2019年09月05日
【濃厚?】『徹底的にかみくだいたドラッカーの「マネジメント」「トップマネジメント」』二瓶正之

徹底的にかみくだいたドラッカーの「マネジメント」「トップマネジメント」
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも大人気の1冊。「ドラッカー研究47年」という二瓶正之さんが書かれただけあって、まさにドラッカーづくしの内容となっています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
原書の内容を徹底的に40年近く研究した著者によるドラッカーを正確に理解するための解説書。
過去にドラッカー本を読んだものの挫折した人にもオススメです。
ともすると違約、超訳が影響して独り歩きするケースもあるドラッカー理論を忠実に日本語にして伝えています。
「マネジメント」「トップマネジメント」の理論と実行が短時間で学べるのが特徴です。
また意外と知る人が多くないドラッカーの人生も紹介しています。
なお、中古が定価を上回っていますから、このKindle版が500円以上、お得な計算です!

Peter Drucker dies at 95 / IsaacMao
【ポイント】
■1.個人も組織も貢献を通じて成長する個人と組織は「貢献」を通じて「成長」しつづけるものとしてドラッカーは捉えていたと考えられます。そして、次のように教えていたと理解できます。人としてどのような貢献をするのかをまず考えよう。どのような強みを発揮してどのような貢献をするのか、つまり自分自身がどのようなミッションを果たすのかについて問いつづけよう、ということです。自らのミッションを意識するために「何をもって人々に記憶されたいか」を絶えず問いつづけよ、とドラッカーは多くの著作で繰り返し述べています。
そのためには自分自身のミッションを明らかにしよう。
そして、それは自分自身の強みを知るところから始まる。
ドラッカーは『マネジメント』で「人は人の成長を手助けすることによってのみ成長できる」と書いています。
■2.自分自身をマネジメントする5つのポイント(抜粋)
●自分の「強み」を知る自分の「強み」を知ることが、自分自身のマネジメントのスタートになります。自分の「強み」を知る最も効果的な方法は「フィードバック分析」です。やるべきことを決めて取り組み始めたら、期待する成果をあらかじめ具体的に書き留めておき、9カ月後ないし1年後に実際の成果と比較してみると、自分の得意とするものとその分野や方法がよくわかります。これがフィードバック分析です。●自分の「仕事のスタイル」を知る最初に知っておくべき仕事のスタイルは「自分は読んで理解する人間か、聞いて理解する人間か」という理解の仕方です。もうひとつ知っておくべきことは学び方です。学校では画一的に読むことと聞くことによって学びますが、仕事の世界では学び方はさまざまです。●自分の「価値観」を知る自分自身をマネジメントするには、自分にとって価値のあるものが何であるかについても知っておく必要があります。自分が大切にしている価値観と組織の価値観が一致せずとも重なり合う部分があるかどうかが重要です。
■3.優れたマネージャーの8つの行動習慣
(1)「何をしなければならないか」を自問自答する
(2)「わが社にとって正しいことは何か」を自問自答する
(3)アクションプランを策定して実行する
(4)意思決定に対して責任をもつ
(5)コミュニケーションに責任を負う
(6)問題ではなく機会に焦点をあてる
(7)会議を生産的に進行する
(8)「私」ではなく「われわれ」を主語にして話す
(詳細は本書を)
■4.リーダーシップの3つの本質
ドラッカーは、まず「リーダーシップとは仕事である」と言います。リーダーシップはカリスマ性とも資質とも関係なく、本質は「行動」にあります。その行動とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立するということです。(中略)
次にドラッカーは、「リーダーシップとは責任である」と言います。リーダーシップは地位や特権ではなく責任であり、優れたリーダーは常に自己に厳しい人です。失敗を人のせいにはしません。リーダーたちが口にする「責任は私がとる」という言葉にリーダーシップの本質が示されています。(中略)
最後に、ドラッカーは、「リーダーシップとは信頼を得ることである」と言っています。信頼がない限りリーダーに従う者は現れず、リーダーシップの発揮もできません。つき従う者がいるということがリーダーの唯一の定義です。信頼するとは、リーダーに好意をもつことでも常に同意することでもありません。リーダーの言葉が、リーダーの真意であると確信できることです。
■5.ドラッカーが教える人事の4原則
(1)ある仕事につけた者が十分な成果をあげられなければ、それは人事を行った自分の間違いである。その者を責めることはできない
(2)部下は有能な上司をもつ権利がある。責任感のある者が成果をあげられるようにすることはトップマネジメントの責任である
(3)あらゆる意思決定の中で人事ほど重要なものはない。組織そのものの能力を左右する。したがって、人事は正しく行わなければならない
(4)人事には避けなければならないことがある。外部からスカウトしてきた者に初めから新しい大きな仕事を与えてはならない。リスクが大きいからだ。そのような仕事はすでに仕事のやり方がわかっていて信頼を得ている者に任せるべきである。地位の高い新人には、期待されているものが明らかで、しかも手を貸せるような確立された仕事を与えなければならない
【感想】
◆思っていた以上に「総まとめ」的な内容の作品でした。とにかく巻末の「参考文献」の圧倒的なこと!?
全部で90冊弱ものドラッカー関連書籍が掲載されており、ドラッカー自身の著作はもちろん、ドラッカー学会代表の上田惇生先生の作品や、おなじみの『もしドラ』(や『もしイノ』)も登場しています。
本書内で、書籍名まで挙げて引用等しているのは、基本的にドラッカー自身の著作ゆえ、『もしドラ』辺りは本当に「参考にした」だけなのかもしれませんが、ある意味「ドラッカー大全」と言ってもいいのではないでしょうか。
結果、それほど厚い作品でもないのに、ハイライトを引きまくったという。
◆ただ、なまじ広範囲にドラッカーの教えを扱うため、内容は「エッセンス」中心にならざるを得ません。
上記ポイントで、「●つのポイント」や「●つの本質」等なっていますが、これら以外でも本書内のほとんどがこんな感じ。
ただし本来は、個々の項目に対して、きちんと説明が加えられています。
たとえば上記ポイントの3番目では、8つの行動習慣の小見出しだけ挙がっていますが、そのそれぞれについてキチンと触れられている次第。
ちょうど上記ポイントの2番目が、個々のポイントに対して説明されていますが、抜粋ではなく、すべてについて言及されている感じです(実際はもっと長いのですが)。
◆内容について言うなら、ほぼすべての内容が、本来であればブログ記事でセレクトすべきクオリティと言って良いでしょう。
全部が濃すぎて、逆にどこが大事なのか分かりにくいくらいです。
私のようにドラッカーを全然読んでいない人にとっては、本書を通して読んでおくと、それぞれの著作の理解が深まりやすいのではないか、と。
一応、10年以上前(『もしドラ』より前です)に、私もこの本を買って、積読のままなのですが、改めて読み返してみたくなりました。

ドラッカー名著集1 経営者の条件
……問題は、どの段ボールに入っているかわからないことなのですがw
◆なお、第3章までは、ドラッカーの著作や考え方についてひたすら言及しているのですが、いきなり内容が変わるのが第4章。
ここでは「ドラッカーはどのようにしてドラッカーになったか」と題して、ドラッカーの少年時代から、その名が知れ渡るまでの経緯を述べています。
「そんなのWikipediaにでも載ってるのでは?」と思ったら、意外と大して書いていない(ボリューム的にも)んですよね。
ピーター・ドラッカー - Wikipedia
たとえば、ドラッカーが「最初は高卒で就職して、貿易会社の見習い社員になった」なんて、初めて知りましたよ(その後父親を喜ばせるためにハンブルク大学に進学)。
また、「新聞記者としてヒトラーやゲッペルスにインタビューした」というのも、Wikipediaには載っていますけど、その経緯等も本書にてご確認を。
他にもIBMやGM研究の件や、GEのコンサルタント、さらにはマッキンゼーに対してもレクチャーをしていた等々のお話も興味深く読めました。
なんでもマッキンゼーを「経営コンサルタント」と最初に呼んだ(名称を付けた)のは、ドラッカーだったとのこと。
◆上記でも触れたように、本書はドラッカーの初学者にとっては、一読の価値があると思います。
今回はセールということで、お値段もお手頃ですが、そうでなくても読んでおいても良かったくらい。
しいて言うなら、あまりに要点ばかり挙げすぎている分、具体的な事例が少ないことでしょうか。
ただ、個々に出典も付せられていますから、気になる作品が出てきたら、直接そちらを読むのが良いと思います。
丸ごとドラッカーを味わうために読むべし!

徹底的にかみくだいたドラッカーの「マネジメント」「トップマネジメント」
第1章 ドラッカーの考え方のエッセンスを学ぶ
第2章 ドラッカーのマネジャー論のエッセンスを学ぶ
第3章 ドラッカーのトップマネジメント論のエッセンスを学ぶ
第4章 ドラッカーはどのようにしてドラッカーになったか
【関連記事】
【会議術】『ドラッカー式 45分間会議術』藤屋伸二(2013年07月12日)【ハックルさん激白!?】『『もしドラ』はなぜ売れたのか? 』岩崎夏海(2014年12月12日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
3年後に必ず差が出る 20代から知っておきたい経理の教科書
比較的分かりやすそうな経理本が登場。
中古は値崩れしていますが、送料を合わせるとギリギリでKindle版に軍配が上がります。
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