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2020年01月03日

【話し方】『スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本』高津和彦


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スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 年末年始セール」の中でも人気の1冊。

あのシェリル・サンドバーグが「バカっぽく見える」と断言する、「フィラー」(「えー」「あー」といったつなぎ言葉)を防ぐためのTIPSが満載の作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
スピーチ、面接、会議、プレゼン、セールス、セミナー…無意味な「えー」「あー」を消すだけで、説得力が上がる!より伝わる!あなたも本書を読んでトレーニングをすれば、必ず短期間で「えー」「あー」をなくすことができます。

中古に送料を加えると、定価とあまり変わりませんから、「60%OFF」のこのKindle版が900円以上お買い得となります!





speech / grizzlygroundswell


【ポイント】

■1.フィラーは3つの要素が原因で生まれる
 では、フィラーのメカニズムとは何でしょう?
 私は「心( 感情・性格)」「思考」「声」を動力源としたメカニズムと考えています。「心( 感情・性格)」「思考」「声」の3つが同期し、安定して働いていればフィラーは出ませんが、このうちの1つでも不具合が発生すれば、メカニズムに不均衡が生まれ、フィラーを発生させてしまうというわけです。(中略)
心( 感情・性格):喜怒哀楽、驚き、不安、プレッシャー、 羞恥心、あがる、自己肯定感、引っ込み思案、目立ちたがり屋などさまざまな感情や性格が支配する要素。
思考:自分の意見をまとめたり、話す内容や順番を整理する。また、言うべきこと・言うべきではないことを判断する要素。
声:発声、声量、歯切れの良さ、滑舌をコントロールする要素。


■2.センテンスを短くする
 長いセンテンスで話をする人は、それを文章に書き起こすと、〈、〉がたくさんあることに気づくはずです。フィラーを連発させるパターンです。
 次に来る文章が決まってないのに、とにかく何度も「and」で文を続けて行くと、ついには続かなくなります。
 そこを埋めようとするフィラーが〈えー〉や〈まあ〉です。(中略)
 では、〈、〉を使わずに話すとはどういうことでしょうか?
 それは簡単です。次のように、〈。〉( 句点)を使って〈間〉をつくればいいのです。
「昨日はいい天気でした。〈間〉ですから、散歩しようと思いました。〈間〉こんなふうに思えたのは、本当に久しぶりでした」
 頭に湧いてきた順番にその短文を声に出せばいいだけです。短い文章なら簡単に頭に浮かびますし、むしろ聞き手にとっても、この〈間〉は、大きな意味を持ちます。この〈間〉が、耳から入ってきた情報を 咀嚼 し理解する重要な時間なのです。


■3.文字にしたときに意味のある言葉にする
 アナウンサーは言葉を決めてから声に出しますが、一般の人は「心( 感情・性格)」からすぐに「声」に出ます。
 じつはアナウンサーは、何を言っていいかわからないときは、口にストッパーがかかります。まるで、ナビで目的地が決まらなければエンジンがスタートしない自動運転のクルマみたいに。
「心( 感情・性格)」と「思考」をしっかりと安定させてから「声」を出すのですから、いい加減なことを言うわけがありません。そういう回路が、トレーニングを通じて頭にセットアップされています。
 一方、そういう教えを受けてこなかった普通の人は、もう「心( 感情・性格)」と「声」が直結です。びっくりしたら〈きゃー〉、感動したら〈すげー〉、わからなかったら〈うーん〉、何を言ったらいいかわからないと〈えーっと〉、言葉につまったら〈あのー〉という具合です。
 ほんの少しでいいから「ちゃんとした単語」をまず出そうという「思考」を働かせてほしい。それは、文字にしたときに意味のある言葉にするということです。


■4.原稿は暗記せずメモを取っておく
 話す内容を忘れたときの対処として、一番有効なのが、原稿ではなく、手のひらに乗るくらいの用紙にメモを書き込んでおくことです。
 その内容は、原稿の構成、つまりは目次、地図で言えばランドマークを記しておくのです。そうすれば、記憶が飛んだとしても、今自分は何を話していて、どこに向かっていくべきかがすぐわかるので、軌道修正できます。薄暗くてもわかるように、太いマジックで書き込んでおきましょう。(中略)
 そもそも、原稿を覚えていると、記憶が飛んでしまうことへの恐怖が常につきまといます。すると「心( 感情・性格)」が不安定になる一方、「思考」は記憶をたどって 淀みなく言おうということのほうに集中してしまうため、早口になったり、フィラーが頻発するようになります。
 したがって、リスクを完全に排除するのであれば、最初から暗記をしないというのが、最善の選択肢となるのです。


■5.鏡前1分間スピーチ
 たいがい1分話せば、自分の「話し方」のレベルがわかります。そしてその1分間スピーチのレベルを納得できるところまで持っていきます。そこまでできれば、あなたの話す時間が3倍になろうが、10倍になろうが、60倍になろうが、安定したスピーチができるようになります。(中略)
この段階で見た目に気をつけるのはたった1つです。
 それは、相手を「見る」ということです。
 だから鏡を使ってトレーニングするわけです。鏡に映った自分の目を60秒間ずっと見ていてください。絶対に目をそらしてはいけません。(中略)
 人前で話すときによくあるのが、「え〜」というフィラーに合わせて目が天井を見る、脇を見るといったしぐさです。これは、「聞いている人に対して集中しよう!」という正の「思考」が、「あれ、何言おうか……」という負の「心( 感情・性格)」に負けてしまって、目をそらせてしまうのです。
 しかしあえて見る。話す内容が出てこなくても、自分の目を見続けてください。


【感想】

◆冒頭でFacebookのシェリル・サンドバーグの話に触れましたが、私がそのエピソードを読んだのは、こちらの作品でした。

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GREAT BOSS(グレートボス) ―シリコンバレー式ずけずけ言う力

参考記事:【マネジメント】『GREAT BOSS(グレートボス) ―シリコンバレー式ずけずけ言う力』キム・スコット(2019年08月26日)

この本の著者であるキム・スコットは、Facebook入社当時に経営陣の前で業績報告をし、直後オフィスに連れ戻したサンドバーグに、「何度も『え〜っと』と言ってたわよね」と指摘を受けます。

なんだ、そんなことか、とハエでも追い払うように手を振りながら「ただの口癖だと思いますけど」と答えた彼女にサンドバーグはこう伝えたのでした。
「その手の動き、わたしの言ってることなんてあなたは気にしてないみたいに見える。もっとはっきり言わないとわかってもらえないようね。あなたはわたしの知り合いの中でも最高に賢い人なのに、『え〜っと』って言ってるとバカっぽく見えるのよ」
そこでスコットは問題の大きさに気づき、提案された話し方のコーチに訓練を受けることにしたという……。

どうです? 本書の持つ意義がお分かりいただけましたか?


◆まず上記ポイントの1番目は、タイトル通りプロローグからのもの。

3つの要素のうち、1つでも状態が悪いとフィラーの出る可能性が高まってしまいます。

ただし、1つが不安定でも他の2つの要素がしっかりしていて、それを補うことができればフィラーを防ぐことができるのだとか。
 たとえば、緊張していても話す内容がきちっと決まっており、元気良く大きな声で話すことができれば、フィラーは出にくいですし、出たとしても聞き手はあまり気になりません。
続く第1章では、フィラーが出やすい(並びに出にくい)シチュエーションや、フィラーの種類についての言及が。

おなじみの〈えー〉や〈あー〉以外にも、〈なんか〉〈というか〉〈ので〉といった言葉を多用するのもフィラーになるのだそうです。


◆そこで第3章からは、いよいよフィラーの防止策が登場。

上記ポイントの2番目の「センテンスを短くする」のもその1つです。

ただし慣れないと、ここで発生する〈間〉に耐えられない気が……。

もっとも〈間〉自体は、こちらの矢野さんのご本でも言われているように、本来積極的に活用するものですから、前向きにご検討いただきたいところです。

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たった一言で人を動かす 最高の話し方

参考記事:【話し方】『たった一言で人を動かす 最高の話し方』矢野 香(2017年12月01日)


◆逆にフィラーとは無縁なのが、矢野さんもそうですが「アナウンサー」の皆さん。

その理由は上記ポイントの3番目にあるように、「何を言っていいかわからないときは、口にストッパーがかかる」からだとは!?

……「何を言っていいかわからないとき」に、とりあえず〈えー〉〈あー〉言ってしまう私たちとは違いますね。

ちなみに「文字にしたときに意味のある言葉にする」というのは、〈うーん〉を「少し言葉に詰まっています」に、〈あのー〉を「皆さんにお聞きします」等々に言い換えること。

こういうことも意識してトレーニングを積めば、できるようになるのだそうです。


◆また、フィラーが発生する原因として挙げられるのが、上記ポイントの4番目の「原稿忘れへの恐怖」。

もしいったんそうなってしまったら、フィラーも連発しそうです。
私はこれまで、さまざまな場で司会を多数経験してきましたが、 いったん忘れた原稿の内容を、「ああ、そうそう!」とまた思い出している人を見たことがありません。
ですから、ここにあるようにあらかじめ「メモ」を用意しておき、もし記憶が飛んだら、悠然とそれを見て話せばOK。

逆に、間違えてはいけないことや、何かを紹介する等、原稿を読む必要があるのなら、それを堂々と取り出して読めばよいのだそうです。

なお、最後のポイントの5番目は、第6章の実践トレーニングからのもの。

ここには全部で9つものトレーニング法が挙げられていますから、これらをこなせば、フィラーの心配も激減するかと。

個人的に「鏡前1分間スピーチ」以外では、「アナウンサーに勝つスピーチ」と「単文スピーチ」「相手に自分のスピーチを繰り返してもらう」辺りを試してみたいと思いました(詳細は本書を)。


「バカっぽく」見られたくない方なら必読の1冊!

B07XKR5N7N
スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本
まえがき 「えーあー人間」から脱出しよう!
プロローグ フィラーを生み出す3要素
第1章 なぜ、無意味な言葉が出てしまうのか?*フィラーとは何か
第2章 内面の不安や自信のなさが表に出る理由とは?*「心(感情・性格)」とフィラー
第3章 理性の力で整理してから言葉にしよう*「思考」とフィラー
第4章 自信に満ちた声で雑音を消し去る*「声」とフィラー
第5章 どんな場面でも次々言葉が出てくる!*脳内原稿のつくり方
第6章 目指せ!フィラーなしスピーチ*実践トレーニング
あとがき 前向きなフィラーなら出してOK!


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【スピーチ】『アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書』スティーブン E. ルーカス(2017年05月29日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B077ZPKZ4G
マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方

読者さんよりその奥様方にお読みいただきたいこの作品は、中古に送料を足すと定価を超えますから、Kindle版が1000円強お得。

B071F4YF9P
はじめての哲学的思考 (ちくまプリマー新書)

リベラルアーツ好きの方なら見逃せない本書は、Kindle版が500円以上お得な計算です。


【編集後記】

◆昨日の「KADOKAWA年末年始フェア」で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B07Q2161FF
直観の経営 「共感の哲学」で読み解く動態経営論

B07QVP9YP7
笑う日本史

B00MXRPQQ6
普通の子どもたちをできる子にする 怒らない教え方 (角川書店単行本)

B00JRU5AY0
見せ方ひとつで世界でも勝てる (角川書店単行本)

宜しければご参考まで!


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