2019年01月10日
【ミーティング】『「15分ミーティング」のすごい効果 みんなが自分で考えはじめる』矢本治
「15分ミーティング」のすごい効果 みんなが自分で考えはじめる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、当ブログ向きと言える1冊。「日本初のミーティングコンサルタント」である矢本治さんが、業績につながるミーティングの方法を指南してくださっています。
アマゾンの内容紹介から。
集客に伸び悩むブライダル会社の管理職として、人員の入れ替え、安売り、設備投資に頼らず「ミーティングのやり方」を工夫して、3年で3倍、最終的には7年で7倍の売上増に貢献!独立後は、多種多様なクライアント先の93%以上の業績を向上させた日本初のミーティングコンサルタントが、“考動”する従業員がどんどん増えていくミーティング術をわかりやすく解説!
なお、中古があまり値崩れしておらず、送料を加算するとKindle版が700円以上、お得となります!
Meeting Raum / brandbook.de
【ポイント】
■1.「未来視点」の質問をする15分ミーティングの場では、「過去視点」をやめます。つい深く追及したり、詰問(相手を責める質問)になってしまうからです。(中略)
私もかつて、そういう質問をしていましたし、当時の上司からもそういう質問をされていました。そしてあるとき気づくのです。「後ろ向きな話ばかりだな」――と。
それに気づいてから「後ろ」ではなく「前に」、つまり「未来に向けた質問」をするように心がけてみました。
未来視点の質問のキーワードは「今後は?」です。
まず、後ろではなく前に、つまり未来に向けた質問をするように心がけてみる。
「同じミスを繰り返さないために、今後何をする?」
「成績を巻き返して予算に近づけるためには、今後何をしたらよいと思う?」
すると、同じ部下でも答える内容が変わってくるはずです。
■2.提案やアイデアは「複数」書いて出す
会議・ミーティングの一般的な発言は、「口頭」でしていきますが、矢本流ミーティングでは自分の考えを発言する前に必ず「3分で複数(2〜3案以上)の提案を書く」ことから始めます。
提案・アイデアは1つだけでなく必ず複数、基本2、3個以上考えてもらいます。1つだと無難なアイデアになりやすく、そうなると他の参加者と「同じ答え」、つまり重複する可能性が高いのです。
誰でも思いつきそうな無難なアイデアばかり出し合うだけなら、忙しいなかで集まった意味がなくなります。またここで人材育成をするポイントのひとつである個々の「考える力」をつける目的もあります。 (中略)
考えて書くというミーティングを繰り返せば、自分で考え、提案してくれるスタッフになる。普段の職場から気づいたことをどんどん改善提案するようになります。
■3.整理は「人」を軸にする
スピーディーに意思決定するためには、どうするか?
メンバーの提案が整理された状態のほうが早く決断できますから、提案は「見える化」しましょう。整理するポイントとしては、「人」を軸にすること。つまり「誰が誰に」アプローチするのか? という視点で提案・アイデアを分けていけば、この後の計画もスムーズに進みます。担当を決められないものは、「その他」にまとめておきましょう。(中略)
すべての提案が整理できたら、「この場でどれを採用するのか」を、リーダーが即断即決します。
職場では、様々な価値観を持つ人が集まり、それぞれの利害関係も働きます。全スタッフが100%納得する結論になることはほとんどありません。でも決めて前に進まないと「よくて現状維持」か「衰退」です。だからこそ、リーダーの決断力が重要になってきます。
■4.ダメ出しをするときには必ず「改善提案」をつける
私のミーティングでは、組織が前に進むために「改善提案をつけた否定は大歓迎」というルールをお勧めしています。
条件は、「改善提案をつける」ことです。
つまり「単なるダメ出しをするだけなら発言不要」ということです。
「改善案がなければ否定してはダメなのか?」
「そんなことを言っていたら、否定的な話は言えないのでは?」
そんな質問もいただきます。結論から言えば両方「はい」です。(中略)
「批評をすること」「反対すること」は簡単に誰にでもできます。
しかし「改善提案をつける」ことはレベルの高い思考パターンです。これができるようになる組織だけが「進化」し、同時に「スタッフ育成」に導くことができるのです。
ダメ出しばかりで、上司も部下も改善提案を出さないミーティングからは、結果的に何も生まれません。
「どうすれば、良くなるか」
を上司も部下も考えてこそ、質の高いミーティングになるのです。
■5.計画ミーティングの最後で日程を決める
多くの会社で、ミーティングや会議で決まったことが実行できない理由は「誰が?」「何をする?」だけを決めて解散しているからです。
そこでミーティングの最後には必ず、「計画ミーティング」を行ないます。
この計画ミーティングは、通常は解散後に行なわれる実行の第一歩をその場のミーティングでスピーディーに決めて、現場に戻ってからの負荷を軽減する──という手法です。(中略)
そもそも今いるメンバーとの打ち合わせの日程を決めることくらい、1、2分あれば充分。それを「また後で」とすぐ解散してしまうから、よくないのです。その結果、調整に何日もかけてしまうのですから、実行力が下がるのは当然ですよね。
だから、そうならないようにミーティング中に第一歩をスピーディーに決める。すぐに動くという仕組みが必要なんです。
【感想】
◆日頃、ダラダラと時間をかける割には、成果の上がらない会議をされている方にとっては、非常に参考になるであろう1冊でした。まず本書のプロローグでは、「15分ミーティング」なるミーティング方法を推奨している著者の矢本さんが、「会議」と「ミーティング」の違いを比較。
ざっくり言うと、「会議」はある程度上の役職の人が集まって、会社の方向性を決定するのに対して、「ミーティング」は現場のメンバーが、具体的な方策等を決める、といったところでしょうか。
それを踏まえて、「矢本流ミーティング」では、「短い時間」に「少ない人数」で「現場のスタッフ(お客様情報を持つ)」が、「全員参加型」で会社の方向性を理解した上で、「前向き、主体的」に、「成果の出る会話パターン(考動&軌道修正)」を、「繰り返して定着」するものである、とのこと。
以降、STEP1からは、具体的なやり方について解説されています。
◆まず大事なのが、上記ポイントの1番目にある「『未来視点』の質問」を投げかけるということ。
過去を分析することは大切です。しかしそれ以上に、「じゃあ、これからどうする!?」という前向きな話し合いのほうが、もっと大切なのです。矢本さんいわく「『なぜこんなことになったのか?』を話すことは、原則として『タブー』にするぐらいの気持ちがほしい」とのことで、徹底的に「未来視点」を貫いています。
また、提案やアイデアは、上記ポイントの2番目にもあるように「複数」を「書いて」出さなければなりません。
なお、ここでは触れていませんが、本書では「付せんに1枚につき1つ書く」ことを推奨。
それをホワイトボード等に貼っていけば、「見える化」が実現できますし、さらにそのホワイトボードをスマホで撮影すれば、議事録にもなります。
……なるほど、「15分」で終わらせるためには、効率的な運営が必要なんですね。
◆さて、アイデアや提案が集まったら、今度はそれらを踏まえて、合意・決定をすることになります。
本書のSTEP2では、この決定部分について言及が。
上記ポイントの3番目はこのSTEP2からのものなのですが、整理は「人」を軸にする、という考え方は、「目からウロコ」でした。
もちろん、おなじみの「KJ法」や「マトリクス法」も、矢本さんは使うことがあるそうなのですが、いずれも時間がかかるそう。
さらにはその場で、リーダーが「即断即決」するのですから、かなりスピーディーになるでしょう。
◆なお、このSTEP2では「強い組織にする"約束事"の5つのポイント」なるものが紹介されており、上記ポイントの4番目はその中の1つです。
そもそも「未来視点」で「より高いステージ」を目指す以上、「提案なき、ただのダメ出し」は、単なるブレーキに過ぎません。
そういう意味では、「どうすれば、良くなるか」まで考えるのも当然のこと。
一方、続くSTEP3の「計画ミーティング」では、決まったことを具体的な計画に落とし込みます。
その際、上記ポイントの5番目にあるように、日程だけでも決めてしまえば、以降の作業がラクになること必至かと。
◆また、本書のSTEP5では、実際のミーティング事例が収録されており、こちらも参考になると思います。
詳しくは本書でご確認いただきたいのですが、「客室稼働率が、25%から89%に増加」したり、「売上が年間33億円だったのが70億円超になった」等々。
もちろんここでの事例で、実際に数字や利益といった成果が上がったのは、ミーティングで決めた内容が適切だったり、それを実際に実行したからなのですが、いずれにせよ、ミーティングを行わなかったら、こうした「変化」は起きなかったハズ。
まずは、こうした「形」の部分から取り入れてみると良いでしょうし、極端な話、自分の課やグループレベルでも、即、実践できると思います。
業績アップにつながるミーティングを行うために!
「15分ミーティング」のすごい効果 みんなが自分で考えはじめる
プロローグ なぜ今、15ミーティングなのか?―会議ばかりの会社は潰れる!?
STEP1 15分ミーティングの基本的な進め方―まずテーマに対する「質問」と「提案・アイデア」出しから始める
STEP2 アイデアを整理して合意・決定する―スピーディーに進めれば大きな成果が出る!
STEP3 ミーティングの結果を必ず実行する!―決まったことを必ず実行に移す「計画ミーティング」とは?
STEP4 必ず「軌道修正ミーティング」を行なう―15分ミーティングの後、随時「できているか」をチェックする
STEP5 いくつかの事例でミーティングの効果を見てみよう―事例編 組織のタイプ別ミーティング事例
エピローグ 人材育成を兼ねるミーティング―ミーティングには人材を育てる効果がある。
【関連記事】
【会議術】『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】』釘山健一(2017年07月03日)【論理的?】『会議&打ち合わせの時間を半分にする 論理的な伝え方』太田芳徳(2015年03月21日)
【会議術】『次の会議までに読んでおくように! 〜モダンミーティング7つの原則』アル・ピタンパリ(2013年02月26日)
【ゴーン流!?】『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』漆原次郎(2011年12月30日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。がんまんが〜私たちは大病している〜 (ぶんか社コミックス)
内田春菊さんが、大腸がんにかかられていたとは存じませんでした。
今回は「70%OFF」ということで、送料を加算した中古よりも、Kindle版が500円以上お買い得です。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
当ブログの一番人気!
12月16日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです