2019年07月11日
【プレゼン】『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』リップシャッツ信元夏代

20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だったプレゼン本。著者のリップシャッツ信元夏代さんは、純ジャパながら「全米全米プロスピーカー協会プロフェッショナルメンバーにも認定されている」という方です。
アマゾンの内容紹介から。
マッキンゼーの戦略コンサルタントを経験し、ニューヨークのスピーチ大会を4連覇、世界トップ100に入った日本人プロスピーカーが教える、ロジカル思考×ストーリー。プレゼン・会議・営業・面接で初対面・アウェイでも“相手が動き出す”伝え方。
なお、中古は定価を大幅に上回っていますから、「20%OFF」のKindle版がオススメです!

Presentation / TerryJohnston
【ポイント】
■1.伝えることは1つに絞る私自身がパブリックスピーキングを学ぶときに、コーチを買って出てくれたジャニスから、まず徹底的に指導されたのが、メッセージをひとつに絞ることでした。
「ナツヨ、それで結局、なにがいいたいの? スピーチの中にメッセージが2つあるわ。どちらが伝えたいこと?」
自分ではいいたいことを詰めこんでいたつもりでしたが、実際に指導されたのは、要らないことを「削ぎ落とす」作業でした。
どんなスピーチでもプレゼンでも、この一点が聞き手に伝わって欲しいというメッセージがあるものです。
その「たったひとつの大事なメッセージ」をブレイクスルーメソッドでは、ワンビッグメッセージ(One Big Message)と呼んでいます。
言いたいことをたったひとつのワンビッグメッセージに絞りこむことで、格段に相手に伝わりやすくなるのです。
しかも大事なのは、ワンビッグメッセージを「20字で語る」ことで、より明確に、意図したとおりに伝わるのです。
■2.失敗談こそ語る
たとえば禁煙セミナーだったら、一発でタバコをやめられた意志の強い人よりも、かつては喫煙者で何度も禁煙に失敗した人が、紆余曲折がありながらもこうやったら成功したと語るほうがはるかに説得力もあり、自分にもできそうだ! と思えることでしょう。
「私がこれだけの業績をあげた」というよりも、その業績をあげるに至ったプロセスを語り、どんな苦悩があったのかをオープンに共有すれば、聞いている人にとっては「自分も参考にできる」「自分もマネできる」ものとなって共感を得るのです。
ブレイクスルーメソッドでは、ストーリー作りのために「4つのF」を提唱しています。Failure 「失敗」「こうした一見ネガティブなことが、じつは聞き手にとっては興味を引かれる、自分も同調できるストーリーとなるのです。
Frustration 「不満」
First 「初めての体験」
Flaw 「欠点」
■3.オープニング時点で聞き手に約束する(ビッグプロミス)
例文をあげてみましょう。「このプレゼンが終了する1時間後には、皆さんは明日から使えるスピーチの3つのコツを習得しています」プレゼンが終わる時には、明日から使えるコツを3つ習得できているという約束があるため、聞き手はそこに向かって関心を持つことになります。自分にとっての利益を約束してもらったら、興味が高まりますよね。
もしこれを「自分視点」で語ったとしたら、「今日はスピーチの3つのコツについてお話ししたいと思います」となってしまって、聞き手にとっては、ぐっと引き込まれる度合いがさがってしまいます。
ビッグプロミスは、あくまで「聞き手視点」で、聞いている人にとってのプラスを約束してあげるのが大切です。
■4.印象は7秒、おもしろさは30秒
第一印象という言葉がありますよね。
最初にパッと目に入る表情、身なりなどが大きく印象を左右するわけですが、スピーチでは、最初の7秒になにをいうかで決まります。
マイナスに作用するのが、まわりくどい挨拶をすること。
スピーチに立つ時に、つい丁寧にしようと思って「このような名誉をいただきまして、まことに恐縮です」といった長たらしい挨拶をする人もいますが、これは聞き手をうんざりさせます。(中略)
そして話が始まったところで、聞いている側は、30秒で話がおもしろいか、おもしろくないかを判断するとされています。
たった30秒です。ほとんどの話は、プレゼンだろうが、セールスだろうが、発表会だろうが、30秒内という短い時間で判断されてしまう。30秒内に相手を引きこむことができることが課題となるのです。
これを7秒―30秒ルールといいます。
■5.「廊下テスト」でひとりに話しかける言葉遣いにする
何百人に向かって話す場合でも、廊下で誰かとすれ違ったときにその人に話しかけるような言葉のチョイスで「会話」をすることで、その何百人全員が、「私だけに話しかけてくれている」と感じることができます。
廊下で誰かとすれ違った時、その人に話しかけているように話し言葉になっているか、それをチェックすることを「廊下テスト」と私は呼んでいます。
たとえば次のふたつを比べてみましょう。
「長崎に行ったことがある方はいらっしゃいますか?」
廊下ですれ違った人にこんな尋ね方はしませんよね?
そうではなく、
「長崎に行ったことがありますか?」
と尋ねるほうが、個人に向けられる言葉になりますよね。
「廊下テスト」にかけてみると、大勢に話しかけている言葉になっているか、ひとりに話しかけている言葉遣いになっているか判明します。
【感想】
◆プレゼン本は結構読んできたつもりでしたが、本書はかなりハイライトを引いてしまいました。まず第1章では、「言いたいことが伝わらないのか」についての検証が。
上記ポイントの1番目はまさにそこからであり、一般的なプレゼンでは、伝えたいことが多すぎて、絞り切れてないことが多いそうです。
絞る理由は、メッセージが長いと解釈の余地を与えてしまうから。
特に日本のように、ハイコンテクストな文化だと、その危険性はより高くなるでしょう。
◆同じく上記ポイントの2番目の「4つのF」も、この第1章からであり、普通なら「私はこんなにすごいんです!」とやりたくなるのを戒めています。
たとえば本書では、婚活アドバイザーのプロモーションの例を挙げているのですが、最初はこんな感じでした。
それまでバリキャリで仕事に打ち込んでいましたが、ある日結婚をしたいと思って婚活を開始し、たった3ヶ月でお目当ての人とゴールインし、その1年後には子供も生まれ、仕事も子育ても充実しています!……このように自慢されても、「なら私も!」とはならないのではないでしょうか?
仕事も婚活もバリキャリです! こんな私の成功術をぜひ皆さんにもおすそ分けしたく、私自身、婚活アドバイザーとして独立しました!
本書ではこの具体例の添削を掲載しており、確かに「4つのF」を入れた方が、説得力が見事に増加!
本当はここに載せたいのですが、それなりに長いので、泣く泣く割愛させていただきます(すいません)。
◆一方、1つ飛んだ本書の第3章では、プレゼンの構成について指南。
特に私が「なるほど!」と思ったのが、オープニング部分のお話です。
本書によると、オープニングでは以下の3つの要素を入れるとのこと。
「The Bang!」(バーン!)最初の「バーン!」はいわゆるツカミであり、インパクトが大切です。
「Big Promise」(ビッグプロミス)
「Roadmap」(ロードマップ)
2番目の「ビッグプロミス」は、上記ポイントの3番目で触れていますが、ここで大事なのは「聞き手視点」で述べること。
……フツウだったら、引用部分の後半にある「自分視点」で述べちゃいますよね?
また、最後の「ロードマップ」は、その名のとおり「道筋」ですから、こちらは意識されている方も多いことかと。
これを意識していると、外国人のプレゼンの冒頭で、見事この3つを踏まえていることが分かります。
「我が社はこれまで市場拡大してきましたが、今、限界が来ています(バーン!)。まさにそのまんま!
しかし限界を突き破る方策がひとつあります。A社の買収です(ビッグプロミス)。
今日はなぜA社を買収すべきか、大きな理由を3つ述べます(ロードマップ)」
◆なお上記ポイントの4番目の「7秒―30秒ルール」というのは、私は初耳でした。
そう考えると、プレゼンの冒頭で、形式的な挨拶をすることが、いかに意味がないどころか、マイナスに働くことがわかります。
本書では、「7秒で惹きつけるオープニング」の手法を4つ紹介していますから、こちらはぜひ押さえておいていただきたく(詳細は本書を)。
同じく上記ポイントの5番目の「廊下テスト」も、本書で初めて知りました。
なるほど、このテクを使えば、「自分だけに話しかけてくれている」と思わせられることも可能だと思います。
本書では指摘されていませんが、これはプレゼンだけでなく、セールスレター等を書く際にも応用できるのではないでしょうか?
テクニック盛りだくさんのプレゼン本です!

20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす
第1章 なぜ、言いたいことが伝わらないのか
第2章 聞き手視点の情報整理
第3章 何を伝えるのか
第4章 どう心をつかむのか
第5章 プレゼンの出来を左右するデリバリー
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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【編集後記2】
◆昨日の「プライムデー Kindle本セール」追加分(その3)の記事で人気だったのは、この辺でした(順不同)。
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参考記事:【メモ術?】『記憶力日本一を5度獲った私の奇跡のメモ術』池田義博(2018年06月08日)

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