2019年11月08日
【サイゼファン歓喜!?】『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』稲田俊輔
人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本 (扶桑社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ファストフードやファミレスをご利用になる方なら、一読の価値がある作品。著者の稲田さんは、かつて「サイゼリヤ100%☆活用術」というブクマ1600超のホッテントリを書かれたことのある「食」の専門家です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
食べログ3.7以上の店を経営するプロも唸った!
有名チェーン絶品メニューのカラクリを明かす
なお、中古が倍値以上する一方、Kindle版は「10%OFF」とお買い得になっています!
saizeriya_italian_restaurant_5 / perry_marco
【ポイント】
■1.サイゼリヤのプロシュートの示す価値サイゼリヤの本場志向がわかりやすく表れた商品の一つに「プロシュート」があります。メニューブックではカッコ書きで(パルマ産熟成生ハム)と書き添えられていますが、正式な商品名としてはあくまでプロシュートというイタリア語の名称を採用しているのがいかにもサイゼリヤらしい精神に満ちています。キャプション部分をよく見ると「ランブルスコと相性が抜群です」とも書かれています。これぞマニアもびっくりのうんちくです。ランブルスコはロゼの発泡ワインで、イタリア料理の代表的な食前酒のひとつ。塩気の強いプロシュートとの相性は抜群です。こういうマニアックなことがさらっとファミレスのグランドメニューに書かれているなんて痛快です。(中略)
無粋で世知辛い話をしますが、このサイゼリヤレベルの生ハムスライスを、通販や高級スーパーで普通に買おうと思ったらグラムあたりの単価は1000円を超えます。サイゼリヤでは一皿に2枚のっており、換算すると300円くらいにはなります。それにプチフォッカがついて価格が399円なのですから、お店で食べる料理としてはお得です。値段が全てとは言いませんが、これにはそれだけの客観的な価値があるのです。
■2.ガストの緻密なプロフェッショナリズム
ガストはまったく隙がありません。3日続けて訪問し店内やメニューを隅から隅まで確認して、改めてそのことを痛感しました。なんとかツッコミどころを発見し、そこから「隠された魅力」みたいなものを掘り起こそうと、よこしまな目線で舐め回してもどこにもそんな糸口はないんですね。そこにはある種の芸術的とも言える、長年積み上げてきたファミレスという文化の洗練の極みがあるだけでした。とにかく何もかもが緻密なのです。言うなればプロフェッショナル中のプロフェッショナルとも言うべき矜恃を感じます。(中略)
ピザやパスタに関しては、うがった見方かもしれませんが、どこかサイゼリヤに対する対抗意識のようなものが見え隠れします。サイゼリヤのそれが「無理においしくしすぎない、あくまで家庭的なおいしさ」を目指しているのに対して、ガストは同じような価格でも「はっきりとわかりやすい外食っぽいおいしさ」を志向していて、プロ中のプロである我々が負けるわけにはいかない、という静かな闘志のようなものを感じるのです。
■3.デニーズのオススメ「デリーチキンカレー」
私が発見したそんなタイプのファミレスメニューの大ヒットが、デニーズの「スパイス香るデリーチキンカレー」です。説明には「辛みのきいたスパイシーな本格派のチキンカレーです」とあります。こう書いてあっても実際は「ファミレスにしては」辛みの効いた、「ファミレスにしては」スパイシーな、といった程度のものであることがありますが、これは掛け値なしに「本格的」と言っていいカレーです。香辛料、なかでも個性の強いカルダモンの風味が鮮烈に効いた、そして味わい自体は変にうまみや甘みをブーストすることのない、それでいて素材の凝縮感が詰まったキレッキレの味わいです。カレーは辛ければいいというものではありませんが、このキレッキレの味わいにぴったりと寄り添うドンピシャな遠慮のない辛さ。
間違いなく好き嫌いが分かれる味だとは思います。でも、実は意外とカレーマニアだけでなく、普段あまり本格カレーを食べない人がちょっと冒険してみても、案外はじめから気に入ってしまう可能性もありそうな、普遍的なバランスの良さを感じました。
■4.夜マックの「ダブルチーズバーガーパティ2倍」を狙え
その勢いのなか、マクドナルドは思い切った手を打ちました。それが「夜マック」です。これは、夕方5時以降、主要なバーガーのパティがプラス100円で2倍になる、という画期的なサービスです。経営的に考えると、プラス100円ならなんとか赤字になることなく、かつ、お昼時に比べると稼働率が落ちがちな夜の時間に来店を促すための作戦として的確なマーケティングだと思います。(中略)
ありがたいことに、ダブルチーズバーガーもこのサービスの対象商品です。つまり、プラス100円でパティが4枚になる。今のところ、私にとってクォーターパウンダーの後釜はこれ一択。パティ4枚ということはクォーターパウンダーとダブルクォーターパウンダーの中間くらいの肉量。ちょうどいい感じです。しかもそのパティは(あくまで主観では)クォーターパウンダーに迫るおいしさにグレードアップしています。
「ダブルチーズバーガーパティ2倍」は、クォーターパウンダーと同様、ケチャップ抜きが絶対におすすめです。
■5.食べログは「低評価キーワード」で当たり店を探す
あくまで個人的な基準ですが、スペイン料理に限らずイタリアンやフレンチあたりは「オイリー」「塩気が強い」「香草がキツい」系の低評価レビューがある店に大当たりが多いようです。和食や居酒屋の「料理によって当たり外れが大きい」は、使い方が少し難しいかもしれないけど楽しめる店。カレーやインド料理だと「コクや深みが感じられない」は、これは中華でもある程度共通します。中華といえばもう1つ「日本人には合わない」&「店員も客も中国人ばかり」のコンボも鉄板。ラーメン屋なら「ラーメンごときにこの値段はない」。あと老舗における「接客が最悪」も接待やデートでさえなければ狙い目。
……と、こんな具合に当たりに出合いやすい悪口キーワードを知っておくと、食べログでのお店選びはぐんと捗るようになるはずです。手始めに、自分がお気に入りでよく通っている店の食べログページを開いて、低評価レビューを探して読んでみてください。いくつかのお店でそれをやるうちに、だんだんコツが掴めてくると思います。
【感想】
◆冒頭でも触れた「ファストフードやファミレスを利用する人」というのは、まさに私もその一人でして。ムスコがまだ小学生ですから、外食する際は、そのほとんどがこうしたチェーン店になります。
本書ではこうしたチェーン店の特徴や、オススメメニュー、さらにはカスタマイズTIPSを紹介していますから、非常に勉強になりました。
特にチカラが入っているのは、やはり冒頭でも登場したサイゼリヤ。
上記ポイントでは1番目のプロシュートしか紹介しておりませんが、実際にはこのくらいのボリュームで、他にもいくつものメニューが登場します。
たとえば「粗びきグリルソーセージの正体はサルシッチャだった!」とか「サイゼリヤのモッツァレラチーズは水牛乳からできている」等々。
また、私も気が付かなかったのですが、従来調味料コーナーに置かれているのは、よく見かける粉チーズではなく、オリジナル(?)の「グランモラビアチーズ」というものなのだそうです(しかも無料)。
……週末にでもサイゼリヤに行きそうな自分が怖いww
◆さらに興味深かったのが、私自身も少々疑問に思っていたサイゼリヤの方針についても、「食のプロ」ならではの分析が記されていることです。
たとえば、こうした素材の質の高さの一方、サイゼリヤのパスタは、どれも微妙な気がしていたのですが、それについてもパスタ専門店である「洋麺屋五右衛門」と比較して、サイゼリヤのパスタは、それ単体で食べるためのものはないから、とのこと(詳細は本書を)。
ちなみにこの章の後半で登場する「サイゼリヤでディナーデート」のメニューでは、ショートパスタの「ナポリジェノベーゼ」(「マニア絶賛」とのこと)が推奨されていますから、ぜひ一度お試しください。
ただ、そんな著者の稲田さんでも、「肉」カテゴリーに魅力が乏しいことは認められており、過去も何度か「期間限定」でサービスされていたいくつかの「肉メニュー」を名残惜しんでいるという……。
また、個人的にはファミレスと比較して、デザートもこれ、と言って食べたいものがない(&コスパもイマイチ?)のですが、その件に関しては、稲田さんは「イタリアンプリン一択」。
食べ物、ことにお菓子は嗜好品であり、人それぞれ好みの差はあるとは思いますが、少なくとも私にとって、サイゼリヤのプリンは、この世にあるプリンと名のつくお菓子の中で掛け値なしに一番おいしいプリンなのです。これは次回ぜひ頼んでみなくては。
◆結局、サイゼリヤというのは、平均的なクオリティのメニューではなく、稲田さん言うところの「ツッコミどころ満載」なのに対して、ファミレス最大手のガストは、上記ポイントの2番目にあるとおり「隙がない」のだとか。
ガストを代表するメニューといえば、「チーズINハンバーグ」です。一見、大衆ウケを狙って老若男女誰もが好きなハンバーグに、今どきはやりのたっぷりチーズを詰め込んだだけの単純な料理に見えます。しかしこれ、ハンバーグをおいしく引き立てるチーズの種類の選択から始まり、それがとろりと流れ出す形状や量のバランス、低価格なのに安っぽさを感じさせない最終的な調整など、一朝一夕に作れる商品ではないのです。そう言われてしまうと、やはり食べてみたくなりますよね。
また、このガストを含め、サイゼリヤ以外のファミレスに関しては、第2章でまとめられているのですが、デニーズや、ロイヤルホストに関しても、「キラーメニュー」が登場!
まずデニーズについては、上記ポイントの3番目の「デリーチキンカレー」が稲田さん一押しのようです(確かに美味しそう♪)。
またロイヤルホストは、「豪遊フルコース」と題して、金に糸目をつけない(と言っても9000円強)オススメメニューが登場しますので、こちらも参考になさってください。
さらに、同じく第2章では、バーミヤンや王将にも触れられていますから、中華好きなら見逃せないのではないか、と。
◆続く第3章では、マックほかのファストフードが。
上記ポイントの4番目で触れられている「夜マック」は、私は全然知らなかったのですが、こうして「肉増量」することで、「夕飯らしさ」が実現できますね(私にはパテ4枚はキツいですが)。
同じく第3章では、モス、ケンタッキーが登場するのですが、なぜかフレッシュネスやサブウェイが出てこないのが、やや残念でした。
逆に当然触れなければならない(?)のが牛丼チェーンで、吉野家、松屋、なか卯、すき家の「四天王」の特徴や、オススメ等にも言及。
最近は変わってきたものの、松屋はかつては「ニンニク原理主義」で、牛丼以外はおしなべてニンニクがこれでもか、と効かされていたのだそうです。
もっともこちらを読むと、最近でも相変わらずみたいですがーw
【松屋】「牛焼肉と茄子のにんにく味噌定食」果てしなく続く永遠のニンニク味:ネタフル
◆最後の第4章では、こうした大手チェーン以外のお店をチェック!
登場するのは、「大陸系中華」や、「ナン食べ放題」で知られる「インドネパール店カレー」、一部で熱烈なファンを持つさわやかやブロンコビリー、富士そば等々。
ただ、これらはパスして(ファンの方、すいません!)、ここからは上記ポイントの5番目の「食べログ活用法」を抜き出してみました。
ただし、これはあくまで、尖ったお店を求める稲田さんのような「食好き」の方の方針ですから、素人、特に子連れで行く私のような人間には、ちと微妙かも。
いずれにせよ本書は、第1章のサイゼリヤにかける情熱が、本のボリューム的に他のチェーン店にまでかけられなかったのが惜しまれる気がします。
実際、あのテンションだったら、本来ファミレスだけで1冊の本にできたのではないか、と。
ただ、逆にサイゼリヤ好きの方なら、この第1章だけでも本書を買う価値は十分あります。
今度チェーン店に行く前に読むべき1冊!
人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本 (扶桑社新書)
第1章 サイゼリヤに見る「チェーン店進化論」
第2章 食のプロが唸ったファミレスチェーンのポイント
第3章 ファストフードを侮るなかれ
第4章 メジャーチェーンを脅かすライバルたち
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【編集後記】
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痛風が心配な方なら、要チェックな1冊。
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