2019年05月03日
【キャリアデザイン】『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』松本利明
「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、大人気だった1冊。カテゴリー的には「転職本」ではあるのですが、むしろ「セルフブランディング」について深く考えさせられました。
アマゾンの内容紹介から。
市場価値に左右されない、「自分の価値」の組み立て方を解説した話題書!
著者は、PwC、マーサー、アクセンチュアといった世界的な外資系コンサルティング会社で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6500人を超えるリーダー、幹部社員を選抜してきた「人の目利き」
「いつでも転職できる」という武器を持っていれば、仕事は今よりずっと楽しく、ラクになる!
転職のテクニックだけでは先はありません。
「会社」「時代」「人」に左右されず、大企業、ベンチャー、副業、自由自在に、自分らしく稼ぎ、活躍できるようになる1冊。
中古が若干値下がりしていますから、Kindle版がお買い得です!
In meeting / Gustav H
【ポイント】
■1.「強み」でなく「持ち味」を活かす普通に会社に勤めて仕事をしているだけでは、他を圧倒するレベルの強みを勝ち取れる機会は少ないものです。
実際、あなたも「強み」を活かしてキャリアプランを考えて行き詰まってしまったことがあるのではないでしょうか。普通の人がブランディングをするなら「強み」を基本にするのは危険なのです。
では、何を武器にすればいいのか。
それは「持ち味」です。(中略)
持ち味を知るにはどうしたらいいかというと、あなたが普段お仕事をしていて、「どんな人」から「どんな『ありがとう』の声」を貰っているのかを集めるとわかります。同じ経理の仕事をしていても、・「正確で」ありがとうなど、その人の持ち味にあわせ、「ありがとう」の声は違います。
・「気がきいて」ありがとう
・「速くて」ありがとう(中略)
頼まれる仕事も「急ぎが多い」「ドラフトで経営会議用にまとめて欲しい」など、あなたの持ち味にあわせた傾向があるはずです。そこが、あなたの売りになるのです。「強み」で団子状態から一歩抜け出る基点になります。
■2.困っている職種にスライドする
業界の王道の職種で一定の成果を収めたら、横にスライドするのです。IT業界であればエンジニアから人事に移ると美味しいです。IT業界は慢性的な人材不足。経営の一番の課題に人材の確保と育成を掲げるケースも多々あるくらいです。エンジニアから人事に移り、エンジニアの立場から採用や人事制度を設計して成果を収めると、その会社では一番ありがたい存在になります。他の会社から事例を聞かせて欲しいと問い合わせがくるなど、会社を代表して業界内に存在感を示せるようになります。
エンジニアとして業界内に存在を知らしめるより、ラクで速いです。ライバルが圧倒的に少ないからです。同様にどの業界でも王道の職種で一人前になった後に、一番困っている職種にキャリアスライドをすればいいでしょう。王道職種、一番困っている職種、王道×一番困っている職種、とキャリアの切り口が3つになり、キャリアのオプションが増えるのでお勧めします。
■3.「いい意味で」で瞬時に視点を切り替える
この「いい意味で」は「変換装置」機能がある言葉なのです。事実は1つ。でもとらえ方により、ポジティブにもネガティブにもなるものです。
事実をネガティブにみるとコンプレックス。ポジティブにみると資質になります。
見方を逆にするなら、問いかける言葉を逆にすると簡単に視点が切り替わるのです。
コンプレックスは事実を「悪い意味」でとらえている現象。ポジティブな視点に切り替えるには悪い意味の逆視点、「いい意味で」とみると瞬時に視点が切り替わり、わらわらとポジティブな資質が飛び出してきます。
やってみましょう。・神経質 → 「いい意味で」その下に、実際に欠点を「いい意味で」置き換えた言葉を書いてみましょう。
・ずぼら → 「いい意味で」
■4.「大人の自己紹介」は「過去・現在・未来」で整理する
「大人の自己紹介」は3つの要素で構成されるシンプルなものです。過去、現在、未来で自分の価値を伝えればいいのです。根っ子となる基本系は次の通りです。・過去:価値を提供できる根拠となる役割や実績(実績・根拠)提供価値を先に示すことで、相手の興味関心を引きます。次に過去の伝え方が変わります。提供価値の根拠に沿って実績を整理するので、余計な情報がカットされ、必要な情報を順番に相手にインプットできるので、正しく相手に伝わるのです。
・現在:今どんな仕事をしているか(現在の役割)
・未来:過去、現在を踏まえて、相手にどんな価値を提供できるか(提供価値)(中略)
事前に「過去・現在・未来」で整理しておくといいでしょう。ぶっつけ本番だと根拠を示す名詞と数字が形容詞になり、曖昧になるので、正しく伝わらなくなるからです。× 私は長年の営業経験があり、優秀です
〇 私は業界No.1の売上規模の会社で、トップセールスを20年続けた営業です。
■5.ポータブルスキルを習得する
日本人は「この道一筋」というような深い専門性を好む傾向がありましたが、今は昔の話です。専門性を土俵にすると、ある日突然キャリア全部が吹き飛びます。
だいたいの方向性を決め、偶然のチャンスを活かし、正しいと思ったことをやり続ける。その方向性自体も、状況により柔軟に修正していくには、資質を土俵に、ポータブルスキルを鍛え、資質にあった専門性を鍛え、必要に応じ取り替えていくのが、自分軸でキャリアを強くする根本思想になります。ゆえに専門性は自分軸の資質の上にあるもので入れ替えることがあることを前提に考えましょう。自分軸上にない専門性は必要になれば、その分野に詳しい専門性をもつ方の手を借りる、教えてもらうなど割り切るのも一考です。最小限の負荷で補えるように備えておくことが賢明です。
逆に資質になくてもポータブルスキルは必須です。身に付けるのに時間がかかるものもあるのが普通なので、戦略的に確実に身に付けておきましょう。
【感想】
◆非常に濃厚で、思わずハイライトを引きまくってしまった作品でした。かといって、引用できる量は限られていますから、そのほとんどをカットせざるを得ず。
そもそも本書の「はじめに」では、当ブログでもご紹介している、元リクルートの藤原和博さんの「『100人に1人』の領域や実績をつくり、それを3つ掛け合わせると「1万人に1人」のオリジナルの存在になれる」というキャリア論が、普通の人には基本的に通用しない理由を明らかにしています。
藤原和博の必ず食える1%の人になる方法
参考記事:【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)
たしかに、藤原さんや西野さんがご自身の例をもとにした解説をきくと納得感があります。しかし、普通の人がご自身の経験や実績からこの方程式で自分をブランド化しようとすると成り立たず、悩むのです。詳細は本書を読んでいただきたいのですが、簡単に言うと、普通の人は「3つ目に掛けるものが中々見つからない」から。
ではどうすべきなのか、というお話が、本書を通じて明らかにされているワケです。
◆そこでまず押さえておきたいのが、上記ポイントの1番目にある「持ち味」という考え方。
なぜなら「強み」や「実績」をキーにしても、他人から見たら周りとの違いは「誤差の範囲」でしかないからです。
さらに「強み」は、自分より強い人が出てきたら負けてしまうこと必至!!
そこで集めるのが、他の人からの「ありがとう」の声です。
「ありがとう」の声が、あなたに向いていることです。向いていることは速くラクに爆発的に実績が出ます。向いていること、稼げる市場や仕事を知れば、自分をいつでも最高値で売ることができます。これが「いつでも転職できる武器」になるのです。ちなみに上記では割愛しましたが、「ありがとう」の中でも、特に「逆張り」するのが良い模様。
(1)相手に対し、他の人とは違う、自分独自の「ありがとう」を引き出す本書では具体例を挙げて、この2つのパターンについて解説されていますから、そちらをお読みください。
(2)みんなが不得意な「ありがとう」を拾う
◆それを踏まえて、本書の第2章では、自分に合った「市場」の見極め方を指南。
本書では会社のライフサイクルのフェーズ(導入、成長、安定、衰退・再展開)を横軸に、場所(業界、職種、会社)を縦軸にしたマトリックス表で解説されているのですが、画像は引用できないので、泣く泣くカットしました。
もちろん、各フェーズごとに活躍できる人材やコツが詳しく解説されていますので、ここはじっくりお読みください。
なお、ここで注意すべきは「フェーズが逆戻りすることはない」ということ。
つまり、今いる会社で活躍できたとしても、フェーズが変わることでキャリアが詰む可能性もあるワケです(怖ぇー!)。
また、上記ポイントの2番目は、縦軸の「場所」についてフォーカスしたお話。
まさかエンジニアをやっていた人が、人事に移ると美味しいとは思いませんでした。
◆一方第3章では、自分自身の「キャラ」を確立することがテーマです。
基本的には、上記ポイントの1番目の「『ありがとう』の声」が中心なのですが、ここで「目からウロコ」だったのが、自分のダークサイドに目を向けるというお話。
本書では、自分の資質の洗い出しについて3つの方法を挙げており、上記ポイントの3番目が、その「ダークサイド」の活用になります。
上記では「いい意味で」置き換えた言葉を割愛しましたが、実際にはこんな感じ。
神経質 → 「いい意味で」→ 「細かなことに気づく」この「いい意味で」変換された言葉を魅力として使うわけです。
「人の気持ちが敏感にわかる」
「困った時に一番動ける」
・ずぼら → 「いい意味で」→ 「前向き」
「打たれ強い」
「細かいことは気にしない」
◆「キャラ」を確立できたら、次はそれを基に自己紹介をすべし!
ということで、上記ポイントの4番目では「大人の自己紹介」なるものが登場しています。
普通の自己紹介との違いは、「相手がどんな未来や価値を与えてくれるかがわかる」ということなのですが、これがあるのとないのとでは、大きな違いなのだとか。
本書では著者の松本さんの自己紹介が掲載されているので、そちらをご紹介。
現在:コンサルタントとして独立し、人事分野のコンサルティングとリーダー選抜、研修講師、ビジネス書の執筆、講演を行っています。実際に本書では、松本さんが相手によって、この自己紹介をどうアレンジするかも、整理フォーマットで明らかにされていますので、そちらもご参考まで。
未来:何歳でも自分らしく活躍できるキャリアや働き方を伝え、支援していきたいのです。
過去:なぜなら、マーサー、アクセンチュアなど600社以上の人事改革、5万人のリストラと6500名以上の次世代リーダーの選抜と育成を通したコツを知っているからです。
◆なお本書の第6章では、いざ転職活動に成功したとしても、本当に転職していいのか否かのアドバイスが収録されています。
なんでそんなものが必要なのかと思いきや、こんな指摘が。
「やりがいがありそうな仕事だ。収入面の条件もいい。経営者は魅力的だし、上司・先輩、メンバー、いい人ばかり」。転職を決める条件を全て満たしているので断る理由がない時もあるでしょう。その中でも「なるほど」と思ったのが、「アルムナイ」の有無。
ちょっとまってください。それだけ条件がいいのに、なぜ、人を募集しているのか。何か裏の理由がないかを探っておいた方が安全です。転職先は、聞かれないことはわざわざ答えないからです。入ってからでは手遅れです。
「アルムナイ」という言葉は私も今回初めて聞いたのですが、
アルムナイとはalumnusの複数形で、本来は「卒業生、同窓生、校友」を指します。企業の場合、その企業の退職者の集まりを指します。とのこと。
要は、企業が主催して卒業生を集めて、現役社員と一緒に集うような会社なら、企業と社員、退職者は、良好な関係にあるわけですね。
確かにブラック企業だったら、そんなものがあるとも思せませぬ(当たり前)。
他にも「要チェックポイント」がいくつもありますから、この章もお見逃しなく。
セルフブランディングと転職をお考えの方なら必読の1冊!
「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方
1章 「日本の転職」の前提が全て変わってしまった
2章 自分軸にあった市場を見極める
3章 自分軸で売れるキャラを確立する
4章 自分軸で市場価値をつくれるようになる
5章 自分軸で強くなる――転職しない時にやり続けること
6章 永久保存版 自分軸で活躍する判断基準を身に付ける
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。まんがでわかる LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略
まるで今日ご紹介した本に合わせたかのような、リンダ・グラットン女史のヒット作のコミック版。
送料を足した中古よりは、Kindle版が500円弱お得です!
ご声援ありがとうございました!
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