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2019年04月21日

【才能?】『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』北野唯我


B07MG34ZDX
天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「日本経済新聞出版 春の大型キャンペーン」の中でも一番人気だった作品。

土井英司さんがメルマガでプッシュされていたので、私自身、以前から気になっていた1冊です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
天才肌の女性創業者社長に惚れ込み、起業に加わって10年。会社は大きくなったが、新事業は振るわない。「社長は終わった」などという声も聞こえてくる――。
そんな悩みを抱える広報担当の青野トオルは、謎の犬ケンと出会う。
関西弁と東北弁がまざった珍妙な言葉を使うケンは、トオルの疑問に当意即妙に答えていく。
人間の才能とは何か、なぜ人はすれ違ってしまうのか、私たちは自分の中にどのように才能を見い出し、どうやって伸ばしていけばいいのか。
今最も注目されるビジネス作家が90分で読める物語にまとめた、超・問題作!

中古も1000円以上しますから、送料を合わせるとKindle版が500円以上お買い得です!





Genius / Choubistar


【ポイント】

■1.多数決は「天才を殺すナイフ」
「天才と秀才と凡人は、軸が違う?」
「んだ。天才は『創造性』という軸で、物事を評価する。対して、秀才は『再現性(≒論理性)』で、凡人は『共感性』で評価する」
「この3つ……さっき言っていた三択と同じです」
「より具体的に言うと、天才は『世界を良くするという意味で、創造的か』で評価をとる。一方で、凡人は『その人や考えに、共感できるか』で評価をとる。つまり、天才と凡人は『軸』が根本的に異なるんや」 (中略)
「でも、そんな簡単に天才が死ぬイメージってないんですが……」
「ちゃう。凡人には武器がある。天才を殺すことができるナイフを持っている。そのナイフの名は『多数決』なんや」
「多数決?」
「んだ。多数決こそ、天才を殺すナイフとなる」
 僕にとっての天才は上納アンナだった。
 彼女は今まさに、多数決によって殺されようとしている。


■2.2つの才能を賭け合わせた「アンバサダー」
●エリートスーパーマン
 天才と秀才の橋渡し。創造性もあり、再現性もある。つまり、クリエイティブでロジックも強い。一代で大企業を作り上げるような社長がわかりやすい。彼らは何よりビジネスが大好きで、常に研究者であり、挑戦者でもある。
●最強の実行者
 秀才と凡人の橋渡し。再現性と、共感性を武器に持つ。つまり、ロジックも強くて、人の気持ちもわかる。まさにどの会社にもいる「エース」。学生時代から常に組織の中心にいて、就職活動も器用にこなし、行きたい会社に行く。営業と開発、正社員とアルバイト、本社部門と現場などをつなぐ。
●病める天才
 天才と凡人の橋渡し。創造性と、共感性を武器に持つ。クリエイティブなだけではなく、それが世の中の人々の心を動かすか? インサイト(潜在的な欲求)に届くかどうか? まで、直感的にわかる。自分らしさを表現しつつも、マーケットインの考えもでき、プロダクトや事業などの責任者に就任すると、圧倒的なスピードでサービスを拡大できる。


■3.異なる主語を持つ人たち
「天才、秀才、凡人、この三者のコミュニケーションは、『軸』が違うから永久に交わることがない。この話は以前したやろ」
「はい」
「その理由の根源は『主語の違い』なんやわ」(中略)
 僕は、意識したことがなかった。でも、たしかに口癖で、いつも「僕、思ったんですけど」「私的には」と言う人がいる。こういうことだろうか。
「そんでな、これはまず大きく、主語が『人』『組織』『世界』の三つに分かれる。自分はどれやと思う?」
1.主語を、人メインで語る人。凡人に多い。
2.主語を、組織やルールなどの、善悪で語る人。秀才に多い。
3.主語を、世界や真理など、超越した何かで語る人。天才に多い。
「僕はどうだろうか……たぶん1つ目の気がします」
「んだべ。おめの場合、明らかに『人』が主語なんや」


■4.それぞれの人の中に天才がいる
「夜中に、めちゃくちゃ面白いことを思いついてみて、メモった。明日すぐに発表してみようと思う。ワクワクする。だども、翌朝見直してみたら急に『全然筋が悪そう』に見える。結果、昨日の自分がなんかバカみたいで恥ずかしく思い、メモを削除する」
「近い経験ならあります。仕事でやってみたいことを思いついても、すぐに『でもこう言われたらどうしよう?』『でも、失敗するかも』とか考えて、結果、何もやらないことが」
「んだべ。実際、このときのプロセスってのは、頭の中で、天才→秀才→凡人の三者が、順番にポコポコ出てきているんや。君の中にいる『天才』が思いついたアイデアを、社会的な基準やロジックで『良いか悪いか』を判断するのが、秀才や。そして最後に『恥ずかしい』とか『周りからどう思われるか』と感情で判断する。結果、やっぱりやめとこう、と凡人が出てきてしまう」
 僕は思い返してみた。確かに、創造性→再現性→共感性というプロセスを経ている。ケンは続けた。
「つまりな、天才とは『自分に合った武器』を手にした上で『ストッパー』を外した人間のこと。それなんや」


■5.仕事とは職種×フェーズ
 たとえば、営業職1つとっても、大企業の営業と、ベンチャーの営業職では求められるものが全然違います。
 前者の営業職は、文字通り「定型化されたものを売る」仕事です。ですので「実行力」が一番必要でしょう。
 一方でベンチャーの営業職は、どちらかというと「新しいものを作りながら、どう売るか」という視点を求められます。というのも、市場にそこまで浸透していないものを売るので、クライアント先からもらった「フィードバック」を活かしながら、文字通り「売り方も、製品も作っていく」わけです。
 このように同じ職種でもフェーズが異なれば必要な才能は異なります。(中略)
 もちろん、職種によって大小はあれど、どんな仕事にも大なり小なり実は「創造性」と「再現性」と「共感性」が必要なのです。
 そして、往々にして、「仕事が楽しくない」でも「やりたいこともわからない」という人は、このフェーズによるズレを認知していないのです。それぐらいこの「フェーズのズレ」は、見落とされがちなものなのです。


【感想】

◆想像以上に中身が濃い作品でした。

そもそも本書の元となった、著者である北野さんのブログエントリーがこちらなのですが。

凡人が、天才を殺すことがある理由。ーどう社会から「天才」を守るか? - 『週報』

実はこれ、はてブでホッテントリに入っていたので、私も読んでおりました。

ただし上記エントリーが通常のブログエントリーであるのに対して、本書は冒頭の内容紹介でも触れていますように「物語形式」を採用。

主人公に対して、ゾウならぬイヌ(渋谷の「忠犬ハチ公」が動き出した設定)が、関西弁で教えを授ける「夢ゾウメソッド」を踏襲しています。

……純粋な関西弁ではなくて、微妙に東北弁が混じっているのは、本人いわく「秋田犬だから」そうですがw


◆そして本のタイトルでは「天才」と「凡人」しか出てきていませんが、これに「秀才」を加えた三者がじゃんけんのように想いを巡らしているのは、上記エントリーにもある通りです。

当然登場人物も、それぞれ分類でき、主人公の「青野トオル」は「凡人」であり、彼が勤める会社の女社長である「上納アンナ」は「天才」で、次の社長の座を目指す「神咲秀一」が「秀才」。

ただし、そのアンナは神咲の打ち出した「利益が出ているか?」という測定可能な評価軸によって追い詰められ、凡人である大半の一般社員たちの雰囲気も、上記ポイントの1番目にあるように「天才を殺す」ような状況に陥っています。

そこでトオルは、秋田犬の「ケン」の教えに従い、自分が信じるアンナの復権のため、社内で躍動し始める……というのが、本書のおおまかなストーリー。

その「天才」「凡人」「秀才」をベン図に表した際、重なり合う部分に存在するのが、上記ポイントの2番目にある「アンバサダー」であり、その1つである「最強の実行者」に該当する同期の「横田」も、トオルを助けます。


◆一応、この「アンバサダー」辺りまでは、上記のブログエントリーでもその仕組みは解説されているのですが、本書では具体的な「登場人物」を設定したことによって、より分かりやすくなっているかと。

また「天才」「凡人」「秀才」は、上記ポイントの3番目にあるような「主語」の側面から、
●天才……Xタイプ、Yタイプ
●凡人……Iタイプ、Yタイプ、Wタイプ
●秀才……Kタイプ、Rタイプ
に、それぞれ分かれます。

……さすがに一気に挙げても、ピンと来ないと思いますが、本書では細かく説明されていますからご安心を。

さらに明らかになるのが、上記ポイントの4番目にあるように、人は完全に「天才」や「凡人」「秀才」に100%染まっているわけではなく、それぞれ何パーセントずつかは他の要素を持っているということ。

それを知ったトオルは、アンナのために、役員会議のために自らのアイデアをまとめあげることに熱中するのですが……。


◆物語形式ゆえ、これ以上のお話の顛末はネタバレ自重で。

なお、本文の終了後、「解説」と銘打った本書の舞台裏を明かすパートで、物語形式を採用した理由が語られています。

……おっしゃることは分かるんですけど、正直、当ブログのように、内容を引用するスタイルは、物語形式だとかなり難しくて、発売時には避けてしまったんですよね(その「難しさ」を上回る「面白さ」ゆえ、今回挑戦してみたのですが)。

加えて、本書のテーマである「才能」を仕事に活かすために、上記ポイントの5番目にある「職種×フェーズ」の考えも理解しておくべきでしょう。

現在の自分の職務において、「創造性」「再現性」「共感性」をどう用いるべきなのか、読者の皆さんそれぞれに考えていただきたいところ。

また、巻末には上記ブログエントリーと、それに寄せられた感想まで掲載しており、かなりの読み応えとなっています。


土井英司さんご推薦も、納得の1冊!

B07MG34ZDX
天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ
まえがき
ステージ1 才能ってなんだろう
ステージ2 相反する才能
ステージ3 武器を選び、戦え
解説
あとがき
ブログに寄せられた感想


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【編集後記】

本日の「Kindle日替わりセール」から。

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科学的 潜在意識の書きかえ方

今までのセールでご紹介した記憶のない1冊。

中古がそこそこ高くて、Kindle版が500円以上、お求めやすくなっています。


【編集後記2】

◆昨日の「日本経済新聞出版 春の大型キャンペーン」で人気だったのは、この辺でした(順不同)。

B07MG34ZDX
天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

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