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2019年12月07日

【プレゼン】『感動させて→行動させる エモいプレゼン』松永俊彦


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感動させて→行動させる エモいプレゼン


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気のプレゼン本。

読んでみると予想以上にTIPSの多い作品で、ハイライトだらけになってしまいました。

アマゾンの内容紹介から。
TEDスピーカーのような聞き手の心を揺さぶるプレゼンは、実は誰にでも実践できます!
ビジネスでもプライベートでも役立つスキルが身につきます。

相変わらず中古も高いので、Kindle版が700円弱、お得な計算です!





TED Talk / jurvetson


【ポイント】

■1.「幽体離脱マインド」で誰かを丸パクリする
 あなたが知っている、話すのがうまい人をイメージしてみてください。身近にいる人でも構いませんし、芸能人でも構いません。アニメのキャラクターでも構いませんし、架空の人物をつくり出しても構いません。
 ただひとつ、「あなたが演じることのできる対象」であることが条件です。
 そのうえで、プレゼンの際には完全にその人のつもりになって、その人の魂が幽体離脱して自分に憑依したかのように、演じながら話します。
・もしその人であれば、あなたが伝えたいメッセージをどのように伝えるでしょうか?
・その人は、どのような口調で話をしますか?
・口グセがありますか?
(中略)
 こうした点を意識して、完コピするつもりでプレゼンしていきましょう。
 あなたがイメージする、「自分以外の誰か」を演じさえすればいいだけです。
 そのほうが成功する確率が高いですし、もしスベってしまった場合でも、自分の自尊心は守れます。あなた自身は傷つきません。


■2.オープニングで「視覚」と「聴覚」のギャップを作る
 まず私がお勧めする、簡単で汎用性が高い視覚的ギャップのつくり方は「笑顔」です。
 しかも、「ちょっとした微笑み」などではなく、「満面の笑み」が理想です。
 たいていのプレゼンは、真面目なテーマに関して行われます。
 たとえば大勢の聞き手の前で行う発表では、聞き手は「これから、どんな人が話すのだろう?」という小さな興味を、プレゼンの開始時点から数秒程度は持っています。その瞬間に、ものすごく楽しそうにニコニコした人が話しはじめたら、どう感じるでしょうか?(中略)
 もう一方の聴覚的なギャップについては、「大きな声で話しはじめる」という演出方法がもっとも効果的です。
 大多数のプレゼンでは、聞き手はふつう、話し手が聞き手の反応を見ながら、落ち着いてゆっくり話しはじめるんだろうな、という事前の想定をしています。
 そこで、あえてその期待を裏切り、通常の会話よりかなり大きな声、しかも楽しそうな声でプレゼンをはじめるのです。


■3.質問からはじめる
 先ほどの例でも使った「ボディ」ステップへの導入方法です。これがもっとも効果的で、しかもどんなテーマでも使いやすい導入方法であるように思います。
「ボディ」ステップの冒頭で、「みなさんにひとつ質問があります」などと伝え、プレゼンの内容に関連した質問を聞き手に投げかけます。
 または、「このなかで●●●についてご存知の方はどれくらいいらっしゃいますか?」などと問いかけ、聞き手の現在の理解度や知識レベルを確認したりします。
 このように冒頭で質問を投げかけ、聞き手に考えさせる時間を持たせることで、話し手が一方的に話し続ける状態になることを防ぐと同時に、プレゼンの内容に興味を持たせることが可能です。聞き手参加型のインタラクティブ(双方向)なプレゼンにできるのです。


■4.視線をコントロールする
 では実際に、どのように視線をコントロールするのか?
 方法は非常にシンプルです。「こちらをご覧ください」と、聞き手に見てほしい対象をはっきり言葉で伝えます。
 そのうえで、実際に聞き手の視線がそこに集まるまでは、次の話をはじめないようにします。これだけです。
 たとえば話がテンポよく展開していくプレゼンでは、資料やスライドを見ればいいのか、話し手のほうを見ればいいのかわからなくなることがよくあります。
 また、資料やスライドを見るべきときでも、図を見ればいいのか、下線が引いてある部分を見ればいいのか、指示がなければ聞き手にはすぐにわかりません。何も指示がなければ、聞き手は自分が気になった箇所を勝手に見ることになります。(中略)
 視線が集まる前に話しはじめると、視線を向けていなくても「プレゼンが進む」と聞き手に認識させてしまいます。そうすると集中して聞こうという聞き手の数は減ってしまいます。
 聞き手が視線をどこに動かすべきか、細かく指示をしてコントロールし、聞き手の集中力を持続させる助けとしてください。その責任は話し手にあるのです。


■5.「強調の間」と「思考の間」を取る
「強調の間」とは、プレゼンのなかで、何か大切なことを伝える直前にとる間のことです。
 たとえば、次のふたつのセリフを比べてみてください。
「今日の晩御飯はハンバーグです」
「今日の晩御飯は…………ハンバーグです」
 話している内容はまったく同じですが、これを実際のプレゼンで行った場合、聞き手のリアクションはまったく異なるものとなります。(中略)
 一方、質問や難しい説明をした直後にとる間を「思考の間」と言います。
 これは、読んで字のごとく、聞き手が考える時間を確保するための間です。この間をきちんととらないと、あなたのプレゼンが一方通行のつまらないものになりやすいので、質問で聞き手の注意を引こうとするときなどには、しっかりと「思考の間」をとるように注意してください。(詳細は本書を)


【感想】

◆プレゼン本にも色々ありますが、奇をてらわない正攻法な作品でした。

正攻法な分、類書とかぶるネタはそこそこあるのですが、クオリティ的には結構高め。

ちなみに、プレゼン本を、講演系(話し方やパフォーマンス等)と資料系(文章やデザイン等)とに分けるとすると、明らかに前者です。

もちろん、プレゼンにおいて資料等を使う状況も考慮しているものの、基本的には「プレゼントーク」のスキル集と考えていただくと良いかもしれません。

そして、本書のタイトルにもあるように、プレゼンを聞いた聴衆が「行動する」ところまでを目的としています。


◆まず上記ポイントの1番目は、本書の第2章で触れられている「緊張や不安、恐怖を遠ざける3つの心構え」からのもの。

上手い人のプレゼンをパクるというのは、類書でも見た記憶がありますが、「スベっても自分の自尊心は保てる」「極度の緊張を緩和する助けになる」という利点を意識したことはありませんでした。

もちろん上手くいった場合は、パクり元の評価ではなく自分の評価となるワケですから、これはお得!

また、この章でなるほど、と思ったのが、聞き手と話し手のテンションの差のお話です。

話し手は、「不安」から始まりますから、最初はテンション低めですが、聞き手の集中力のピークは、プレゼンの開始直後にある、とのこと。

そこで「『プレゼン開始直後の熱量を上げること』で、聞き手とのテンションの差を縮める手法がもっとも効果的」なのだそうです。

ですから「プレゼン冒頭1分間は、自分のなかの熱量MAXにして話す」ようにすべきであるとのこと(なるほどー)。


◆続く第3章における「3つのステップ」とは、「オープニング」「ボディ」「クロージング」というプレゼンではおなじみのもの。

上記ポイントの2番目は、このうち「オープニング」における「つかみ」を目的とするテクニックです。

「笑顔」ならよくありますけど、「満面の笑み」というのは、ビジネス本ではあまり目にしなかった気が。

さらには「大きな声」も、ビジネスプレゼンでは結構異質かもしれません。

ただ、これはひとえに「話し手に対する興味を持ってもらう」のが目的ですから、意識してやってみたいところです。

そのほか、「ボディ」や「クロージング」での留意点は、本書にてご確認ください。


◆一方第4章では、本書の「キモ」とも言うべき「7つの応用テクニック」なるものが登場。

上記ポイントの3番目の「質問からはじめる」も、そのうちの1つです。

確かに私が過去に体験したいくつかのプレゼンや講演でも、質問からはじまるものがいくつかありました。

ちなみに質問には、「課題を認識させる質問」と「未来に期待させる質問」の2種類があり、その使い分け方についても、本書では触れられていますから、ご参考のこと。

また、上記ポイントの4番目の「視線をコントロールする」というのも、同じく「7つの応用テクニック」の1つ。

確かに「●●をご覧ください」と言われないと、聴衆は好き勝手なものを見てしまいますよね。

ただしコントロールするのは、こうした「視覚情報」だけではなく、「音声情報」と「言語情報」もその対象です。

もちろん本書では、これらの情報のコントロール手法についても言及されていますからご安心ください。


◆なお、上記ポイントの5番目は、第6章の「5つのアクション」の中の1つ。

確かに「間」を活かす話し方については、類書でも目にしていましたけど、こうして「強調」と「思考」を意識すると、より積極的に使えそうです。

……でも緊張すると、ついどんどん話しちゃうんですよね(体験者語る)。

残りの4つのアクションについても、「表情」「視線」「ボディランゲージ」「声の抑揚」と、聴衆をとらえて離さない工夫がなされていました。

さらには最後の第7章では、「直前準備のポイント」までフォロー(練習大事!)。

繰り返しになりますが、プレゼン資料作成等についてはあまり触れられていないものの、パフォーマンス関係については、これ1冊でかなりカバーできると思います。


感動を与えるプレゼンを実現したい方なら、一読の価値アリ!

B07SCWLQR7
感動させて→行動させる エモいプレゼン
第1章 エモいプレゼンを行うための三大原則
第2章 緊張や不安、恐怖を遠ざける3つの心構え
第3章 3つのステップと基本テクニックを理解する
第4章 7つの応用テクニックで今日からあなたもエモいプレゼンテーター
第5章 「わかりやすい」話でしか人は感動しない
第6章 5つのアクションで感情を自由自在に揺さぶろう!
第7章 いよいよ本番! 直前準備のポイントはこれ


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【編集後記】

◆昨日から始まった「サイバーマンデーセール」では、私も愛用しているKindle PaperWhiteも大幅値引きとなっています。

特にこのモデルは、「43%OFF」ということで、6000円も値引きしている模様。

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Kindle Paperwhite 防水機能搭載 Wi-Fi 8GB 広告つき 電子書籍リーダー

私は同じモデルの容量が大きくて「広告なし」の方を購入したのですが、防水だとお風呂でそのまま読めるのがありがたいです(今まではマンガモデルをジップロックに入れて読んでました)。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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