2020年02月29日
【知的生産術】『世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール』ムーギー・キム

世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の中でも、大人気だった知的生産術本。タイトルからして、てっきりコミュニケーション術本かと思いきや、ムーギーさん流の「インプット&アウトプット術」を指南してくれている、ありがたい1冊でした!
アマゾンの内容紹介から一部引用。
もともとは文章下手・口下手・会話下手だった著者が、世界中のプロフェッショナル・ファームで働き、失敗を重ねて体得した、誰にでも簡単に真似できる「世界最高水準のコミュ力の基本」とは?
本書の「文章」「プレゼン」「会話」「質問」「情報収集」の5つの章を読めば、努力を成果に直結させる、「究極のアウトプット術」を楽しく体得できる!
なお、昨夜ツイートしたように、上記の棚卸記事の時点ではなかったKindle版が「15%OFF」にて配信されましたので、こちらもぜひご検討ください!

Input, Output and Mediums (Media) / Dan Zen
【ポイント】
■1.需要が高い文章の3大ポイント需要を大きくする第一の要素は、時事性の有無だ。前述の私の連載「グローバルエリートは見た!」だが、この連載が何千万PVと読まれた理由は、「読まれるトピックの時事性」が大きかった。
なにせ出したコラムをすぐ掲載してくれる態勢を敷いてくれていたので、それこそ滝川クリステルさんの「おもてなしスピーチ」など、その時々で話題になっている「需要の大きなトピック」に関し、需要が大きな間に読んでもらえたというのが、大ヒットの大きな要因の1つであった。
第二に需要を大きくする要素が、「誰にでも当てはまる、自分ごとトピック」である。たとえば、自著『最強の働き方』は6カ国語で展開されたため、おかげさまで日本からだけでなく韓国、中国、タイやマレーシアなどさまざまな国からお便りをいただく。
国や言葉は違えど、仕事で重要な本質は同じなので、普遍的なテーマで書けばそれだけ、「自分ごと」として読んでくれる人が増えるのだ。(中略)
第三の需要を大きくする要素が、意外なことに「わかりきった当たり前のことを書いて、共感を誘う」ことだ。これは私が尊敬する敏腕編集者の中里有吾氏に言われて半信半疑だったのだが、あまり執筆内容を高度にすると「自分の世界と違う」と思われて、大多数の人は離れていってしまうというのだ。
■2.相手の「自分ごと」に伝えたいメッセージを結びつける
プレゼンを聴いた受け手に「自分ごと」だと思ってもらうために第一に重要なのは、「相手のニーズを自分は理解している」ということを、先方に示すことだ。(中略)
某大手グローバル企業の取締役会で、世界中の支社のCFO(最高財務責任者)が集う場でプレゼンを行うことになったときは、親交のあったその企業の有力者の1人と連絡を取り、入念にミーティングを重ねた。
そこで、経営陣が関心を持っているトピックはどんなことなのか、そこにどんな価値や課題を感じているのか、社内ではどんな議論が行われているかなどをヒアリングしたうえで準備をした。
そしてプレゼンの当日には、「皆さんがこのトピックについて関心があることはわかっています。私はこれから、そのために役立つ情報をお話ししますよ」ということを、冒頭で話した。最初にこう聞いたオーディエンスは、自分たちのニーズを把握してくれているんだなと安心し、前のめりで耳を傾けてくれる。
■3.信頼関係を強化する断り方とは?
「断り方の達人」として尊敬している日本人ビジネスパートナーの話を紹介しよう。
仕事の提案を断るのは誰しもがバツが悪いものだが、彼は常に断るときに、いかに魅力的な提案に感謝しているかと、今後も諸々連携させてほしいと丁寧に書き加えつつ、明確に断るのだ。
本当は単に、当方の提案に興味が無かったからなのだろう。しかし、ことさら謙虚に出てくるので、こちらとしても「断られたんだけど、無料で陰に陽に支援してあげなければ」と思わせる「断り方」なのである。
これは、短期的にビジネスにならないからと無下に無礼な断り方をして恨みを買い、陰に陽に足を引っ張られる人との大きな違いである。
何かを断るときも、信頼関係を強化する御作法があるのだ。
■4.共感力で「心理的安全地帯」を築く
効果的なコーチングのために第一に重要なのは、相手を理解して孤独を和らげてあげることだ。
私は先日、コーチング業界のリーディングカンパニーの社長にお目にかかる機会があった。彼は、コーチングは実は答えを教えるわけではなく、ひたすら傾聴して相手を理解し、相手の孤独を和らげるだけでも価値があるとおっしゃっていた。この傾聴の威力は、まさに傾聴に値する。(中略)
効果的なコーチングのために第二に重要なのは、何を話しても大丈夫という安心感である。私自身が受けたいくつかのコーチングの経験から申し上げるが、良いコーチは信頼を受け、何でも話してもらえる関係を構築できる。いわゆる「心理的安全地帯」を築くことができるものである。(中略)
そして第三に重要なのが傾聴しているときに相手を判断しないということだ。業界用語でNon-Judgmentalというのだが、判断されたり口出しされたりすること自体が相手のストレスになり、相手を傷つけてしまうケースが非常に多いのだ。
■5.メディアリテラシーを磨く6大絶対ルール
【絶対ルール1】媒体のステークホルダーと支持者を分析しよう
【絶対ルール2】著名人による、「わかりやすく面白い説明」に要注意
【絶対ルール3】「専門家」「法的根拠」「科学的根拠」にだまされてはいけない
【絶対ルール4】「レビュー」や「炎上」を真に受けてはならない
【絶対ルール5】「愚かな一貫性」の危険さに気づこう
【絶対ルール6】自分自身の「内集団バイアス」を疑おう
(詳細は本書を)
【感想】
◆タイトルを見て、「ルールが33というのは、ちょっと少ないな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ところがどっこい、確かに各「章」ごとの下の「節」にあたる「ルール」は「33」にすぎませんが、それぞれの「ルール」ごとに、「TIPS」が最低でも3つ(大抵3つでした)、多ければ7つほど本書には収録されています。
たとえば上記ポイントの1番目なら、「ルール」は「需要が高い文章の3大ポイント」であり、その下に3つ「TIPS」がある次第。
つまり、最低でも33×3=99のTIPSがあるわけです。
もちろん、3つ以上「TIPS」がある「ルール」もそこそこありましたから、100じゃ済みませんし、むしろTIPS数としてはかなり多い方かと。
そしてそれらが、無駄なく書かれています(著者のムーギーさんいわく「"大したことない名言"を大きな文字で1ページフルに使って、安易にページ数を稼いだりする不誠実な本とは、一線を画している」とのこと)から、ページ数の割には、非常に中身が濃いものとなっています。
◆また、冒頭でも触れたように、本書のテーマは「インプットとアウトプット」という、まさに当ブログでも鉄板な人気のもの。
個々に見ていくと、まず第1章が「文章術」であり、ここからは上記ポイントの1番目を抜き出してみました。
必ずしも、ビジネス文書に使えるとは限りませんが、セールスレターやリード文、さらには普通のブログなりSNSでの文章で意識したいところです。
なお、割愛したルール「質の高い文章は徹底的な削減から生まれる」の中に
本書のように33の教訓を書くのであれば、まず「現時点で最もつまらない3つのコラム」を選ぶ。次にそれらを「最も面白い3コラム」に改善する作業を、延々と繰り返すのだ。とあって、それは中身も濃くなるな、と。
◆続く第2章のテーマは「プレゼン」なのですが、これはムーギーさんが大得意とすることらしく。
逸話がなかなか面白かったのですが、逆にそのような「大ウケ」を素人が目指すのは危険でしょう。
そこで意識したいのが、上記ポイントの2番目に挙げた「相手の『自分ごと』に伝えたいメッセージを結びつける」というTIPSです。
このときはグローバルオフィスの幹部が集まる取締役会でのプレゼンだったが、相手の関心事を把握して、付加価値がある情報を届けたいという配慮は、どのようなオーディエンスにも伝わるものである。プレゼンというと、スライド作成や話し方を意識したくなりますが、こういう本質的な部分にも気を付けなくては。
また、第3章の「会話」から抜き出したTIPSが、上記ポイントの3番目の「信頼関係を強化する断り方」。
ポイントの2番目同様、「ルール」の中の1つの「TIPS」にすぎないのですが、こちらも類書ではあまり見たことがないので、今回選んでみました。
「災い転じて福となす」じゃないですが、実践できたら、これはかなり大きいと思います。
◆さて、ここまでが第1部の「アウトプット編」であり、以降の第2部では「インプット編」として2つの章が登場。
まず第4章の「質問力」からは、上記ポイントの4番目の「傾聴」のお話を引用しています。
こうしたコーチングのスキルを身につけることで、より相手からの信頼を得られるワケですから、日頃から意識したいもの。
ただし、講演やセミナー等で適切な質問をしたい方なら、今回は割愛したルールである「大勢の前での質問で恥をかかないための5大ポイント」は必読!
よく、自分を売り込むための「質問ではない質問」をする人や、「何が聞きたいのか分からない質問」をする人がいますが、こういう人には声に出して読んで欲しいくらいです。
◆さらに最後の第5章では、今まさにコロナウィルスで錯綜する情報を取捨選択するために必要な「インテリジェンス戦略」について言及。
ここはもう、ルールを列挙してしまいましたが、個々のルールを見ただけでピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回のコロナウィルス以前からも、嫌韓問題や、政権に対する忖度等々、メディアの情報を鵜呑みにすることは大変危険なことは、皆さんご存知……だと思うのですが、逆に鵜呑みにしてるような方が、本書を読むことはまずないんでしょうねー。
なお、割愛した中で興味深かったのが、「30対1の法則」なるもので、これは表に出てくるネガティブが1だとしたら、その陰には30のファンがいる、ということ。
ちなみに過去の著作の絡みで、ムーギーさんにはアンチが粘着しており、アマゾンレビューにも低評価をしているとのことなのですが、彼らのその他のレビューを見ると、「コピペが問題となった某ベストセラー作家」の作品のファンが多いとのこと。
もし本書に低評価がもしついたあかつきには、確認してみても面白いかもしれませんね。
テーマ的にも内容的にも、当ブログとしてはオススメの1冊!

世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール
【アウトプット編―文章・プレゼン・会話を磨いて発信力を高める】
第1章 文章の絶対ルール
第2章 プレゼンの絶対ルール
第3章 会話の絶対ルール
【インプット編―受信力を磨き、アウトプットの質を高める】
第4章 発信力を伸ばす、質問力の絶対ルール
第5章 確かな情報を手に入れるインテリジェンス戦略
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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