【TCHとは?】【100歳まで自分の歯を残す4つの方法改訂新版】齋藤博,木野孔司 (監修):マインドマップ的読書感想文

2019年09月11日

【TCHとは?】【100歳まで自分の歯を残す4つの方法改訂新版】齋藤博,木野孔司 (監修)

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「講談社ポイント還元キャンペーン」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。

タイトルとおり、まさに高齢になっても自分の歯を残したい私にとっては、切実なテーマの作品でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

従来はていねいなブラッシングと歯科医師による定期的な口腔ケアを励行しておけば、歯を失うことはないといわれてきましたが、実はそれだけでは不十分だったのです。鍵を握るのが、無意識のうちに上下の歯をつけるTCHという癖です。自分の歯を最後まで残そうこと思ったら、このTCHを是正しなければなりません。本書では虫歯や歯周病予防、そしてTCH是正を通じて、自分の歯を最後まで残すための実践的なテクニックを紹介します。

なお、中古は値崩れ気味ですが、送料を合わせるとKindle版が300円弱、お買い得となります！

Zahnbursten und Zahnpasta in weiser Tasse / marcoverch

【ポイント】

■1.TCHとは何か？

　東京医科歯科大学歯学部附属病院顎関節治療部では、顎関節症を引き起こす主たる寄与因子を見つけようと、いろいろな試みを重ねてきました。試行錯誤の末、2000年に顎関節症の患者さんを対象とした調査でようやくその手がかりを得ました。調査した患者さんの約半数に共通する寄与因子が見つかったのです。これほど多くの患者さんにみられる寄与因子は他にありません。
　この寄与因子は、無意識のうちに上下の歯をつける癖だったのです。この癖のことを上下歯列接触癖（TCH）と名付けました。
　上の歯と下の歯は常時接触していると誤解している人が多いようですが、人は通常、口を閉じていても上下の歯はどこも接触していません。歯が触れるのは会話、咀嚼、嚥下をする時ですが、その接触は瞬間的ですので、接触時間を集計しても1日当たり20分以内とされています。ところが会話や食事をしている時間以外でも、上下の歯がずっと接触している人がいます。自分でやってみるとわかりますが、歯が触れただけで口を閉じる筋肉は活動し始めます。この状態が長く続くと、筋肉は疲労し、顎関節も押さえつけられるために顎関節症を引き起こしやすくなります。

■2.TCH判定法

　TCHは、日常生活に溶け込んだ無意識な癖ですから自覚できませんが、ここで、TCHを体験してみましょう。
　姿勢を正しくして正面を向いてください。そして、軽く唾を呑んでみてください。呑み込む瞬間に、上下の歯が触れたのを実感できましたか。嚥下（唾を呑み込む）する時には、必ず唇を閉じ上下の歯を当て口腔内を陰圧にすることで、はじめてゴクンと呑み込めます。
　上下の歯が触れた感覚がつかめるようになりましたら、次の検査を試してください。
　唇を軽く接触させます。その状態で上下の歯が接触しないように、1～2㎜離してください。このような指示で、口のあたりに違和感を持つようでしたら、TCHがあります。はっきりした違和感がない場合は、歯をつけない状態を5分間維持できるかどうか想像してください（実際にやらないでください）。「できそうにない」と思うようでしたら、TCHがあります。

■3.砂糖が入った食事を取ったら、速やかにうがいをする

　甘いものが好きな方は、その影響を最小限にとどめる努力をしてください。砂糖が長時間口腔内に滞留していると、「砂糖　→　デキストラン　→　プラーク　→　虫歯」という化学変化が進行します。この悪い流れを断ち切るために、砂糖が入った食品をとったら、できるだけ早くうがいしてください。砂糖成分を口の外に流し出せば、デキストランは合成されないので、虫歯の原因となるプラークも形成されません。
「食後のうがい」など面倒だと思われるかもしれませんが、砂糖の摂取制限と食後のケアができない患者さんは、虫歯になるリスクから解放されることはありません。ていねいな歯みがきを心がけても、プラークのみがき残しはありますから、結局いつかは虫歯になり、次第に歯を失ってゆきます。そのリスクを下げるのが食後のうがいなのです。

■4.プロには3ヵ月ごとに診てもらう

　大事なのは、歯周ポケット内の起炎菌の数をコントロールして、問題が起こらない状態を長く保つことにあります。完全な除菌ができない以上、時間の経過とともに菌数が増えていくので、定期的に来院してもらい、問題が起きる前に、歯周ポケット内のプラーク除去と洗浄で菌数を減らします。これを繰り返していくことで、歯周病の進行を食い止めます。
　それでは、どのくらいの間隔で歯周ポケット内の清掃をすれば、歯周病の進行を食い止め、口腔内環境を改善できるのでしょうか。私の歯科医院では、38年前から試行錯誤を繰り返した結果、急性症状のある時は、短期に歯周ポケット内洗浄を繰り返したほうがよく、慢性期では、最長3ヵ月ごとに管理すれば、それより頻繁に管理するのと大きな差異がないことがわかりました。したがって、現在では、患者さんには3ヵ月ごとのプロフェッショナルケアを受けていただいています。

■5.インプラントのリスクについて考えておく

　私の調べた範囲の話ですが、インプラントにトラブルがあり、治療した歯科医院とは別の歯科医院に来院すると、治療した歯科医院に戻るか大学病院に行くことを薦められて、その歯科医院では処置をしないそうです。自分の歯であれば、他の歯科医院で治療を受けた患者さんでも処置してもらえるのに、なぜインプラントでは同じようにしてもらえないのでしょうか。理由は、後述するようにインプラントは部品ひとつとっても、さまざまな種類があるうえに、治療スタイルも歯科医院によってかなり違いがあるので、おいそれと引き受けることができないからです。不具合のインプラント患者を引き受けて、トラブルを背負い込みたくないのは、ある意味当然の心理といえるでしょう。
　このように、どこの歯科医院も、他の歯科医院で植えたインプラントの管理はお断りするのがふつうです。したがって、「自分の受けたインプラントのプロフェッショナルケアを、他の歯科医院では引き受けてもらえない」という覚悟のもとに歯科医院を選択すべきです。

【感想】

◆当ブログでは、下記関連記事にあるように、そこそこデンタルケアの作品をご紹介してきているのですが、あまり類を見ない内容の作品でした。

その大きな特徴が、上記ポイントの1番目に挙げた「TCH」なる概念。

簡単に言うと、「無意識のうちに上下の歯をつける癖」のことで、顎関節症や肩こり等の原因となるものです。

ところがこれが、実は歯を失う原因にもなるということが、研究によって判明しました。

　歯周病は、歯と歯肉の境目が常時炎症を起こしている状態なので、歯肉は腫れ、歯槽骨はやせ細っています。ここにＴＣＨによる側方に揺する力が歯にかかると、それ以上支えられなくなり、歯はぐらつき始めます。

私自身、寝ているうちに歯ぎしりをする癖があるらしく、まったく他人事ではないのですが。

◆そこで気になった方は、上記ポイントの2番目の判定法をお試しいただきたく。

とりあえず私は、上下の歯を軽く離した状態で、5分くらいは何とかなりそうでした。

ただし、TCHリスクの高い人では、「口の周りの緊張を持続させていると、頰の内側や舌の周りに歯形ができる」とのこと。

本書では、頬の内側や舌の両側に「歯の押しつけあと」の写真が掲載されているのですが、どうも私もその「押しつけあと」があるような気が……。

そこで本書では、こうした症状を改善するための、3ステップの「行動変容法」が紹介されています。

少々長くなるので、今回は割愛しましたが、詳しくは本書にてご確認ください（本書のキモですし、一応ネタバレ自重）。

◆また本書では、第3章以降において、この「TCHコントロール」を含めた「自分の歯を残すための4つの生活習慣」なるものを紹介しています。

たとえば第4章では「砂糖を極力とらない」と題して、「砂糖の摂取制限」を提唱。

この辺はダイエット本でもうたわれていることですし、痩せるだけでなく、歯にもいいと分かれば、より一層励めるのではないでしょうか？

なお、摂取してしまった場合は、上記ポイントの3番目にあるように、うがいで対応してください。

「食べた直後の歯磨きは歯を痛める」という説もありますが、うがいならば大丈夫。

私も先日買ったまま、あまり使っていなかったこのリステリンを復活させております。

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◆また、図が掲載できないため割愛したものの、第5章の歯磨き法も、本書では見逃せないところかと。

たとえばわざわざ歯磨きポスターまで作られていて、これが結構細かいこと！

画像をググったところ、この記事の最後に掲載されていたので、よかったらご確認ください。

上下の歯がくっついているのは危険サイン!? 自分の歯を守る生活習慣をイラスト付きで紹介！ | ダ・ヴィンチニュース

さらには、上記ポイントの4番目にあるように、どんなにデンタルケアに注力していても、歯医者さんには3ヵ月に1度は通う必要があるようです。

要は、プラークは何とかできても、歯石を素人が取ることは不可能ということ。

私もここ最近は、比較的短期間で歯医者さんに通っているので、これを継続したいと思います。

◆なお、最後の第8章ではインプラントの問題点等が、これでもか、とばかりに挙げられていました。

実際、この章を読んでからでも、インプラントにしたい、と思われる方がどれだけいらっしゃるやら……。

上記ポイントの5番目の部品の問題以外にも、金属アレルギーの問題や、そもそもインプラントも歯周病になる可能性がある等々。

特にインプラントにすると、「膿がたまっても腫れることなく痛みもない状態が続く」のだそうです。

　そのため、本人の自覚症状がないまま、歯周病が進行します。特に、多数のインプラントを連結したブリッジの場合には、部分的にトラブルが起きていてもまず気付きません。痛みや腫れはなくとも、歯周病は進行しているので、次第にインプラントを支える周りの骨は破壊されます。

((((；ﾟДﾟ))))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

いずれにせよ、機能している天然歯を抜いてまで、インプラントにする必然性はまったくないようですね。

ただし、最後の手段としてまでのインプラントを否定しているわけではないので、一応ご留意を。

極力自分の歯を残したい人なら、必読の1冊！

１００歳まで自分の歯を残す４つの方法　改訂新版 (健康ライブラリー)

第1章私たちはこうして歯を失っていく
第2章無意識の生活習慣TCHが歯周病と虫歯を悪化させる
第3章自分の歯を残すための4つの生活習慣その1 歯の接触時間を減らす
第4章自分の歯を残すための4つの生活習慣その2 砂糖を極力とらない
第5章自分の歯を残すための4つの生活習慣その3 1日1回正しい歯みがきをする
第6章自分の歯を残すための4つの生活習慣その4 3ヵ月に1回歯周病管理のために歯科医院に通う
第7章実は一番大事なのは歯科医院選び
第8章インプラント治療を始める前に知っておきたいこと