2020年01月18日
【モチベーション】『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』鈴木颯人
モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「武器になる仕事術フェア」からの1冊。著者の鈴木颯人さんは、メンタルコーチとして多くのアスリートやビジネスパーソンが成果を上げるのに貢献されてきた方です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
どのアスリートも、最初から輝かしい成績を残していたわけではない。むしろ、逆だ。
「一度は自己ベストを出していたけれど、ここ数年調子が出ない」「プロに行けるかどうかすらあやしい」「ケガで競技をやめようかどうか迷っている」
結果がなかなか出ず、モチベーションが不安定な状態からスタートしている人がほとんどなのだ。
そんな人々が本来の能力を発揮し、「不可能」ともいわれた結果を手に入れるよう導くノウハウは、部下・後輩指導に苦戦するビジネスパーソンにも非常に有効。
5つのステップで、自ら動ける部下が育つ!
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Motivation / inkjetprinter
【ポイント】
■1.「名前を呼ぶ」だけでも重要感は満たされるある大学の野球部に呼ばれてセミナーを行なったことがあるのですが、そのとき私はあらかじめ、40〜50人いる選手の名前と顔を覚えてから登壇しました。
そしてセミナーの最中に「このことについて何か意見がある人はいますか?」と呼びかけたところ、ある選手が手を挙げたので「はい、ではAさん」と名前を呼びました。その瞬間、それまでふんぞり返るような姿勢で椅子に座っていたAさんが、さっと姿勢を正して、それ以降はそのままの姿勢で話を聞き続けてくれました。
しかもセミナーが終わった後「なんで私の名前を知っていたの?」とわざわざやって来てくれたのです。これをきっかけに、初対面でも一気に心を開いてくれる様子が見てとれました。
相手の名前を呼ぶことで、誰もが持っている心理的なニーズの1つ「重要感」を満たすことができます。名前を呼ばれるとうれしい気持ちになるというのは、この「重要感」が満たされるからなのです。
■2.結果よりも努力の過程を褒める
私の場合、先日自己ベストを更新した選手に対し、次のように伝えました。
「すばらしいですね! おめでとうございます。とうとう自分の壁を超えましたね。きっと何度もあきらめようと思ったことがあったと思いますが、それにめげずに自分を信じて努力し続けたからこそ得られた結果ですね。今回の結果でさらに自信が持てそうですね。本当におめでとうございます!」
このように、先ほどの実験と同じく、努力の過程を強調して褒めるようにします。
では仮に、結果が出なかった場合は、どのように伝えると良いのでしょうか。
「結果は思うようにならなかったけれど、◯◯◯◯のようなチャレンジをしていましたね。そのような頑張りは、間違いなく次につながります。とても良い経験だったと思いますよ」
結果が出なかった場合にも、このように過程をクローズアップするようにします。
頑張りや努力の過程を褒めると、褒められた相手はどのような結果であれ、前向きな気持ちになります。自然とモチベーションも引き出されるでしょう。
■3.外発的動機を内発的動機に変える方法
私がよく使っているのは、「ありがとうベスト100」です。
これは、今まさに感謝している人、あるいは結果を出したときに感謝を伝えたい人の名前を100人書き出してもらうというものです。
この「100人」というのがポイントです。
ふだん、周囲からの期待など、外的要因を動機に頑張っている人は、自分の本心で頑張っているわけではないので、どうしても愚痴や不満が出てきやすい傾向にあります。そんな状況を変えるには、プラスの気持ちを持ってもらうのが効果的。愚痴や不満の代わりに、感謝の気持ちをアウトプットしてもらうというわけです。
5人や10人程度書いてもらうだけでは何も変わりませんが、100人を目標に書いてもらうことで効果が感じられます。
もう1つ、「未来の自分への手紙」も効果的です。結果を出したときの自分に宛てて手紙を書くことで、内にあるモチベーションを喚起することができます。
■4.「ポジティブアスキング」で「今できる方法」を考えだす
たとえば、メンバーがプレッシャーを感じる場面で、単に「あなたはできる」「勝てる」と思わせるだけでは、結果につながりません。必要なのは、勝つための「具体的な方法」であり、「やり方」です。
そこで具体的には、
「どうすれば良いパフォーマンスが引き出せると思う?」
「どうすれば楽しんで結果を出せるようになると思う?」
などと相手に問いかけます。
たとえば、プレゼンの資料作成の締切が12時までなのに、今11時30分だとしましょう。ここで、「きっと12時に間に合うはずだ」「自分にはできるはず」「ネバーギブアップ」と鼓舞したところで、締切に間に合うかどうかはあやしいものです。
本当に大事なのは「12時に間に合わせるためにはどうすればいいか」を考えさせること。具体的な「手段」「方法」「やり方」を考えさせることがポイントです。精神論だけではたどり着けない解決策が得られます。
■5.目標を設定したら、定期的に声をかける
ここまで、モチベーションを持続させる方法についてお伝えしてきましたが、リーダーのみなさんにはぜひ、メンバーと目標を設定したら、定期的に時間を設けて声をかけてほしいと思います。
「あれからどんな変化がありましたか?」という一言で十分です。そこで困っていることがあれば相手から相談してくるでしょうし、行動を起こしていない人は起こしていないなりに、話をするはずです。(中略)
仮に進んでいなかったり、できていなかったりしても、責めるようなことは言わないようにします。「できない」ことが問題なのではなく、「できない理由」を抱えている場合がほとんどだからです。
できない理由としては、すでにご紹介したように、小さな一歩のハードルが高すぎたり、何か他に心理的な悩みを抱えていることなどが挙げられます。
そのようなときには、「それができるようになったらどう感じると思いますか?」と問いかけて、できた後の姿をイメージしてもらうと、状況が改善します。
【感想】
◆なかなか正攻法といいますか、「王道」チックな内容でした。まず本書は、「はじめに」に続く「PRE STEP」の章で、リーダーの心構えについて指南。
モチベーションと直接関係ないので割愛してしまったのですが、1点触れておきたいのが「『歩み寄る』のではなく『寄り添う』」というTIPSです。
そもそも相手に「歩み寄る」と思っている時点で、メンバーとの距離が離れている、ということ。
そうではなく、最初から同じ立場で「寄り添っている」と考えるようにするのです。すると、良い意味で相手に期待する気持ちがなくなり、その後の対応が大きく変わってきます。この「小さな意識改革」こそが、メンバーとの関係づくりの第一歩なのだそうです。
◆続く第1章は信頼度(クレジット)の高め方について。
「整理整頓」や「声かけ」といったTIPSに続いて登場するのが、上記ポイントの1番目の「名前を呼ぶ」です。
これはもう、名著『人を動かす』でも言われていることですから、ご存知の方も多いでしょう。
人を動かす 新装版
同じく第1章から抜き出したのが、ポイントの2番目の「努力の過程を褒める」。
こちらは、本書内でも名前が登場するキャロル・S・ドゥエック女史のこの本でも、「プロセスをほめる」と言われていることです。
マインドセット:「やればできる!」の研究
参考記事:【オススメ!】『マインドセット: 「やればできる!」の研究』キャロル・S. ドゥエック(2016年01月18日)
私自身、ついムスコの「結果」をほめることがあるので、注意しなくては。
◆また第2章では、コーチングの世界では広く知られているらしい「人生のバランス・ホイール」や、ジョゼフ・キャンベルの「ヒーローズ・ジャーニー」といった理論が登場します。
ただしこれらは、その項目や説明だけでも結構ボリュームがあるので、割愛させていただきました(スイマセン)。
一方、第3章では「目標設定」がテーマです。
そこで紹介されていたのが、上記ポイントの3番目の2つのTIPS。
中でも「ありがとうベスト100」は、2〜30人くらいならできそうですけど、100人も名前を挙げるのはかなり大変な気が。
もっとも、そうして絞り出す過程において、メンタルが否が応でも変わるハズです。
なお、この章では割愛してしまったものの「目標設定の3ステップ」もぜひご確認いただきたく。
◆さて、第4章でテーマになっているのが、上記ポイントの4番目でも挙げている「ポジティブアスキング」です。
そこで言われているように、具体的な手段、方法にフォーカスするのは、目的を達成するためには当然かと。
逆にそれを阻んでいるのが、ブレーキ的な働きをしてしまう「思い込み」です。
本書では、3ステップで「思い込み」を特定する方法も紹介されていますから、気になる方はぜひご確認を。
さらには、特定しても解き放てない「思い込み」があった場合、それを改善するTIPSも収録されており、至れり尽くせりだな、と。
◆なお、第5章からは上記ポイントの「声かけ」のお話を引用しました。
その際、そこにもあるように、具体的に「あぁしろ、こうしろ」と言わずに、相手に考えさせるのがミソ。
本書の「PRE STEP」にも、こうあります。
リーダーに大切にしてほしいのは、「教える」ことではなく、「気づかせる」こと。この辺が、コーチングとティーチングの違いなのでしょうね。
「気づかせる」とは、リーダーが試して成功した方法を相手にさせようとするのではなく、メンバー自身に考えさせ、答えを見つけてもらうということです。
部下やお子さんがいらっしゃる方なら、本書の内容は実践してみる価値大。
モチベーションアップに効果のある1冊です!
モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術
STEP1 「クレジット」を高める関係性をつくる
STEP2 コーチングで相手の「現在地」を知る
STEP3 高いパフォーマンスを引き出す「目標」を設定する
STEP4 「ポジティブアスキング」で思い込みの壁を取り払う
STEP5 「小さな一歩」でモチベーションを持続させるコツ
【関連記事】
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【マネジメント】『世界基準の「部下の育て方」 「モチベーション」から「エンゲージメント」へ』田口 力(2019年09月25日)
【マネジメント】『気づかせる技術 部下が自分で考えて動き出す』鳥原隆志(2019年06月20日)
【教え方】『自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書』篠原 信(2017年02月08日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。NHK「100分de名著」ブックス 般若心経
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【編集後記2】
◆昨日の「SB新書リニューアル 4周年セール」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 (SB新書)
参考記事:【知的生産術】『調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意』佐藤優(2019年04月08日)
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僕たちは14歳までに何を学んだか 学校では教えてくれない新時代の必須スキル (SB新書)
日本人が知らされてこなかった「江戸」 世界が認める「徳川日本」の社会と精神 (SB新書)
結構意外な(?)作品もありますが、参考にしていただけたら幸いです。
ご声援ありがとうございました!
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