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2019年03月01日

【傾聴?】『1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」』渡辺直樹


1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」
1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていた1冊。

著者の渡辺直樹さんは、7万人以上の話を聞いてきた心理カウンセラーであり、「日本傾聴能力開発協会講師」という肩書をもお持ちの方です。

アマゾンの内容紹介から。
ギスギスした職場、不機嫌な恋人、家庭の不和…9割の人は人の話を10%も聞けていない!コールセンター歴20年の心理カウンセラーが教える。人の話が聞ければ、人生の80%はうまくいく。

現時点で中古はまだ値下がりしていないゆえ、「23%OFF」とお買い得なKindle版がオススメです!





listen closely / Elsewhere Artist Collaborative


【ポイント】

■1.「共感」と「同感」はまったく別もの
 「共感」と似た言葉に「同感」や「同情」があります。一般には、「共感」と「同感」「同情」は同じような意味で使われますが、心理学ではこれをはっきりと区別します。ここが、「魔法の聞き方」がただの話の聞き方とは一線を画するポイントでもあります。
 心理学では、同感や同情は、相手の意見に「賛成」することを意味します。つまり、相手に対して「私もそうです」と伝えることで、その際の主語はあくまでも「私」です。
 一方、「共感」は、自分の気持ちをひとまず横において、「あなたはそうなのですね」と相手の気持ちを理解することです。主語は「あなた」です。(中略)
 ちなみに、この「自分の気持ちをひとまず横においておく」というのは、自分の心を真っ白にするとか、自分の気持ちを消し去るといったことではありません。感じたことは否定せず、むしろはっきりと意識したまま、「横においておく」のです。


■2.「オウム返し」は相手の気持ちを繰り返す
 相手の話した言葉を適当に選んでただ繰り返す「オウム返し」だけでも効果はありますが、ずっとそれだけだと、ただ聞き流しているように感じられるかもしれません。
 より効果的なのは、相手の「気持ち」が表れている言葉を繰り返すよう心がけることです。これは、第1章で説明した共感ベースの聞き方をするうえでも、欠かせないポイントになるものです。
 繰り返したいのは、「気持ち言葉」、つまり話し手の気持ちのこもった言葉です。話を聞きながら、聞き手は自分の感情と相手の感情の両方に意識を向け、相手が話した言葉で、「気持ち言葉」だと自分が感じた言葉を、相手に向かって繰り返します。
 例をあげましょう。
話し手:娘が3歳になって、とてもうれしいです
 相手がこう言ってきたら、もちろん「うれしい」が気持ち言葉です。「それはうれしいですね」などと、気持ちを繰り返すのがよいでしょう。


■3.相手の言葉は勝手に言い換えない
 聞き方について書かれた他の本では、「相手の言葉を別の言葉に言い換えて返すのも効果的」だと教えるものもあります。
 しかし、プロの心理カウンセラーは、相手の言葉をそのまま繰り返します。なぜなら、人は自分の言葉を勝手に言い換えられると抵抗を感じることがあるからです。
 似た意味の表現でも、話し手と違う言い方をすると、相手は誤解をされたように感じます。そうすると相手はもう一度繰り返して説明しはじめたりするので、なかなか話が先に進まなかったりします。また、言葉を言い換えるのには時間や労力がかかるので、相手のペースや、会話のタイミングを狂わせる原因にもなります。
話し手:本当に驚いた  
聞き手:びっくりされたんですね
 このように聞き手が自身のフィルターを通して相手の言葉を勝手に翻訳してしまうと、話し手のニュアンスと微妙なズレが生じることがあります。


■4.怒っている人には、まず怒りの炎を十分に吐き出させる
 怒りが頂点に達している人、感情的な言葉が止まらない人に、絶対にしてはいけないのは言い訳をすることです。
 そういう人を前にすると、とにかくその怒りをしずめたくて言い訳をしそうになりますが、言い訳をすると、相手は「責任逃れしている」と受け取ったり、「自分が気分を害したことに対する謝罪はないのか」と思うものです。
 そして、自分の話をさえぎられたという不満から、怒りがさらに炎上します。
 前述の「毒矢のたとえ」をイメージするとわかりやすいかもしれません。矢が刺さって苦しんでいる人=怒っている人は、その矢が放たれてしまった理由を知りたいわけではないのです。怒りという苦しみを何とかしてもらいたいのです。
 怒っている人の話を聞く場合も、やはり大切なのは「共感」と「うなずき・相づち・繰り返し」です。


■5.自分自身との関係が良好だと相手の話も聞ける
 傾聴では、相手の話を聞ける人とは、自分自身との関係が良好な人と言われます。自分で自分を褒めることができて、ときに「できない自分」も認めることができて、自分で自分を許せる人なら、そういう人は相手のよい部分に目が行きやすく、できていない相手も認められて、相手を許せる人です。
 自分の中の、できていない部分、ネガティブな部分も認められる人は、そのネガティブな部分はそのままに、それよりも、よりポジティブな部分をたくさん身につけようとします。
 つまり、悪魔は放っておき、より多くの天使を味方につけようとします。それでいて、できていない部分はそのままですから、できていない相手にも優しくなれ、どんな話も聞けるようになります。


【感想】

◆なかなか奥深い「聞き方本」でした。

なにせ冒頭でも触れたように、著者の渡辺さんは「コールセンター歴20年」という、まさに「聞き方のプロ」。

生半可なスキルでは、クレームや罵詈雑言に押しつぶされてしまいます。

中でも大事なのが、上記ポイントの1番目にあるように、「共感」を「同感」と区別すること。


◆もちろん、私たちがしなければならないのは「共感」であり、必ずしも相手に「同感」する必要はありません。

たとえば、コールセンターでは第一声で「ほんと、あんたたちって使えないね!」と言われることもあるのだとか。

……類書で「相手に共感すべき」と学んだことのある私でも、さすがにこれにはお手上げですよ。

それでもここで、イラッとしてはいけなくて、「どうかなさいましたか?」と答え、心の中では「この人は『あんたたちって使えない』と思っているんだな」と心の中で思えばOK。

要は、相手の意見や感情はあくまで相手のものであって、自分のものではない、と区別するわけです。


◆また、上記ポイントの2番目の「オウム返し」は、ご存知の方も多いことかと。

ただし、渡辺さんたちが行う「オウム返し」はひと味違って、「相手の『気持ち』が表れている言葉を繰り返す」というものです。

「気持ち言葉」というフレーズは初めて見ましたが、相手の発言を「事柄・出来事」と「気持ち」の部分に分けると、見つけやすいハズ。

では相手が
娘が3歳になりました。
と言ってきたら、どの言葉を繰り返すか?

……実は答えは「わからない」。

もしかしたら、この後、悲しい展開が待っている可能性もありますから、こういう場合は無理に気持ちを繰り返さず、「ほう、そうですか」と返すのだそうです。

なお、本書では気持ち言葉のパターン(「独特な言い回し」等)がいくつか列挙されていますので、こちらも参考にしてみてください。


◆一方、上記ポイントの4番目のお話は、コールセンターならではのTIPSです。

ちなみに、ここで触れられている「毒矢のたとえ」というのは、このようなものなのですが。

毒矢のたとえ

そして「共感ベースの聞き方」というのも、毒矢を放った犯人を探したり、毒矢の形状を調べるのではなく、さっさと毒矢を抜いて、その人を助けることに集中する聞き方なわけです。

なお、相手が怒っている場合、相手の話し方に合わせる(ペーシング)のではなく、あえて「ゆっくり、低い声」で、うなずきや相づちを行うと、つられて「売り言葉に買い言葉」になるのを防げるのだとか。

……さすが「コールセンター仕込み」はひと味違いますね。


◆ちなみに個人的に興味深かったのが、最終章から抜き出した上記ポイントの5番目のお話。

今まで「自分」よりも「相手」に寄り添うことに注力してきましたが、ここでは改めて「自分自身」を見つめ直しています。

結局、「自分に厳しい人は相手の話を聞きにくい」ということ。

私自身、できる限り「自分に厳しくあろう」としていた(できるできないはさておき)のですが、それだと「傾聴」しきれないと知り、ビックリしました。

この辺は、当ブログの読者さんにも、思い当たるフシがあるかもしれませんし、お気を付けいただけたら、と。


聞き上手になるために読むべし!

1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」
1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」
序章 魔法の聞き方
第1章 相手の気持ちを受けとめる技術―「共感」ベースの聞き方
第2章 相手に「聞いている」と伝える技術―うなずき・相づち・繰り返し
第3章 ストレスフリーに聞く技術
第4章 「聞くことですべてうまくいく」魔法


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【編集後記】

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