2019年04月04日
【PEPTALK】『実践!ペップトーク』浦上大輔
実践!ペップトーク
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の前日ランキングの記事で1位となったモチベーション本。著者である浦上大輔さんの前作は、当ブログでもすでにレビューしており、月別ランキング第4位となるほどの人気でしたから、ご存知の方も多いと思います。
アマゾンの内容紹介から。
部下・同僚、仲間・チーム、子ども・生徒…ビジネスからプライベートまで使える、人をやる気にさせるアメリカ発のメソッド。リーダーのための人を励ます教科書。
なお、セール最終日の本日中であれば、このKindle版が1000円弱、お買い得となっています!
Peptalk voor de wedstrijd / Rob van Hilten
【ポイント】
■1.ペップトークの使い分け●ゴールペップトークゴールペップトークは試合直前のロッカールームで、緊張し身震いする選手たちが、本番で力を出しきれるように勇気づける激励のショートスピーチです。本書のテーマでもあるいわゆるペップトークです。本番直前に一気にやる気に火をつけるためのエネルギーが凝縮された本気のスピーチです。●ポストコンペティショントークスポーツの世界には、ネガティブな言葉を言わなければならない状況があります。それが試合終了後のスピーチ、ポストコンペティショントークです。試合後には「良かった点」も「悪かった点」も 真摯 に受け止めることが必要なのでネガティブな言葉も出てきます。なぜなら、本番直後だからこそ「何が悪かったのか、何が足りないのか、もっと良くなるのは何なのか」など、身をもってわかるタイミングだからです。●モチベーショナルトークモチベーショナルトークは、練習に対する目的意識を高め、やる気を喚起する練習前のショートスピーチです。スポーツの現場では、練習前に「集合」があり、監督やコーチ、場合によってはリーダーやキャプテンが話します。そこでは、試合を通して洗い出された「改善点=課題」を克服するために、その日の練習の具体的な内容と、その目的をわかりやすく伝えます。
■2.ペップな質問の仕方とは?
(1)先延ばしにしていることは何?(2)(3)では未来の理想の状態とその時の感情をイメージし、(4)でできていること、(5)で今あるものに気づき、(6)で初めの一歩の行動を引き出しています。イメージで言うと山に登り終えた時の景色や達成感を味わい、山に登るための装備や一緒に行く人を確認し、まずは最初の一歩を踏み出そうと励まされている感じです。
(2)本当はどうなればいい?
←プラスの未来の状態を引き出す質問
(3)そうなったらどんな気持ち?
←プラスの未来での感情を引き出す質問
(4)すでに少しでもできていることは?
←現在すでにできていることに気づく質問
(5)使える道具、助けてくれる人は?
←現在すでにあるものに気づく質問
(6)何から始める?
←これからの行動を引き出す質問
最終的には「やりたい、よしやるぞ!」という気持ちになります。
■3.「ポジティブ=ペップ」とは限らない
普段メンバーの話をまったく聞かず、努力も見ず、メンバーとの信頼関係を築けていないリーダーが、大事なプレゼン直前のメンバーに「君ならできる」と言うとします。
この場合、言葉だけ見るとポジティブですが、メンバーからすると「何が『君ならできる』だ。何も知らないくせに無責任だ」となり、やる気をなくしたり、後ろ向きな気持ちになったりすることがあります。
普段からメンバーの面倒を本当によくみて、一緒に苦楽をともにしてきているリーダーが、凡ミスをしてしまったメンバーに対して「何やっているんだ、全然ダメじゃないか」と言うとします。
この場合、言葉だけ見るとネガティブですが、メンバーからすると「リーダーも本気で言ってくれているんだ」となり、やる気になったり、前向きな気持ちになったりすることもあります。
■4.「セルフペップトーク」で自分を元気にする
私たちペップトーカーが目指すのは、自分もサイコー、相手もサイコーな状態です。
サイコーとは、●最高(Best)でという前向きな心と体の状態です。
●最幸(Happiest)で
●さあいこう!(Let's go !)
多くのアスリートが、本番直前に自分に「セルフペップトーク」をしているのをご存じでしょうか?
フィギュアスケートの羽生結弦選手も演技する前に、「OK! さあ、楽しもう」と言ってから滑り出していますよね。これも自分の状態をサイコーにもっていく言葉のスイッチです。
日本ペップトーク普及協会のミッションは、「言葉の力で日本を健康に!」です。健康とは心と体がサイコーな状態です。
そんな状態をつくっていくためにも、まずは自分がサイコーな状態を保ちたいですよね。そのために「セルフペップトーク」 が重要です。
■5.「ゴールペップトーク」の7ステップ(具体例)
P(事実の受け入れ)
「いよいよ今日は大事なプレゼンの日だね。不安そうな顔しているけど大丈夫?」(★)
E(状況・感情への共感)
「まあ、僕も初めてのプレゼンの時はいっぱいいっぱいだった。だからよくわかる」
P(とらえかた変換)
「でもね、それって君が新しい一歩を踏み出そうとしているってことなんだ。その一歩のためにしっかり準備してきたじゃないか」(★)
T(教訓・勝利の方程式)
「新しい一歩を踏み出す時が一番勇気がいる。そして一番成長する」
A(してほしい変換)
「とにかく自分を信じて、お客様に君の思いを伝えてこよう」(★)
L(勇気づけ・きっかけ)
「君ならできる」
K(背中のひと押し)
「さあ、新しい一歩を楽しんでこい!」(★)
(詳細は本書を)
【感想】
◆冒頭でも触れたように、当ブログでは著者の浦上さん前作をご紹介済みです。たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク
参考記事:【ペップトーク?】『たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク』浦上大輔(2017年08月14日)
そちらの方で、「ペップトークとは何ぞや」については、しっかり語られているので、今回は割愛しているのですが、元々は「試合前のロッカールームで、ヘッドコーチが選手たちに向かって、励ますために話す『1分くらいのトーク』のこと」。
もちろん、相手を励ますためのものですから、スポーツのみならず、上記ポイントの5番目にもあるように、ビジネスシーンにおいても使えます。
実際、特にビジネスユースに特化した、こんな本もレビューしたことがありました。
部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ ペップトークで不安を消す・励ます・元気づける
参考記事:【声かけ】『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ ペップトークで不安を消す・励ます・元気づける』占部正尚(2019年01月31日)
◆ひるがえって本書の特徴は、まず多種多様な事例が、実際のトーク付きで収録されていること。
保育園の園長さんが、保育士、保護者、子どもたちに働きかけたり、部下が上司のプッペトーク(ペップトークの反対で、ネガティブな働きかけの言葉がけ)を改善していったり、テニスの試合で相手を励ます(!?)といった、かなり幅広いケースが収録されています。
極めつけが、小学校5年生のお姉ちゃんが、宿題ができなくてやる気を失っている2年生の弟をペップトークで励ます例。
なんでもお父さんが購入した上記の浦上さんの前作を読んで、自分で考えて実践したそうなのですが、小5にできて、私たちにできないワケがありませぬ!
……もっともこのお姉ちゃん、お父さんと一緒にペップトークのセミナーに参加したり、挙句の果てにはペップトークの講師養成セミナーにまで参加し、認定試験にパスしたそうですから、只者ではないのですがw
◆また、本書で明らかになったのが、私たちが一般的に「ペップトーク」と考えているのは、上記ポイントの1番目にある「ゴールペップトーク」であり、それ以外にも「ポストコンペティショントーク」や「モチベーショナルトーク」といったものがあるということ。
この3つは順に「試合前」「試合後」「普段の練習の際」に用いられ、「ペップトーク・サイクル」と呼ばれるのだそうです(詳細は本書を)。
さらには、これらのペップトークは基本的に「相手を励ますもの」ですが、「自分自身を励ますもの」が、上記ポイントの4番目の「セルフペップトーク」。
羽生選手の話は私は知りませんでしたが、スポーツ選手が自分を鼓舞するように、私たちも日頃から自分を励ましていくべきでしょう。
なお本書では第4章を丸々費やして、この「セルフペップトーク」を掘り下げていますから、ぜひご覧いただきたく。
「日常生活編」「仕事編」「スポーツ編」といった、具体的なトーク例も収録されているのもありがたかったです。
◆なお、上記ポイントの5番目の「7ステップ」は、本来のペップトークである「ゴールペップトーク」を分解したもの。
英語の頭文字をつなぐと「PEPTALK」になるところから、ペップトークと呼ばれているのですが、それぞれがどの単語の頭文字かは、本書にてご確認ください(ちなみに最後の「K」は、「Kick Off」の頭文字)。
ただ、実際に7つもステップを踏むには、入念な準備が必要ですし、場合によってはタイミングを逸したりしかねません。
そこでもう少しシンプルにすべく、1つ飛ばしで「PPAK」(上記ポイントの5番目の「★」の付いている部分)で言うのもアリなのだそうです。
実際に端折ってみるとこんな感じ。
P(事実の受け入れ)なるほど、これでも十分効果がありそうですね!
「いよいよ今日は大事なプレゼンの日だね。不安そうな顔しているけど大丈夫?」(★)
P(とらえかた変換)
「でもね、それって君が新しい一歩を踏み出そうとしているってことなんだ。その一歩のためにしっかり準備してきたじゃないか」(★)
A(してほしい変換)
「とにかく自分を信じて、お客様に君の思いを伝えてこよう」(★)
K(背中のひと押し)
「さあ、新しい一歩を楽しんでこい!」(★)
自分と相手を励ますために読むべし!
実践!ペップトーク
第1章 成果を出すためにどう言葉を使うのか?
第2章 あなたもペップトーカーになろう!
第3章 ペップトークの基本「ポジティ語」
第4章 たった5秒で自分を励ます「セルフペップトーク」
第5章 たった1分で相手のやる気に火をつける「ゴールペップトーク」
第6章 たった2分で聴衆の心をつかむ「ビジョンペップトーク」
【関連記事】
【ペップトーク?】『たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク』浦上大輔(2017年08月14日)【声かけ】『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ ペップトークで不安を消す・励ます・元気づける』占部正尚(2019年01月31日)
【話し方】『たった一言で人を動かす 最高の話し方』矢野 香(2017年12月01日)
【アクション言語?】『人を動かす言葉の技術』黒川裕一(2016年10月11日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書)
内容紹介によると、この方の著書が「日本で異例の売れ行きを見せている」そうで、哲学にうとい私は全然知りませんでした。
その点本書は「55%OFF」のKindle版が、送料を足した中古よりも、400円以上お求めやすくなっていますから、気になる方はぜひ!
ご声援ありがとうございました!
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