2018年12月19日
【男子専用!】『男の子の学力の伸ばし方』富永雄輔
男の子の学力の伸ばし方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中で、個人的に読んでみたかった子育て本。中学受験を目指すムスコさんがいらっしゃるご家庭なら、必読の1冊です。
アマゾンの内容紹介から。
入塾テストなしでも有名難関校に続々合格する話題の「成績が伸びる塾」のメソッドを初公開!競争好き、飽きっぽい、要領が悪い、根拠なき自信。男の子の特性を活かした成績を上げる103の具体策。習慣力、計画術、読解術、思考力、4教科勉強法、環境づくりを1冊に網羅!
なお、中古が定価を大きく上回っている以上、お買い得なKindle版がオススメです!
Homework / Chris Yarzab
【ポイント】
■1.まずは「基礎知識」をどんどん増やすもちろん、中学入試で出される問題は、基礎だけで解けるものは多くありません。しかし、基礎がなければ解けない問題ばかりです。
では、基礎だけで解けない問題はどうやって解いていくのでしょうか。多くの親は「そのためには応用力が必要だ」と考えるのですが、実は、基礎をつなげることで解いていくのです。それが「わかる」ということです。
たとえば、「江戸幕府ができたのは1603年」「アメリカ合衆国の首都はワシントンD.C.」「三重県の県庁所在地は津」などと、個別に覚えていくのが基礎です。つまり、基礎学習は、1つひとつを「点」として覚えていく作業です。
こうした基礎の点がいくつもあって、その点同士が有機的につながっていくことで、いろいろなことがわかってくるわけです。そのときに、点がたくさんあるほうが、「わかる」を引き出すネットワークがより高度に構築されることは言うまでもありません。だから、基礎はいくらやってもムダではないのです。
■2.「根拠のない自信」が最強の武器となる
小学生の頃の男の子は、幼くて物事を広く俯瞰して見ることはできません。それは、言葉を換えれば、無邪気で自分の可能性を信じて疑わないということでもあります。
たとえば、一生懸命サッカーをやっていても、高校生にもなれば「どんなに頑張っても自分はメッシにもロナウドにもなれない」と気づきます。しかし、小学生はそうではありません。
勉強に関しても同様で、男の子は「自分は開成に入って、東大理三に行って、有名な医者になる」などと考えています。
この「まったく根拠のない自信」は、心配している親からすれば困ったものかもしれません。しかし、見方を変えれば、それは「無限の可能性」にほかなりません。そして、この根拠のない自信こそ、男の子の成績を伸ばす上で最も重要な武器となります。
それを、「そんな夢のようなこと言っている場合か」と、現実を突きつけて押さえつけてしまうと、見えない可能性まで潰してしまいます。
■3.目標は「相対」と「絶対」の2つを立てる
男の子に細かい計画は向かないですが、さすがに6年生の秋以降はスタンスを変えていく必要があります。この時期になると、目標設定とそれを遂行するプロセスの繰り返ししかなくなるからです。月ごとに目標を設定し、それを計画的に遂行させていきましょう。
具体的には、「相対的目標」と「絶対的目標」という2つの側面からアプローチしていきます。相対的目標は、偏差値をいくつまで上げるとか、あるいは「○○君に勝ちたい」というのでもいいので、基準となる数値や相手を見据えて設定させます。
絶対的目標は、漢字を500個書くとか、計算問題を300問解くというもので、周囲との比較ではなく、いわば自分との闘いです。
そして、これらの目標は自分の口で宣言してもらいます。(中略)
ちなみに、相対的目標と絶対的目標の2つを立てさせるのは、バランス面もありますが、2つあれば、どちらかは達成できる可能性が高いからです。
1つしかない目標を達成できなければ自信を失うでしょう。あるいは、達成できないことを恐れ、そもそも立てる目標が低くなります。すると、自ずと志望校のレベルも低くなってしまいます。
■4.暗記のコツは多くの角度から量をこなすこと
たとえば、「カブトムシの足は何本ですか?」という問題には、「6本」と覚えていれば答えられます。
一方で、いくつかの写真を並べ、「このうち、カブトムシの足はどれですか?」と聞かれたら、文字記憶だけでは太刀打ちできません。
理科では、文字記憶と視覚的記憶が結びついていることが必要なのです。しかも、その視覚的記憶が必要となる問題については、写真が使われることも、図が使われることもあります。
いくつかの植物を挙げて「根を食べるもの、花を食べるもの、実を食べるものに分けなさい」という問題がよく出題されますが、それが「さつまいも」「ブロッコリー」「カボチャ」など文字で出てくることも、実物の写真で出てくることも、断面図で出てくることもあります。
ですので、文字情報、写真情報、図解情報と3つの異なる角度から覚えていかなければなりません。
これらは、別々にせずに、まとめて覚えるのが効率的です。
■5.動機づけより、「ルール化」を徹底する
男の子は女の子と違って、小学生でも幼稚園児とあまり変わらない幼さがあります。だから、親も幼稚園児を相手にするくらいのつもりでいてください。
子どもが自ら勉強するようになるために、最初は親がルールをつくってあげる必要があります。かつ、やったことに対してご褒美を伴わせると効果的です。
たとえば、「勉強を1時間やったら、テレビを30分見ていいよ」と、勉強とテレビをコインの表裏のように用います。(中略)
それにしても、どうしてここまでやらなくてはならないのでしょうか。
それは、「サッカーやりたい」「ゲームしたい」など、この時期の男の子の「望み」が、勉強とは関係のないことが多いからです。
一方で、女の子の場合、「○○中学の制服がかわいいから着てみたい」といった具合に、今の学習態度と受験の動機が少なからずリンクしているのです。
男の子にもごく一部、「僕は医者になりたいから勉強する」というような子がいますが、これは非常にまれです。そうでないからといってがっかりする必要はなく、「男の子はそういうものだ」と思ってルールづくりに徹しましょう。
【感想】
◆中学受験をするムスコを持つ自分としては、ハイライト引きまくりの1冊でした。冒頭の内容紹介に「103の具体策」とあるように、とにかくTIPSが豊富。
さらにその多くが、上記ポイントの2,3,5番目にもあるように、「男子向け」となっています(もちろん全部ではありませんが)。
ちなみに、著者の富永さんは学習塾「VAMOS」の代表者であり、その塾の特徴が「入塾テストなし・先着順」というもの。
それでも難関校、有名校に合格させる秘訣として、まず上記ポイントの1番目にあるような「基礎知識を徹底的に覚える」のが大事なようです。
たとえばVAMOSでは6年生に対して、講師が年号(「1467」「1929」等)をアトランダムに言って、その年にあったことを1〜2秒で答える訓練を毎日100問やっているのだそう。
……これを毎日やってれば、それは歴史も得意になります罠。
◆また、上記ポイントの2番目の「根拠のない自信」は、小学生男子を持つ親御さんの「あるある」ではないか、と。
ウチのムスコも、大手塾に通い始めた頃は、開成に受かる気マンマンでいましたし、さすがに自分のクラス(成績順なので)を省みて「開成は難しい」とわかった今でも、結構難関校に受かるツモリでいます。
保育園児の頃に「大きくなったらノーベル賞もらう!」と言われて、「そうか、頑張ってね!」と言えた私も、「そろそろ御三家はあきらめた方が……」と口に出かかっていたのですが、本人が受かるつもりならば、応援した方が良い模様。
実際、4教科それぞれの、いい偏差値の時の点数だったらそれも可能なんで、完全に不可能ではないんですけどねw
ただ、日程的な問題として、2月1日にほとんどの有名校の受験日が集中してしまうので、基本的に1校しか選べないという難しさはあるのですが。
◆そういった「子どもらしさ」は、上記ポイントの5番目も同様です。
「小学生でも幼稚園児とあまり変わらない幼さ」というのは言いえて妙。
ちなみにご褒美といえば、我が家では以前から、月例テストや単元テストでは、成績が良いとすあまを買ってあげる決まりとなっておりまして。
以前、この本でご紹介した歌舞伎座裏にある和菓子屋さんのすあまなんですが。
100億円を引きよせる 手みやげ
参考記事:【グルメ?】『100億円を引きよせる 手みやげ』から選んだ6つの逸品(2014年03月12日)
1個140円というお手頃価格で、本人はやる気倍増していますから、単純でラクです(実際、激ウマですが)w
◆以前は男女で勉強法や指導法に違いがあるなんて、考えてもいなかったのですが、実は先日ご紹介したこの本で、そうではないことを知ったワタクシ。
受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実 (新潮新書)
参考記事:【中高大受験】『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』おおたとしまさ(2018年11月09日)
上記参考記事の中から該当部分を引用します。
また、サックスは、脳の構造や機能の違いから考えても、男女それぞれに応じた教え方があると訴える。たとえば、女子は言葉を音の連続として覚える音韻メモリーを使うのが得意なのに対し、男子は視覚的に画像で覚える視空間メモリーを使うほうが得意だ、という違いがあるそうだ。ゆえに、男子には図解形式の板書が記憶に残りやすく、女子には、話し言葉で説明を加えながら板書するほうが効果的だというのだ。それをさらに発展させて、具体的なTIPSに落とし込んだのが本書ということ。
さらに、中学受験では男女別学の方が多い以上、その問題傾向も含めて対策を取った方がいいのは当然のことでしょう。
そう考えると、むしろ教え方は違っていても当然ですし、我が家でも今後は、本書の内容に沿ってムスコと勉強していきたいと思います。
……ムスメさんのいるご家庭ならこちらでw
女の子の学力の伸ばし方
受験する小学生男子を持つご家庭なら、必読の1冊!
男の子の学力の伸ばし方
はじめに―どんな子でも必ず学力は伸ばせる
序章 男の子の学力を伸ばすには方法がある
第1章 男の子を突き動かす不思議な7つの特徴
第2章 男の子の「学力」を伸ばす5つの絶対原則
第3章 仕事でも勉強でも一生役立つ「考える力」の育て方
第4章 成績がぐんぐん上がる男の子の目標・計画術
第5章 「必修4教科」の最強勉強法26
第6章 自分から机に向かう子に変わる13の「勉強習慣」―
第7章 成績が伸びる男の子の親がこっそりやっている26の習慣
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【子育て】『合格する親子のすごい勉強』松本亘正(2018年05月03日)
【勉強法】『「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法』佐藤亮子(2016年12月25日)
【76の習慣】『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』村上綾一(2016年05月21日)
【編集後記2】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。人見知りが治るノート
参考記事:【引っ込み思案?】『人見知りが治るノート』反田克彦(2016年12月11日)
当ブログレビュー済みであるこのコミュニケーション本は、「74%OFF」という激安設定ゆえ、Kindle版が500円弱お得に。
ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
話題となったこちらの作品も、Kindle版が1600円以上お買い得となっています。
ご声援ありがとうございました!
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