2019年09月10日
【勉強法】『東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣』水上 颯
東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣 (単行本)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも大人気だった勉強本。著者の水上 颯さんは、開成高校から東大医学部に進学されたという頭脳の持ち主であり、TBS系『東大王』に東大王チームとしてレギュラー出演されているということで、ウチのムスコも知っておりました。
アマゾンの内容紹介から。
“勉強は、少しでも「○○できる」方法で”“読書は、「一冊ごとに○○○○」を変える”“記憶は、「○○○を見つける」と強くなる”“時間は、自分が「○○になれる」ものに使う”“アウトプットは、「○○○○」を意識する”思考の生産性がみるみる上がる「知的生活」実践法!多方面で活躍する東大クイズ王、初の著書!!
なお、版元単位でセールをしない三笠書房さんの作品なので、私はKindle版を買っちゃいました!
Tokyo University / James Willamor
【ポイント】
■1.小目標や現状を言葉や数値で明らかにしておく「今、何ができるようになろうとしているの?」と自分に問いかけ、そのうえで「背理法を使った証明ができるようになった」「リスニングは7割できたけれど、文法はまだ4割しかできていない」などと確認しておくことによって、自己評価と現実のズレを最小限に抑えることができます。
僕たちの自己評価は、たいてい現実とかなりずれています。しかも、高いほうにずれがちです。
「この人には勝てるな」と思う相手は、多くの場合同程度の実力だし、「同じくらいだろう」という相手は、自分よりもかなり上ということがほとんどなのです。こうした自分に対する過大評価が顕著になってくると、いつの間にか大きな目標から脱線した方向に進んでいってしまいます。
小さな目標を達成しながら、一歩ずつ大きな目標に向かっていくためにも、「今、何を目指していて、どれくらいできているのか」を言葉や数値で明らかにしておくことが大切なのです。
■2.「得意を伸ばす」より「苦手を潰す」
総合力を問われる受験勉強において大事なのは、「苦手を潰していく」ことです。
受験は、自分のリソースを各科目にどう配分して合格点まで到達するかというゲームでもあります。
その配分においては、「伸びしろ」に着目しましょう。
得意科目なら、80点から90点に伸ばせても加点は10点ですが、不得意科目は50点から70点にというように加点を大きくできます。つまり、伸びしろが大きいのです。
それに、80点から90点に伸ばすためには、ほとんど出題されないような、かなり細かい部分までカバーしないといけません。一方、50点から70点は基礎固めをきっちりしていけば達成できます。
伸びしろという面で考えても、勉強範囲という面で考えても、苦手を潰していくほうが合理的なのです。
■3.模試では「リアルな実力」をチェックする
僕の場合、模試の結果を見て「今回は調子が悪かったな。次は頑張ろう」といった評価に終わらせず、「この問題が解けなかったのは、○○の理解が甘いからだな」「ここでケアレスミスをしたのは、時間配分がまずかったからだな」などと細かく分析していくようにしました。
とくにマーク式の模試などでは「この問題は勘で答えたのに正解してしまった」という場合もあります。
僕自身は、当てずっぽうで正解した問題には「△」のマーク、正解はしたけれど理解不足の問題には「?」のマークを記し、「○、△、?、 ×」の4種類の記号で解答を管理していました。このように、どの範囲がわかっていてどの範囲が怪しいか、自分のリアルな実力を記号化してチェックしていました。そして、「△、?、 ×」だった問題の横には、その問題を解くためのキーワードや間違えた理由などをメモしておきます。
そうすれば、大事なテストの直前にこのメモをざっと見直して、一気に復習することができます。
■4.本の中身は「思い出せなくてOK」
前項とも関連しますが、いわゆる簡略本に飛びついてしまうのは、「情報・知識を得よう」という意識が強すぎるのかもしれません。
「ニーチェはこんなことをいっている」という知識が欲しいから、簡略本で少しでもたくさんの言葉を覚えようとするのでしょう。
つまり、「知っている自分」になりたいだけで、考えを深めていきたいわけではありません。これでは、テスト期間に歴史の年号をひたすら覚えるようなもの。時間が過ぎればきれいに忘れてしまうのです。
一方で、考えるための読み方はどうでしょう。
考え方自体は知識と違って、一度身につくと忘れることはありません。
「自分の考えとは、どこに違いがあるんだろう」
「この人、何がいいたくてこれを書いたんだろう」
「わからないなあ? どういうことだ?」
こうして頭を使うことで、「考える力」が磨かれます。たとえ、本の内容を忘れてしまっても、考える力はあらゆる場面で活用できます。
■5.「目に入れる回数」を増やす
1人ひとりがもって生まれた記憶力に、さほど差はないと思います。東大の同級生を見ていても、特別に記憶力がいい人というのはまれで、みんな似たようなものです。
あることについて、覚えている人とそうでない人がいるとしたら、その違いは「ふれる時間の長さ」にあるのではないかと思います。(中略)
受験対策で僕がよくやっていたのは、スマホの画面に、なかなか覚えられない化学反応式を表示しておくことです。スマホは1日に何回もちょこちょこ見るので、化学反応式を目にする回数も増え、自然と記憶に定着しました。そうしてひとつ覚えたら、次の式を表示するというふうにしていました。
手帳のよく開くページに書いておくのもいい方法だと思います。覚えるために見るのではなく、「開いたら書いてあった」という形でさりげなく目に入るようにするのです。こうした方法を使えば、好きになれない分野についても、自分を追い詰めることなくいつの間にか覚えることができるでしょう。
【感想】
◆なかなか広範囲な「勉強本」でした。「勉強本」というと、普通は「狭義」と「広義」に分けられる、という話は、今までも当ブログで何度かお話してきましたが、要は「受験向け」(狭義)か、「一般教養」(広義)かということ。
そのくくりで言うと、第2章に「読書」がある時点で「狭義」とは言い難いと思います。
もっとも、第4章で「時間」を、第5章で「アウトプット」をテーマにしていますから、そこだけ見ると「勉強本」でもないような?
ただし、「時間」は多分に「勉強」を意識していますし、「アウトプット」も「学びを成果につなげる5つの方法」とサブタイトルが付いていますから、やはり広い意味で「勉強本」に属していると、当ブログ的には考えます。
◆とはいえ、「東大医学部生」が語るとしたら、やはり受験向けのテクニックが本命。
第1章では、周りの東大生も見据えた上での勉強法がアドバイスされています。
たとえば上記ポイントの2番目の「苦手を潰す」の部分で言うなら、ほとんどの東大生が「一科目がめちゃくちゃできる天才」ではなく、「全科目がそこそこできるアベレージヒッター」なのだそう。
……ただし、その「そこそこ」が一般人から見たら、ハイレベルな「そこそこ」なんですけどねw
ただこれは本当に受験の王道で、ウチのムスコも、得意な算数の勉強時間を削って、苦手な理科社会を現在頑張っております。
◆また上記ポイントの3番目の模試の活用法も、本来なら「狭義」の勉強本ならではのもの。
ここで言ってることは、非常に大事なお話なんですけど、4つの記号のうち、3つが「正解」を色分けしているのが「さすが東大生」と言いますか。
「間違いノート」を作って、間違えた部分をカバーすることは誰でもやっていると思いますが、たとえ正解したとしても、ここまでやっていれば抜かりがありませぬ。
同じく、過去問の活用法についても、本書では述べられていますから、こちらも受験される方はご参考まで。
もっとも、ムスコの通う大手塾では、志望校の順位別や科目別に、解く順番や回数まで指定されていますから、この辺は独学でない限り、塾や家庭教師等に従った方が良いかもしれません。
◆……と今回のエントリーは、第1章が大半となってしまいましたが、第2章の「読書」も、当ブログ的には見逃せないところ。
なんでも著者の水上さんは、いわゆる「本の虫」で、小学校の頃は「図書室の本をすべて読んでしまった」そうなのですが、これって結構「東大生あるある」な気が。
そんな水上さんも高校入学後は、高校生活やゲームに時間を費やし、本を読まなくなったのだそうです。
ところが東大に入って周りの学生の会話についていけない(ってどんな会話なのか?)と感じ、再び読書習慣を身に着けることに。
これが結構大変だったようで、スマホのゲームアプリを削除したり、動画をすぐに見られないようにしたり等々。
水上さんいわく、「読書習慣は失うのは簡単だが、元に戻すのは大変」なので、「身についている人は簡単に手放さないようにしてほしい」とのことです。
失う以前に、我が家は結局、ムスコに読書習慣をつけさせられなかったため、今になって後悔しておりますが……。
◆なお、巻末の特別付録には水上さんオススメの作品が10冊収録されています。
ただしセレクトされた本を見ると、一部自己啓発系の本やドキュメンタリーもありますが、やや文学寄りと言いますか。
一応、当ブログの読者さんにとってはお約束の、この本もありました。
夜と霧 新版
もちろん東大医学部に入学できるような頭脳を培った、これらの本にも興味はありますが、たとえば水上さんが社会に出て働かれるようになってから、改めてどのような本を10冊選ぶかに、個人的には興味がありますね。
いずれにせよ、ガチな受験生だけではなく、資格試験も考えたい社会人が、本書のタイトル通り「頭を鍛える」なら一読の価値はある1冊だと思います。
思考の生産性を上げるために!
東大No.1頭脳が教える 頭を鍛える5つの習慣 (単行本)
1章 勉強の習慣「効率を最大化する6つの方法」
2章 読書の習慣「考える力がつく6つの方法」
3章 記憶の習慣「どんどん頭に入る8つの方法」
4章 時間の習慣「人生のムダをなくす7つの方法」
5章 アウトプットの習慣「学びを成果につなげる5つの方法」
特別付録 水上颯をつくった10冊
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。NHK「あさイチ」スーパー主婦のスゴ家事術
過去のセールでも好評だった家事術本。
中古が値下がりしていますが、送料を考えるとKindle版が300円ほどお得です!
ご声援ありがとうございました!
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