2019年08月12日
【科学的自己啓発書】『「好き」を「お金」に変える心理学』メンタリストDaiGo
「好き」を「お金」に変える心理学 (PHP文庫)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本夏のセール」のPHP研究所編の中でも人気を博している自己啓発書。おなじみメンタリストDaiGoさんが、定番のテーマである「好き」を「お金」に変えるTIPSを、心理学の面から論じた作品です。
アマゾンの内容紹介から。
「お金は使わなければ、ただの紙切れ」「貯金は成功のチャンスを遠ざける」「稼ぐだけでは幸せになれない」…使えば使うほどお金が生まれる“無限ループ”のつくり方を本書で大公開!無限ループを回す4つのステップや、好きなことをマネタイズさせる方法を紹介。無限にお金を生み出し、自由に生きるために大切な17の新常識を解説する。メンタリストDaiGo流「お金の教科書」決定版。
単行本の中古がこの文庫本の中古よりも高いため、結局送料を考えると、Kindle版が400円以上お得な計算です。
Berechnung der Ersparnisse / marcoverch
【ポイント】
■1.「お金」と「幸せ」のバランス例えば、私たちがカフェでコーヒーを頼むとしましょう。店によってはサイズを聞かれ、自分の好みに合わせて注文すると、コーヒーは適度な大きさのコーヒーカップに入って出てきます。
でも、もし頼んだコーヒーがビアジョッキになみなみと注がれて出てきたら、どう思うでしょうか?
何かの間違いだと思った後、こんなにいらない、飲み切れない、もったいないなど、様々な感情がわき起こるはずです。
ところが、入ってくるお金について同じことが起きた場合はどうでしょう?
予定されていたボーナスに比べて、何倍もの額が振り込まれていたとしたら?
ほとんどの人はラッキーだと感じるはずです。
コーヒーの場合は自分の適量に合わせて、注文をショート、トール、グランデと変えていくことができ、いたずらに大きなカップを求めない人も、お金に関してはルーズになってしまいます。
なぜなら、今の自分がおいしく飲めるコーヒーの量はわかっているのに、お金に関しては物差しがなく、適量をわかっていないからです。
自分にとっての適量がわかれば、満足し、充足して、幸せを感じることができます。ところが、お金の場合、自分にぴったりの 器 がわからない。これが先ほどお伝えした「お金」と「幸せ」のバランスです。
■2.心から欲していることには、お金を惜しまない
お金を使ったことで、将来的にその額以上のリターンが返ってくる条件としては、使い道があなたの好きなものであるかどうかがポイントです。好きなことであれば、同じ1万円でも自動的により習熟しようとし、技術的な高みに向かおうとするので、将来的に成果となって返ってくる可能性が高まります。
だからこそ、自分の好きなこと、得意なこと、心から欲していることには惜しまずお金を使うことが大切。それは他人からは一見、もったいない消費や浪費に思えても、必ずあなたの中に知識や経験という財産として残り、出ていったお金は将来より多くのお金を引き連れて返ってきてくれるはずです。
ところが、2つのお金の使い方を切り離して考えられない人は、節約し、ムダなものに使うお金をなくし、貯めることが正しいという考え方になります。この考え方のすべてを否定するわけではありません。
ムダを 省き、まとまった額のお金を保有するのは大切なことです。ただし、重要なのはお金が貯まったところでどうするか。そのまま漠然と貯めておくのは、意味のない行いです。
■3.「やるべきこと」ではなく「好きなこと」を徹底する
たしかに嫌いな科目でも、努力次第で苦手意識を克服することは可能です。しかし、その科目をフロー状態に入れるぐらいにまで好きな科目にできるかというと、なかなか難しいですよね。
私も心理学の本を読んでいるときはフロー状態に入れますが、法律学の本でフローに入れるかというと、それは難しい。できるだけ、「やるべきこと」「やらなければならないこと」は切り捨てて生きていけるよう努力してきました。
私がここまで一貫して、「お金は、やるべきことに注ぎ込みなさい」とはいわずに、「お金は好きなことに注ぎ込みなさい」といってきた理由はそこにあります。
「好きこそものの上手なれ」というように、好きなことだから人はフロー状態に入ることができます。その物事に夢中になって取り組むうちに、知識や情報、スキル、ネットワークが育まれていきます。そしてそれを「仕事」に結びつけることによって、無限ループを回すことができるようになるわけです。
一方「好きではないが、やるべきこと」にいくらがんばって取り組んだとしても、この領域に達するのは容易なことではありません。
だからお金を注ぎ込むべきなのは、「やるべきこと」ではなくて「好きなこと」でなくてはいけないのです。
■4.「自分なりの物差し」で値付けしてみる
バフェットは、19歳のときにベンジャミン・グレアムの古典『賢明なる投資家』を手にし、「1ドルのものを40セントで買う」哲学を学んだといいます。
これは、「1ドルの企業価値を持った企業を見つけたうえで、それを40セントの価格のときに買いなさい」という意味です。もしそんな企業の株を買うことができたら、確実に利益を手に入れることができます。
ただしそのためには「この企業は、1ドルの価値を持っている」ということを、自分で判断できなくてはいけません。多くの人はその判断ができないために、株価がちょっと上がり始めたら買い、下がり始めたら売るというように目先のことに右往左往してしまうのです。
お金で成功しようと思ったら、「自分なりの価値の物差し」を獲得しておかないといけません。
■5.「好きなこと」を再発見する3つのメモ
手元にメモ用紙などを用意して、そこに自分の人生で絶対に必要なものを3つ決めて、書き出してみましょう。自分の人生にとってこれは欠かせない、これは必要だ、これがないとワクワクしないというものを3つ挙げ、優先順位を決めて書く。その3つに関してはいくらお金を使ってもかまわないと考えます。
もちろん、ここでいう「もの」は「物」ではなく、「やりたいこと」でもかまいません。そして、この3つが書き出せたら、次にかかる費用や実現するための計画を検討し、書き加えていくのです。
その中に必ず「好きなこと」「得意なこと」が含まれています。
ちなみに、この3つがなかなか出てこない人は、自分にとって必要なものがわかっていない状態です。そのままで生きていくのは、店に行くたびに中身も値札もわからない商品を買っているようなもの。再び本書の冒頭に戻って、「自分は何をやりたかったのだろう?」「どんなことが好きだったのだろう?」というステップを踏んでみてください。
【感想】
◆「好きなこと」を「お金」ないしは「仕事」にする、というテーマは、自己啓発系の作品としては、今まで何冊も目にしてきました。古くは本田健さん辺りが有名ですし、「天職」という概念も含めると、かなりの数になると思います。
その中にあって、本書が特徴的なのが、主張が海外の研究等のエビデンスに基づいていること。
いわゆる「科学的自己啓発書」の流れに沿っているワケです。
ただし、最近のDaiGoさんの作品に比べると、脚注や参考文献の列挙が甘いのですが、これは元となる単行本が、エビデンスチェッカーである鈴木祐さんと組む前に書かれたものだからでしょう。
いずれにせよ、こうした文献や特に書籍を読むことは、DaiGoさんにとってはまったく苦ではなく、本を買いまくって読みふけるのが「好きなこと」のよう。
そして、その読書で得た知識を、本を書いたりニコニコ動画で解説することが、今のDaiGOさんにとっては、まさに「『好き』を『お金』に変える」ことなのだそうです。
◆さて本書は、第1章にて「お金の使い方」を指南。
上記ポイントの2番目もそこからなのですが、文中の「2つのお金の使い方」というのは、その前で触れられている「一時的な喜びが得られる単なる消費」と「将来、収入という形で戻ってくる可能性のある投資」を指しています。
このポイントの2番目のTIPSを理解していないと、ひたすらお金を貯めることになってしまい、まさに今の日本がそうだな、と。
特に目先のお金を惜しんで、自己投資しないと、成長するチャンスも失われてしまいます。
身も蓋もない言い方になりますが、仮に月収が20万円、ボーナスが年間100万円の若い会社員がコツコツ貯金をしたとしても、年間に貯められる額には限界があります。さらには、このお金を投資することで、自分のスキルや知識を高めて仕事につなげ、それによってさらに多くのお金を稼ぐことを繰り返すのを「無限ループ」と命名しているのですが、詳しくは本書にて。
それを何年も繰り返すくらいなら、月収を30万円、50万円に伸ばしていくためにはどんな自己投資が必要か。今の自分に最も役立つお金の使い方を真剣に研究するほうが、将来のリターンは大きくなります。
◆ではその「好きなこと」を見つけるにはどうしたらいいのかが述べられているのが、本書の第2章です。
本書では「『好き』を探り出す「9つの質問」』なるものが登場。
ネタバレ自重ゆえ、今回は割愛しましたが、大事なのは「フロー」に入れるか否かのようです。
というわけで本書はさらに「フロー体験の8つの構成要素」を紹介。
フロー (心理学) - Wikipedia
上記ポイントの3番目も、そのフローに入るためのコツを述べている次第です。
◆続く第3章では、いよいよその「好きなこと」をマネタイズさせるためのポイントを列挙。
具体的には以下の5つになります。
・人に知ってもらうそれぞれに関して、エビデンスが掲載されており、説得力はありました。
・人を助ける
・「好きなこと」で「貢献」する
・「弱いつながり」こそ大切にする
・決断は「直感」を信じる
ただし、それだからこそ、キチンと脚注として載せておいて欲しかったところ……。
◆そして最後の第4章では、上記の「無限ループ」が同じ場所をグルグルせず、螺旋階段のごとく上に上がっていくための「再投資のルール」が7つ紹介されています。
上記ポイントの4番目も、この第4章からなのですが、ちなみにDaiGoさんが「自分なりの物差し」で測った最良の再投資方法が「読書」なのだとか。
なんでもDaiGoさんは、当ブログでも激プッシュしている『影響力の武器』を学生時代に2000円程度で手に入れて、その学びを実践したところ、「少なくとも1万倍以上儲けているはず」なのだそうです(スゲー!)。
ちなみにこの本、現在出ているのはこちらの第3版なのですが。
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報】『影響力の武器[第三版]』がいよいよ登場!(2014年06月09日)
どの版も日本では権利の関係で電子化されていないので、Kindleで読みたい方は、第2版を翻訳し直したこちらをご検討いただきたく。
影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく
「好き」を「お金」に変えたい方なら、要チェックの1冊!
「好き」を「お金」に変える心理学 (PHP文庫)
第1章 お金を遠ざける3つの誤解
第2章 「好きなこと」を見出す
第3章 「好きなこと」をマネタイズさせる5つのポイント
第4章 さらなる稼ぎを生み出す7つのルール
【関連記事】
「その科学が成功を決める」がもっと評価されるべき5つの理由(2010年03月23日)【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)
【地位財?】『幸せとお金の経済学』ロバート・H・フランク (著), 金森重樹 (翻訳)(2017年12月28日)
【ブームの秘訣?】『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん(2017年05月03日)
【科学的自己啓発書】『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』エリック・バーカー(2017年10月27日)
【編集後記】
◆昨日の「Kindle本夏のセール」の小学館編で人気だったのはこの辺でした(順不同)。サカナとヤクザ 〜暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う〜
英語の仕事術〜グローバル・ビジネスのコミュニケーション〜
やってはいけない歯科治療(小学館新書)
参考記事:【歯科治療の真実?】『やってはいけない歯科治療』岩澤倫彦(2018年09月24日)
アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本
宜しければご参考まで!
【編集後記2】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。新装版 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)
この本が対象となっていて、「もしや?」と思ったら、御巣鷹山に日本航空123便が墜落したのが、1985年の今日、8月12日でした……。
若い読者のための経済学史 【イェール大学出版局 リトル・ヒストリー】
こちらは定価が高いこともあって、それ見合いの中古も高く、結果Kindle版が1100円強、お得な計算です。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ
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