2019年01月06日
【KPI?】『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎
最高の結果を出すKPIマネジメント
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「フォレスト出版 期間限定半額キャンペーン」にて大人気の仕事術本。レビューするまでもなく、かなりの冊数をお求めいただいているのですが、そうなると私としても置いていかれたくなくて、読んでみた次第です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
数字でビジネスを最大化し続け売上げ2兆円企業となったリクルートグループ。
その土台を担ってきたのが「KPIマネジメント」だ。
本書は11年間にわたりリクルートのKPI社内講師を務め、自らも実践してきたKPIマネジメントのプロフェッショナルが、徹底した現場主義の使えるKPIマネジメント手法を公開!
単に数値を見ながら事業運営する「なんちゃってKPI」とは明確に一線を画すパワフルなKPIの実践バイブルが誕生。
送料を加算した中古よりも、このKindle版が1000円弱、お買い得な1冊です!
HC_KPI tracker poster_13 / davidburn
【ポイント】
■1.KPIの3つの要素●KGI(Key Goal Indicator)=最終的な目標数値KGIはKey Goal Indicatorの略で、最終的に期末に到達したい最も重要な数値目標のことです。 一般的には、企業全体であれば利益などの数値目標がそれにあたります。●CSF(Critical Success Factor)=最重要プロセスCSFはCritical Success Factorの略です。直訳すると「重要成功要因」。●KPI(Key Performance Indicator)=最重要プロセスの目標数値
事業成功のポイントを表しています。
KGIを達成するためには、やらなければならないプロセスがたくさんあります。その中で、最も重要なプロセスのことです。プロセスですので、結果であるゴールではなく事前に実施する内容のことです。そして3つめが真打登場。KPIです。Key Performance Indicatorです。
KPIは、2つめの登場人物であるCSFを数値で表現したものです。
つまり、最も重要なプロセスであるCSFをどの程度実施すれば、期末にKGIが達成できるのかを表す数値がKPIです。
■2.KPIの運用性の確認のための3つのポイント
●整合性1つめは、整合性。ロジックが正しいかということです。●安定性
つまり理屈上の正しさの確認です。
具体的には、そのCSFが変化するとKGIも変化するのか。そしてKPIが達成するとKGIも達成するのかといった整合性を確認します。2つめは安定性です。KPIの数値取得が安定的にできるのかということです。●単純性
データ入手や加工の日程と他業務がかぶっていないか、そのデータ入手を外部に依存せざるをえないことはないかなど、安定的にデータをアウトプットできるのかを確認します。最後の3つめは単純性の確認です。
KGIとKPIの関係性がいかに正しくても、安定的にデータをアウトプットできたとしても、現場のメンバーがまったく理解できないのでは困ります。
これらの関係性が分かりやすいか、単純なのかどうかの検討が必要です。
■3.PDDSサイクルで振り返る
このPDDSサイクルは、私がKPIマネジメントの重要性を説明するために考案したオリジナルのサイクルです。
PDDSサイクルは、Plan-Decide-Do-Seeの4ステップで、SeeからまたPlanに戻ります。
PDCAサイクルやPDSサイクルと比較すると、PlanとDoの間にDecideというステップを入れています。日本語で表現すると「決める・絞る」というステップです。
PDCAサイクルにしてもPDSサイクルにしても私オリジナルのPDDSサイクルにしても、Pから読み始めるので、誤解しがちなのですが、最も重要なのは、サイクルを1回りし、もう一度次のサイクルに戻る部分です。
PDDSサイクルでいうと、S→Pのステップなのです。つまり、Doの後にきちんとS(振り返り) をして次回のPに活用することなのです。
「マネジメントレベルを進化させ続けている企業の共通点は弛まざる改善活動」と書きました。
この改善活動こそ、このS→Pの部分なのです。
■4.売上と費用に相互影響がある項目は定数にする
例えば、広告宣伝を強化するには、広告宣伝費が増加します。営業量を増やすには、営業の人件費が増加します。営業提案力を強化するには、教育研修費用が増加します。
つまり売上を増やすには、費用の増加が必要なのです。(中略)
そこで、「(3)売上と費用に相互影響がある項目をどうやってコントロールするのか」が重要になってきます。
すべての項目を変数にして考えるのには限界があります。しかも、そのコントロールを毎回、毎回、その都度検討していては判断スピードが遅れてしまいます。
では、どうすればよいのか。
一言で言うと「定数」にすればよいのです。
例えば、先ほどの例の、「顧客数を増やすには、広告宣伝を強化する」ケースであれば、1顧客増加のための平均広告宣伝費を決めてしまいます。
例えば1顧客増加のために1万円まで使用してよいと決めます。
あるいは、「営業量を増やすには、営業の人件費が増加する」ケースでも、1営業量を増やすための平均コストを決めればよいのです。教育研修費用の事例も同じです。
■5.読書のKPIを考える
まず、時間がないという方に質問です。
「読書のためにどれくらいの時間が必要なのか把握していますか?」
これを把握するためには、自分の読むスピードの把握が必要です。私は平均すると、おおよそ1ページを1分間で読むことができます。(中略)
ですので、分散はかなり大きいのですが、平均1ページにつき1分だということだけです。これが分かると必要な時間が把握できます。
本のページ数は平均すると200から300ページです。私の読むスピードは、平均1ページ1分です。1冊の本を読むのに200分から300分かかるということです。平均250分です。
私は週あたり平均2冊読みますので、ざっくり500分必要になります。つまり、平日5日間で読もうと考えると1日あたり100分が必要になります。
私は幸か不幸か、通勤時間が片道60分かかります。往復120分になります。つまり、通勤時間を読書時間にあてることができれば、100分を超える計算になります。
【感想】
◆引用部分がボリューミーになってしまい、申し訳ございません。形式上、もっと簡潔にできなくもないのですが、そうすると必然的に分かりにくくなってしまうと言いますか。
また、上記ポイントの1番目のような言葉の定義くらいは、リンクを張って割愛したかったものの、いちいちページから離脱してもらうのも心苦しくて。
かといって、こうした定義が分からなかったり、勘違いして読んでもらっても困りますから、ここだけは外せませんでした。
実際、「何となく」分かったツモリの方も、この機会にしっかりご確認いただければ、と。
もちろん、本書の方ではもっとしっかりページを割いていますし、具体例も載っていますから、そちらの方が確実ですが。
◆さて、本書の第1章では「KPIの基礎知識」と題して、こうした定義のほか、KPIマネジメントの手順について触れられています。
「あるある!」と思ってしまったのが、「よくあるKPIの間違った作り方と結末」というケース。
「出せるデータを集めてみる」「とりあえずこれを定期的に見る」「なんとなく目標を決めてみる」等々と、「なんちゃってKPI」らしさが満載ですw
また、「自社売上がGDPと強い相関関係がある」からといって、GDPのような政府統計値をKPIとして設定しても、GDPはいち企業が何とかできる数値ではありません。
さらに、こうした指数は出るのが遅いため、タイムラグが生じてしまいます。
くれぐれも、KPIを定める際には、運用に耐えられるものにしなくてはいけない次第。
◆では、正しいKPIマネジメントを行うにはどうすべきか、というアドバイスが収録されているのが、第2章の「KPIマネジメントを実践するコツ」です。
上記ポイントの3番目は、ここからのもの。
ここで言われている「PDDSサイクル」というのは初耳……だと思ったら、本書の著者の中尾さんのオリジナルでしたか。
これは特にKPIマネジメントに特化したサイクルのようなので、詳細は本書にてご確認を。
続く第3章の「KPIマネジメントを実践する前に知っておいてほしい3つのこと」からは、上記4番目のポイントをセレクト。
いきなり「(3)」が出てきて面食らったかもしれませんが、そもそも「利益の最大化」の方策には、「(1)どうやって売上を上げるのか」「(2)どうやって費用を下げるのか」があって、残りの1つが「(3)売上と費用に相互影響がある項目をどうやってコントロールするのか」である、という前提に立っております(略してすいません)。
ちなみにこのポイントの4番目は、章題にある「3つのこと」のうちの1つ(の一部)なので、その他2つについては、やはり本書をご覧いただければ、と。
◆こうした細かい話になると、ちょっと分かりにくくて申し訳ないのですが、一方本書の方では第4章以降は具体例が満載となります。
何たって第4章では、KPIマネジメントのさまざまな事例を11パターンも収録!
事例の見出しをいくつか挙げてみると
・特定の営業活動を強化することで業績向上を目指すと、本当に多種多様です。
・従量課金モデルでは歩留り向上から始める
・採用活動におけるKPIの考え方
・集客担当には集客単価を決めて自由に動いてもらう
なお、上記ポイントの5番目の「読書」もそのパターンの1つであり、この第4章を読んでいただければ、かなりの業種や職種でKPIが実践できることがお分かりいただけるかと。
さらに最後の第5章では、実際にKPIの作り方を手取り足取り指南してくれており、ありがたい事この上なし!
……ここまで丁寧に書かれていると、本書を読んだ私としては、いいかげん「KPIマネジメント」が実践できないと恥ずかしい気がする次第です。
「KPIマネジメント」を身に着けたい方なら、ぜひご一読を!
最高の結果を出すKPIマネジメント
第1章 KPIの基礎知識
第2章 KPIマネジメントを実践するコツ
第3章 KPIマネジメントを実践する前に知っておいてほしい3つのこと
第4章 さまざまなケースから学ぶKPI事例集
第5章 KPIを作ってみよう
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法
「人」と「考え方」を分けて考えられない傾向の強い私たち日本人には、ちょっとハードルは高めかも。
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ご声援ありがとうございました!
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