【整理術】『“オフィスのプロ”だけが知っている　キングジム人も組織もうまくまわりだす超整理術213』キングジムファイリング研究室:マインドマップ的読書感想文

2019年07月22日

【整理術】『“オフィスのプロ”だけが知っている　キングジム人も組織もうまくまわりだす超整理術213』キングジムファイリング研究室

“オフィスのプロ”だけが知っている　キングジム人も組織もうまくまわりだす超整理術213

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「夏の読書応援フェア」の記事の中でも個人的に読みたかった整理術本。

以前コクヨ版の方はレビューしていますから、これで文具界の両雄が並び立った次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

“オフィスのプロ”だけが知っている、職場の片づけ全技術を大公開！
個性派文具メーカーのキングジムが、長年培ってきた整理収納のコツをTips集として１冊にまとめました。

なお、中古があまり値下がりしていませんから、送料を加算するとKindle版が600円弱、お買い得です！

File cabinets. Think of the stock opportunities. / jessica mullen

【ポイント】

■1.ファイリング成功の「三識（意識・知識・組織）」

　意識とは、「ファイリングをしよう、やるべきという志」。これがないと、どうにもなりません。意識を高く持っていられれば、多少面倒なことがあっても容易には投げ出さず、整理を習慣として続けることができます。
　知識とは、「ファイリングを推進するためのノウハウや、ファイリングをしないとどうなるかなどファイリングにまつわる知識」。大まかにいえば、テクニックです。
　テクニックをいくら知っていても意識が欠けると実行に至りません。
　高い意識と知識が揃って初めて効率よく実行し、継続することができます。(中略)
　最後の組織は、前述した通り、強制力として働きます。ファイリングシステム導入後は、組織として定期的にチェックをして、意識が足りずにこぼれ落ちた人を救い、スケジュール通りにサポートして、知識不足の人への指導を行ないます。

■2.机が散らからない「仕掛りファイリング」

　前述した通り、仕事をしているとき机の上にあるのは「仕掛りBOX」と、そこから出した「仕掛りホルダー」だけという状態にしてください。これが現在進行中の仕事の情報を整理・管理し、業務効率アップを図る「仕掛りファイリング」のシステムの基本です。
　進行している案件は「仕掛り案件」として、案件ごとにその書類をひとつのクリアーホルダーにまとめて入れます。これが仕掛りホルダー。1案件1ホルダーを鉄則としてください。
　書類や資料を挟んだ仕掛りホルダーは、仕掛りBOXに立てて管理します。ホルダーに見出しをつけ、すべての案件に目が届くように立てておくことが大きなポイントです。
　机の上に広げるのはひとつの案件だけ。複数の案件を広げず、文書、情報が混ざらないようにします。
　仕掛りBOXを見て案件ごとの優先順位をつけ、順番に取りかかります。(中略)
　外出時、退社時には、仕掛りBOXを共有什器の所定の位置に戻します。
　これによって机は散らからずに仕事ができ、クリアデスクを実現できるのです。

■3.離席中も机が散らからない「MAILファイリング」

　離席している間に机の上の状態が変わっていることはよくあるでしょう。
　その主な原因は回覧文書。部署内で回覧する文書が、書類の上にぽんと置かれてしまう状態です。
　机の上がきれいな状態であれば問題ありませんが、さまざまな案件の書類が積み重なっていたりすると、たちまち混沌としてほかの書類に紛れるリスクが高まります。
　こうしたリスクは、回覧文書のみならず、外部から届いた文書、郵便物などでも同様に起こる事態です。そこで、そうした文書は離席中でもすべて「MAIL BOX」に立てて入れておいてもらうようにするのです。
　回覧する文書などが外部から部署に届いたら、受付のMAIL BOXに入れられ、そこから各メンバーのMAIL BOXを回っていき、最後は回覧済みのMAIL BOXに行き着きます。
　メンバーはそれぞれがMAIL BOXに何か届いていないか常にチェックし、空の状態を保って書類が停滞しないように気をつけます。
　オフィスを見渡せば、どこで停滞しているか、誰がまだ見ていないかも一目瞭然という便利なシステムです。

■4.定型業務は期限、発生日をフォルダーに表示

　今やるべきことが明確になったら、後回しにする業務が滞りなくできるようにあらかじめ手当てしておきます。そうすることで、雑念を払って頭の中をクリアにし、今やることに集中するのです。
　やり方はいたって簡単。後回しにする業務ごとにクリアーホルダーを用意し、いつ、どう作業をするかを明記しておくのです。パッと見ただけですぐにわかるようにしておけば、安心していられるでしょう。(中略)
　クリアーホルダーには、以下の事柄を記載します。
①その業務はいつ発生して、何を必要とするか。
②いつまでに処理して、次のどの工程に渡すか。
　また、作業上のポイントをまとめたメモや付箋は、クリアーホルダーに収めます。

■5.紙文書の電子化コストをどう見るか？

　もともと紙文書として保管していたものを電子化するには、時間も手間もかかります。
　機材としてスキャナ（画像読取り装置）が必要ですが、最近はプリンタ機能、コピー機能に加えスキャナ機能も併せ持つデジタル複合機が普及しています。
　スキャニング作業は、次のような作業工程をたどります。
①原稿（紙文書）の準備
②読み取り設定
③読み取り（スキャニング）
④読み取り結果の確認、保存
⑤保存ファイル名の変更
　問題があるとすれば、用紙のサイズがバラバラだったり、モノクロ原稿とカラー原稿が混ざっていたりすると、その仕分け作業に、さらに時間がかかることです。紙文書を廃棄せず、元に戻す作業を要するケースもあるでしょう。
　電子化の作業を外部の業者に依頼する方法もありますが、文書の量によっては数百万円、数千万円といった費用が発生します。だからといってこのコストを省こうと社内で電子化を行なう場合、膨大な時間を要することを十分に心しておかなければなりません。
　すべての紙文書を対象にして電子化の作業にあたるよりも、本来の業務を優先しながら、どの業務プロセスを電子化するとコスト削減できるのか見極めるほうがいいでしょう。

【感想】

◆ちょっと長くなってしまいましたが、この辺で。

まず著者である「キングジムファイリング研究室」さんというのは、アマゾンによると、このような肩書となっておりまして。

業務の見える化、オフィス環境の改善、情報セキュリティ対策や内部統制対策の一環としての取り組みなど、業務効率向上に役立つファイリングシステム構築を支援するコンサルティングを行っている。導入実績は、自治体、製造業、金融機関、通信事業など多岐にわたる。

なるほど、キングジムさんの社内のみならず、対外的な指導もされているようです。

そのせいか、過度にファイリングさらには自社製品を持ち上げることもありません。

……と言いますか、本書内には商品番号どころか、製品名すら出てきていないという。

ちなみに、本書を読んで初めて知ったのですが、皆さんオフィスでも一般的に使っているこの製品。

ｗinkong クリアホルダー A4 40枚パック5色×8枚高透明カラー

「クリアフォルダー」というのは誤りで「クリアホルダー」が正しい名前。

この「フォルダー（フォルダ）」と「ホルダー」とは実は全く違うものになります。

スペルから理解すると分かりやすいと思うので、こちらのサイトをご紹介。

フォルダー（【folder】:畳む）とホルダー（【holder】:保存する）│身近な英語で単語を学ぶ【MIJITAN】

◆第1章で、整理術やファイリングの重要性を理解したところで、第2章では「机周り」を整理。

目指すところは「電話等の必要最低限のものしか置かれていない」状態であり、このようなボックスファイルを使い、書類もすべて「立てて」整理することを推奨されています。

キングジムボックスファイル Gボックス PP A4E 100mm 10冊 4633N グレー

そのせいなのか、オフィスでは良く見かけるレタートレーが登場しないのが意外でした。

また机を広く使うために、こんな感じの「デスクボード」も活用せよとのこと。

モニター台デスクボード USBポート付きガラス天板キーボード収納机上卓上 (グレー)

他には机の引き出しの整理方法等にも触れられていますが、この辺は類書とも内容的にそれほど違わないと思います。

◆ただし、本書らしさと言えるのが、上記ポイントの2番目の「仕掛りファイリング」や3番目の「MAILファイリング」。

「仕掛りファイリング」の「1案件1ホルダーを鉄則」というのは、可視化の面でうなずけるところです。

また、このホルダーは「仕掛りBOXに立てて管理」せよ、とのこと。

そして退社時には、「仕掛りBOXを共有什器の所定の位置に戻す」（＝翌朝、共有什器から持ってくる）ことで、「クリアデスク」が実現するワケです。

一方、「MAILファイリング」で使う「MAIL BOX」は、回覧文書や郵便物を入れるもの。

確かに部署内に多くの人がいる場合は、こういう「やりとり用の場所」を決めておかないと、机がごちゃごちゃになりそうですね。

◆意外だったのが、本書の第4章ではデジタルデータについても取り扱っていたこと。

……キングジムさんだと、この分野は関係ないどころか、むしろ自社製品の売上低下に繋がる気がするのですが、さすがにテーマ的に避けられなかったのかもしれません。

ただし上記ポイントの5番目にあるように、スキャンするならその工数がかかりますし、アウトソーシングすれば費用がかかります。

よく「ペーパーレスオフィス」と言われますが、上記のようなコスト面と、それで得られるリターンを比較するべきではないでしょうか？

ちなみに、私の本業でも法的に書類の保存期間は決まっているので、ほぼすべての書類を10年間保存していますが、実際に使ったことがあるのは、過去3年内（まれに5年内）しかありません。

もちろん電子化すれば出先で見られるというメリットはありますが、そこまで急ぎで必要なことはないので、基本的に全部紙ベースで保存しています。

というわけで、引き続きキングジムさんのファイルにはお世話になる次第。

どうせ読むならセール期間内にぜひ！