2019年08月30日
【オススメ!】『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』越川慎司
仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番人気だった仕事術本。単なる個人のノウハウではなく、膨大なデータに基づいて述べられているため、非常に説得力がありました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
528社16万人に対して、1万8798時間をかけて「働き方改革」を支援し、成功と失敗の中から得た「現場に効く学び」をこの1冊に凝縮しました。ムダをなくして成果を上げるための39の「時短」実践メソッドを全公開します。
なお、上記記事の時点ではなかったKindle版が配信されましたので、私はそちらで読了しました!
Work resumes / Lars Plougmann
【ポイント】
■1.やめる会議を決める「A24B」18社の1万7000時間以上を調査した結果、目標を達成して成果が出た会議は、(1)目的が明確に決まっているという3つが揃っていました。とても当たり前のことですが、これらの要素の1つでも欠けた会議は成功確率が40%以下でした。3つすべてがしっかり揃った会議の成功確率は87%に上がりました。(中略)
(2)しっかり準備されアジェンダ(検討課題)が事前に共有されている
(3)必要な人が参加している
そこで、この3要素の準備を徹底させるために、「アジェンダが24時間前までに共有されていない会議は開催を禁止」というルールをつくりました。このルールを「A24Bルール(Agenda 24 hours Before the meeting)」と名付けて18社で実行しました。社内にこのルールを記載したポスターを掲示して徹底を図りました。
当初は「主催者の準備作業が多くなる」と反対する人も多く、このA24Bルールを守らない会議も20%以上ありました。しかし、2カ月試行したところ、参加者の満足度は高く、会議に要する時間は平均で12%減りました。アジェンダで明確にした会議の目的は75%の確率で達成、量(時間)を減らして質(成果)を高めることができたのです。
■2.「CC」のルール化でメールの流通量を減らす
そこで、各クライアントの実験では、CCとタイトルの明確なルールを制定しました。会社全体のルールではなく、まずは部門ごとに決めてもらい、その後、会社のグランドルールをつくっていきます。
例えば、・営業目標の達成に5%以上影響のある重要案件の変化については、課長をCCに入れて、タイトルの冒頭に【変】を入れるなどのルールです。
・競合情報など参考情報を広く同報する場合はタイトルを【情】にして、CCは各課の代表だけにする
・メールのやり取りの最中にCCへ追加する場合は、その理由をメール冒頭で記載する
これを2カ月実施し、効果があったものについては各課で継続使用、そして会社全体のグランドルールの検討事項としました。実際に14社8万人にCCとタイトルのルール化を徹底したところ、1人当たりのメール受信数は20%以上減り、管理職、役職者のメール受信数は28%以上減りました。このルールの適用によって、会議が増えたり上司からの質問が増えたりしたことはなく、業務に悪影響は出ていません。
■3.できる社員は日曜夜に先行チェック
クライアント企業18社のうち、各社の人事評価上位5%の社員3142人の調査・ヒアリングを行い、共通する行動や思考を見出しました。(中略)
その中で、上位5%の社員のメール処理方法を確認したところ、メールを見ない時間を決めていることや、メールの文章は短く、メールよりチャットを好み、返信が早いといった特徴が分かりました。
また、相対的に時間外の作業は少ないのですが、日曜日の夜だけはメールをチェックしていることが判明しました。「5%社員」は事前準備がその後の成果に大きく影響を与えることを理解しており、準備を大切にします。月曜から勢いよく1週間を始めようと心がけ、金曜の夜から週末にかけて受信したメールを日曜の夜に確認し、月曜の行動計画を決めているようです。日曜の夜にメールの返信をすると他者に悪い影響を与える可能性があることも理解していて、返信はしません。状況だけ理解しておいて翌朝にロケットスタートを切るようにしています。もし週末の間にトラブルや急用が発生した場合は、月曜は早く出社して対処し、大事にならないようにしているのです。
■4.パワポは1枚105字以内、3色以内
クライアント各社から5万枚以上のパワーポイントのスライドを収集し、文字数や色、図形の有無などについてパターン分析しました。(中略)
調査結果を基に導き出された「人を動かす資料」の基本フォーマットは、1スライド内の文字数は105字以内、カラーは3色以内となりました。
具体的には、・1スライドに1メッセージという特徴でした。
・相手に求める具体的なアクションが記載されている
・まとめスライドがある
・5スライドに1枚は画像もしくは動画を入れる
多くの人はどうしても「伝える資料」を作りがち。限られた時間でできる限り多くのことを伝えたいので、必然的にスライド内の文字数が多くなり、それを根拠のない自己満足のデザインでまとめた凝った資料を作ってしまう…。伝える資料ではなく「伝わる資料」を目指しましょう。
■5.役員会議はペライチで
528社を対応したところ、役員会議の準備時間とその効果を気にする企業が200社以上ありました。26社への個別ヒアリングと分析によると、1時間の役員会議を開催するために要する時間は70〜80時間でした。従業員数が多ければ多いほど、準備時間が増えるという相関関係もありました。
中でも、資料作成の関連時間が全体の準備時間の45%と圧倒的に多いことが分かりました。(中略)
そこで、トヨタ自動車や私が在籍していたマイクロソフトでも採用していた「A3サイズ1枚」(通称ペライチ)をクライアント企業11社に適用させました。これは、議論1テーマにつき1スライドというルールで、会議本番では印刷は禁止で、スクリーンに表示して議論を行います。各役員にはタブレットを配布して、タッチ画面で資料の拡大ができるようにしました。(中略)
そして、何より大きいのは作り手の作業負荷が減ることです。会社でフォーマットが決まっていれば課長や部長の事前説明ごとにレイアウトを作り直す必要はなく、作業時間が大きく減ります。実際にペライチを導入した企業16社の役員会議準備時間は18%減りました。
【感想】
◆引用部分がボリューミーで申し訳ございません。一応「中略」等使って端折ってはいるのですが、せっかく調査対象の会社数やサンプル数、具体的な削減量等、数字が掲載されているのをご紹介しないのが忍びなくて。
それこそ冒頭にもあるように「528社16万人に対して、1万8798時間をかけて『働き方改革』を支援」されただけのことはあるな、と。
実際、結論としては似たようなTIPSに落ち着くのだとしても、実際に検証した結果という裏付けは説得力が大きいと思います。
◆さて「時短」を考えた場合、ビジネスパーソンの時間を奪うトップ3というのは、本書の著者の越川さんが関わった221社で言うと、「社内会議(43%)」「資料作成(14%)」そして「メールの送受信(11%)」なのだとか。
そこでまずは会議から、ということで、上記ポイントの1番目にある「A24B」というTIPSをご覧ください。
確かに反対意見にもあったように、「準備作業が多くなる」のは事実なのでしょうが、結局会議には複数人が出席する以上、そのトータルで削減される時間を考えたら、徹底する価値はあると思います。
またほかにも、「1時間」がデフォルトだった会議を「45分」にするとどうなるか?
するとこれが、単に時短ができただけではなく、意外な副次効果もありました(詳細は本書を)。
また、Web会議に関する記述も多いので、移動時間を「時短」したい方には、この部分も見逃せないところ。
PCやスマホの付属マイクでは聞き取りにくいので、こちらの製品を使われているのだそうです。
ゼンハイザー USB & 3.5mm4極接続 スピーカーフォン SP20 ML 506050 [並行輸入品]
◆続いてはメール作法について。
上記ポイントの2番目のCCの使い方は、私は初めて見ましたし、これは確かに効果がありそうな。
また興味深かったのが、本文の文字数で、105字を超えると、閲読率が急に下がる……って105字だと、Twitterよりも短いのですが(大汗)。
それを考えると、ビジネスチャットがいかに効果的かが分かる、ということで、実際ビジネスチャットツールの大手Slack Japanの調査では、チャットを導入した1629社で社内メールを平均49%も減らすことができ、会議も平均25%減り、生産性は平均で32%も向上したそうです。
ちなみに、メールの誤送信を防ぐには「1分後」よりも「2分後」に送信する方がより効果があるとのこと。
Outlookだとそういう設定もできるようですが、残念ながらGmailだとマックス30秒だと思うので、とりあえずGmailをお使いの方は、30秒にしておいてください。
さらには、「適切なメールチェックのタイミング」も本書では紹介。
「1時間に3回以上チェックする」という人が65%もいた中、「これまで通り」「1時間に1回」「1時間半に1回」「2時間に1回」の4グループに分けて、2週間調査した結果、「最も満足度が高く効果が高い」のはどのタイミングだったのか?(ネタバレ自重)
◆一方、上記ポイントの4番目は、資料作成のパートから。
……「105字」というのがメールに続いて再び登場しているのは、偶然なのでしょうか?
また、色についても、最も視覚を誘導できたのは、意外なことに「白」で、「伝わってほしい情報の 周りに余白を増やし、黒い背景に白抜きの文字を使う」と良いとのこと。
加えて、いきなりパワポを立ち上げるのではなく、「まずは手書きでスタートする」ことを本書では提案しています。
この「105文字・白抜き・手書きスタート」を、実際にクライアントのITおよびコンサルティング企業8社4500人に実践してもらったところ、商談成約率が22%上がり、逆に資料の作成時間は20%減ったのだとか。
まさに時短!
◆……と長々と書いてきましたが、実はここまでで、なんとまだ本書の第1章というw
もちろん、第1章が全体の40%ほどを占めています(Kindleなのでページ数は不明)から、第1章から抜き出すのが多くてもしょうがないとは思うものの、下記目次のように、本書は全部で8章まであります。
割愛した部分は多々ありますが、第2章の「内円ワークショップ」や、第5章の「アグリゲーター」のお話は、できればご紹介したかったところ(遠い目)。
また第6章では、最近ブームの「RPA」について警鐘を鳴らしているのが、興味深かったです。
さらには、時短のために会社として無理な「一斉消灯」を導入しても、消灯後、会社の周りのカフェでノートパソコンで仕事をする人が一気に増える、というお話は考えさせられました。
結局、上記ポイントの5番目にあるように、抜本的な対策を取るべし……というのは、実際に役員会議の資料作りで徹夜をしていた私も、深く納得した次第。
「生産性向上」や「時短」を目指す方なら必読の1冊です!
仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術
実践編■成功は実験から生まれる
第1章 16万人チャレンジから見出した即効「JITAN術」
第2章 68%の行動を定着させた“内円ワークショップ”
概念編■どう自らを知り、高めるか
第3章 自分の価値を高めて時給を上げる
第4章 なぜ行動に踏み切れないのか、どうしたらいいのか
第5章 これからの働き方
警鐘編■経営者・リーダーこそ変わろう
第6章 経営者の皆さん、今こそ変わるべきです
学習編■失敗企業と成功企業から学ぶ
第7章 88%の失敗企業
第8章 12%の成功企業
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【時間節約】『「時間がない! 」を卒業する200のアイデア』マイケル・ヘッペル(2012年04月21日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。これからの本屋読本
当ブログの読者さんの中の、業界関係者の方にオススメしたいこの本は、送料を足せば中古よりもKindle版がお得。
究極の骨盤リセット・ストレッチ
セールだとストレッチ本は人気ですから、中古よりも600円弱お得なこの本もご検討いただきたく。
「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント
そして東洋経済さんで遠藤功さんが書かれているという、「ホットケーキ店ガイド」兼「マーケティング本」である本書は、Kindle版が600円弱お得なので、とりあえず私は買ってしまいました(ホットケーキ好き)!
ご声援ありがとうございました!
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