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2019年03月07日

【オススメ!】『人がうごく コンテンツのつくり方』高瀬敦也


コンテンツのつくり方
コンテンツのつくり方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日最終日となる「ビジネス・マーケティング本フェア」でも人気を博していた1冊。

190308追記:セール期限が3月21日まで延長されました!

Amazon.co.jp: ビジネス・マーケティング本フェア (3/21まで): Kindleストア

昨日投稿した「前日ランキング」で3位に着けていたこともあって、慌てて読んでみたところ、想定外にスゴ本でビックリしました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
一言で言うと、世の中のものはすべて「コンテンツ」です。
だから、難しく考える必要はありません。Webにある記事も、今日飲んだミネラルウォーターも、今着ている服も、みんな「コンテンツ」です。
正確には、「コンテンツになる可能性を秘めて」います。
あらゆるモノ、商品やサービスはコンテンツになる可能性があるので、新しいモノを生み出す必要はありません。
コンテンツにしていく、つまり「コンテンツ化」していくだけで大丈夫です。
もちろん「コンテンツ化」にはノウハウがあります。
私の経験もそうですが、いろいろな場面で教わったり、伝え聞いたりしたノウハウをまとめたのがこの本です。

まだまだ中古が高いため、送料を加算するとKindle版が700円弱、お買い得となります!





Content Marketing Landscape - infografika / Chris Urbanowicz


【ポイント】

■1.イメージを共有する
 企画やコンテンツづくりにおいて、「人と話をすること」が必要なことは先にお話しした通りです。では具体的な話になったとき、アイデアをどう伝えるか。それは常に「例えば」という枕詞で始まります。
「『ドラゴンボール』のあのときのフリーザのセリフみたいな」とか「『スター・ウォーズ』の父子の関係性みたいな」とか「『ドラクエ』の塔で鍵を見つけるような構造で」という具合です。この時、そのシーンを知っているか否かで、共有できるものが違ってきます。
「当たるコンテンツをつくるにはどうしたらいいか」と尋ねられたときも「とりあえずヒット作は全部目を通した方がいいですよ」とお答えします。打ち合わせや会議の際に、イメージが共有できるようにしておくことは、とても大事です。
 コンテンツづくりは企画者の「イメージ」の具現化です。チームでイメージを共有するとき、過去のヒット作はとても大事な「共通言語」です。


■2.「大きい」と「小さい」の意味は異なる
 ここでひとつ簡単なコンテンツのつくり方をお話します。それはとりあえず「デカくする」ということです。大きいものは常に人の興味の対象です。「世界最大の」とか「日本一大きい」といったものはコンテンツになっていますよね。そこまでじゃなくても、「巨大な仏像」や「実物大のガンダム」なども十分気になりますよね。そもそも背の大きい人は目立ちます。(中略)
 大きくしたり多くしたりするには、お金や場所の問題も出てきます。そういう時は応用として極端に「小さく」するのも有効です。ただ大きいものは「デカい」というだけで良いのですが、「小さい」ものは「小さいのに良くできてる」とか「ちっちゃくてカワイイ」とか、コンテンツ化するにあたってもう一つ別の要素が必要になってきます。「デカい」を魅力的に感じるのは「普遍的な生理」ですが、「小さい」ことに感じる魅力は「情報」と言えます。コンテンツづくりにおいては「大きい」と「小さい」の意味は異なります。この違いさえ分かっていれば、「大きさ」や「分量」を利用することでコンテンツ化は簡単にできます。


■3.ニッチコンテンツとマスコンテンツの関係
「コンテンツ化とは狭めること」と言いましたが、これは満足度を高めるための方法です。狭めれば狭めるほど、余計な情報や要素がなくなり、欲しいモノがダイレクトになります。つまり、嫌な要素が無く、好きな要素がとても多い状態です。当然満足度は上がります。
 逆にマスに受け入れられるようにすることは、満足度を下げる作業になります。ここで重要なのは「満足度を下げる」のが目的ではなく、「嫌な部分を無くす」ことが目的だということです。たくさんの人に受け入れられるために「いろいろな人が嫌いだと感じる要素をまんべんなく無くしてあげる」という作業をしていきます。「結果として満足度を下げることになる」ということです。
 高い満足度は「好きな要素を突出させること」ですので、興味のない人にとっては邪魔になったりします。たくさんの人に受け入れてもらうためには、突出する要素を無くす必要があります。「突出した部分=尖ったところ」を削る作業、これは「丸める」とも言います。「丸めた」ことで満足度は下がりますが、受け入れてくれる人は増えていきます。


■4.差別化とは「テクノロジー」を入れること
 コンテンツは、過去のヒット商品や作品など、様々なインプットから生まれると言いました。しかし、過去のヒットから学べば学ぶほど「二番煎じ」になってしまうような気がする方もいるでしょう。差別化するために「足し算」をしたくなりますが、それは蛇足になってしまいます。では、どうしたら良いのでしょうか。その答えは「テクノロジー」です。「テクノロジー」を取り込むことで差別化するのです。
 最近で分かりやすい例は、やはりスマホのサービスでしょう。ブラウザで提供していたものをスマホに置き換えるだけで新しいサービスになります。置き換える「だけ」と敢えて言いましたが、もちろんスマホファーストに置き換えるのは簡単なことではありません。そこには様々な分析やノウハウや苦労があったはずです。しかし、ユーザーにとっては「スマホ」に置き換えられたことが「新しさ」のすべてです。一般的な生活者は、ブラウザのサービスといちいち比較したりなんて面倒なことはしません。


■5.メディア選びもコンテンツの一部
 あなたが「良い」と思ったことに同じように共感してくれる人、それがどんなにマニアックなことでも同じように「良い」と思う人って1万人に1人くらいはいると思いませんか。誰かが何かをつくって発信したとき、「良い」と思う人が近くにもし1人いたとしたら、日本全体では1万人、世界では70万人にいることになります。(中略)
 しかしコンテンツがこの1万人に出会うためには、マスメディアなど限られた土管を使うしかありませんでした。そのメディアで届けるためのコンテンツづくりをする必要すらありました。しかし、今はとてもシンプルに届ける手段があります。どんなコンテンツでも1万人のファンを獲得することはできるのです。
 これは、「言い訳ができなくなっている」ことでもあります。以前だったら「解ってくれない」とか「取り上げてくれない」といったように、コンテンツがヒットしない理由をメディアのせいにできました。しかし、シンプルに世界に発信できる時代です。主導権はコンテンツにあるのです。どんなメディアで、どこに、どんな風に発信するか選べます。だとするならば、メディア選びもコンテンツの一部です。


【感想】

◆冒頭で「スゴ本」と書いたように、これまで読んだアイデア系の作品の中でも、かなりインパクトが大きい作品でした。

何故かと考えたのですが、おそらく「コンテンツ」というモノに対する考え方や、その作り方のアプローチが、多くの類書に比べて、レイヤーが1つ上っぽいこと。

しいて言うなら、「戦術」レベルではなく「戦略」レベルとでも言いますか。

類書だともうちょっと細かい分、「それはテレビ業界だから使える話だよね」とか「ウチは広告代理店と違うから」となるところ、本書の場合「なるほど……じゃあ、ウチでもこうしたらいいのでは?」となりそうな感じです。

たとえば、上記ポイントの2番目の「大小の違い」のお話は、製品開発にも使えますし、広告やキャッチコピー(自己紹介も?)、マーケティング、さらには町起こしでもイケそうな気が。

そんなわけで、ハイライトもガシガシ引きまくった次第です。


◆とはいえ、全部ご紹介するワケにもいきませんから、個人的に絞り込んだのが上記5つのポイント。

ただし、割愛した中にも触れておきたいものがいくつかあって、たとえば序章で指摘されていたのが、「コンテンツ化をするときのポイントは『どこから見るか、誰から見るか』」というTIPSです。

そこで具体例として挙げられていたのが、こちらの作品。

工場萌え
工場萌え

この本がきっかけとなって、工場群の夜景が多くのメディアで取り上げられたのだそうです。

ただし逆に、工場で働いている人にとっては、毎日の職場ですから、本になったりツアーが組まれたり、というのは想像しにくいでしょう。

つまり、自分の身の回りのものや地域が、外から見たときにどう見えるのかが理解できたら、それらをコンテンツ化できることになります。


◆同じく割愛した中で興味深かったのが、第1章にあった「二匹目のどじょう」がなぜうまくいきにくいのか、というお話。

たとえばオリジナルのヒット作と差別化しようとして、よく用いられるのが「足し算」という方法です。

ただし、そもそものヒット作は、ユーザーのニーズや気持ちに率直であるため、むしろ「引き算」を重ねて極限まで贅肉をそぎ落としているからこそヒットしているもの。

つまり往々にして、「二匹目のどじょう」として足された部分は、オリジナルが作られる過程で引かれた部分と同じだったりします。

……結局「ベタ」なのが一番ということなんですね。


◆また、上記ポイントの3番目の「ニッチとマス」のお話も、個人的には腑に落ちまくりました。

分かりやすいのが、テレビの深夜番組で、よくヒットした深夜番組が、ゴールデン帯に上がると「つまらなくなる」という現象です。

これは深夜時代には「ニッチ」として作られているから。

というか、各テレビの視聴率争いの対象と言うのは、6〜24時(全日)であり、それ以降はその対象外なのだとか(知らなんだ)。

結果、「嫌な部分を無くす」ことによって「満足度が下がる」んですね。

ただし、「ニッチとマス」はもう1つ「有料か無料か」という切り口もあって、『スカパー!』のような有料サービスは「ニッチ」、通常のテレビ番組は「マス」となります。

そう考えると、今話題の『Netflix』はイメージ的には「マス」っぽいですが、あくまで「ニッチ」であり、むしろ「映画」に近いという指摘もうなずけるところ。


◆また、上記ポイントの4番目の「テクノロジー」のお話も、結構目からウロコでした。

これは上記で触れた「二匹目のどじょう」を回避する手段でもあり、かつ、比較的容易に(技術的には分かりませんが)コンテンツを作る方法と言えるでしょう。

本書で挙げられていた例が「フリーズドライの味噌汁」で、以前(1960年ころ)から技術としてはあったものの、味噌汁に使う、という発想は昔はなかったということです。

つまり、「見たことのある企画」にテクノロジーを掛け合わせるだけで、ヒットする可能性があるかもしれません。

さらにテクノロジー絡みで言うなら、スマホの縦画面に合わせるお話や、LIVE動画のお話等々もありましたが、スペースの関係で詳しくは本書にて(スイマセン)。


これはオススメせざるを得ません!(セール価格ですしw)

コンテンツのつくり方
コンテンツのつくり方
序章 コンテンツとは何か
第1章 コンテンツをつくる
第2章 コンテンツを広げる
第3章 テクノロジーとコンテンツ
第4章 コンテンツの終わり


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【クリエイティブ】『「企み」の仕事術』阿久 悠(2012年06月05日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

未来IT図解 これからのブロックチェーンビジネス
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ブロックチェーンが仮想通貨だけではないことが分かる1冊が、中古よりも700円弱お得。

ただし、固定レイアウトで字が小さい(サンプルをダウロードしたら、PCのディスプレイで読める程度)ゆえ、老眼気味の方はご留意ください。


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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