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2019年08月03日

【文章術】『文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う』下良果林


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文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日とりあげた8月の月替わりセールからの文章術本。

著者はフリー編集者やフリーライターとして活躍後、企業のウェブページやメルマガ執筆で実績を上げて、独立起業されたという下良果林さんです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
実は、書いたあとに「ある作業」を加えることで、文章が見違えるように読みやすくなります。
本書では、その「ある作業」すなわち「推敲」の重要性、推敲に関する具体的な10のポイントに加え、推敲の手間を減らす文章力の磨き方などを、あますところなくレクチャーします。

中古が定価を大きく上回っていますから、「76%OFF」のこのKindle版が1200円以上お買い得となります!





Write Me / Damian Gadal


【ポイント】

■1.書いた後に接続詞を見直す
  接続詞とは「ここで話を補足しますよ」「ここで話が変わりますよ」「前の内容とは逆の内容を、以下に示しますよ」という書き手の意図を明確にするものである、といえます。さらに言えば、そのように書き手の意図をアピールしなくても意味が通じるのなら、敢えて入れる必要はないものであるということが、おわかりいただけるのではないでしょうか。本当に入れる必要がある接続詞なのか、書き終えたあとに見直す作業が重要です。(中略)
 あなたが最近読んだ本に接続詞がどれくらい用いられたか、思い出してみてください。驚くほど少ないはずです。著者が意識して書いているか、編集者がバッサリ削除しているかのいずれかでしょう。私も編集の立場として、著者さんの原稿に手を入れることがあります。接続詞がなくても意味が通じると感じた場合は、原稿の該当箇所を削除するようにしています。


■2.書いた内容を一度忘れる
 村上氏は、いったん書き上げた原稿をしまい込み「そんなものがあることすら忘れて」しまうほど放置するといいます。書き上げてすぐの状況では、自分の文章を客観的に見直すことが難しいからです。もちろん執筆疲れもありますし、頭の中で「書きたい内容」が鮮明に残っているままだと「まったくその内容を知らない他人の視点」で文章を読み返せるはずがありません。ですから、文章執筆後少し経過し、書いた内容を若干忘れているくらいの状態で読み返すことが必要なのです。
 記憶の曖昧さでいえば、できれば「ああ、こんなこと書いたかなぁ」くらいの状況で読み返すのがいいでしょう。「いやもう、書いたということすらすっかり忘れてしまった」くらいの状況ならなお良いです。書いた本人が、その内容を事前に知る由もないはずの読み手になりきって読み返すのですから、忘れていればいるほどいい、というわけです。


■3.「……も」という助詞止めは避ける
 余談ですが、原稿作成時に「……も」という助詞止めを使ったところ、クライアントから「……も、で止めないでほしい」と言われたことがあります。「……もあります」「……もできます」などのように最後まで言い切るように、との指摘でした。
◆例文:  
肌の弾力を支えるコラーゲンを配合しました。また、うるおいを保つヒアルロン酸も。
 ヒアルロン酸も「配合している」のか「配合していない」のかわからない、と受け取られかねません。
◇推敲後:
肌の弾力を支えるコラーゲンを配合しました。また、うるおいを保つヒアルロン酸もプラス。
 あるいは、
肌の弾力を支えるコラーゲンに、うるおいを保つヒアルロン酸も配合しました。
と直せます。


■4.意味の重複に気をつける
 意味の重複がないかどうかも注意しながら書いてください。「約半数ほど」の「約」はおよそ「ほど」は度合いを示すので、どちらも同じ意味といえます。「約半数」か「半数ほど」とします。「全職員総出で」の「総出」とは全員が出ることを意味しますので「職員総出」が正解です。「毎日が仕事に追われ余裕がない日々」はどうでしょうか。「毎日」と「日々」は類義語です。「毎日仕事に追われ余裕がない」あるいは「仕事に追われ余裕がない日々」とするのがいいでしょう。「毎日」は一般的に用いられるもの。「日々」は改まった場合に用いられることが多いため、使い分けするのもおすすめです。
「普段何気なく使っている言葉が正しいか」「この意味でのこの言葉は適切か」を常に意識することが、推敲不要な文章に仕上げる近道といえます。


■5.「意地悪な読者」になりきる
 外山滋比古氏は『知的文章術』の中でこう説いています。
「書き上げたら、こんどは意地悪な読み手になったつもりで、読み返す。わかりのいい友人のような読み方をしては、いい推敲にならない」(中略)
 辰濃和男氏も『文章の書き方』でこのような言葉を紹介しています。
「よく引用されることですが、英文学者の中野好夫に『あんたのおばあさんが聞いてもわかるようにちゃんと訳してくれ』という言葉があります。教室で学生にいった言葉だそうです。英米文学者の佐伯彰一はこれを『万古不易の翻訳論の名言』といっています」(中略)
「どれだけ手を尽くせば、読み手にわかってもらえるだろうか」というスタンスで直す。どんなに些細な箇所でも、迷ったら見逃さず手を入れる。自分の文章を、ちょっと意地悪に見直してみることが肝心です。
「これくらいならわかってもらえるのではないか」と自分を甘やかさず、厳しく意地悪な目で、しっかり読み返しましょう。


【感想】

◆非常に真っ当な「文章術本」でした。

あざとくもなく、奇をてらうでもなく。

そういう意味では、他の文章術本とあまり違いがないのですが、そんな中、本書がフォーカスしているのが「推敲」という行為です。

思い返してみると、Twitter等のSNSで、それほど深く考えもせず投稿をしていると、推敲自体したことがない、もしくは滅多にしない、という人がいても不思議ではありません。

実際には、Twitterこそ後で修正できませんし、タイプミスを結構目にしますから、それだけ推敲していない人が多いのでしょうけど。


◆そこでまず本書の第1章では、推敲の必要性について言及。

ここでは文学界の大御所たちの、推敲に関する意見やテクニックが紹介されています。

たとえばスティーヴン・キングが採用していた「原稿見直し法」がこちら。
「公式――二次稿=一次稿マイナス 10%」
ほかにもキングの文章に関する考え方が収録されているのが、この本です。

4094087648
書くことについて (小学館文庫)

またこの章では、以下の作品からも「金言」が引用されていました。

4479306641
知的文章術~誰も教えてくれない心をつかむ書き方 (だいわ文庫 E 289-5)

4101001693
職業としての小説家 (新潮文庫)

詳しくはこれらの本に直接当たっていただいてもよいのですが、Kindle版が出ていないので、まずは本書をお読みいただければ、と。


◆続く第2章では、推敲で直されがちな文章のパターンが登場。

上記ポイントの1番目の「接続詞が多すぎる文章」も、その1つです。

ただし、書きながら文章の流れを作るために接続詞を使っている人の場合は、いったん使ってから必要なもののみ残して、後は削れ、とのこと。

他には「主語と述語のねじれ」や「無駄が多く長いだけ」といった辺りも、意外と気をつけたいところです。

……私自身、そのままブログで投稿してしまい、後から気がついてそっと直したこともありますが。


◆そして第3章では、いよいよ具体的な推敲テクニックが列挙されています。

上記ポイントの2番目の「書いた内容を一度忘れる」も、その1つ。

ちなみにここで出てくる「村上氏」とは村上春樹さんのことで、この手法も上記の『職業としての小説家』からのものになります。

ほかにも「音読する」「『表記ゆれ』を統一する」といったTIPSが登場しますから、気になる方は本書にてご確認ください。

さらに次の第4章では、「慣れたら試してほしい『推敲テク』」が5つ登場しており、上記ポイントの3番目はこちらからのもの。

文末に変化を加える(「〜です」「〜です」のようにならないために)ことは、私も日頃から意識していますが、「体言止め」以外のテクニックが豊富で、参考になりました。


◆なお、本書を擁護するワケではないのですが、本書の低評価のアマゾンレビューで「専門用語はなるべく使うなと言った直後に、『キュレーションメディア』という言葉が何の説明も無く使われている」「私なら『まとめサイト』のように言い換える」とあるのですが、それは本書の
少し前、ヘルスケア情報キュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」が他サイトの記事を無断で転載しているのではないかと問題になったことがありました。
という部分を指すのでしょう。

ただ「キュレーションメディア」って、WELQ自体がそう「自称」しているんですよね。

welq(ウェルク) - DeNAが運営する、ヘルスケア情報のキュレーションメディア | 最新の人気Webサービス・アプリが見つかる Service Safari

確かに知らない人には意味が分かりにくいでしょうけど、それって高城剛さんに「ハイパーメディアクリエイター」と名乗るな、というようなものですし、この文脈で勝手に「まとめサイト」と呼ぶのもヘンでしょう(そもそも「まとめサイト」という呼称も微妙ですし)。

また同じレビューの句読点の使い方に関する部分で、「『長い主語のあとに読点を打つ』というルールに至っては、むしろ逆であろう。長い主語のあとに短い述語が続く場合、読点は義務的ではなくなる」とあるのも、「重箱の隅」な気がします。

その部分を引用すると
特に「長い主語」のあとに入れるのがいいでしょう。どこまでが主語なのか読み手に示します。
◆例文  
母親の一番下の弟は、いま祖母と一緒に暮らしている。
となっており、私は読んでいて、特に違和感はありませんでした。


◆そんなことより、本書は単行本だと166ページで1620円もしますから、そちらの方がいかがなものかと(オンデマンドなのでしょうがないのでしょうが)。

ボリューム的には新書並みですから、本来、半値の810円から1260円くらいの方が自然ではないでしょうか?

その点、今回のセールにおける「378円」というお値段なら、「買い」だと思います。

ただし、私自身が推敲にかけられる時間というのは、申し訳ないのですがあまりないワケでして。

実際のところ、かつては自分が納得いくまで書き直してから寝ていましたから、睡眠時間は毎日4時間半ほどでした。

さすがに年を取ってそれではキツくなってきたので、現在はこの「感想」以外の部分を全部仕上げて、5時間半寝てから続きを書いていますから、1時間分「詰め」が甘くなった次第。

なお、本エントリーも、本書に則った推敲はしきれておりませんので、ご了承ください(ダメじゃんw)。


読みやすくわかりやすい文章に仕上げるために読むべし!

B07GX9WNGR
文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う
第1章 なぜ「推敲」が必要なのか
第2章 こんな「ノー推敲」文章は嫌われる!
第3章 今すぐできる「推敲テク」5選
第4章 慣れたら試してほしい「推敲テク」5選
第5章 「そもそも推敲不要な文章」に近づけるテク3選
第6章 推敲に困ったら


【関連記事】

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【語彙力?】『大人の語彙力大全』齋藤 孝(2018年01月17日)

【実践的】『文章は「書く前」に8割決まる』上阪 徹(2011年09月26日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」は、当ブログ向きな作品がわんさか!?

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