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2019年05月18日

【起業】『新しい一歩を踏み出そう! 会社のプロではなく、仕事のプロになれ!』守屋 実


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新しい一歩を踏み出そう! 会社のプロではなく、仕事のプロになれ!


【本の概要】

◆今日ご紹介するのも、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気だった1冊。

著者の守屋 実さんは、「社会人になってから一貫して新規事業だけをやり続けてきた」という、非常に稀有な経歴の方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
会社のプロではなく、仕事のプロになれ!
1社で30年働くのは、もう無理!
ブティックス、ラクスルを2カ月連続上場など、これまでに50の新規事業を立ち上げてきたプロが教える!
「人生100年時代」を楽しむ、新しい働き方とは?

セールを滅多にしないダイヤモンド社さんの作品ですから、Kindle版は1割引きで買って正解だと思います!






Start Up Checklist / andyp uk


【ポイント】

■1.人は考えたようにはならず、動いたようになる
 頭で考える行為は、いくらでも、いつまでもできます。
 でも実際には、考えるほど、解決策からは遠ざかってしまうこともあります。考えてもキリがないからです。キリのないものをキリなく追いかけているうちに迷子になり、こじらせてしまうのです。だから、アタマで考えるのはほどほどに、一歩、動いてみることをおすすめします。
 なぜなら、人は考えたようにはならず、動いたようになるからです。
 考えてばかりいると、考えるだけの人になってしまいます。
 考えているばかりで動かないから、アタマばかりが大きくなり、足腰が貧弱なので、歩くとフラフラして定まらないし、そのうち歩くことさえできなくなってしまうのです。
 動かない時間が多くなりすぎると、動くことに不慣れになるので、動くことがおっくうになったり、苦手になったり、じつは怖くなったりするようになるのです。


■2.これからは「仕事のプロ」が主流となる
 これまで、多くの人が「会社のプロ」として、出世競争に巻き込まれたり、歯車の一つに過ぎないと思って落胆したりしても、それでもやってこれたのは、「会社が自分の面倒を一生見てくれる」という心理的なセイフティネットを提供してくれていたからです。終身雇用という保証された人生を、疑うことなく信じることができたからです。
 しかし、もうすでに、そしてこれからはますます、その「保証」は崩れ去ろうとしています。「保証」がないのですから、そろそろ「仕事のプロ」へシフトするしかないのです。
 もちろん、「仕事のプロ」になるためには意識と行動の変革が必須です。
「仕事のプロ」として勝負するなら、たとえば、自分が広報に興味があるなら「本当に」広報のプロとしてやっていきたいのか、まずは自問自答するところから始めましょう。
 入社の偶然、配属の偶然、人間関係の偶然、あらゆる偶然のなかで、ラッキーにもすぐにストンと自分のなかで「何のプロになりたいか」が腑に落ちればいいです。


■3.量稽古を避けない
 仕事もそうで、はじめは周囲や先輩に仕事のやり方を教えてもらい、必要な知識を学び、いざ始めたところで教わった通りにすんなりうまくいくはずはなく、失敗や反省を繰り返しながら、少しずつ身になっていきます。
 その積み重ねの中で、商売のコツを学び、「あの球を投げれば興味を持ってくれるかもしれない」「前回はうまくいかなかったけど、この変化球ならどうかな?」などの「勘所」が掴めてくるのです。
 あるいは、先輩の背中を見て「こんなふうに仕事を進めるとより効率がいいのか」「こういう対応は見習いたいな」と、仕事の技術や姿勢を吸収するなどして、いつしかそれが自らの仕事にもいい形で反映されてくるのだと思います。
 それらは、量稽古があるからこその話であり、そして行きつく先は、
 ある一定の閾値を超えた量稽古をこなすと、初めての新たな仕事にも既視感が生まれ、散漫に散らかった現象の山の中に本質を見出し、まだ見えていないことが多い段階でも決断をすることができるようなる
 のです。


■4.勝ち筋を見極める
 前述の「1学期」に自らの配属先として選んだ「新規事業を創出する部署」とマッキンゼーのコンサルタントによる新規事業創出の混成チームは、その後、ミスミの勝ち筋を明らかにしました。
 そして、チームはその勝ち筋が当てはまる市場で新規事業の勝負をかける、というシンプルなシナリオを導き出しました。その勝ち筋とは、
(1) 非効率が散在していて、
(2) その非効率を集約できて、
(3) そこに経済原則が働く市場があったら、カタログ通販で参入する
 というものでした。参入市場の優先順位も示され、結果、もっとも優先度が高い、「メディカル市場」に参入することになりました。
 機械工業系の会社であるミスミが、本業とはまったく関係のない飛び地であるメディカル市場に参入する決断ができたのは、この「勝ち筋の見極め」があったからでした。 この「勝ち筋の見極め」は、まさに「仕事のプロ」の仕事でした。


■5.上手くいかなくなったときも、一緒にやっていけるか
 誰とやるか。ただし、「その人のどこを見て決めてるのか?」と問われると、少々答えに窮します。人間と人間の相性のような話なので、目指すところが一致しているか、お互いのタイミングは合っているかのような縁や運のような要素が多く、いくらでも理由を挙げられます。
 と同時に、どれだけ挙げてもすべてを網羅はしていない感じがするのです。だから、結局は「直感」という表現が、より正確な気がします。
 とは言え、このとき、あえて人を見て決める際の分岐点をあげるとしたら、
 上手くいかなくなったときも、一緒にやっていけるかどうか?
 という点かも知れません。
 新規事業は、事業開発の「型」に生存確率を持ち込む必要があるほど、難所続きの連続です。だとしたら、越えられそうにない壁を、本当に一緒に乗り越えていけるかどうか、が「誰とやるか」の分かれ目なのではないかと思います。
 一緒にやっていきたいか、パッと感じるのが第一印象だとしたら、本当にどんなときでもやっていけるのかを、落ち着いた気持ちで考える第二印象のようなもので決めているのかもしれません。


【感想】

◆なかなかリアルな起業のコツが描かれた作品でした。

厳密には「起業」というより、「新規事業」でしょうか?

なにせ著者の守屋さんは「新規事業開発のプロ中のプロ」と呼ばれる方。

実はこの守屋さん、新卒で入ったミスミ(現ミスミグループ本社)で、創業者の田口弘氏にこう言われたのだそうです。
「我が国には、経理のプロや法務のプロはいる。弁護士が弁護がうまいのは弁護ばっかりやっているからだ。しかしながら、翻って我が国の新規事業を見ると、その事業がうまくいったら、事業責任者としてその事業とともに出て行ってしまい、2回ぐらい失敗したら二度とアサインされなくなってしまう。だから、常に新規事業の素人が新規事業を担っており、あらゆる企業で、おびただしい非効率がそこかしこに散在している。これではダメだ。だから、あんたはずっと新規事業だけをやるんだ」
なるほど、これは田口さんのおっしゃるとおり。

逆に新規事業「だけ」で経験を積むということが、通常ではいかに難しいかがわかります。


◆そんな守屋さんが、オススメされているのが、下記の目次の第1章にもあるように、自分の「好き」をやってみるということ。

この第1章では、守屋さんのアイデアマンぶり、というか、ミスミ入社後のユニークなアルバイトの話や、ミスミ入社のきっかけとなった「ビジネスプランコンテスト」の話が登場します。

いずれについても言えるのが、それほど深刻に考えずに、上記ポイントの1番目で指摘されているように、速やかに行動に移しているという。

特に後者に関しては普通、「ビジネスプランを考えよ」と言われたら、「とっておきの1つ」を出すであろうところ、守屋さんは「1つでも多くのプラン」を出すことに注力したのだそうです(スゲー)。

その際の審査委員長のコメントでも「新規事業は、簡単にはうまくいきません。多産多死なのです。1分の1では生まれない。だから考えて考えて考えまくり、やってやってやりまくる人間が、起業家になるのです」と言われており、まさに当時から新規事業向きの思考だった模様。


◆続くポイントの2番目では、本書のテーマである「仕事のプロ」に関して言及されています。

確かに、これからは会社には依存できない、というのは、読者の皆さんも感じてらっしゃるでしょう。

ただ、守屋さんも初めから「仕事のプロ」だったわけではありません。

そしてその守屋さんの成長ぶりが描かれているのが、本書の第3章「私はこうして仕事のプロになった」。

なんでも入社1年目に配属された「新規事業を創出する部署」では、直属の上司(外資からの中途入社)も、コンサルに入ったマッキンゼーの担当数名も超優秀で、守屋さんは完全な「劣等生」だったのだそうです。

それでも守屋さんが「カバン持ち」として食らいつき、チームとして導き出したのが、上記ポイントの4番目にある「勝ち筋」のお話。

その後も、この「勝ち筋」に沿って、新規事業を展開していくのですが、新たな展開が(詳細は本書を)。


◆また、最後の第4章では「人間関係」についても触れられています。

上記ポイントの5番目はここからなのですが、「何をやるか、より、誰とやるかが大事」というのは、この本でもおなじみでしょう。

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ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ただ、その「人」の選び方までは、あまり指摘されていなかったと思います。

その点、ここで言う「上手くいかなくなったときも、一緒にやっていけるか」という見極め方は、一理あるな、と。

この章では他にも、「人との出会い方」についてもアドバイスがあるので、チェックしてみてください。


◆いずれにせよ、守屋さんは「起業」「新規事業」に関しては、ずば抜けた経験をお持ちの方です。

「連続起業」はまだ聞いたことがありますが、それに加えて「同時起業」というのは極めてまれなはず。

1社や2社成功しただけ(それでもスゴイですが)の人より、事業を俯瞰して見る目は確かなのだと思います。

ただし、「いきなり会社を辞めて起業に賭ける」のではなく、「会社を続けながら、好きなことを探す」ことを推奨されていますから、アイデアがあってもくれぐれも先走らないように!

もっともそれとは逆に、失敗するのが怖くて、結局何もしない、というパターンが多そうなので、再度上記ポイントの1番目を読み返していただきたいと思う次第です。


「起業」「新規事業」を志す方なら、必読!

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新しい一歩を踏み出そう! 会社のプロではなく、仕事のプロになれ!
はじめに 会社のプロから、仕事のプロへ
第1章 「好き」をやってみよう!
第2章 仕事のプロになろう!
第3章 私はこうして仕事のプロになった
第4章 仕事は人間関係が10割
おわりに
起業の心得


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?

「NEW YORK TIMES」の「2017ベストブック」に輝いた作品。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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