2019年06月20日
【マネジメント】『気づかせる技術 部下が自分で考えて動き出す』鳥原隆志
気づかせる技術 部下が自分で考えて動き出す
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。「インバスケット」でおなじみの鳥原隆志さんが、31のマネジメントTIPSを指南してくれています。
アマゾンの内容紹介から。
「で、どうしたい?」「君らしくないね」「私にもわからない」人は自分で気づかないと絶対に変わらない。15000人の行動を変えたインバスケット式“気づきマネジメント”。
中古価格がが定価の倍近くしますから、「20%OFF」のKindle版がお買い得です!
Why and how to delegate works: Vi sao cần va ủy thac cong việc như thế nao? / Nguyen Vu Hung (vuhung)
【ポイント】
■1.気づきとは思い込みを破ること気づかせるということは、その人の持っている思い込みを破ることなのです。
絶対的な正解があったとしても、それを指摘することで相手が行動を変える、ということはまずない、と思ったほうがいいということです。(中略)
人を変化させようとした時に外部の刺激で変わることはありません。
もちろん、命令などで一時的に行動を変えさせることはできますが、それは本質的に変わったものではないのです。ですから、まずその方が持っている「思い込み」を解きほぐすことから始めるのが、気づかせる技術の大前提なのです。
答えを押し付けるよりも、思い込みを破れば、その人は答えを求めてきます。
思い込みの枠組みを破って、自分自身で答えを取りに来させるのが気づきのマネジメントなのです。
■2.反省と否定の違いを認識する
チーム全体を危険に陥れるような失敗や意図的な失敗などは部下に反省を促さなければなりません。その際に注意をしなければならないのは、相手を否定することと反省させることは異なるということです。
反省とは自分の思考方法や行動パターンなど事実に対して行われるもの、否定は自分自身の人格や可能性など存在自体に対して行われるものです。
反省を促す側が行動面に対して話したとしても、人格やその人自身を否定していると相手に捉えられると、防御態勢に入り気づきに繫がらなくなります。
特に気を付けなければならないのは、誰かとの比較です。
できていないところをわからせるには効果的な手法ですが、相手を否定することにもつながるので注意が必要です。
■3.フィードバックの5つのポイント
●2つの原則――「フラット」と「事実」フラットは立場のことです。上司として評価を伝えるのではなく、同じ視線で部下のがどのような状態か、その仕事がどのような影響を与えるかを伝えます。●耳の痛いことだからこそ具体的に伝える
もう1つは「事実」を伝えます。考えや感想ではなく、事実をフィードバックします。相手が嫌がる情報は、どうしても配慮を入れたり、まろやかに伝えようとするのが私たちです。しかし、フィードバックは事実を具体的に伝えなければなりません。●鮮度のよいフィードバックを事実であっても1年前の出来事を持ち出すとせっかくのフィードバックも効果が薄くなります。ですから事実は早いうちにフィードバックをするといいでしょう。●言葉選びは慎重に感情が入ると批判的な言葉が出てしまいます。相手が受け入れやすい言葉を選びましょう。●計画を立てる事実をフィードバックして「頑張ってください」で終わるとフィードバックの意味がありません。軌道修正の具体的なアクションプランを一緒に作っていきます。
■4.無言は最高の気づきの方法
気づきを与えるためには無言は非常に効果的です。特に、反省や自省を促すのにはもってこいです。もちろん、前提として何を反省するのかを相手が把握していることが必要にはなります。
この無言は一人に対してだけではなく、多くの人間が相手でも効果があります。
たとえば、会議中にざわざわした時は、あえて「静かにしてください」と言わず、話を途中でやめて静かになり切るまで待ちます。
今まで話していた人が無言になると、何が起こったのだ、と聴衆は違和感を覚えて、自分たちも静かにして、雑談していた行動が良くない行動だったと気づくのです。
こうすると、次から雑談をする人は極端に減るのです。
■5.事実と主観を分けさせる
気づきを阻害する原因は「思い込み」とお話ししました。
この思い込みは事実と大幅に違っているものが多いのですが、主観が強い方にとって客観的事実よりも自分の主観が勝っているので、事実が歪曲して見えるわけです。
数字のデータで示しても、納得しない、それは主観が強いからです。
その強い主観は周りからの刺激さえもはねのけます。
「それは君の思い込みじゃないか」と言われると、さらに防御態勢になるのは言うまでもありません。
ですから主観を持っている方に主観を指摘するのではなく、本人に事実が何であって、主観が何なのかを分けさせることで気づくこともあります。
ポイントは自分で事実と主観を分けさせるということです。
【感想】
◆まず最初に申しあげておかねばならないのは、本書は、その半分が「物語形式」であること。その件に関しては、冒頭の内容紹介はもちろん、アマゾンの詳細な内容紹介を読んでも特に触れられていません。
ただ、そもそも鳥原さんの作品の場合、むしろ「ストーリー」が含まれているのがデフォルト。
以前読んだこの本に、その旨書かれていたのをすっかり忘れていました(この本自体が例外的に「ストーリー」が含まれていなかったこともあって)。
仕事のスピードと質が同時に上がる33の習慣
参考記事:【仕事術】『仕事のスピードと質が同時に上がる33の習慣』鳥原隆志(2018年03月08日)
とはいえ、通常の「物語本」とは違い、本書は31のTIPSごとに「ストーリー」はいったん中断され、解説部分が挿入される仕様。
上記ポイントは、いずれもこの「解説部分」(本書では「AWARENESS」と記されています)から抜き出したものです。
◆その31のTIPSも、誰に対しても効果があるわけではありません。
気づかせる相手や、その状況によって、適切なモノを選んで用います。
そのため、主人公の女性課長の下には、5人の部下がいる設定であり、それぞれ遅刻癖があったり、仕事を抱え込み過ぎだったり、マイペースだったり、といった特徴(欠点?)が。
彼らに対して、主人公は適切にマネジメントができず、頭ごなしに押さえつけて、パワハラで訴えられたりもしていました。
ところが、とある外部研修に参加した際、その講師に自分のこうしたマネジメントの悩みを相談したことで、個別にアドバイスを受けることになります。
◆たとえば上記ポイントの2番目のお話は、ミスした部下を諭すのに失敗した際に、主人公が講師から言われたこと。
部下に「反省」を促すつもりが、結果的に「否定」と受け取られてしまったので、部下は退社しようとしてしまいます。
そこでアドバイスを受けた主人公が取った手段とは!?(詳細は本書を)
また、上記ポイントの3番目は、やたら仕事が遅い「マイペース」な部下に対して、フィードバックでそのことを気づかせたときのもの。
ちなみに「全否定」するより、良い部分と悪い部分のメリハリをつけると、相手はフィードバックを受け入れるのだそうです。
……私もムスコの模擬試験の結果が悪かったときに、これらのポイントを意識してみようかと。
◆一方、上記ポイントの4番目の「無言」は、非常に効果的な反面、取扱いには注意が必要です。
たとえば口論のあとに感情的な無言はよくありません。これは気づきを促す行動ではなく、不機嫌になった自分を知ってほしいという押し付けになるからです。自分が無言を使った場合、確かにこの「押しつけ」だった気が。
また、たとえ正しい使い方であったとしても「無言」は相手にかなりのストレスと圧力を加えるのだそうです。
それゆえ「使うタイミングと環境をよく考える」必要があるとのこと。
なお、最後のポイントの「事実と主観を分けさせる」は、ネガティブな部下に「気づき」を与えるために行ったTIPSです。
なるほど、相手と考えが食い違った場合、頭ごなしに否定するのではなく、このように本人に区別させることで分かってもらえるのだな、と。
相手を変えるのではなく、自ら変わってもらうために!
気づかせる技術 部下が自分で考えて動き出す
第1章 気づきとは思い込みを解くこと
第2章 気づかせ、部下の答えを引き出す
第3章 気づきを行動に変える技術
第4章 本当の気づきを得る
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【編集後記】
◆ご紹介し忘れていましたが、本日終了となるKindleセールには、このようなものもありました。Amazon.co.jp: お金の本フェア (6/20まで): Kindleストア
本来、この辺の作品はお得ですし、取り上げるべきでしたが……。
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ご声援ありがとうございました!
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