2019年04月25日
【名著満載!】『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』永井孝尚

世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番人気だったブックガイド。『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズでおなじみの永井孝尚さんが、海外MBAエリートなら読んでいるビジネス書を、50冊厳選して解説してくださっています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「経営戦略やマーケティング理論は学ばなくてはと思っていても専門書を読み込む時間がない」「知りたいのは理論より『仕事にどう役立つのか?』だ」といった忙しいビジネスパーソンのために、MBAで学ぶ理論、さらに仕事に役立てる実践方法を「セブンイレブンの戦略」「Amazonはなぜ実店舗を作ったのか」といったビジネス実例を紹介しながらわかりやすく解説。
『競争の戦略』『ビジョナリー・カンパニー』『ブルー・オーシャン戦略』『影響力の武器』といった定番から、『イノベーションのジレンマ』『リーン・スタートアップ』といった新テーマ、『ティール組織』『予想どおりに不合理』といった最新セオリーまで網羅。
ビジネスマン必読の50冊のエッセンスが1冊で学べる!
上記記事の時点では用意されていなかった、Kindle版がリリースされていたので、私はそちらで読了しました!

Books I read to prep a 85-min MBA session / Jose C Silva
【ポイント】
■1.コア・コンピタンスを見直すユニ・チャームは2002年に業績が低迷したとき、自社のコア・コンピタンス(自社しか持たない強み)を徹底的に見極め、次のように定めた。
「不織布吸収体の加工・成形技術により、清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供すること」
前半の「不織布吸収体の加工・成形技術」がコア技術。「清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供」が顧客の利益だ。そしてコア・コンピタンスを活かせる5つの事業に集中し、コア・コンピタンスを活かせない事業は売却・撤退した。強みに特化したユニ・チャームは、その後グローバル企業へと成長した。
コア・コンピタンス経営―大競争時代を勝ち抜く戦略
■2.顧客の「片づけなければならない用事」を見つける
トランジスタラジオの場合、若者たちは「ロックを聴いて踊りたい」という「用事」があったが、解決方法がなかった。そこへソニーがトランジスタラジオを発売したので、若者はこぞって買った。そして、持続的技術で性能を向上させて市場を制覇した。
顧客は「用事」があっても、解決策が見つからないことがある。成長の種は「用事」があるけれど解決策が見つからないので何も買わない「無消費者」の中にある。
ソニー創業者・盛田昭夫さんは、無消費者が誰で、どんな用事を持っているかを見抜き、解決策と結びつける名人だった。ウォークマンも「外出先でいつもの音楽を聴きたい」という用事を見抜いて、解決した破壊的技術だった。
イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
■3.製品ではなく顧客を開発する
少数の顧客が唯一の選択肢として買うようになれば、新商品は売れる。
少数の顧客が買うようになった後は、より多くの顧客へと範囲を広げていく。エアウィーヴは「質の高い睡眠を求めるオリンピック選手が使っている」と訴求して、商品を「一流の人が使う寝具」と位置づけ、快適な睡眠を求める消費者に広げていった。
新商品を成功させるために必要なことは、すばらしい製品を開発することだけではない。顧客に幅広く意見を聞くことでもない。「どうしてもその商品が必要だ」という少数の顧客を見つけ、唯一無二の選択肢になることだ。顧客の範囲を広げるのは、その後だ。
必要なのは製品開発ではなく、顧客開発なのである。
アントレプレナーの教科書[新装版]
■4.まず人材を選び、目標を決める
最初に仕事を決め、必要な人材を採用するのが米国流と思われがちだが、11社は逆だ。
たとえると、まず自社の方針に合う適切な人だけを選んでバスに乗せ、不適切な人は降ろし、その後にバスが向かう目的地を決めている。
「何をすべきか」で人を雇うと、目的地が変われば辞めてしまう人もいる。
逆に「誰を選ぶか」から始めると、いいことが多い。気に入った人たち同士なら目的地変更は簡単。環境が変わってもすぐ対応できる。
11社には社員を厳選採用し、仕事熱心な社員は働きやすくし、怠惰な社員はバスから降ろす仕組みがある。11社の中のある銀行は他銀行を買収したとき、「特権階級に浸っていた幹部は質実剛健な当社の企業文化には合わない」と考え、ほぼ全幹部を解雇した。
ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
■5.動機付けに報酬を使う場合の2つの注意点
1つめは、報酬を使い始めたら、後戻りはできないことだ。金銭的報酬を得るために行動するようになると、その行動は報酬が与えられる間しか続かない。子供に「1時間勉強したらお小遣いをあげる」と約束すると、お小遣いがなくなると勉強しなくなる。
2つめは、報酬に関心を持つと、人は報酬獲得のため最短で手っ取り早いやり方を選ぶようになることだ。1時間勉強したらお小遣いがもらえる子供は、簡単な問題だけを1時間やり、難しい問題には挑戦しなくなる。
成果に見合う報酬は、たしかに人を動機づける。しかし 仕事そのものではなく報酬に関心が向くようになり、手っ取り早い方法を選ぶようになる、ということである。
人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
【感想】
◆なかなかユニークなブックガイドでした。まず、単なる「簡単な本の紹介」レベルではないことは、上記ポイントでもお分かりかと。
以前、水野俊哉さんがよく、本の内容をまとめた作品を出されていましたが、本書は冊数が50冊とある程度絞り込まれている分、もうちょっと深掘りがされています。

2分でわかる! ビジネス名著100冊のエッセンス
参考記事:【発売記念キャンペーン有】『2分でわかる! ビジネス名著100冊のエッセンス』水野俊哉(2013年03月27日)
また特徴的なのが、事例として日本の企業が何度も登場していること。
上記ポイントの2番目のソニーは、実際に本にも収録されたエピソードなのでしょうけど、1番目のユニ・チャームや、3番目のエアウィーヴは、おそらく永井さんがご自身で選ばれたお話なのだと思います。
◆ちなみに、本書では対象となる50冊を、下記目次にあるように、6つの章に分類。
アマゾンのページでも半分ほどタイトルが挙がっていますので、気になる方はまずそちらをごらんください。
中でも「MBAらしい」と思わせられたのが、第1章の「戦略」です。
上記ポイントの1番目の『コア・コンピタンス経営』ほか、ポーターの『新訂 競争の戦略』や、ミンツバーグ『戦略サファリ』といった定番の名著は、分厚すぎてなかなか手が出しにくいでしょうから、本書でそのサワリだけでも押さえておくと良いかと。
続く第2章も、上記ポイントの2番目の『イノベーションへの解』はもちろんのこと、おなじみの『キャズム』や、『イノベーションのジレンマ』といった定番が中心です。
実は『ジョブ理論』も収録されているので、6冊中3冊が「クリステンセン作」というのは、少々偏り過ぎな気もしますがw
◆一方、第3章は起業関係ということで、比較的新しめの作品がちらほらと。
上記ポイントの3番目の『アントレプレナーの教科書』は、何度かセールで見たことがあったものの、パスせずに読んでおけば良かったです。
また、第4章はテーマが「マーケティング」ということで、永井さんの専門分野。
ただその割には5冊しか選ばれておらず、ボリュームの関係で今回は割愛してしまいました。
逆に第5章は、「『リーダーシップ』と『組織マネジメント』」という「MBAらしさ」全開の章ゆえか、大量11冊を収録。
上記ポイントの4番目では、ド定番の『ビジョナリー・カンパニー 2』をご紹介していますが、なるほど、「誰を選ぶか」から始めると、環境が変わってもすぐ対応できるという利点がありますね。
そして最後の第6章は、上記ポイントの5番目の『人を伸ばす力』のほか、当ブログイチオシの『影響力の武器』や、チクセントミハイの『フロー体験入門』が紹介されていました。
◆一応、少ないながらも、当ブログでレビュー済みの作品を挙げておくと、こんな感じです。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
参考記事:【スゴ本!】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ(2014年09月26日)

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略
参考記事:【スゴ本】「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」クリス・アンダーソン (著), 小林弘人(監修)(2009年12月02日)

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
参考記事:【スゴ本】「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー(2008年12月15日)

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報】『影響力の武器[第三版]』がいよいよ登場!(2014年06月09日)

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
参考記事:【自分の"強み"を調べてみました】「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」マーカス・バッキンガム(2008年06月26日)
……割合で言うと、1/5ですか(涙目)。
◆いずれにせよ本書は「MBA」というくくり関係なく、私たちビジネスパーソンが押さえておくべき「定番」が網羅されていると思います。
しいて言うなら、コミュニケーション系の作品が不足しているくらいでしょうか?
……その辺は、当ブログも活用していただければ幸いなのですがw
カテゴリー「コミュニケーション」
もちろん、本書だけでもある程度のエッセンスは吸収できますが、できれば実際に各作品をお読みいただければ、それにこしたことはありません。
そのきっかけとなる意味でも、本書の果たす役割は小さくないと思います。
当ブログの読者さんなら、要チェックな1冊!

世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた
第1章 「戦略」
第2章 「顧客」と「イノベーション」
第3章 「新規事業」と「起業」
第4章 「マーケティング」
第5章 「リーダーシップ」と「組織マネジメント」
第6章 「人」
【関連記事】
もしものときのための「トップMBAの必読文献」6選 (2009年11月15日)【発売記念キャンペーン有】『2分でわかる! ビジネス名著100冊のエッセンス』水野俊哉(2013年03月27日)
【名著満載!】『仕事・人生が変わる すごい! 本 370冊』から選んだ10冊(2015年11月30日)
【ぶった斬り?】『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』山田 修(2013年06月20日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
早大ラグビー部監督として、「日本一オーラのない監督」と呼ばれながらも、大学選手権2連覇を果たした中竹竜二さんの作品。
送料を加算した中古よりは、Kindle版が600円以上お得です。

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