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2019年12月16日

【メール作法?】『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?〜仕事ができる人の文章術〜』中川路亜紀


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あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?〜仕事ができる人の文章術〜 (光文社新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」でも人気である、10月末に出たばかりの1冊。

さっそくお求めいただいていますし、私自身10月の未読本記事にも挙げていたくらいなので、「渡りに船」と読んでみました。

アマゾンの内容紹介から。
現在、仕事の大半のやり取りは「メール」で進む。誰もが日々、メールの対応に長い時間を費やす時代である。優柔不断な返信、バカ丁寧で長過ぎるメールで相手の時間を奪うことは、「迷惑」だと感じられるようになった。一方で、無頓着過ぎるメールは、相手に不信感や不快感を与え、さらに多くの時間とエネルギーを費やすことにもつながる。過不足なく、端的に、ふさわしい表現で相手の心にピタリとはまるメールを書く秘訣を大公開。

送料を加味した中古よりは、このKindle版が300円弱、お得な計算です!





Reading e-mail / milkisprotein


【ポイント】

■1.画面の向こう側にいる「あの人」を想像して書く
 たとえば、画面の向こう側の相手を想像して考えるべきことには、こんなことがあります。
・相手はいつこのメールを開くか(メールで間に合うことなのか)。
・このメールを受け取ったら、相手は何をしようとするか。
・そのために相手に必要な情報はそろっているか(何を、いつ、どこで、誰に、誰が)。
・件名は検索しやすい言葉になっているか
・期限はあったほうがよいかどうか(多忙な人は仕事の優先順位が重要)。
・出先で対応することはないか(スマホで開けない添付ファイルをつけると困るかも)。
(詳細は本書を)


■2.夜書いたメールは送信せずに、朝読み返す
 仕事が山積してしまい遅くまで残業しているあなたに、取引先の担当者から進行中の仕事にあれこれと注文をつけるメールが送られてきました。あなたが 緻密 に考えたプランがこれでは台無しになってしまいます。
 頭にカッと血が上り、夜の9時にカタカタとメールを打つあなた。そのメール、そのまま送りますか?  
 やめたほうがよいでしょう。ぐっとこらえて、一晩寝かせてみてください。朝の太陽の下で読んでみて、おかしくなかったら送ってもいいと思います。
 私も経験がありますが、夜は集中力が高まっているためか、相手の言葉に過剰に反応してしまうことが少なくありません。時間をおいて読み返してみると、余計なことを書きすぎていることがよくあります。
 たとえば、強調語(非常に、とても、大いに)はかなり削れます。「これはこうです」と書けばいいところを、「これは絶対にこうです」「これこれのことを考えても明らかです」などと言いつのってしまいがちですが、思い切って言葉を削っていくと、冷静で知的な文章に変わるのでやってみてください。


■3.遠慮のし過ぎで忘れられないようにする
 多忙な相手に期限を設けたお願いをするのは、気が引けることです。しかし、山ほど仕事をかかえている人は、期限を見て優先順位を決めているので、期限がないと後回しにする傾向があります。「お手すきのときに」と言ったが最後、「お手すきのとき」が永遠に来ず、忘れられてしまうこともあるでしょう。
 もしも、気をつかうのであれば、締め切りまでまっとうな期間を確保してお願いすることです。優先順位を上げてもらおうと非常識な期限を設けると、「横入り」の仕事ととらえられて断られる場合もあります。(中略)
× お手すきのときにご確認いただけましたら幸いです。
× お時間がありましたら、お目通しください。
◎ 今月中をめどにご確認をお願い致します。


■4.お断り表現をマスターする
「断ります」を敬語表現にすると、「お断り致します」「お断り申し上げます」などとなりますが、これはどちらかというと強い表現です。はっきり相手に通告したい場合は、「お断り致します」でもよいのですが、通常のメールでは、これまで出てきたようなソフトな表現のほうがよくつかわれています。
 整理すると、次のようになります。
・(採用・導入・提案・企画を)見送る
・(依頼などを)お受けしかねる、お引き受けしかねる
・(ご希望・ご期待に)沿えない結果となる
・(ご指名・ご推薦を)辞退する
・(贈答・申し出などを)遠慮させていただく


■5.「自分が至らなかった」というスタンスをとる
 あなたが専門家とのやりとりの中で、その専門領域の最新情報にふれたところ、細かい点についてチクリと訂正されたとします。返信でどう書けばよいでしょう。
◎ よくわからずに不正確なことを書いてしまい、たいへん失礼を致しました。

× この分野では第一人者の先生に向かって生意気なことを書いて不愉快にさせてしまい、申し訳ありませんでした。
 ×マークの文例は、「先生のプライドを傷つけて不愉快にさせた」と言っているも同然です。真実かもしれませんが失礼です。先生にしてみれば、専門的な指摘をしたつもりが、自分のプライドの問題にされて、ますます不愉快になるでしょう。
 その点、◎マークの文例は、さらりとさわやかに自分の失礼を詫びていて、好感が持てます。
 相手に対して「神経質すぎる」とか「大人気ない」という感想を持っていても、それは表に出さず、自分の側が不十分だったという書き方をするのが、メール技術的には正解になります。


【感想】

◆今まで当ブログでご紹介してきた中でも、かなり実践的なメール本でした。

下記目次にあるように、全11章という広範囲ぶり。

さっそく第1章から見ていくと、まず第1章ではマナー以前の「コミュニケーション」の部分から見たメール術が展開されています。

たとえば「メールマナー」的には問題がなくとも、相手に対する思いやりがあるのとないのとでは大違い!

そのためにも上記ポイントの1番目にある「受け手を想像する」ことは大切です。

ありがちなのが、本書にも載っていた「パスワード付きの添付ファイル」のメールで、スマホで開けないこともあるわけで。

そこで気を利かせて、相手にとって必要であろう事項を、本文に書きだしておいてあげれば、きっと喜ばれることでしょう。


◆第2章ではメールの「基本ルール」ということで、CcとBccの使い方や、署名欄の活用方法等なのですが、この辺は類書でも触れられていますから割愛。

続く第3章では、もうちょっと高度な「応用ルール」が登場し、上記ポイントの2番目もここからのものになります。

ただ「メールを一晩寝かせる」という話は他でも読みましたが、「強調語を削る」というのは目からウロコ。

実際に本書では「before/After」があるので引用しておきます。
【頭にカッと血が上った悪い例】
 ご提案のようにすると、注意事項の一部が一面で表示されなくなってしまうので、絶対によくないと思います。利用者の安全のためにはどれも大変重要な内容ばかりですので、すべて一面で表示したいと考え、ずいぶん苦労して文章を練ってきました。今さらこのような変更をご提案いただくのは心外です。
【一晩寝かして書き直した良い例】
 1つ懸念しますのは、ご提案の内容を入れますと、注意事項の一部が一面で表示されなくなるということです。利用者の安全のためにはどれも重要な内容ですので、できればすべて一面で表示したいと考えております。
なるほど、淡々と過不足なく主張を述べており、これなら反感を買うこともないでしょう。


◆一方第4章では、メールでのアポの取り方が指南されており、本書でも極力やり取りを減らす工夫がなされています。

ただ、この章で最も秀逸なのは、画像で表現されているので引用ができない、「アポイントのフローチャート」なんですよね……。

また、第5章では「依頼メール」にフォーカス。

上記ポイントの3番目にあるように、緩くでも期限を設けないと、いくらでも後回しにされる可能性があるので、ご注意ください。

ちなみに私は知らなかったのですが、「していただけないでしょうか」のような「否定の疑問形」は丁寧な表現ではなく、「相手に断られることを想定した強い表現」なのだそう。

場合によっては相手に不快感を与えてしまうそうなので、こちらもこのように言い換えてください。
× ご承諾いただけないでしょうか。
◎ ご承諾いただきたく、お願い致します。


◆1つ飛んだ第7章あたりから、より高度なメール術、特に本書のテーマである「相手を怒らせない」メールのテクニックが。

たとえばその第7章からの、上記ポイントの4番目にある「お断り表現」は、ビジネスパーソンであればキチンと使い分けたいところです。

さらには第8章では、すでに相手がキレている場合のメール作法を。

上記ポイントの5番目の「×」の例は、まさに火に油を注いでいますから論外としても、「◎」の例のように相手に素直に詫びるのが正解のようです。

ちなみに、この例は自分に非がありますが、たとえ相手に非があったり、間違っていたとしても、それをネチネチ書いたり、書きすぎたりするのは、お互いにとっても良くありません。

この件に関しても、本書では「書きすぎなケース」と「その添削例」が掲載されていますので、こちらもご確認ください。


◆なお、第9章では「謝罪メール」の書き方、第11章では「訃報」への返信や、お見舞いメール、出産メールといった、冠婚葬祭系メールが指南されています。

ただこの辺りは、そのまま「文例」として使えますから、一読後は、必要に応じてご活用のほどを。

また、ユニークだったのが、第10章の「紹介メール」です。

今まであまり意識したことがなかった(機会自体もありませんでした)のですが、「誰かを誰かに紹介する」メールは、通常のメールよりも、敬語表現や紹介の仕方に気を遣う必要がある模様。

加えてこれに上下関係や、付き合いの度合いといった要素が加わりますから、確かに慣れないと難しいかもしれません。

例文とその解説を引用するとかなりのボリュームになるので割愛しましたが、この第10章もぜひお目通しください。


基礎から応用までメール作法がマスターできる1冊!

B07Z7BPRGY
あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?〜仕事ができる人の文章術〜 (光文社新書)
第1章 「感じのいいメール」は想像力から生まれる
第2章 「書くのがラクになる」基本ルール
第3章 「戦略的に書く」ための応用ルール
第4章 アポイントをワンツーで決める
第5章 やる気になってもらうお願いメール
第6章 「即レス」しない返信術
第7章 「伝えにくいこと」を文章で伝える
第8章 キレた相手に、メールで対応する
第9章 「本当に申し訳ございません」をどう書くか
第10章 あなたのメールが、人と人をつなぐ
第11章 あの人の心に寄り添う


【関連記事】

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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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英語の経済指標・情報の読み方

中身も難しそうなのに、それがさらに英語というハードコアな1冊は、Kindle版が400円以上お買い得。

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29歳からの人生戦略ノート

当ブログではおなじみである金田博之さんの初期の作品は、送料を足せばKindle版がお得に。

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世界一ゆる〜い!解剖学的コンディショニング

逆に当ブログ初登場となるこの作品は、Kindle版が900円以上お得な計算です!


【編集後記2】

◆昨日の「Kindle本冬のポイント還元キャンペーン」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋

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おとなの作文教室 「伝わる文章」が書ける66のコツ (朝日文庫)

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やってはいけない不動産投資 (朝日新書)

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間違いだらけの文章教室 (朝日文庫)

未読本ばかりで恐縮ですが、よろしければご参考になさってください!


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