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2019年01月25日

【オススメ!】『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』ピアーズ・スティール


ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか
ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「新しい時代を生き抜くために! ビジネス書フェア」の中でも一番人気の1冊。

当ブログでも定番のテーマである「先延ばし」に鋭く迫った1冊です。

アマゾンの内容紹介から。
先延ばし研究10年超の世界的権威が、人類永遠の課題をユーモアたっぷりに解き明かす!先延ばしするかしないかを決める「心の方程式」を初公開!方程式から導いた、克服のための13の行動プラン。

なお、セール期間中であれば「60%OFF」ということで、Kindle版が実質的に1000円弱、お買い得です!






do it - procrastination concept / hang_in_there


【ポイント】

■1.「先延ばし方程式」とは?


 以上で論じたすべての要素を一つの計算式に盛り込むと、次のようになる。
 これで「先延ばし方程式」の完成 だ。このモデルは、モチベーション理論のこれまでの研究成果を土台に、私たちがものごとを先延ばしするか否かを左右する主だった要素を反映させたものである。この方程式で考えれば、先延ばしに関して判明していることはたいてい説明がつく。
 たとえば、課題の締め切りが遠い先だと、遅れが大きくなり、その課題に取り組もうというモチベーションが下がる。衝動性が強いと、遅れに対する敏感さが増幅するので、衝動性が強い人はとりわけ、(少なくともはじめのうちは)締め切りを切実に感じない。結果がことのほか重大な場合を除けば、好ましくない結果が目前に迫るまで、それに注意を払おうとしないのである。では、結果の重大性はどうやって決まるのか。それを決めるのは、期待と価値だ。手に入るご褒美が大きく、それが実際に手に入る確率が高いほど、早い段階でその課題に意識が向く。


■2.成功の螺旋階段
 コツは、取り組みやすい課題から始めて、少しずつ順を追って進歩していくようにすること。そして、意思がくじけそうになる大きな課題を小わけにして、手に負える範囲のものにすることだ。(中略)
 たとえば、長大なレポートに手をつける気になれなければ、とりあえずできることを探せばいい。レポートのタイトルだけでも決められないか。使えそうな引用をいくつかメモしておけるのではないか。似たようなテーマの文献を見つけて、アイデアのヒントや構成の手がかりを得られないか。ジョギングを一キロするのが無理であれば、まず次の信号まで走ればいい。そこまで走ったら、その日はおしまいにしていい。次の日は、二つ先の信号まで走る。こうやって、少しずつ距離を伸ばしていく。(中略)
 一歩一歩は小さな前進にすぎないとしても、それを積み重ねれば、いつかは進歩を成し遂げられる。ゴールに向けてささやかでも前進したと感じられれば、自信になる。成功は成功の親なのである。


■3.脳内コントラスティング法
 ニューヨーク大学の心理学者ガブリエル・エッティンゲンの研究をもとに、脳内コントラスティング法の手順を見ていこう。まず、実現したい状態を具体的に思い浮かべる。新しい車が欲しいのであれば、運転席でハンドルを握り、あたりを走らせながら、新車をみんなに見せびらかしている自分の姿をイメージする。憧れている仕事があれば、その仕事に就いて活躍している自分を思い浮かべる。どうだろう? 脳内に明確な映像を描けただろうか。
 よろしい。では、次に進もう。この第二のステップが最も重要だ。いま思い浮かべた理想の状態と、現在の自分を対比する。いま乗っているオンボロ自動車を思い浮かべてほしい。安月給を嘆いて自虐的な冗談を言っている自分を思い浮かべてほしい。そうすると、現状の自分が夢の実現を妨げる障害物に思えてくる。脳内コントラスティング法は、単に楽観主義を生み出すのではなく、やる気を高めるという楽観主義の利点を最大限拡大するためのテクニックだ。これを実践している人は、先延ばしに陥ることなく、ただちに目標を追求しはじめる。


■4.ゲーム感覚で仕事に臨む
 退屈感がエスカレートして仕事をサボるのを防ぐためには、「ゲーム感覚」で臨むテクニックを用いるとうまくいく場合が多い。達成すべき目標を自分で定めて、ゲーム感覚で目標に挑むのだ。いままでの半分の時間でできないか? 片手でできないか? 目をつぶってできないか?『だめんず・コップ』という映画では、田舎の警察官たちが日々の退屈な業務に耐えるために、このテクニックを取り入れた。あるポテトチップス工場で働く女性作業員は、有名人の顔に似た形のチップスを製造ラインで見つけることに楽しみを見いだして、退屈をまぎらわせている。競泳の選手のなかには、練習で延々とプールを往復することに退屈しないように、サメに追いかけられていると想像することにしている人が多い。


■5.プレコミットメント戦略
●誘惑を手の届かない場所に追いやる
せめて、なるべく遠ざける。たとえば、コンピュータゲームのソフトウェアを削除したり、インターネットの接続を切断したりしてもいいし、スマートフォンの電池をはずしたり、テレビの電源コンセントを抜いたりしてもいい。
●欲求が大きくふくれ上がって課題遂行の妨げになる前に、欲求を満たすように心がける
たとえば、遊びのスケジュールを先に決めておくほうが、仕事がはかどる場合も多い。
●誘惑に屈すると不愉快なことが起きるように手配し、誘惑の魅力を弱める
誘惑に負けた場合にお金を払うという賭けをするのは、大半のケースで有効な戦略だ。


【感想】

◆非常に充実した内容の作品でした。

当然のようにハイライトも引きまくり。

ゆえに上記ポイントも、非常に迷った末に選んだものの、それ以外の割愛した部分だけで、もう1つ記事を書けるくらいでした。

というのも、上記ポイントは冒頭の内容紹介にある「13の行動プラン」の中から主に選んだものの、これは本書の第7章以降に展開されているものだから。

つまり、本書の前半部分にある、先延ばしの原因や問題点等のお話は、ほぼすべてカットしている次第です。

この前半部分だけでも、かなりのハイライトを引いているだけに、非常に迷ったのですが……。


◆そもそも第1章においては、「先延ばし」がどういう行為なのかを具体的に定義しています。

「単にものごとを延期すること」ではなく、
「自分にとって好ましくない結果を招くと知りながら、自発的にものごとを延期すること」
である、と。

さらには「先延ばし」であっても、その原因によって、タイプが3つに分かれるとして、本書の第2章では24問からなる「自己診断テスト」が収録されています。

そしてこの3つのタイプを分析するのに用いるのが、上記ポイントの1番目にある「先延ばし方程式」。

この計算結果が大きいと、「やろう」というモチベーションが大きくなって、「先延ばし」が解消される方向に向かう反面、結果が小さいと先延ばし傾向が強くなるワケです(詳細は本書を)。

そこで第4章では、分母の「衝動性」に働きかける「誘惑」のうち、特に現代にはびこるもの(SNSやテレビ)について言及。

続く第5章では個人の損失、第6章では国家の損失について掘り下げているのですが、この辺はまとめて割愛させていただきました(すいません)。

……いや、この辺もかなりハイライト引いているんですけどね(涙目)。


◆そして第7章からいよいよ「13の行動プラン」が登場!

ここでは上記の「先延ばし」のタイプごとに、プランが解説されており、まずは「期待」に由来するものからとなります。

上記ポイントの中では、2番目と3番目がこれに該当。

「期待を抱きやすく」なるためにどうしたらよいかについて述べられています。

前者については、確かに問題を小分けにして、少しずつ手をつけることで、モチベーションがあがるかと。

さらに後者の「脳内コントラスティング法」は、いわゆる「成功法則」の中でも見られるものです。

ただし注意したいのが、この「脳内コントラスティング法」で第二のステップを省略して、明るい未来(「創造的ビジュアル化」)を思い浮かべるだけだと、逆効果なのだそう(詳細は本書を)。

……結構そういう「ビジュアル化」だけ推奨している本もあると思うのですが。


◆一方、第8章では「価値」に由来するものを。

ここでは上記ポイントの4番目の「ゲーム感覚」のお話をご紹介してみました。

実際、コピー取り等の退屈な仕事に価値を見いだすために、この方法を活用しているケースは多いことかと。

他にも「エネルギー効果」「ご褒美効果」等の戦略も挙げられていますので、できれば本書をご覧いただきたいところです。

そして、いよいよ第9章では「衝動性」に関するプランが。

上記ポイントの5番目にある「プレコミットメント戦略」もその1つであり、こういった誘惑に打ち勝つ手段は、類書でもおなじみですね。

ここで割愛した中では「注意コントロール戦略」というものが興味深かったのですが、ボリューム的に抜き出せませんでした。


◆駆け足でレビューしてみましたが、最初に申しあげたように、これでもほとんどの部分を割愛しているのが心苦しいところ。

また、脚注も大量に付されており、本書はいわゆる「科学的自己啓発書」の流れに沿うものだと思います。

ただ、読んだのがKindle版ゆえにページ数は分からないものの、あまりに脚注が多すぎて、全体の1/4ほどが脚注という……。

いずれにせよ、結構前からある本で、目にはしていたものの、読まなかったことが悔やまれる作品でした。

このクオリティですから、その後に出たこの手の本にも、かなりの影響を与えていると思われます。


自己啓発書好きのすべての人に贈る1冊!

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか
ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか
第1章 先延ばし人間の実像
第2章 先延ばしの方程式
第3章 さぼる脳のメカニズム
第4章 現代社会は誘惑の巣窟
第5章 私たちが失うもの、悔むもの
第6章 企業と国家が払う代償
第7章 自信喪失と自信過剰の最適バランス
第8章 やるべきことに価値を吹き込む
第9章 現代の衝動と未来のゴールを管理する
第10章 さあ、先延ばしを克服しよう


【関連記事】

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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

釣り船オヤジ直伝「超」実践海釣り&磯料理 船頭歴半世紀のレジェンドが語る春夏秋冬「爆釣」知恵袋65 (スマートブックス)
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送料以下の「199円」のこの本は、300円強Kindle版がお得。

エレクトリック・ギター革命史
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読む人をかなり選びそうなこちらは、Kindle版が800円以上お得。

世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)
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一転してガチな内容のこの本は、Kindle版が600円超、お得な計算です。


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