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2019年12月03日

【キャリア】『50歳からの逆転キャリア戦略』前川孝雄


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50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、かなり上位の人気ぶりだった起業・転職本。

ここ最近、中高年向けの起業本が多いのですが、その中でもかなり「地に足の着いた」1冊だと思います。

アマゾンの内容紹介から。
「定年まで我慢」でも「早期退職」でもない第3の道がある!
本当にやりたい仕事ができる人生後半戦の作り方

相変わらず中古が高値なので、2割引きのKindle版がお買い得です!





Entrepreneur / Ben Taylor55


【ポイント】

■1.やりたいことがない人は、会社を辞めてはいけない
会社に依存しない第二の職業人生を自分で創り出そうというときに、やりたいことがないのでは話になりません。自分自身で自分のキャリアを決め、自分自身の内から湧き出るモチベーションに従って働くことが、第二、第三の職業人生の醍醐味なのに、初めからそれを放棄してしまっているようなものです。
 ですから、やりたいことがないという人は、まだ会社を辞めてはいけません。(中略)
「先輩が○○で起業してうまくいっているそうだから、自分も真似してみよう。あの人にできるんだから自分にもできるだろう」「これからはIT業界が伸びるようだから、たいして興味はないが自分もIT業界への転職を狙ってみよう」といった考え方で行動している人には、転職・起業後、壁にぶつかったときに立ち返るべき軸がありません。
 新たなチャレンジに一定の挫折はつきものですが、軸がない人はちょっとした挫折で、「こんなはずじゃなかった」とめげてしまう。そして、あれでもない、これでもないとキャリアの流浪を始めてしまいます。


■2.「上司への不満」で辞めてはいけない
 会社員が会社を辞める理由として、「上司が自分を正当に評価してくれない」というのは代表的なものと言えるでしょう。(中略)
 もちろん、あまりにも理不尽なパワハラ上司から過剰なストレスを受け続けている場合などもありますし、一概に言うことはできません。
 しかし、不満を抱いている部下の数だけ、そのような極端なパワハラ上司が実在するのかというと、決してそんなこともないはずです。実際、このようなケースで当事者によくよく話を聴いてみると、不満を抱いている部下側の意見もわかるものの、一方で上司側の言うことにも一理あることがほとんど。そう、上司への不満ばかりを語り、それが原因で感情的な行動に走ってしまう人には、共通して「自分を客観視できていない」という特徴があるのです。このようなタイプの人は、むしろまだ会社を辞めてはいけません。


■3.キャリアの物差しを「給与・肩書」から「働きがい」に変える
 若手の部下を持つ皆さんなら日々感じていると思いますが、現代の優秀な若者に「今は我慢して働けば将来は豊かになる。だから四の五の言わずに言われたことをやりなさい」などと言おうものなら、途端にモチベーションを失い、早々に辞表を出されるだけでしょう。(中略)
「石の上にも三年」という諺がありますが、それは全員が成功することを求めており、三年我慢すれば成功するという暗黙の共通認識があったから通じた話なのです。我慢を美徳化する日本型雇用の枠に若者を押し込めようとしても、「将来の成功なんて会社は保証してくれないし、そもそも経済的な成功なんて求めていないのだから、意味の感じられない三年なんて我慢できない」と思われるだけです。


■4.自律型人材になる6つのステップ
(1)キャリアビジョン構築
──自分がやりたいことを明確にする。
(2)マインドセット
──給与・肩書きから働きがい重視に自分の価値観を軌道修正して、主体的に行動できるマインドを養う。
(3)相場観・市場理解
──会社の外に目を向け、自分の市場価値を正確に把握する。
(4)自己認識・強みの棚卸し
──社外でも通用する自分の強み・鍛えられていない弱みを整理して正しく認識する。
(5)キャリアプラン・腕試し
──第二の職業人生でやりたいことを実現するための具体的な計画を立て、トライアルとなるアクションを起こす。
(6)強みを補強する
──(5)で得た気づきをベースに、社内での実務、社外での学び直しを通して強みを研磨してより強固にし、弱みを補強

(詳細は本書を)


■5.キャリア自律に向けて自問自答したい7つの質問
(キャリアビジョン構築)
Q1.自分の人生があと1年だとしたら、何をやりたいですか?
(マインドセット)
Q2.なぜ、その「やりたいこと」に挑戦しないのですか?
Q3.やりたいことができない本当の理由は何ですか?

(相場観・市場理解)
Q4.名刺がなくても付き合える社外の知人は何人いますか?
(自己認識・強みの棚卸し)
Q5.会社の外でも通用する「自分の強み」は何ですか?
(キャリアプラン・腕試し)
Q6.その強みを磨き、不動のものにするためには何が必要ですか?
(強みを補強する)
Q7.今のうちに何から始めますか?

(詳細は本書を)


【感想】

◆冒頭で「地に足の着いた」と表現しましたが、よくある起業・転職本とは違い、本書は起業や転職をやみくもには勧めていません。

むしろ本書の第1章では、「まだ辞めてはいけない人たち」と題して、積極的に引き留めているという。

たとえば上記ポイントの1番目の「やりたいことがない人」もその中の1つ。

とはいえ、このパターンの人はむしろ本書の典型的な想定読者であり、本書はその後半で「やりたいこと」を探す手助けをしてくれていますからご安心を。

また、上記ポイントの2番目も、転職や脱サラでよくあるパターンでしょう。

この「自分を客観視できない」という問題は、別の部分で登場する「根拠なく楽観する人」にも通じるものがあります。
「大手で課長を務めていた自分なら中小企業の仕事など簡単に務まるはずだ」「転職先の年収? ぜいたくは言わないけど700万円くらいはほしい」
これはあかんパターンや……。

第1章ではこうした「まだ辞めてはいけない人たち」を計7パターン用意していますから、まずはご自分が該当するか否かご確認ください。


◆続く第2章は「『お金、肩書き』から『働きがい』へ」と題して、私たちの第二、第三の人生の評価の基準について検討しています。

結論は章題そのままなのですが、上記ポイントの3番目にもあるように、すでに若い世代は、そのように考えているよう。

もちろん、教育費や家のローンの問題等ありますから、中高年は「お金」を無視できないのですが、その点についても、本書では「共稼ぎ」が推奨されています。

ちなみに「働きがい」に関して、本書でオススメされていたのがこちらの映画。

B01FSEQACO
マイインターン [DVD]
2015年公開ですから日本では少し早すぎた作品かもしれませんが、今こそ、中高年の皆さんには観ていただきたい。ミドル・シニアにとっての第二、第三の職業人生の一つのモデルが実に魅力的に描かれています。このストーリーは決して特別な人の特別なエピソードではありません。読者の皆さんにとっても十分あり得る未来なのです。
ストーリー等については、アマゾンの方でご確認ください。


◆さて、上記ポイントの4番目の「自律型人材になる6つのステップ」は、ここでは小見出し部分だけ抜き出していますが、実際には本書の第3章にて各ステップごとに解説されているものです。

実はこのステップ自体を、「会社にいるうちに実現する」ことを著者の前川さんはご提案。

1つずつだとキリがないので、まとめて触れている部分をご紹介しておくと、「(4)自己認識・強みの棚卸し」「(5)キャリアプラン・腕試し」「(6)強みを補強する」の3つのステップでのポイントとして、 本書では自分の能力を「T字型」で捉えるよう主張しています。
T字の縦棒は専門性、横棒は周辺知識。 この両方をバランス良く身につけることが、大企業のミドルにとっては重要なテーマになります。
特に中小企業に転職すると、 専門性が求められる一方で、あれこれ何でもやらねばならない可能性もありますから、会社にいるうちに「横棒を広げつつ、縦棒を太くする」必要がある模様。

また、この章では「上司を顧客と見なして働く」というTIPSもあり、なるほどむしろ理不尽な上司であれば、その経験が転職・起業後に役に立ちそうです。


◆そして最後の第4章からは、上記ポイントの5番目にある「7つの質問」をご紹介しました。

この第4章は、サブタイトルに「筆者・前川孝雄の七転八倒体験から人生後半戦の働き方を考える」とあるように、「7つの質問」それぞれに、前川さんのご自身の体験をすべて絡めて書かれており、説得力大。

もともとリクルート時代にも、浮き沈みのあった前川さんは、とある先輩起業家との旅行先での体験をきっかけに、起業を決意。

リクルート時代に培った人脈を頼りに、名刺交換した人たちから厳選した700人に挨拶状を送ります。

しかしその結果は……(詳細は本書を)。

また、退職直前に企画されていた出版の企画が、本が出る頃には退職している旨を伝えた途端に流れるという、なかなかシビアな経験もされてらっしゃいます。

確かに、著者としての実績はブランディングになりますから、「辞める前に本を出す」というのも、可能であれば起業・転職前にしておくことかもしれませんね。

さらに、本書内で記入例付きで説明されているキャリアプランニングシート等のワークシートは、サイトからダウンロードできますので、こちらもぜひご活用ください。


今いる会社を辞める前にやるべきことが明確になる1冊!

4569845584
50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方 (PHPビジネス新書)
第1章 まだ辞めてはいけない人たち──もしいま早期退職したらどうなる?
第2章 「お金、肩書き」から「働きがい」へ──人生後半戦のキャリアの考え方
第3章 会社は「学び直しの機会」に溢れている! ──辞める前にできることはまだまだある
第4章 50歳からの働き方を変える「7つの質問」── 筆者・前川孝雄の七転八倒体験から人生後半戦の働き方を考える


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【成毛流?】『定年まで待つな! 一生稼げる逆転のキャリア戦略』成毛 眞(2018年11月26日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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合格る思考

当ブログでもおなじみである宇都出雅巳さんの勉強本は、送料を足しても中古の方が100円強お得ですが、気になる方は下記レビューをご参考のこと。

参考記事:【7つの超思考法?】『合格(ウカ)る思考』宇都出 雅巳

B00FQGKM56
パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術

同じく当ブログでレビュー済みである質問術本は、Kindle版が500円弱、お買い得です!

参考記事:『パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術』アンドリュー・ソーベル,ジェロルド・パナス(2013年03月25日)


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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