2019年05月07日
【文章術】『文章は型が9割』高橋フミアキ
文章は型が9割
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中で、個人的に読みたかった文章術本。著者の高橋フミアキさんの作品は、以前当ブログでも2冊ほどご紹介して、それぞれ手堅い人気でしたから、本書のニーズも高いと思う次第です。
アマゾンの内容紹介から。
文才・語彙力不要!型通りにするだけで、早くなる、上手になる、より伝わる。
相変わらず中古価格も高騰していますから、ここは「20%OFF」のKindle版がオススメです!
Always Writing / mrsdkrebs
【ポイント】
■1.非論理的なのに相手をその気にさせる疑問文の型・広島出身の人はがんばり屋さんだから、きっといろんな勉強をされているんでしょうね?相手がどんな階層や人種、コミュニティなどに属しているかを考えてみましょう。趣味や嗜好、好きな映画や漫画なども重要です。それらをアイデンティティとして持っている人がいるからです。あなたの読者がどんなアイデンティティを持っているのかをリサーチする必要があります。
・『ラブライブ!サンシャイン!!』のファンには悪い人はいないって本当ですか?(中略)
アイデンティティに訴えるような言葉を使うと相手を行動に駆り立てることができます。たとえば、「タバコのポイ捨てはやめましょう!」と書いたポスターを貼り出すよりも、「本当の愛煙家はタバコのポイ捨てはしないそうですね?」と書いたほうが効果があると思いませんか?
「広島出身」と「がんばり屋さん」には何の因果関係もありません。もちろん、その他の例も同様です。ただ、自分のアイデンティティをくすぐられると、相手はその気になるということです。
■2.もったいぶりながら、期待を膨らませる文章の型
STEP-1 指示語を使った予告指示語の応用編です。指示語を入れて、これから語る文章がどれほど素晴らしいものなのかを予告します。つまり、「ここにはこんなことが書いてありますよ」と最初に書くわけです。
[指示語]はまさに目からウロコ! その 全貌 を知れば、あなたはきっと[ ]になるでしょう。
STEP-2 予告した内容
[指示語]の全貌とは、[ ]のことです。
STEP-3 事例やエピソード
たとえば、[ ]ということができるのです。
出来事について書かれた文章なのか、人物について書かれたものなのか、場所なのか、それを先に書いて予告します。後にその予告した本編が書いてあるわけです。
ポイントは、驚きを表現することです。映画の予告編でも、そこに驚きの映像がなかったら、誰も本編を観たいと思わないでしょう。
「50年間生きてきて、こんな人物に会ったことがありません」とか、「この出来事に私の友人100人が全員涙しました」といった言い回しです。
■3.決まった言い回しの型を覚えておこう
文章には決まった言い回しの型があります。その型を覚えておけば、いろんなシーンで使えます。思考も整理できますので、便利です。
私がよく使う型を3つ紹介します。(1)「たしかに……だろう。しかし〇〇〇」の型たしかに、起業することは恐怖と不安がつきまとうだろう。しかし、恐怖と不安を乗り越えた先には、広々とした自由の天地があるのだ。(2)「たとえ……となっても、絶対に〇〇〇しない」の型たとえどんなことが起きても、絶対に逃げだしたりはしない。(3)「……をして、〇〇〇と言わしめた△△△」の型明治の文豪・夏目漱石をして、今世紀最大の天才と言わしめた芥川龍之介という小説家。
■4.帰納法で読者を納得させる文章の型1(具体例)
STEP-1 テーゼ(命題)遅刻常習犯には、待ち合わせ時間を明確に伝えなければいけません。「集合時間18時厳守でお願いします」と具体的な数字をあげて伝えるといいと思います。STEP-2 アンチテーゼ(反対命題)しかし、明確な時間を伝えても遅刻する人がいます。18時集合と伝えても、18時05分に来たりするのです。だから、何度もメールや電話で繰り返し伝える必要があります。STEP-3 ジンテーゼ(統合した命題)何度伝えても守らない人には、こうしたらいかがでしょうか? さらにメールや電話で繰り返し待ち合わせ時間を伝え、遅刻常習犯には集合時間は17時55分と中途半端な数字を言ってみるのです。
人間は、中途半端な数字を出されると緊張し、無意識に「その数字には意味があるんだな」と思い込むことがあります。脳に強くインプットする傾向があるのです。
しかも、繰り返し「17時55分集合」と伝えておくと、さらに脳に強く刻み込まれます。もしかすると、これで遅刻癖が直るかもしれません。
■5.リアリティを持たせる3つのコツ
(1)デティールを描写する細部を丁寧に書くことです。「サンドイッチを食べた」だけではなくて、サンドイッチにはハムとレタスが入っている、2センチほどかじっただけ、といった細かな部分を描くことで、具体性とリアリティが生まれます。(2)作用と反作用「良いことがあったら、悪いことがある」という展開を意識します。「何かを得るために、何かを失った」というのも同じです。魔法を使って簡単に欲しいものを手に入れるだけだとリアリティに欠けますが、魔法を使った後は、しばらく熱を出して動けなくなるとリアリティが出てきます。(3)意外性常識をくつがえす意外なことがリアリティを生みます。ヤクザがラーメン屋から出てくるとき、鼻歌で『網走番外地』を歌っているよりも、AKBの『恋するフォーチュンクッキー』を歌っているほうがリアルです。
【感想】
◆今まで文章の「型」を論じた本はありましたが、ここまで徹底した作品は初めてかもしれません。形式としては、むしろ「フレームワーク集」に近いかな、と。
全44個の「型」それぞれについて、まず上記ポイントの1、2、4番目の小見出しにあるようなタイトルがあり、その直後(本書は横書きです)にその「型」の構成を提示。
たとえば、上記ポイントの1番目なら
アイデンティティ+疑問といった感じです。
もちろんこの程度の量なら、上記で小見出しと一緒に引用しても良かったのですが、構成が複雑になると、それだけでも結構なボリュームになるので、割愛せざるを得ず。
◆それに続くのが、上記ポイントの2番目の引用部分の最初にあるような、「STEPごとの解説」です。
これもポイントの2番目のSTEPがシンプルだから掲載できましたが、STEP数が多いと、やはりそこだけでもかなりのボリュームに。
さらには「この型が使えるのは?」と題して、使用可能文章が列挙されているのですが、たとえばポイントの2番目だと
■書き出し ■SNS ■サイト記事 ■書籍の原稿 ■セールスレターといった具合です。
もっとも、「サイト記事」「セールスレター」辺りは、ほとんどの型で使えるようなので、果たしてこの部分が必要だったのかは微妙。
そして、こうしたSTEPの解説がなされているのが、上記ポイントの1番目と2番目の文章の部分になります。
◆ただし、これだけではピンときませんから、本書では具体例を掲載。
当たり前ですけど、文章量的にはさらに多くなるので、上記で述べたような部分と一緒には引用できません。
仕方がないので、上記ポイントの4番目では、その具体例(SAMPLE)を抜き出してみました。
基本的にすべての「型」で具体例を2つ挙げ、その解説した後に、おしまいに「やってみよう」と題したワークが付されている次第。
この具体例の解説部分にもハイライトを結構引いているのですが、結局具体例部分も一緒に引用しないと意味が分かりにくいのでこちらもカット。
結局上記ポイントの1、2、4番目にあるように、それぞれの節から部分的に抜き出すような形になってしまいました。
本書の「無料サンプル」だと、「まえがき」と「目次」までしか読めないので、こうした各節の構成については、実際に本書にてご確認いただくしかなく……。
◆ちなみに上記ポイントのうち、ここまでスルーされてきたのが3番目と5番目なのですが、実はこれらは、本書の各章の最後に掲載されている「コラム」になります。
ここだけは通常の「型」の構成とはまったく違い、短めにまとまっているので、引用しやすかったものの、さすがにそればっかり抜き出すわけにもいかず(でも2つも挙げてしまいましたがw)。
……と本書の構成についてあれこれ述べてきましたが、著者の高橋さんは、文章術本の専門家だけあって、本書の中身についてはぬかりありませぬ。
ただし、「文章術本」と言っても、上記ポイントでもお分かりのように「てにをは」レベルのお話よりは、数段上からのスタートになります。
ですから本書の読者層としては、「自己流でそれなりの量の文章を書いたことはあるが、ワンランク上を目指す人」辺りになるのではないか、と。
特にセールスレターで効果がありそうな「型」が多く登場していますので、「人を動かす」文章を書きたい方なら、得るところが多いと思います。
「型」を意識して、よりよい文章を書くために!
文章は型が9割
第1章 一瞬で心をつかむ1行の型
第2章 相手をメロメロにする疑問文の型
第3章 説得力がアップする文章の基本の型
第4章 読みはじめたら止まらない文章の型
第5章 長い文章でもスラスラ書ける型
第6章 頭がいい人の論理的な文章の型
第7章 感情を揺さぶる感動ストーリーの型
第8章 思わずクスッとなる「笑い」の型
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【編集後記】
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ご声援ありがとうございました!
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