2019年03月06日
【目標達成】『FINISH! 必ず最後までやり切る人になる最強の方法』ジョン・エイカフ

FINISH! 必ず最後までやり切る人になる最強の方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも、人気を集めていた1冊。著者であるジョン・エイカフ氏は、「ニューヨークタイムズのベストセラー選書を含め5冊の著作がある他、個人開設ブログの読者数は400万人、ツイッターのフォロワー数は30万人以上」というインフルエンサーです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
今年こそ毎朝ランニングするぞと決心したものの、3日目には挫折してそれっきり。
はり切って新調したシューズは玄関に放りっぱなし・・・。
本書では、なぜ人は挫折するのか、いつ挫折するのか、どうしたらそれを乗り越えて続けられる→最後までゴールできるのかを、具体的にユーモアを交えて解説します。
あまりセールをしないダイヤモンド社さんの作品ですから、私は「10%OFF」のKindle版で読みました!

"Finishing" / rexola
【ポイント】
■1.不完全ながらも前に進むあなたが完璧になることは、これからもない。しかし、そうなるよりもっと重要なことがあるのをご存じだろうか? 完璧主義なんかより、はるかに役に立つものが何かわかるだろうか?
不完全ながらも前に進むことだ。
完璧でなくなった日のことを、「失敗した日」ととらえるのはやめよう。
それは事実ではない。
またやり直せばいいだけの話だ。
その日からでも、翌日でも、翌週でもいい。
残念ながら、完璧主義は簡単には消えない。かなりしつこいうえに、美徳のような顔をしているところがとても危険だ。この章を読んでいて違和感を覚えるなら、完璧主義の反対を「失敗」だと思っている証拠だ。だがそれは違う。完璧主義の反対は「やり切る」ことだ。
■2.目標を半分にする
たとえば、10キロ痩せることを目標にしていたのに8キロしか痩せなければ、目標に2キロ満たなかったことになる。
「月を狙って撃て。たとえはずれても、近くの星には当たる」という古い格言を信じている人は多いが、現実はそうはいかない。「オール・オア・ナッシング」を掲げる完璧主義が、近くに当たっても意味がないとささやく。完璧主義にとって、星に当たるだけでは十分ではないのだ。
それを真に受ければ、当然やめたくなる。だが、目標を半分の5キロにしたうえで8キロ痩せたら、目標を達成したということでダイエットを続けたい気持ちは高まるだろう。目標を半分にしてもしなくても、落とした体重は同じだが、目標を半分にすれば、ほぼ確実に最初の目標は達成できるので、残りも頑張ろうと思える。
■3.何を諦めるかを事前に決めておく
本書のような自己啓発本の多くは、より多くのことを成し遂げられる力については強調しても、できないことを特定する必要性については触れない。だが、すでにやることでいっぱいの毎日に新たに何かが増えれば、いい気分になることはなく、ストレスが増すばかりだ。自分を恥じたくなる罠に陥らないためには、不得意になることを事前に決めておく必要がある。
これを『成功する人は、2時間しか働かない』の著者ジョシュ・デイヴィスは、「戦略的な機能不全」と 呼ぶ。たとえば、「庭には手をかけないと事前に決めること」は戦略的な機能不全のひとつである。やりたいことを全部行う時間はないと認め、特定の期間だけ何かをあえて脇に追いやるのだ。
■4.隠れ家にこもらない
「隠れ家」とは、自分がヘマをすることを恐れて隠れる安全な場所を指す。要は、目標の到達を避けることになったとしても、自分のなかの完璧主義を満足させるタスクに取り組んで、「うまくやっている」と実感するのだ。
隠れ家を見つけるのは簡単だ。生産性のないことに目を向ければいい。たとえば、何かをする時間になると決まってネットフリックスを観ようとするなら、ネットフリックスが隠れ家だ。自分の努力が不完全に終わることを直視するのを恐れるあまり、努力やスキルがいらない別のことをして逃げているのだ。
生産的なことをしているように感じる隠れ家もあるかもしれないが、それはまやかしだ。
充実した気持ちにさせてくれるが、本当に終わらせたい大事なことは何ひとつ前に進んでいない。
■5.高尚な建前に注意する
ビルのガレージにネズミがいるかどうかは知らないが、彼が「ガレージの掃除は永遠に終わらない」と妻に告げられないことは知っている。
そう告げられない彼は、妻からガレージの掃除を促されるとこんなふうに答える。「そうだね。掃除しよう。まずはガレージセールを開こう!」
一見すると、彼の言葉は目標の達成に向けた最善の答えのように思えなくもない。
妻に反論するどころか、妻の提案に賛同し、やる気まで見せている。掃除に対する承諾に加え、それを通じてお金を儲けるアイデアまで出している。いいことずくめだ。
だが、ビルの妻は彼の真意を見抜いている。
ビルはガレージの掃除に向けた第一歩を踏みだしているのではない。高尚な建前を口にしているだけだ。
高尚な建前は、本来の目標以上に達成を困難にして、終わらせなくてもいいように仕向ける。しかも、それが理にかなっているように思えてしまう。
【感想】
◆こういうテーマで本を出すくらいですから、著者のジョン・エイカフ氏は、さぞかし意志が強い人物なのだろうと、フツウは思います。ところが本書の「はじめに」によると、彼自身は自分のことを「単なる怠け者」と思っており、実際、この本でおなじみであるアンジェラ・ダックワースの「やり抜く力の診断テスト」を受けてみたところ、点数が低すぎて、スコアチャートに載っていなかったのだそう。

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
参考記事:【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)
その一方で、エイカフ氏は「30日間ハッスル」と名づけたチャレンジプログラムをオンラインで公開。
すると、メンフィス大学の研究員から連絡をもらい、「『30日間ハッスル』を受講した人々を調査して、何に効果があり、何に効果がなかったかを分析させてほしい」という申し出を受けます。
そして850人以上の受講者を調査した結果わかったのが、「目標の達成を徹底して邪魔する『完璧主義』を排除する」ことの重要性でした。
そのため、この調査結果をベースに書かれた本書は、ほぼ一貫して「完璧主義」に反する内容が貫かれています。
◆たとえば、上記の「30日間ハッスル」で脱落者が多いのは何日めか?
23日めや15日めと予想する人がほとんどだが、いずれも正解とは程遠い。そこでエイカフ氏がまず主張しているのが、本書の第1章から抜き出した、上記ポイントの1番目。
もっとも多いのは2日めだ。そう、プログラムの一環として届くメールを開かない人がいちばん増えるのが2日めなのだ。なぜその日なのか? 完璧はとても崩れやすいからだ。
とにかく、たとえ完璧でなくとも、とにかく前に進むのが大事なわけです。
さらにそのために重要なのが、第2章から抜き出した、上記ポイントの2番目の「目標を半分にする」。
本書でも指摘されていたのが、「フルマラソンに挑戦する」と言いだす人に限って、ハーフマラソンはおろか、ろくすっぽランニングしたことがない、という事実です。
逆に、目標を半分にすれば、ポイントにもあるように、さらに続けよう、という意欲も沸く次第。
ちなみに、半分にできない類の目標の場合は、倍の時間を取ると良いのだそうです(借金の返済等)。
◆ただし、目標達成のためには、何かを諦める必要がある、というのが、上記ポイントの3番目。
これは本書の第3章からであり、まさに完璧主義に反するものです。
エイカフ氏の場合も、「不得意になる」と決めたものとして、「テレビの話題についていくこと」等、4つを挙げていますが、少々厄介なのが「人付き合い」。
ただ、彼いわく
友人とのつきあいについては、慎重な対応が求められる場面がいろいろあるが、いずれにせよ、必要なことはただひとつ。 ほかに優先すべきことがあるときは、きっぱりと力強く「ノー」と言えばいい。とのことです。
また、それでもやめられないものについては、「手を抜け」とのこと。
確かに、何でも抱えてパンクしそうな新米ママさんも、徐々に手抜きを覚えますしね(特に子ども2人目以降)。
◆一方、本書で個人的に「なるほど」と思ったのが、上記ポイントの4番目と5番目。
これらはいずれも本書の第5章からなのですが、どちらも「完璧主義」による妨害工作について触れたモノです。
前者の「隠れ家」は、思い当たるフシがある方も多そうですし、これって勉強前に始めたくなる机の整理も該当しそう。
また、後者の「高尚な建前」には2通りあって、1つは「別のことを先にやってからでないと、目標に向かうことはできない」というもの。
これは上記ポイントの5番目がまさにそうで、確かにガレージを掃除するよりも、ガレージセールを開く方が、よほど手間がかかる分、ハードルは高いですよね。
もう1つは、「目標を達成してしまったら、悪い結果が生まれたり、自分の評価が下がったりする」というものなのですが、詳しくは本書にてご確認を。
◆……と、本書の内容をあれこれご紹介してきたものの、実はまだ本書の半分強しか達していません。
もちろん、後半部分もハイライトを引きまくっていますが、正直、ここまででお腹いっぱい。
割愛した中にも、「暗黙のルールをあぶり出す4つの質問」ですとか「目標の達成度合いを測る23の方法」ですとか「完璧主義が最後に煽る3つの不安」といった興味深いTIPSもありますので、ぜひ本書の方でお読みください。
また、巻末には原注もしっかり付されていますし、博士や教授がが書いた本ではないのに、キチンと「科学的自己啓発書」のマナーに則しているのもポイント高いです。
正直、ガチガチな完璧主義者の方には、受け入れにくいかもしれませんが、ちょっと肩の力を抜いて目標達成するには、非常に参考になるかと。
最後までやり切りたいなら読むべし!

FINISH! 必ず最後までやり切る人になる最強の方法
第1章 人は「完璧が崩れた翌日」に挫折する
第2章 目標は半分にしろ
第3章 何を諦めるかは事前に決めておけ
第4章 やり遂げたいことを楽しいことにせよ
第5章 隠れ家から出よ、高尚な建前を捨てよ
第6章 自分だけの暗黙のルールを可視化する
第7章 データを使って、これまでの進歩を祝おう
第8章 終わりの日がやってきた
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【科学的自己啓発書】『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(2017年07月01日)
【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)
【オススメ!】『マインドセット: 「やればできる!」の研究』キャロル・S. ドゥエック(2016年01月18日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
1984年のUWF (文春e-book)
私はプロレスを全然知らないので、オススメしにくいところですが、何度かセールでも見たことのある1冊。
中古が値崩れしているものの、「69%OFF」の「599円」ということで、Kindle版が300円弱、お買い得となっています。

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