2019年03月26日
【仕事術】『捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法』須田仁之

捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、売上トップだった仕事術本。著者は、現在40社以上のベンチャー企業の社外役員やアドバイザーを務めているという「ベンチャー成功請負人」こと、須田仁之さんです。
アマゾンの内容紹介から。
思考、コミュニケーション、マネジメント、資料作成、情報収集……
月460時間労働から抜け出した「ラクして速い仕事術」を一挙公開!
【特別収録!】けんすう氏、家入一真氏、経沢香保子氏の仕事術
現在、単行本が在庫切れで中古価格が高騰している以上、上記記事の時点より値下がりしたKindle版がお買い得です!

Information Overload / cambodia4kidsorg
【ポイント】
■1.矛盾は解決せずに受け止める僕の周囲で圧倒的に仕事ができる人は、矛盾問題を解決しようとせず、むしろ受け入れながら先に進みます。
例えば、1の説が正しいのか、2の説が正しいのかを熟考せずに、「もう1と2両方やろうぜ」と言ったりします。
たとえ1と2はロジカル的には真逆のことであり、普通は同時にやるようなことではなかったとしても、「いいじゃん、やってみようよ。どっちが正しいかわかんないんだから」という姿勢です。ベンチャー界隈だと、このような「チャレンジしよう」という思考の人がたくさんいます。(中略)
人間社会では難しい問題を整理・簡略化して、人にうまく説明したがるものです。
ただ、実際の世の中はそんなに単純ではありません。こういうときはロジカル思考を捨てて、「矛盾してるけど、しょうがないからやるか」「どうせ矛盾してるから、テキトーにとっととやるか」ぐらいの思考で物事を進めてしまうほうがムダなストレスを抱えずに済みます。
「これはどっちが正しいんだろうか?」などと自分で思考することなく、とにかく手を動かすことが大切です。
■2.自己紹介は「自分ウィキぺディア」を作る
さらなる手抜きポイントとしては、「自己紹介のサイトを作っておき、それを事前に送る」ことです。つまり、自分ウィキペディアです。会社の資料ではなく「自分」というパーソナル情報を送ってしまうわけです。
その際、添付ファイルといった、いかにも「資料」という形式ではなく、インターネット上の「テキストリンク」をさらっと貼っておくのがポイントです。(中略)
ちなみに、僕はこのリンクを作って送るのも面倒なので、メールのフッターにデフォルトで入れています。
メールのフッターは、以前は会社の住所や自分のメアドや自分が関連している会社やサービスのURLを貼り、10行程度にまとめていましたが、「誰が見るんだよ」と思い、今は自己紹介のURL1行のみです。
また、この自分ウィキペディアはメールのフッターだけでなく、TwitterやFacebookなどのSNSにも設置しておくと、自己紹介をする時間が短縮できます。
■3.「矢印」を多用する
文章を中心とした資料の作成ポイントは「短く、わかりやすく、そしてカッコつけない」です。
小説や論文を書くわけではないので、伏線を張り巡らせたり、論理的な章立てを設けたりする必要はありません。
だらだらと前段を書いたり、接続語を多用したりするのも避けましょう。許されるならば「箇条書き」のフォーマットで、接続語の代わりに「矢印」を使うと見やすくシンプルになります。
例えば、・週1運動する→ジョギング、筋トレというイメージです。
・3年後の目標→年商10億
・営業マン5名採用→失敗。プロセス再考検討
接続語の代わりの「→」は「や」で変換して出るように辞書登録しておけば1語で済みますし、「しかし」「したがって」「例えば」といったどの接続語の代わりとしてもカジュアルに使えます。
■4.資料作成は「60点」を目指す
ゴールは「資料を完成させる」ことであり、自分で考えることではありません。
優先すべきはスピードであり、ブラッシュアップのプロセスに少しでも早く入ることが重要です。
学校教育の弊害のせいか、優秀な人であればあるほど「100点」を目指そうとします。緻密に考えることで時間ばかり経ってしまい、本来のゴールとは全く異なる、ただただ「やけに細かい資料」ができあがってしまったりします。
しかし大事なのは、まず「60点」のものを最速で作ることです。
自分では不満かもしれませんが、とりあえず60点でいいのです。
僕の場合、上司は80点を求めているかもしれませんが、怒られてもいいので60点で出していました。そのほうがトータルの資料作成時間が少なくなるからです。
■5.好奇心や直感に従う
ロジックではなく好奇心と直感をベースに行動したことが、何年もあとになってつながり始め、大きなかたちを作っていく。
この「点」が「線」になる経験というのは、仕事をしていくと、本当にたくさんあります。あの日、あのとき、あの場所で、あの人に会ってなかったらこの仕事はない、というのは無数にあります。僕がたまたま大学で講義に参加していたら、そこに出席していた学生が僕の関与先の会社の役員になった、たまたま参加した飲み会で友だちになった人が友だちを紹介してくれて、さらにその人が友だちを紹介してくれてビジネスパートナーになった……「もう10年ぐらい一緒に仕事してますね、あの飲み会に参加してなかったら会ってなかったですね」という話はよくあります。
ですから、好奇心や直感が反応したら、「ムダだ」「非効率だ」と思うことでも、迷わず取り組んでみてください。
【感想】
◆お恥ずかしながら、私は著者の須田さんのことは、今まで存じておりませんでした。とはいえ、冒頭で触れたように「40社以上のベンチャー企業の社外役員やアドバイザーを務めて」らっしゃるのですから、有能であることは疑いなく。
何せ、孫正義さんと一緒に、伝説の「Yahoo! BB」を立ち上げられたそうですから、そりゃ只者ではないでしょう。
……とここまで書いてきてから、若い読者さんの中では「Yahoo! BB」の駅前でのモデム配りを見たことが無い方が、結構いらっしゃる悪寒。
私は「Yahoo! BB」には加入しませんでしたが、もし「Yahoo! BB」がなかったら、日本のADSL普及はもっと時間がかかったでしょうし、料金も高止まりしていたと思います。
Yahoo! BB (沿革)- Wikipedia
◆ただ、タイトルにもある「月460時間労働」というのは、1日当たり約15時間働くということ(土日とも休日出勤前提)。
当時はそこまで残業が問題にならなかったとはいえ、普通の「仕事が多い」レベルとは次元が違います。
そこで須田さんが辿りついたのが、「捨てる」「手を抜く」「考えない」という仕事のスタンスでした。
たとえば上記ポイントの1番目などは、まさに「考えない」境地です。
本書の端々に、孫さんの無茶ブリの話が出てくるのですが、これなどはまさに言われた通りにやった方が良いのかもしれません。
◆続く上記ポイントの2番目の「自分ウィキぺディア」というのも、なるほど「手抜き」の手段としては有効かも。
また「年寄りの戯言」と言われてしまいそうですけど、昔は「前略プロフィール」というWebサービスがあったのですよ(2016年サービス終了)。
前略プロフィール - Wikipedia
もちろん仕事用ですから、書く内容はキャリア遍歴や出身地、出身校に趣味や特技、スポーツ等々。
メールのフッターに、長々と自己紹介を書くより、こちらの方がスマートだと思います。
◆一方、上記ポイントの3番目と4番目は、いずれも資料作成のお話。
類書でも見るので割愛しましたが、まず「TTP(徹底的にパクる)」が基本です。
特にプレゼン資料等のビジュアル系の部分については、「いいものをパクる」という「量稽古」をこなすことで、細部へのセンスが磨かれるようになるのだそう。
他方、文字中心の文書資料については、ポイントの3番目のように「矢印」を多用します。
いずれにせよ、ポイントの4番目にあるように「60点」目標で。
この辺は、職場や業務内容によっても変わってくると思いますが、あまり「考えない」で「手を動かす」のがキモのようです。
◆なお、巻末のけんすうさん、家入さん、経沢さんの仕事術については、てっきり対談かと思ったら、お三方がそれぞれ見開きくらいの量(Kindleなので分からず)でお話しているものでした。
本書を買う前には、てっきり本を厚くするためなのかと訝しんでいたのですが、そうではなかったの巻w
ただ、本書から漂う「肩の力が抜けた雰囲気」は、けんすうさんや、家入さんに通じるものがあるだけに、この人選は納得です。
……下手にコンサル上がりのバリバリなロジカル人間が登場したら、全否定されかねませんし。
このパートでは、けんすうさんが言われていた「敵・味方」のお話がためになりましたので、良かったら本書にてご確認ください。
仕事で少しでもラクしたい方なら、要チェックな1冊!

捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法
第1章 頭を使おうとしている人ほど仕事が遅い。
第2章 コミュニケーションはムダが9割。
第3章 ゆるく尊敬される上司が最強。
第4章 元資料作成マシーンによる手抜き術。
第5章 情報収集力を高めるスキマ時間活用法
第6章 効率化ばかりしていると退屈な人間になる
隣の仕事効率化1 けんすうさん
隣の仕事効率化2 家入一真さん
隣の仕事効率化3 経沢香保子さん
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
増補改訂 今日から描けるはじめての水彩画
「10年間、読者に指示され続けてきた」ロングセラーの改訂版。
送料を加算した中古よりも、Kindle版が600円以上、お求めやすくなっています。

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