2020年01月26日
【リストHACKS?】『仕事と自分を変える 「リスト」の魔法』堀 正岳

仕事と自分を変える 「リスト」の魔法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でもベスト3に入る人気だった作品。ブログ「Lifehacking.jp」でおなじみである、堀 正岳さんの「リスト」をテーマにした久々の新作です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
1行 書くたび、ラクになる――「箇条書き」メソッド!
誰もが意識しないほど簡単で基本的なツールだからこそ、「リスト」は、誰にでも使うことができ、その恩恵には限りがありません。
そして、簡単に実践できるのに、これまでできなかったことを可能にして、いままでできていたことをより高いレベルで可能にする――。
そんな魔法のような力がリストにはあるのです。
Kindle版も、一昨日、単行本と同日に発売されております!

Grocery shopping list / the Italian voice
【ポイント】
■1.スッキリ化とハッキリ化大きくまとめると、箇条書きのリストにはこのように、「スッキリ化」「ハッキリ化」と表現できる力があります。・スッキリ化:頭の中の心配事をリストにすることで不安が和らぎ、心理的にラクになれる効果みなさんは、周囲からやってくる日々の要求に疲れてしまい、どうにかしてやるべきこととそうでないものを区別して余裕を生み出したいと思っていないでしょうか? そういう人には、リストのスッキリ化の力が助けになるはずです。
・ハッキリ化:頭の中の思考をリストにすることで考えを具体的な言葉で整理し、記憶しきれないディテールも逃さないことで得られる効果
自分の仕事に対する段取りや、情報を整理する能力に悩みをもっている人、与えられた情報の中から考察を引き出し、新しい発想をしたいと思っている人には、リストのもっているハッキリ化の力が助けてくれます。
■2.リストの中にリストを作る「字下げ」の意味
たとえば仕事でとある人に連絡をしなければいけない状況を、リストで表現したとします。思いついたままに項目を書くと、次のような状態になっているかもしれません。・Aさんの件について対処するしかしこれでは、あとで読み返した際に混乱してしまいます。「対処する」とはどういうことでしょうか? メールをすれば「対処」は終わるのでしょうか? 実際には、
・Aさんにメールをする・Aさんの一件についてといったように組み直すほうがわかりやすいでしょう。「Aさんの一件」というまとまりの中に子どもの項目として担当者向けのアクションと、Aさん向けのアクションが切り分けられ、仕事の流れが明らかになっています。論理的に項目を分けることによって、時間も違う、相手も違う2つの項目であることが判明したわけです。
– 障害報告を担当から受け取って読んでおく
– Aさんに今回の件について説明するメールを書く
このように論理的に項目を切り分けてゆくことを、リアルタイムに実行していかなければいけないのが、リストを書く際に最も思考の訓練になる部分です。
■3.「1-3-5リスト」でタスクを整理する
こうした整理方法の1つの目安に、1-3-5リストと呼ばれるものがあります。
毎日のやることリストを作る際に、必ずやらなければいけない重要なタスクを1つ、可能ならば実行したいタスクを3つ、必ずしも重要ではないタスクを5つ書き、それ以外のものには手を付けてはいけないというルールです。1-3-5という構成にはそれほど意味がありません。1-2-3リストにしてもいいですし、1-1-2リストにしてもかまいません。
雑用に近いタスクの数が5や、3といったように多めに設定されていますが、この回数分(5回や、3回)だけは最重要のタスクと向き合うのに失敗してもリカバリーできるように逃げ道を作っている、と考えてください。最重要のタスクに取り掛かる気持ちになれず、先送りしそうになった場合には3のタスクを、それさえも先送りしそうになったら5のタスクを実行するといったように、自分に心理的な安全ネットを作っておくのです。
逆に最も重要なタスクだけは、1つのままにしておくのが正解です。1日に1つずつ、最も重要なタスクが進むだけでも大きな進歩が得られるはずです。
■4.構造化文書の手法で長文を執筆する
構造化文書の考え方ではいきなり文章を書くのではなく、最初に書きたいと思っている内容の構造を決めて、それに合わせて執筆を行います。たとえば報告書の大まかな構造は次のようなリストで表現できるかもしれません。・プロジェクト成果報告書文章の流れが完成し、内容も矛盾なく並んでいることが確認できたら、リストの構造に肉付けをしていきます。たとえば段落に相当する項目を膨らませて数百字で執筆していき、並べてゆくだけでしだいに目的としている文章が姿を現します。
– 1章:はじめに
– 2章:プロジェクトの主な成果
– 3章:明らかになった課題と今後の展開
– 4章:結論 (中略)
これはちょうど、本の内容をリストに構造化して書き出したのと逆のプロセスをたどっていることに相当します。
もっと極端にこの手法を推し進めて、それぞれの項目が1ツイート=140字程度になるところまで細かく細分化することもできます。そこまで分解できれば、たとえば1万字の文章も70〜100個ほどのツイートから作ることも可能なのです。
■5.バケツリストで「死ぬまでに叶えたい夢」をすべて列挙する
英語ではこうした「生涯の夢を書いたリスト」のことをバケツリストと呼びます。これは死ぬことを指す慣用句の「kick the bucket(バケツを蹴る)」にリストという言葉を付け加えて、「死ぬまでに行うことを書いたリスト」を指した表現です。
この言葉の誕生は意外に最近で、2007年に上映されたジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演の映画のタイトル『The Bucket List(邦題『最高の人生の見つけ方』)』から来ています。余命半年の肺がんの診断を受けた2人の男が、人生でやり残したことを書いた1つのリストをもとにして最後の旅に出るという粗筋のドラマです。
バケツリストの良いところは、達成するのが難しく、何年もかかるライフワークのようなものよりも、むしろ今まで先送りにしていただけで、やろうと思えばすぐに実行に移すことができるものを列挙しているところです。もちろん、ライフワークのような巨大な夢を書くのも自由ですが、それを細かく分解することで夢の実現にはずみをつけることができます。
【感想】
◆予想していたよりも濃厚な内容の1冊でした。そもそもリストなんて、フツウに箇条書きするだけやん?……と思った自分が浅はかでしたよ。
まず本書で「なるほど!」と思ったのが、第1章から抜き出した「リストのスッキリ化とハッキリ化」というお話。
確かにモヤモヤした悩みや気になることを、リスト化するとスッキリするというのは、私にも経験があります。
具体的には、本書の第4章にて紹介されている「ブレインダンプ」がおなじみですね。
また、リスト化することによって、思考が整理されてハッキリする、というのも良く言われていることでしょう。
◆それを踏まえて「じゃあ、リストはどう書くの?」というのが本書の第2章。
ここで押さえておきたいのが、上記ポイントの2番目にある「字下げ」です。
これはWordで言うところのアウトライン機能なのですが、良く使うToDoリストでも、「字下げ」するというアイデアが私は今までありませんでした(恥)。
他にもこの第2章では、リストに最適な手帳やノート、さらにはデジタルツールなども紹介されています。
……文具オタクの私ですが、この2つは存じませんでした。

デルフォニックス ロルバーン ポケット付メモ [ポケット付き/切離しミシン目付き] (横203×縦260×厚み17mm/XLサイズ) メタリック XLサイズ シルバー NRP17-SV

ロイヒトトゥルム ノート A5 方眼 ブラック 315928 正規輸入品
どちらも方眼用紙であり、リストを書くのに適している模様。
◆続く第3章では「仕事をラクにするリストの使い方」と題して、ビジネスシーンでのリストの活用法が紹介されています。
上記ポイントの3番目の「1-3-5リスト」も、この第3章からのもの。
また、同じ第3章では、堀さんが仕事で出会った研究者の方が使っていたという、「今やっていることに集中するリスト」が気になりました。
どんなものなのか簡単に言うと、まず紙を縦にして真ん中に左右に分ける線を引き、その左側にタスクを、途中で割り込んできた作業や、タスク処理中に発生した作業作業を右側に記入します。
そして、右側に追加した作業には目もくれずに、ひたすら左側のタスクをやりとげる次第。
……なるほど、これは生産性も高そうです。
◆一方第4章の「心配事から開放してくれるリスト」では、上述したように「ブレインダンプ」のやり方が紹介されています。
長くなるので、詳しくは本書にてご確認いただきたいのですが、2回目以降の「ブレインダンプ」をやりやすくするための「トリガーリスト」というのは、初めて知りました。
また「心配事から開放してくれる」という意味で忘れてはならないのが、チェックリストです。
本書では当ブログではご紹介済みである、この本も登場していました。

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】
参考記事:マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)
なお、今は亡き「ホッテントリメーカー」で記事タイトルを作ったおかげか、上記記事はブクマ500超でホッテントリ入りしていますから、未読の方はぜひご確認ください。
◆すいません、このペースで見ていくと、とんでもない量になってしまいますので、以降やや軽めに。
まず第5章から抜き出した、上記ポイントの4番目の「構造化文書の手法」は、そこでも触れているように、第2章に収録されている「本の内容をリスト化する」作業の逆を行っている、というのが興味深かったです。
つまり「本⇒リスト」から、逆に「リスト⇒本」もできるということ。
また、第6章の章題でもある「自分をより深く知るためのリスト」としては、「自分だけのトップ10リストを作る」というTIPSをぜひ試していただきたいところ。
ちなみに本書では、昨年夏に話題となったという、こちらが紹介されていましたが……。
#名刺代わりの小説10選 - Twitter検索 / Twitter
何も本でなければならないわけではなく、私自身、こんな記事を書いております(7つですが)。
【音ネタ】二児の父の「元クラバー」が涙ながらに薦める美メロ7選
◆そして最後の第7章からは、上記ポイントの5番目の「バケツリスト」をご紹介。
そこに出てくる映画はこちらになります。

最高の人生の見つけ方 [Blu-ray]
アマゾンレビューが1120個で、その平均が「4.5」というのはなかなかスゴイな、と(「殿堂入りNo.1レビュアー」も星5つ付けてますね)。
最近、「100日後に死ぬワニ」が話題となっていますが、やりたいことをリストにして、どんどんクリアしていかないと、いざ、という時に後悔するかも。
リスト形式ではありませんでしたが、以前読んだこちらの本でも、それを強く感じました。

死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33
参考記事:【死生観?】『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』大津秀一(2018年02月18日)
これはオススメせざるを得ません!

仕事と自分を変える 「リスト」の魔法
はじめに リストの中で生きよう
第1章 「スッキリスト」と「ハッキリスト」
第2章 基本のリストの作り方
第3章 仕事をラクにするリストの使い方
第4章 心配事から開放してくれるリスト
第5章 思考と記憶を拡張するリスト
第6章 自分をより深く知るためのリスト
第7章 夢を叶えるためのリスト
【関連記事】
【TIPS満載!】『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』堀 正岳(2017年12月03日)【箇条書き】『超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術』杉野幹人(2016年06月20日)
マッキンゼーが選んだ『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の10個の原則(2011年06月23日)
【整理術】「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」デビッド・アレン (著)田口 元(監修)(2009年01月26日)
【死生観?】『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33』大津秀一(2018年02月18日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
セイバーメトリクスの落とし穴〜マネー・ボールを超える野球論〜 (光文社新書)
ダルビッシュ有選手も認めるお股ニキさん衝撃のデビュー作は、まだ中古が高くて、Kindle版が実質500円弱お得。

日本語と論理 哲学者、その謎に挑む (NHK出版新書)
◆「日本語と論理」という、およそお互い縁遠そうなテーマの作品は、Kindle版が400円弱お得な計算です。
【編集後記2】
◆昨日の「心が楽になる本セール」で人気があったのは、この辺の作品でした(順不同)。
こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま
参考記事:【心の汚れ?】『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』草薙龍瞬(2019年12月09日)

離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本

恐れない技術 (SB文庫)

群れない生き方 (SB文庫)
参考記事:【孤独?】『群れない生き方』桜井章一(2018年01月26日)
宜しければご参考まで!

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