持」では、覚えたことを忘れてしまう「忘却」への取り組み方が述べられています。

そこで初めて知ったのが「過剰学習」なるもの。
十分なパフォーマンスができるようになるのに必要な量を超え、さらに練習を重ねると、記憶が保持される期間が長くなる可能性があるのだ。
覚えたら、即、次の課題に取り組みたくなりますが、こういう効果があるということもご留意ください。

そして最後のポイントの5番目の「ファインマンテクニック」は「原則8 直感」からのもの。

私はこのテクニックを知らなかったのですが、ググったら、多くのエントリーがヒットしたので、結構有名なのかもしれません。

ただし、それらエントリーとの違いは、本書は「説明深度」と結びつけていること。

この「説明深度」とは、研究者のレベッカ・ローソンによると「自分が理解していないことを理解していると勘違いしてしまうこと」で、「説明深度」の錯覚は、より深い理解の妨げになることが多いのだそうです。

なお、この「ファインマンテクニック」はいくつかの異なるバージョンがあり、本書ではそのパターンごとに応用法が指南されていますから、こちらもお見逃しなく。


◆それにしても、上記のポイント部分だけでもこの濃さですから、本書全体で見ていったら、どれだけのことになったやら。

もちろん、下記の関連記事でレビューした作品ともかぶる部分はありますが、本書はそれら作品と比較しても、質・量ともに屈指のものだと思います。

また、今回実際にウルトラ・ラーナーたちが成し遂げた偉業については全然触れられなかったのですが、皆、半端ありません。

特に著者のヤングが、「実験台」としてスピーチを習得させた人物は、数か月で「世界選手権」でトップ10になり、その後スピーチの会社を作ったりしています。

他の成功者たちも、元からの才能もあったかもしれませんが、それを差し引いたとしても、スキル習得のメソッド本として本書が優れているのは間違いないところ。


これはオススメせざるを得ません!

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ULTRA LEARNING 超・自習法 どんなスキルでも最速で習得できる9つのメソッド
第1章 MITに行かずにMITの学生より短期間で学ぶ
第2章 ウルトラ・ラーニングが「あなたの価値」を高める
第3章 ウルトラ・ラーナーになるには?
第4章 原則1 メタ学習――最初に地図を描く
第5章 原則2 集中――ナイフを研ぎ澄ます
第6章 原則3 直接性――一直線に進む
第7章 原則4 基礎練習――弱点を突く
第8章 原則5 回想――学ぶためにテストする
第9章 原則6 フィードバック――パンチから逃げない
第10章 原則7 保持――穴の開いたバケツに水を入れない
第11章 原則8 直感――構築を始めるまえに深掘りする
第12章 原則9 実験――安全地帯の外に出て探求する
第13章 最初のウルトラ・ラーニング・プロジェクト


【関連記事】

【超速スキル獲得法?】『たいていのことは20時間で習得できる』ジョシュ・カウフマン(2014年09月22日)

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これは凄い!『上達の技術』を便利にする7つのツール(2011年04月24日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

当ブログでもレビュー済みのデータ分析本は、中古よりもKindle版の方が数十円お得。

参考記事:【因果関係?】『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』伊藤公一朗(2017年07月16日)

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