2018年12月20日
【勉強法】『東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法』河野玄斗
東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「カドカワ 冬のビジネス実用書フェア」の中でも人気の勉強本。以前、こちらの未読本記事でも取り上げていた作品が「70%OFF」になっているということで、さっそく読んでみた次第です。
アマゾンの内容紹介から。
一生ものの“武器”を手に入れよう。勉強こそコスパ最強の“遊び”だ!東大理3、司法試験、英検・数検1級合格…数々の実績を持つ著者が教える、誰でも使えて結果を出せる、超効率的勉強法をこの1冊で網羅!テレビ出演多数・現役東大医学部生が全スキルを初公開!
中古に送料を足すと定価を超えてしまいますから、このKindle版が1000円以上お買い得となります!
20175_students_studying_finals_016 / University of Minnesota Duluth
【ポイント】
■1.点数の最大化を常に意識する医学部に通いながら司法試験に合格したからか、「複数の物事を両立させるコツ」について、質問を受けることがよくあります。
この質問への答えは実に単純で、「優先順位をしっかりつける」ということに尽きます。すなわち、「両立させること」と「どっちも全力でやること」は違うのです。(中略)
重要なのは、幸福を最大化してくれるであろう選択を、考え抜いたうえですることです。
そして実は、その選択において「押さえるべき勘どころ」を見抜く力は、普段の試験勉強を通して磨かれていった気がしています。というのも、出題範囲に優先順位をつけることで「点数の最大化」を目指すという点が、「幸福の最大化」で意識することと酷似していると言えるからです。
僕は試験のたびに「いかに点数を最大化するか」を意識して、その都度、不要なところは容赦なく切り捨ててきました。その取捨選択は当然外れることもありましたが、その失敗を通してPDCAサイクルを一つ一つ回していったので、結果としてみるみるうちに勘どころが磨かれていきました。
このように、日々の何気ないことも、意識してみるといろいろな能力の向上につながっているのです。
■2.日頃から行う「読み飛ばし反復学習」
一度勉強した範囲の教科書を開いてください。そして1章分を読み終えたら、もう1回その章を飛ばしながら読んでみましょう。1回読んだ直後であれば、内容の全体像は大体頭に入っていると思います。ですので、30秒もあればその章をおさらいできるのです。しかも、30秒で1つの章をおさらいすると全体像が見えてくるはずです。逆に何時間も1つの章を読んだとしたら、読み終わる頃には初めの方の内容を忘れていることは世の常です。
ここで大切なのは、しっかり読んでから2度目に読み飛ばすまでの時間を空けないこと。ある程度時間が経過したあとに読み直しても、意外と頭から内容が抜け落ちてしまいます。そうすると全部さらうためには1回目と同じくらいの時間がかかってしまいます。
繰り返しになりますが、1回目にじっくり読んだ直後に読み飛ばしながらおさらいするなら、30秒で済ませられます。これなら全体像を意識できるうえに労力もほぼかかりません。
■3.ケアレスミスを無くすには毎回意識する
そして、ケアレスミスが出てしまうという人は、自分が間違いやすい部分を把握・記憶して、間違いやすいところに直面するたび、毎回意識するという方法がオススメです。(中略)
たとえば、しばしば「誤っているものを選びなさい」という問いにもかかわらず、正しいものを選ぶミスをしていました。そこで、「誤っているものを選びなさい」のなかの「誤っている」のところに大きく“×”マークをつけるようにしたところ、これによりミスは大きく減りました。
しかし、さらにミスを減らすために、「正しいものを選びなさい」にも“○”マークをつけるようにしてみたのです。
こうすることによって、すべての問題において正誤のどちらを選ばせる問題なのかを意識するようになったのです。
これを実行するようになってから10年ほど経ちましたが、その間に同様のミスをすることは一切ありませんでした。
■4.数学の基本問題は、他の問題との共通点を探す
数学の基本問題の攻略方法は、パターンを身につけることに尽きます。パターンを身につけると、慣れさえすれば問題を見て数秒も経たないうちに解き方を判断できるはずです。(中略)
読者の方のなかには「基本問題をパターン化しろって言われても、基本問題集の分厚さを考えたら無理だ」と思う方もいるかもしれません。確かに問題の解法を片っ端から覚えていたら無理かもしれません。しかし、「その背景にある抽象論」は実はかなり限られた数しかないのです。
この抽象論を抽出するポイントは、他の基本問題と比較して共通点を探すことです。「これらの問題をまとめて同じ理屈で説明するにはどうしたらいいか」ということを考え抜くのです。もし、どうしても見つからなかった場合は別パターンとして押さえておけばいいだけです。
■5.現代文の勉強は文章を要約していくこと
現代文の攻略法はただ1つです。自分のレベルに合った参考書を選び、そこに載っている文章のロジック(論理) を説明できるようになることです。
現代文の評論においては、著者が「ある結論」にたどりつくために、色々なロジックが組み立てられています。
そして、入試問題などはロジックをしっかりと理解できてさえいれば、よほどの悪問でもない限り、そこに選択式や記述式などのどんな設問がついていようと、正答できるようになっているのです。
そのため、日頃からその評論が「どういうロジックで、どういう結論に至ったか」を文章構造に沿って、人(自分でも可) に説明する練習をしていきましょう。たとえば、「まずこういう導入があって、こういう問題提起をして、こういう抽象論が来て、次にその抽象論の具体例が2つ来て、結局こういう結論に落ち着いた」などという感じです。
【感想】
◆本書の最初の方で、著者の河野さんは、本書が類書にあるような内容とならないよう努力した旨書かれているのですが、それを踏まえた上で読むと「なるほど」と思える内容でした。特に私のように、アホのように勉強本ばかり読んできた人間にとっては、「結局どの本も言ってることは同じ」と言っても、それほど過言ではなくて……。
私と100冊の勉強本:マインドマップ的読書感想文
おそらく100冊はとっくに超えていると思うのですが、勉強本に書かれていることは大きく分けて
・王道ネタ(反復する、過去問を解く等)のどちらかしかなく、かつ、後者においては、著者の能力に依存するがゆえ、再現性が難しいものもあります(「〇回読み勉強法」等)。
・著者独自のやり方
河野さんの場合、アマゾンレビューでも指摘されているように、常人とは言い難い頭脳の持ち主(そもそも「東大医学部在学中に司法試験も一発合格した」人が普通の人であるわけがありません)ですから、後者の場合、まず再現性はないでしょうし、前者の場合は類書と同じなんだろうな、と本書を読む前は思っていました。
◆それを避けるためか、本書が採った戦略の1つが、第1章としてモチベーションに特化した章を設けたこと。
上記ポイントの1番目に「幸福の最大化」というフレーズが出てきていますが、それもモチベーションに関係する要素の1つです。
要は勉強をすることが、「幸福の最大化」に繋がると腑に落ちることによって、モチベーションを高く保てる、というロジックなのですが、詳しくは本書にてご確認を。
ただし、たとえモチベーションがあっても、効果的な勉強ができなければ意味がないですから、勉強本マニアとしては、これはあくまで補助的な位置づけにせざるを得ません。
◆そこで第2章では、河野さんの主たる勉強法とも言える「逆算勉強法」が登場します。
これはその名の通り、目標から逆算して勉強する方法であり、簡単に言ってしまうと
(1)目標を立てるというもので、正直それほど目新しいものではありません(個々のTIPSは独自性がありましたが)。
(2)目標を分析したあと、それに向けておおまかなスケジュールを作る
(3)おおまかなスケジュールを細かく分け、タスクベースとその日1日の目標を作る
もちろん非常に大事な考え方ではありますが、「これをやったら東大や司法試験に受かるか」と考えたら、それもまた違うでしょう。
……この辺で、勉強本に個別の「戦術」を求める方は、脱落していそうなヨカン。
◆それをフォローすべく、続く第3章では、もうちょっとレイヤーを落として個別の「戦術論」を展開。
勉強中の音楽に対する考え方や、模試の復習の仕方等、参考になるお話もありましたが、個人的にピンと来たのが、「具体と抽象を行き来する」というお話です。
これまた簡単に言ってしまうと、
「具体的な問題」はたくさんあるけれども、それらの問題は「同じような考え方・知識を用いて解くことができる」という共通点でまとめることができるということ。
つまり具体的な個々の問題を見て抽象化し、それを別の問題を解く際に活かすワケです。
おそらく、河野さんの本当のスゴさは、記憶力や計算力もさることながら、この能力が秀でていることではないか、と。
何せこのやり方を使えば、「1回読んだ教科書のもくじだけで、ある程度の復習を済ませることもできる」そうですから、時間がない私たちビジネスパーソンも、ぜひ身に着けたいところです。
◆一方第4章では、「高校・大学受験」の科目ごとの勉強法を指南。
上記ポイントの4番目は数学なのですが、まさに上記の「具体と抽象」のやり方を応用していることが分かります。
本書では実際の問題でのやり方も登場しますので、詳しくはそちらにてご確認ください。
また、最後のポイントの5番目も、科目は現代文ですが、考え方自体は他にも応用できるハズ。
さすがに英語や理科、社会等は個別のお話が多かったので別ですけど、この2つのポイントは、資格試験等を受験される方にも意識していただきたいところです。
勉強本好きなら、一読の価値がある1冊!
東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法
Chapter 0 Prologue 僕の願いと勉強の意義
Chapter 1 勉強効率を極大化するモチベーション講義
Chapter 2 「逆算勉強法」のススメ ――目的からの逆算で、最速の勉強を設計する
Chapter 3 点数を底上げするための技を身につけよう ――勉強を成功に導く4つのテクニック
Chapter 4 高校・大学受験を完全攻略する ――5教科の解体“真”書
Extra Chapter 僕の司法試験合格体験記
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【東大式?】『本物の勉強法』白川敬裕(2014年06月29日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
「プラットフォーム」というと平野敦士カールさんが有名ですが、こちらは今年2月に出た翻訳本。
送料を加えた中古よりは、Kindle版が900円弱、お得となります。
【編集後記2】
◆一昨日の「カドカワ 冬のビジネス実用書フェア」の記事において、今回の本以外で人気だったのは、この辺りです(順不同)。健康の結論
参考記事:【予防医学】『健康の結論』堀江貴文 予防医療普及協会(2018年08月10日)
神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り
パブリック・スピーキング 最強の教科書
ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250
参考記事:【TIPS満載!】『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』堀 正岳(2017年12月03日)
スモール・スタート あえて小さく始めよう
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