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2019年02月20日

【科学的自己啓発書】『「幸せをお金で買う」5つの授業』エリザベス・ダン,マイケル・ノートン


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「幸せをお金で買う」5つの授業 (中経出版)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWAトップセラー2019」の中でも、以前から個人的に読んでみたかった1冊。

発売されてからやや時間が経っていたので、躊躇していたのですが、これは読んで良かったと思えるスゴ本でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「ある程度以上のお金を持っていても、幸福にならない」――多くの研究がそう結論付けている。 しかし、「使いかた」を変えたら?
NHK“幸福学"白熱教室やTEDで話題となったハーバード大ビジネススクールのマーケティング専門家マイケル・ノートン博士とカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学者エリザベス・ダン博士が解き明かす「幸せをお金で買う」新しい方法。

絶版のためか相変わらず中古が高値であり、Kindle版が実質3000円超のお買い得となっています!





Virgin Galactic On Press / StickerGiant


【ポイント】

■1.人はやったことより、やらなかったことを後悔する
将来の宇宙旅行のチケットを販売するヴァージン・ギャラクティック社の美しいパンフレットには、宇宙から地球を撮影した素晴らしい写真や準軌道飛行宇宙旅行の未来イメージがたくさん掲載されています。そうした中身とは対照的に、シンプルなグレーの表紙には、マーク・トウェインの「20年後のあなたは、やったことよりも、やらなかったことによって失望しているだろう」という言葉が書かれています。この販売戦略は見事です。まだ存在していないものに2万ドルもの手付金を払わせようとするなら、ぜったいに後悔することはないと納得させなければなりません。
 このトウェインの言葉が真実であることも明らかになっています。経験を購入するかどうか迷ったときのことを振り返った人々の83パーセントは、マーク・トウェインの側につきました。たった1つの最大の後悔は行動に移さなかったこと、つまり、せっかくある経験を買えるチャンスがあったのに、そのチャンスを逃してしまったことだと彼らは答えました。一方、形のある買い物に対しては逆でした。ほとんどの人の最大の後悔は、買わなければよかったと思う品物を買ってしまったことだったのです。


■2.中断が新鮮さを取り戻してくれる
 たとえば『ジ・オフィス』のようなテレビドラマが大好きな場合、ドラマを見る喜びを最大にする一番の方法は、DVDセットを買って、すべてのエピソードを最初から最後まで一気に見ることだと思うかもしれません。CMなしで、次のエピソードまで1週間も待つ必要がないのですから、これはいいアイデアに思えます。
 ところが、エピソードとエピソードの間に休みが入ると楽しさが増えるという結果をカリフォルニア大学サンディエゴ校のリーフ・ネルソンとニューヨーク大学のトム・メイヴィスたちの研究チームが発表しています。おそらく、彼らの研究結果で最も驚くのは、CMがテレビを見るという経験をよりよいものにしてくれるという部分でしょう。
 とても面白い番組でさえも、5〜7分後には飽きてきて、楽しさが減少し始めます。そこにCMが入ると、適応プロセスが中断され、再び番組が始まったときには、私たちはまた番組の登場人物に恋するようになるのです。


■3.時間をお金とみなさない
 ここで、次の課題に取り組んでみてください。
ステップ1 昨年、平均して週に何時間くらい働いたかを計算する。
ステップ2 昨年、何週間働いたか、そして税込みでいくら収入があったかを算出する。
ステップ3 年収を昨年働いた総時間数で割って、平均時間給を計算する。
 できましたか? では、今度は、好きな音楽でもかけて、楽しく約1分半過ごしてください。
 もしあなたがトロント大学のサンフォード・E・デヴォーらが最近行った研究の参加者と同じなら、時間給について計算したあと、音楽をなかなか楽しめなかったかもしません。400人に美しい音楽を聴かせたところ、先ほどの3つのステップをすべて行った人は、音楽の楽しみがかなり減少しました。時間給を計算すると、ベンジャミン・フランクリンの「時は金なり」の精神に近づきます。そして、時間をお金と見なすようになると、いい音楽を聴くといった楽しいけれどお金にならない活動をしているときに、いらいらしやすくなります


■4.消費を先送りする
 コロンビア大学のラン・キベッツとスタンフォード大学のイタマー・シモンソンは、アメリカの空港で数百人の女性に宝くじを渡し、2つの賞品のうちのどちらかを選択してもらいました。
・高級エステでのぜいたくな美顔術1時間コースか、マッサージ1時間コース(80ドル相当)
・現金85ドル(使う場所はあなたしだい。スーパーマーケット、ガソリンスタンド、または自分の好きな場所での高級エステなど)
 宝くじの抽選が翌週に行われるとした場合、エステを選んだ女性は少数でした(18パーセント)。ところが、抽選結果がわかるのが2カ月以上先だとした場合は、2倍の女性(36パーセント)が、エステを選びました。いったいどうして85ドルの現金よりも80ドル相当のエステを選んだりするのでしょうか?
 賞品の説明に、85ドルの現金をエステの代金として使うことができるとはっきり書かれているというのに。1人の女性が、なぜ現金を選ばなかったかを説明してくれました。「現金をもらうと、きっと、楽しいことに使うよりも、必需品を買ってしまうと思うんです。エステを選べば、これから4、5カ月間、エステでマッサージが受けられると楽しみに待つことができますから」


■5.人にお金をあげると幸せになれる
 600人以上のアメリカ人を対象として私たちが行った調査で、私的総支出はほとんどの人の予算の大部分を占めていました。平均すると、向社会的総支出に対する私的総支出の比率は1対10より高かったのです。けれども、個人が自分たちのために使ったお金の額はその人の全体的な幸福度には関係がありませんでした。
 では幸福度を予測するものは何なのでしょうか? それは、人にあげた金額でした。他人にたくさん投資すればするほど、幸福度は増したのです。個人の収入を考慮に入れても、向社会的総支出と幸福度とのこの関係は保たれました。驚くことに、このたった1つの支出カテゴリーの効果は、幸福度の予測における収入の効果と同じくらい大きかったのです。
 あなたがもっとたくさんのお金を稼ぐことに焦点を合わせているなら、「お金の一部を人にあげること」が、「もっとたくさん稼ぐこと」と同じくらい自分にとっての報酬になるということを頭に入れておいてください。


【感想】

◆「幸せ」をテーマにした「科学的自己啓発書」は、当ブログでも今までも何冊かご紹介してきました。

ただ、それらと比べても、本書の充実ぶりはかなりのもの。

私自身、今回本書を読んで初めて知った事が多々ありました。

もちろん、復習(?)を含めて、既知のTIPSも上記ポイントでは挙げており、たとえばポイントの1番目の「やったことよりやらなかったことを後悔する」というのは、この本でも触れられていたこと。

残酷すぎる成功法則
残酷すぎる成功法則

参考記事:【科学的自己啓発書】『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』エリック・バーカー(2017年10月27日)

ただ逆に、「ほとんどの人の最大の後悔は、買わなければよかったと思う品物を買ってしまったこと」というのは初耳でした。

要は、「やるかやらないか迷ったらやる」というの中に、「モノを買う」という行為は必ずしも含まれない、ということのよう。


◆また、上記ポイントの2番目にある「中断」のメリットというのも意外なモノでした。

私は結構、YouTubeの動画を流しっぱなしにして作業をしていて、その際、途中で広告が入らない動画を選んでいるのですけど、実はあった方がいいのでしょうかね?(頻度にもよると思いますが)

なお本書では、別の調査でこの現象を補完しています。
マッサージを受ける前、4分の3の人が、中断なくマッサージを行ってもらいたいと答えました。ところが、マッサージ中に休憩を取らされた人のほうがマッサージをもっと楽しみ、次回にはもっと料金を払ってもいいと思うようになりました。
ただし問題は、客は事前に中断があることを知ると、中断しないセラピストを選ぶ可能性があるということ。

確かに「中断があった方が満足度が高い」と言われても、にわかには信じられません罠……。

本書の第2章では、他にもこうした「喜び」に関連した「不足」や「希少性」を取り上げた事例を紹介していますので、気になる方はご確認を。


◆一方、本書の第3章「時間を買う」は、多くの「経済的合理性」になじみのある方には、衝撃的な内容でした。

たとえば上記ポイントの3番目にあるように、「時間とお金」に関することを考えただけで、楽しみが薄れるとは目からウロコ!?

実際、このようにして時間給を考えると、お金を生み出さない行為は、「時間の浪費」と考えるようになってしまうのだとか。

なお、もともと時間給制で働く人は、ボランティアのような「経済的にではなく、感情的に見返りのある活動」をしたい、という意欲をも低下させてしまうことがあるのだそうです。
つまり、時間とお金を交換可能なリソースと見なすことは、経済学的見地からは賢明でも、幸福の観点からは有害なのです。
そう考えると、当ブログでは「時短術」が人気ですけど、「幸せ」という点からするとあまり好ましくはないですよね(反省)。


◆さらに「経済的合理性」と反するのが、本書の第4章の「先に支払って、あとで消費する」。

代表的なのが「旅行」です。
オランダで行われた1000人以上を対象とした研究で、旅行客は、旅行の前の数週間のほうが、旅行後の数週間よりも、大きな幸福を感じることがわかりました。
上記ポイントの4番目もこの第4章からなのですが、結局、「未来について楽しい考えを持つ」ことが、幸せに繋がる模様。

そういえば、上記ポイントの1番目にあるヴァージン・ギャラクティック社の宇宙旅行に至っては、まだ実現すらしていませんが、宇宙に飛び立つ夢が徐々に近づいていることを旅行者たちが感じられるよう、ひんぱんに情報をアップデートしているのだそうです。


◆そして同じく「経済的合理性」と縁遠い(?)のが、第5章の「他人に投資する」。

もちろん、ここで言う「投資」とは、一般的な投資ではなくて、見返りを期待しない寄付やボランティア、プレゼント等を差します。

結局上記ポイントの5番目にあるように、幸福になりたいのならば、「いかにお金を稼ぐか」よりも「いかにお金を使うか」を考えるべき、ということ。

この部分を含め、本書は全体を通して「稼ぎ方より使い方」を指南しており、「今ある稼ぎ」を増やすよりは実現性は高いと思います。

……しいて難癖をつけるとしたら、内容的に「科学的自己啓発書」に沿う割には、脚注等が一切ないことなのですが、おそらく原書ではあったものを翻訳の際にカットしたのではないか、と。


幸せになりたい方なら必読の1冊!

B00IKF4JO0
「幸せをお金で買う」5つの授業 (中経出版)
Prologue 「幸せをお金で買う」5つの原則
Lecture1 経験を買う
Lecture2 ご褒美にする
Lecture3 時間を買う
Lecture4 先に支払って、あとで消費する
Lecture5 他人に投資する
Epilogue 視野を広げよう


【関連記事】

【科学的自己啓発書?】『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』エリザベス・ダン,ロバート・ビスワス=ディーナー(2015年01月12日)

【科学的自己啓発書】『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』吉田尚記,‎石川善樹(2018年02月21日)

【科学的自己啓発書?】『Good Life Project 人生を満たす3つのバケツ』ジョナサン・フィールズ(2018年04月17日)

【地位財?】『幸せとお金の経済学』ロバート・H・フランク (著),‎ 金森重樹 (翻訳)(2017年12月28日)

【科学的自己啓発書】『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』エリック・バーカー(2017年10月27日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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