2020年02月10日
【情報収集】『エビデンス仕事術 一発OK!をもらえる人の』光成 章
エビデンス仕事術 一発OK!をもらえる人の
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ビジネス書フェア」の中でも人気の仕事術本。当ブログでもよく「エビデンスベース」といったフレーズを使っている以上、本書は見逃すわけにはいきませんでした。
アマゾンの内容紹介から。
「グーグル・スカラー」で世界の科学論文に瞬間アクセス。シャネル・リーバイスで30年活躍したリサーチディレクター直伝。プレゼン・資料作成・報告・会議に効く、反論されない情報収集のショートカット54。
送料をプラスした中古よりも、Kindle版が400円強、お得な計算です!
researching / jimmiehomeschoolmom
【ポイント】
■1.「事実」と「解釈」・「感想」は分けて記録する先の、隣店レポートの例に立ち返りましょう。
あなたの目には、若い男性来店客が多いと映ったとします。
この時、記録に残すべき言葉は、・若い男性が多いのうち、どちらでしょうか。
・若い男性が多いと感じる
例えば絶対数として女性より男性の方が多く、男性の中でも年配の人より若い人が多いなら、前者でいいでしょう。
一方で、あなたの頭の中で「こういうところに来るのは女性中心のはずなのに、意外に若い男性も結構いる」という解釈を無意識にしていたとしたら、正しい記録の残し方は、後者になります。
集めたデータや情報を整理し、それに基づくストーリーを作って相手を説得しようとする場合、あなたに求められるのは、集められたそれぞれの材料を客観的に整理し使いこなすことです。この情報には、集めた人の(プロとしての) 経験に基づく主観と視点が入っていることを、あなたが正しく=客観的に把握し、その上で、エビデンスとして活用していることを相手に示せばいいのです。
■2.まず情報を絞り込む
第2章の大きな流れとしては、2段階あります。1.玉石混淆の情報の中からの絞り込みざっくりいえば、1では情報の深掘り、2では情報の発散・発展を目指します。
2.「検索」範囲の拡大
ここで、「おや?」と思った人もいるかもしれません。実際、直感的には、最初に様々な情報を仕入れた上で、次にそれを深掘りしていくほうが正しいように思えます。
しかし、最初から発想を広げる方向で情報収集をしてしまうと、それこそただのネットサーフィンになってしまい、有限な時間の中で有用な情報を見つけることができなくなってしまいます。(中略)
目的を曖昧にしたままエビデンスの収集作業を開始しても、使える情報が見つからない理由には2つあります。・探しに行く場所が違う最初の段階でこそ、目的にフォーカスした深い情報を脇目も振らず一直線に取りに行くことで、右のようなムダを省き、効率的に情報収集ができるのです。
・出会っているのにそれに気づかず見逃してしまっている
そして、その上で2つ目のステップである「検索範囲の拡大」に入ります。
■3.まずはインタビューから始めよ
一次情報のとり方には、大きく分けてインタビューとアンケートの2種類がありますが、どちらから先に行うべきなのでしょうか?
結論から言えば、まずインタビュー、その次にアンケートという順番をお勧めします。(中略)
アンケート調査は、できあがった質問票を相手に届け、それに相手が書き込んでくれるということで進みますから、右記の専門家インタビューの例のように、こちらのある質問に対する相手の話(答え) を知って、その場で思い浮かんだ関連質問を投げかけるというようなことはできません。そう考えると、何かアイディアを求めている時に取るべき「取材方法」は、アンケートよりもインタビューの方がより有効だということがわかっていただけると思います。
さて、数字でわかりやすく結果を見るには、あらかじめ回答の選択肢を用意しておくことも必須です。精査した回答の選択肢を用意できない段階でアンケートは行ってはいけないのです。 「アンケートは最初に行うものではない」のは、実は、行うには準備が足りないからなのです。
■4.文章は筋肉質に書く
エビデンスを示す際、書き言葉にせよ話し言葉にせよ、文章の役割はほぼ補助です。情報の中身に力があれば、それを説明する言葉は、短ければ短いほど良いと考えます。何らかの説明をする際には、できるだけ贅肉を削ぎ落とした「筋肉質な文章」を目指してください。
例えば、形容詞や副詞の多用は、かえって本質を弱めてしまうことがあります。
理想としては、一文一要素の短文が、箇条書きのように用意され、それを並べた際、流れが明快になることです。そうすると接続詞すら不要になります。正しい順番でエビデンスを並べさえすればいいのです。AだからB、BだからC、と素直に流れていくのがエビデンスの説明の目標です。(中略)
あなたが部長に用意したエビデンスとその説明を使って、その部長がさらに上の社長に報告をするというようなことはよくあるでしょう。
その際、余計なものが削ぎ落とされた説明が用意されていれば、人づてのプレゼンになっても、情報に抜けや漏れ、誤解が生じにくく、説得力が保持されるのです。
■5.知っている人を増やす
人の知識が増えるスピードは、その時に持ち合わせている世界への接点の数に比例するものだと思います。そしてその接点の最たるものは、やはり他の人との交友関係です。「人を知っている」ということは、それだけでたくさんの知る機会を得られるということです。
例えば、よく知らないモノでも、仲のいい知り合いからの話であれば、その人への信頼や安心も手伝い、話を聞こうとするでしょう。
私はそうした理由から、独立をきっかけに「知らない人」をできるだけ多く「知っている人」に変えることを目標に置き、活動してきました。「知っている人」の話は聞くからです。それが少なからず独立後の仕事にいい影響をもたらしてきました。
どんなに面白いモノがあっても、それ自体の存在を知る機会がなければ、それと出会うことはありません。知る機会を与えてくれるものというのはとても重要なのです。
「どうも勉強する気が起きない、以前よりも知りたい気持ちが衰えてしまった気がする」、そんな時はせめて、知る機会だけは増やす努力をしてください。自分で自分を「閉じない」ことが大切です。
そしてその一番の方法が、知っている人を増やすことなのです。
【感想】
◆少々引用ボリュームが多めになってしまいましたがお許しを。さて本書はそのタイトルから、てっきり「いかにエビデンスを用いて説得力のある資料を作る」的なものを予想したのですが、むしろその「エビデンスを探す」ところからスタートしていました。
そこでまず第1章では「ムダのない情報収集プランを立てる」ということで、情報収集についての検討が。
上記ポイントの1番目もこの第1章からなのですが、初っ端で「隣店のレポート」とあるのは、前段で、アパレルショップの店長である「私」が、キャンペーンを打って行列ができた「隣店」を観察して書いたものになります。
「感想」を書いてはいけないワケではなくて、必要に応じて使い分けるということ。
なお、このようなレポートで具体的に何をどのように書くかについては、本書にてご確認ください。
◆続く第2章は「Web検索・書籍リサーチ」がテーマ。
冒頭の内容紹介にある「グーグル・スカラー」の使い方を初めとして、ググり方のイロハ(期間指定等)を懇切丁寧に教えてくれています。
ただ、この辺は他の「検索本」や「Googleの使い方本」でも触れられているでしょうから、今回は割愛。
それよりも上記ポイントの2番目の情報収集の手順が参考になりました。
俗に「"Garbage in, garbage out."(ゴミを入れれば、ゴミが吐き出される)」という概念がありますが、まさにこれと同じことなのだそう。
実際私も、「絞り込み」と「範囲の拡大」でしたら、後者が先だと思っていたクチですから、意識したいと思います。
◆第2章が「二次情報」のお話だとすると、第3章はいよいよ「一次情報」について。
具体的には、取材(インタビュー)とアンケートがテーマとなります。
今のようにネットが発達すると、二次情報だけで何でも知った気になれますけど、情報の純度としては一次情報の方が上。
そこで実際にインタビューとアンケートを行う場合、どちらから先に行うかというと、上記ポイントの3番目にあるようにインタビューが先になります。
……正直これも、アンケートを先にやった方が良いかと思ったのですが、またハズレですよ(涙目)。
この第3章では、インタビューとアンケートのやり方について、かなり詳細に解説がされていますから、実際になさる方なら一読をオススメ。
特にインタビューについては、経験のない方がほとんどでしょうから、ぜひここはチェックしておいてください。
◆こういった「情報収集」によって集められたネタを、まとめていくのが本書の第4章のテーマ。
KJ法で整理し、グラフ化、図解化、チャート化していきます。
そしてテキストについては、上記ポイントの4番目で指摘しているように、「贅肉を削ぎ落して書け」とのこと。
さらには最後の第5章では、エビデンスがうまく使いこなせるようになるための、日頃の習慣についてのアドバイスが。
課題を意識したり、学びにお金をかけることはもちろんのこと、上記ポイントの5番目にあるように、「知っている人を増やす」のも大切なのだそうです。
……色々な面で、私もまだ足りない点が多々あると気づかされました。
情報収集のレベルがワンランク上がる1冊です!
エビデンス仕事術 一発OK!をもらえる人の
序章 エビデンスで説得力は倍増する
第1章 ムダのない情報収集プランを立てる
第2章 素早く信頼できる情報をつかむWeb検索・書籍リサーチ
第3章 世界であなたしか知らない情報を身につける取材・アンケート
第4章 相手を納得させるための情報整理・プレゼンテーション
第5章 アイディアの引き出しを増やす日常の習慣
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【編集後記】
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まずこの第1巻は、送料を足した中古よりもKindle版が600円弱お得。
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【編集後記2】
◆昨日の「ビジネス書フェア」追加分の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。「人生の勝率」の高め方 成功を約束する「選択」のレッスン
参考記事:【オススメ!】『「人生の勝率」の高め方 成功を約束する「選択」のレッスン』土井英司(2019年09月15日)
なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか
理系の書道家が科学の視点で考えた、誰でも字がうまくなるすごい方法
ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。
宜しければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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