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2018年12月29日

【傾聴】『「聞く力」こそが最強の武器である』國武大紀


「聞く力」こそが最強の武器である
「聞く力」こそが最強の武器である


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった「聞き方本」。

著者の國武さんは、サブタイトルにもあるように「元外交官」のコーチ兼コンサルタントという経歴の持ち主です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「聞く力」のスキルを身につけるだけで、人に好かれやすくなり、信頼関係を築くのが簡単になります。
また、相手から情報を引き出す方法、会話や雑談を弾ませる聞く技術、自分を動かす「自分に質問する技術」など仕事・人生を変える武器としての聞く全技術が満載。

なお、中古は定価を大きく上回っていますが、Kindle版なら「21%OFF」と、大変お買い得となっています!





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【ポイント】

■1.耳と心の両方を傾ける
「耳を傾ける」とは、相手の言葉による情報を聞くということ。
「こういうサービスがあるともっといいなあ」とか「このタイプの器具は使いにくいんだよね」といった、相手が言葉にして伝えてくれる情報です。
 それに対して、「心を傾ける」とは、相手の気持ち(感情) に意識を向けて聞くこと。
「おや、顔の表情が明るくなったな」、「目の色が変わってきたわ!」という感じで言葉以外のメッセージを観察します。
 たとえば、できるビジネスパーソンは「人が物を買うのは、理屈ではなく感情である」と知っているので、言葉だけの情報でなく、言葉以外の心の動きにも常に意識を向けています。相手を理解することの大切さを知っているからこそ、自分から積極的に話したりしないのです。


■2.共通点を見つける3つの切り口
 まず、共通点には、(1)所有(Having)、(2)行動(Doing)、(3)あり方(Being) という3つの切り口があります。
 最初に「所有(Having)」について。
 所有とは、「持っているもの」のことです。時計、鞄、車、家などのほか、髪型など目に見える外面的なものも含まれます。(中略)
 次は、「行動(Doing)」です。
 行動とは、「やっていること」。たとえば、仕事、趣味、住まいのことなどです。(中略)
 そして最後は、「あり方(Being)」です。
 あり方とは、「考え方、価値観、性格、ビジョン」といった表には見えない、人の内面を表すものです。「所有」とは異なり、目には見えず、また「行動」とも異なり、抽象度が高いので共通点を見つけるのは難しい。
 ですが、この「あり方」において共通点が見つかると、その人自身を尊敬できたり、好きになったりし、場合によってはビジネスパートナーになったりすることもあります。


■3.「縦の質問」と「横の質問」を使いこなす
 まず「横の質問」について説明します。横の質問とは、話の幅を広げる質問です。たとえば、「ほかには?」、「例外は?」、「別の見方は?」などです。
 横の質問は、相手の視野を広げたり、視点を転換させたり、感情の状態を調べたりする時に効果的です。
 対して「縦の質問」は、ある特定の話題について深掘りする質問です。
 たとえば、「具体的には?」、「そうしたらどうなりますか?」といった質問のほかに、「5W1H」つまり、誰(Who)、何(What)、何時(When)、場所(Where)、理由(Why)、方法(How) を聞いていくことによって、話の内容をさらに深掘りしていく方法です。


■4.信頼関係を築くために自己開示する
 想像すればわかりますが、「私は数年前、何百万円もの借金を抱えて精神的にもズタズタでした」といきなりディープな内容について自己開示されても相手はどん引きしてしまいます。
 自己開示のコツは、お互いに秘密の扉を少しずつ開けていくこと。
 お互いに自己開示し合うことを「自己開示の返報性」と言ったりもしますが、最初はお互いの基本情報(名前、仕事、住まい、趣味など) を共有し合うことから始めるのが効果的です。それから徐々に、普段親しい人以外には話さないような内容をお互いに共有していきます。
 たとえば、将来のビジョン、価値観、オープンにできない悩みなど、です。そうすると「自己開示の返報性」が働き、お互いに情報交換する頻度が増え、内容もどんどん深くなっていきます。
 そうしてお互いがどういう人物か深いレベルで理解できるようになり、本音でも話し合えるような強い信頼関係が築かれるようになるのです。


■5.人生を変えるには自分がすぐに答えられない質問をする
 即答できるような質問は、既知の領域ですから人生に大きな変化を起こしにくい。何度も自分と向き合って「心の声」が本当に聞けた時に、ブレークスルーが起こるのです。
 人生に変化を与える質問は次のような3パターンの質問です。
(1)可能性を開く質問
「もし、自分にしかできないことがあるとしたらそれは何か?」(中略)
(2)逆境を乗り越える質問
「この失敗から学べることがあるとしたら、それは何だろうか?」(中略)
(3)感謝・貢献の質問
「愛する人の何に感謝できるだろうか?」(中略)
 これらの質問は、即答できるような質問ではありません。
 時間をかけながら自分と向き合うことで初めて腑に落ちる答えが出てきます。その答えが与えてくれる大きな気づきによって、人生が変化していくのです。


【感想】

◆本書の冒頭の「はじめに」は、著者の國武さんが奥さんから「話を聞いて欲しい」と言われるシーンから始まります。

ところがその都度アドバイスをする國武さんに、奥さんは不機嫌になり……というパターンは、男女の性差本でもおなじみですね。

ただし本書は、「アドバイスしないで聞く」という次元では収まりません。

それが現れているのが、本書の第1章から抜き出した上記ポイントの1番目です。

ここにある「耳と心の両方を傾ける」というのは言いえて妙かと。

なぜなら「アドバイス」というのは、この場合において相手に対して「心」を傾けていません。

単に「黙って聞いてアドバイスしない」という男女の性差本のTIPSより、腑に落ちた次第。


◆続く第2章では、「信頼関係の築き方」を指南してくれており、ここも見逃せないところ。

上記ポイントの2番目にある「相手との共通点」の切り口に関しては、私自身、あまり考えたことがありませんでした。

ただ、話していてたまたま見つかることもあるでしょうけど、あらかじめこういった切り口を意識していれば、より見つかる可能性も高そうな。

また、この第2章では、
「人と人との信頼関係を築く3つの原則」
「優れたリーダーがやっている3つの聞く秘訣」
「関係性を発展させる魔法のフレーズ10」
といったTIPSも紹介されていますので、気になる方は本書にてご確認ください。


◆一方第3章では、会話や雑談におけるTIPSが登場。

今回は割愛したものの、そこにあった「3つの相槌の仕方」のお話は、即効性がありそうです。

具体的には「共感のフレーズ」「具体化のフレーズ」「本心を聞くフレーズ」の3つを使うというもの。

……全部「へー、そうなんだー」で済ませていた自分、涙目の巻。

もちろん、上記ポイントの3番目の「縦横の質問」も、会話を盛り上げるには非常に有効です。

コツは「相手の感情が動いていない場合には横の質問で相手の関心度を探り、感情が動いたところで縦の質問で深掘りする」のだとか。

これも今後は意識してみたいと思います。


◆さて、ここまではいわゆる「聞き方本」としては、妥当な内容でしたが、第4章はちょっと変わっていて、「相手から情報を引き出す」お話が登場。

これは國武さんの元外交官としての経歴に関係する部分でもあります。

ただこれは「聞く」というより「訊く」お話ですから、このエントリーでどこまで踏み込んでいいのかよく分からず。

そこで一応無難な(?)、上記ポイントの4番目の自己開示のお話を引用してみました。

実践して信頼関係が築けた後、ビジネスを円滑に進めるか、相手の秘密を探るかは読者の皆さんにお任せということで。


◆なお最後の第5章では、「聞く」対象を「自分」に定めています。

となると、必然的に内容的としては「自己啓発」テイストが強めに。

割愛しましたが、「自分の心の声を聞く3つの質問」というお話もありました。

また、上記ポイントの5番目の「自分がすぐに答えられない質問」というのも正にそうで、他人の声を「聞く」のとはベクトルの向きが違います。

とはいえ、これもあくまで「聞く」ことには変わらず、いずれにせよ本書は、こうした「聞く力」全般をブラッシュアップしてくれる良書ではないか、と。


「聞く力」を高めたい方なら、要チェックな1冊!

「聞く力」こそが最強の武器である
「聞く力」こそが最強の武器である
第1章 コミュニケーションにおける最強の武器は「聞く力」である
第2章 人に好かれ、信頼関係を築く「聞く力」
第3章 会話・雑談が弾む「聞く力」
第4章 相手から情報・本音を引き出す「聞く力」
第5章 自分を動かし、人生を変える「聞く力」


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【これは使える!】「“聞き上手”の法則―人間関係を良くする15のコツ」澤村直樹(2010年01月23日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

鈴木さんの成功。 会社員から起業した時に待ち受ける「真実」の話をしよう。
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物語形式っぽいので、当ブログでは微妙ですが、興味のある方に。

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