2019年03月24日
【文章術】『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』西岡壱誠
「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった1冊。当ブログでは、その著作を軒並みご紹介している西岡壱誠さんの文章術本です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
18万部ベストセラー『東大読書』、待望の続編!
偏差値35からの東大合格を支えた「最強のアウトプット術」。
仕事でもプライベートでも、「もう、文章には迷わない」!
なお、版元が東洋経済さんなので、セールは期待しないでKindle版でとっとと読んじゃいました!
WHEN THE 11-PLUS RULED YOUR LIFE / brizzle born and bred
【ポイント】
■1.「4つの主張の型」とは?(1)感情型自分が感じたことを言いたいときには、この「感情型」で伝えましょう。あくまで「自分の感情を伝えたい」というときに使うのであって、「こう感じたから、相手にこうなってほしい!」とお願いしたいときには、後に説明する「要望型」になります。(2)共有型相手に何かを知ってほしい・理解してほしいときに書くのが「共有型」です。ノートも、「未来の自分」に対して何かを説明するわけですから、未来の自分と情報を共有していることになりますね。(3)要望型「何かを買ってほしい!」「こうしてほしい!」と相手に対してお願いしたいことがある場合に書くのが「要望型」です。「この本を買ってください!」「こういう契約をするといいと思います!」といった、お願いしたいことがあるときの主張ですね。(4)警鐘型多くの人が当たり前に思っていることに対して一石を投じたり、多くの人が知らないことを言って意識を変えてもらいたい場合などに書くのが「警鐘型」です。
■2.論理を飛躍させないためにつながりを意識する
「私は、車よりも電車を使うべきだと思う」こんなふうに、この「→」の関係性がしっかり見えているものでないと、「論理的」な文章にはならないのです。先ほどの、
→「車は電車とは違って、燃料にガソリンを使っている」
→「ガソリンは、使えば使うほど大気汚染の原因になる」
→「だから、車ではなく電車を使うほうが、空気が綺麗になるだろう」「私は、車よりも電車を使うべきだと思う」では、間に書くべきいくつもの論を飛ばしてしまっている。だから2つの間にある「→」が見えにくいし、相手にも伝わらない。
→「なぜなら、空気が綺麗になるからだ」
つまり、相手に伝わる論理的な文章を書きたかったら、「つながり」を意識する必要があるのです。
■3.断言するための3つのステップ
まずは「ツッコミ作り」。
断言は強い言葉ですから、その分、敵や批判を生みやすいということはお話ししましたね。そういう批判されそうなポイントを、あらかじめ自分の中で想像してツッコミを入れるのです。
この「ツッコミ」を踏まえて、次は「譲歩作り」です。
先ほどのツッコミを「たしかにこういう点もありますよね」と譲歩として作り替えるのです。これによって、批判ポイントをしっかり理解していることを提示し、またそれに対する反論も述べることで相手を説得するのです。
そして、「ツッコミ作り」と「譲歩作り」を踏まえて実際に断言を作り上げるのが「インパクト作り」です。
効果的に断言して、「なんだって!? これは読まなきゃ!」と思わせられるほどの「強い文章」を作る。そのためのインパクトを作り上げるのが、この「インパクト作り」です。
以上の3つのプロセスを踏まえれば、「本当に断言できるのか?」をしっかり考え抜き、 批判ポイントを消すことができる ようになります。
■4.問いかけの3つの型
(1)「これって疑問に思ったことありませんか?」型最初のタイミングで、「みなさん、これ知ってますか?」「これって疑問に思ったことありませんか?」と問いかける型です。会話に入れない友だちを入れてあげるイメージの言葉なので、主に文章の最初で使われます。(2)「「相手の言葉を先回り」型相手が疑問に思いそうなこと、つまり「ツッコミ」を、先にこちらで封殺するというものです。「今、こう思った人いたでしょ!」というやつですね。(3)「正解はどれ?」型
これは、「1人ディベート」の「ツッコミ作り」で考えたことを「 」に入れて、「『○○』って思った人いたでしょ?」という形に直せばそれだけで完成です。「インパクト文」や「譲歩」の前に選択式の問題を出すのが、この「正解はどれ?」型です。
「AとB、どちらだと思いますか?」と問いかけておき、その後で「Bだと思った人も多いと思いますが、実はAなんです!」と持ってくることで、譲歩やインパクト文の効果を倍増させることができます。
ここで、「ツッコミ」を間違った選択肢にしておけば、多くの人が間違えてくれます。
■5.謝罪文で有効な「1人ディベート」
謝罪においてすごく有効なのが「1人ディベート」です。自分で自分の非に、そして謝罪に、丁寧にツッコミを入れていくのです。
「申し訳ないと思っている」のならば、その論拠になるのは何か? そう自分にツッコミを入れたときに、答えになるのは「どうしてそんなことをしてしまったのかを考え、今後それを起こさないためにはどうすればいいと考えているのか」を示すことです。
この2つをしっかり文章の中に入れ込めば、「ああ、この人は本当に申し訳ないと思っていて、今後こういうことが起こらないようにちゃんと考えているんだな」ということが伝わります。
謝罪相手というのは基本的に謝罪している側に対して怒っていますから、ツッコミを入れたくてウズウズしているものです。なので、まずは相手からツッコミを入れられる前に自分でツッコミを入れる。そうすることで謝罪というのは形になるのです。
【感想】
◆引用量が膨大になって申し訳ございません。それなのに、本書の内容が的確にレビューできているかというと、正直ほど遠いというジレンマ。
実は今回、ハイライトは膨大に引いたものの、「要約」ではなく「引用」として抜き出すとボリューミーな部分が多かったため、上記ポイントはある程度短めなものを選んでいます(これでも)。
また、文章量自体は短くても、一連の「流れ」との兼ね合いで、その「前提」にも触れないと結局分かりにくいTIPSも割愛せざるを得ず。
たとえば、文章を「幹」「枝」「葉」「花」に分類して、「いらない枝葉」を探し出すテクニックが収録されているのですが、その「幹」や「枝」といった表現が何を指しているかにも触れないといけないため、泣く泣くパスしました。
……このレビューを読んだ後、本書を手に取った方が「何でこの部分を紹介しなかったのか?」と疑問に思われたら、その可能性を考慮していただけたら、と(言い訳)。
◆とはいえ、本書は他の文章術本では見たことのないようなノウハウが多々あるため、それらを少しでもご紹介したくて無理やり押し込んでみたのが上記ポイントの1番目。
実はこの「4つの主張の型」は、「主観的/客観的」「お願い/理解」という2軸によって、4つの象限に分類されています(もちろん本書ではマトリックス付き)。
まずは自分の「書きたいこと」から、この「型」を選び、その「型」にそって主張を列挙。
最後に、列挙された中から主張を選んで、文章を書けば良いワケです。
ちなみに、この「型」のうち、「要望」と「警鐘」を、「主張」と「論拠」で併用してしまうと相手に伝わりにくいのだそう(詳細は本書を)。
その部分もホントは具体例込みでご紹介したかったのですが、そもそも「『型』とは何か?」から触れないと分からない以上、必然的に割愛しました。
さらにはこの部分のすぐ後にも、この「4つの主張の型」に沿って、「目的」と「手段」をマトリックスに当てはめて書いていくTIPSが紹介されているものの、こちらはさらにボリューミーなので、やはりカットしています(涙目)。
◆また、上記ポイントの3番目も若干補足が必要かもしれません。
いきなり「断言」なんてフレーズが出てきていますが、そもそも、説得力のない文章は読んでもらえませんし、説得力は「断言する」ことで生まれるから。
西岡さんご自身、最初の2回の東大受験で、難しい問題に対して「わかっている風のふわっとした解答」をしたところ不合格だったのに、3回目では「わかっている部分のみ堂々と書いて」合格したのだそうです。
ちなみに上記ポイントでは、「ツッコミ作り」「譲歩作り」「インパクト作り」とステップのみ列挙していますが、本書ではそれぞれに対して、かなりのページを割いて解説していますのでご安心を。
本当は、そこでもハイライトを引いたTIPSが結構あるんですけどね……。
◆そして、この3つのステップを踏まえて行うのが、上記ポイントの4番目の「問いかけ作り」。
本書ではそれぞれのステップについて、「使用タイミング」「問いかけ例」「作り方」を表でまとめており、非常に分かりやすくなっています。
なお、問いかけの頻度に関して、西岡さんは「400〜500字に一度は問いかけを入れ込む」ことを心掛けているのだとか。
確かに、文章に問いかけがあると思わず引き込まれますし、この「3つの型」のどれかが使えないか意識すると良いと思います。
◆なお、本書のPART2では、シチュエーション別に本書のTIPSを総ざらい。
「メール・チャット」「議事録・報告書・レポート」「企画書・提案書」「SNS・ブログ・メモ」「謝罪文」という5つの状況における、「Before/After」を解説しています。
上記ポイントの5番目は、もちろん最後の「謝罪文」のパートからのもの。
実際、不祥事の際での「トンデモ謝罪文」を目にすることは結構ありますから、そうなる前に、ぜひ本書のこの部分をお読みいただきたいところです。
もちろん、報告書や企画書の例も、本書のメソッドをどのように活かすのかが分かりますから、こちらもお見逃しなく。
公私ともに使える文章術本です!
「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文
はじめに 偏差値35だった僕を救ってくれた「東大作文」
PART1 「伝える力」と「地頭力」がいっきに身につく「東大作文」
STEP1 あとがき作りで「言いたいこと」がまっすぐ伝わる
STEP2 目次作りで「見違えるほど読みやすい文章」になる
STEP3 1人ディベートで「説得力のある文章」が書ける
STEP4 質問トラップ作りで「読者を引き込む文章」が書ける
STEP5 枝葉切りで「スマートな文章」が書ける
PART2 5つのシチュエーションに対応! 「東大作文」実践編
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。最後の授業 ぼくの命があるうちに (SB文庫)
単行本刊行時に、当ブログでも激プッシュした自己啓発書。
著者であるランディ・パウシュ教授は、10年以上前に残念ながら亡くなられてしまいましたが、今もYouTube上では元気な講義姿を観ることができます。
参考記事:【感動!】「最後の授業」ランディ・パウシュ(2008年06月16日)
ご声援ありがとうございました!
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