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2018年11月14日

お前らもっと『一流の頭脳』の凄さを知るべき


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一流の頭脳


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる「サンマーク出版セール」の中でも人気の「脳ネタ本」。

あまりに秘孔を突かれすぎて(?)、思わず今はなき「ホッテントリメーカー」で作ったタイトルをパクってしまいました。

アマゾンの内容紹介から。
最高峰の医学研究機関しか知り得ない、世界最新データ満載!秘められた脳の力を最大限引き出し、あらゆる能力を最大化する、究極の英知!科学的エビデンスに基づきIQ、集中力、記憶力、創造性、認知力、長寿、抗疲労など、全てのパフォーマンスを強化する。

なお、中古がやや値崩れしていますが、送料を考えればKindle版が500円弱、お買い得です!





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【ポイント】

■1.運動でストレスを解消する
 運動をしたからといってストレスを根こそぎ取り除くことはできないが、うまく制御できるようにはなる。運動を習慣づければ、脳のブレーキペダルが強化され、「闘争か逃走か」モードに入りにくくなるからだ。
 たとえば、あなたが決められた期日までに仕事を終えられず、叱責されたとしよう。普通なら心拍数が増えて血圧は上がり、思考が混乱して挽回するどころかパフォーマンスは低下する。しかし、運動を習慣にしていればそういったことも減っていく。困難な状況にうまく対処できるようになり、身体も心も過剰に反応しなくなるのである。


■2.運動で集中物質「ドーパミン」を増やす
 今では、運動をした直後にドーパミンの分泌量が増えることがわかっている。運動を終えた数分後に分泌量が上がり、数時間はその状態が続く。そのため運動後には感覚が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、心が穏やかになる。頭のなかがすっきりして、物事に難なく集中できるようになる。そして、唸りのような雑音も消えるのだ。
 加えて、身体に与える負荷が多いほど、ドーパミンの分泌量も増えるようだ。そのため、ドーパミンの量を増やすには、ウォーキングよりもランニングのほうが適している。
 初めてランニングやサイクリングをしたときに、すぐに気分がよくならなかった、あるいは集中力が改善されなかったからといって、あきらめてはいけない。ドーパミンは、運動の時間が長くなるにつれて増えていくからだ。


■3.運動で記憶力を高める
 では、具体的にはどのような運動をすれば、記憶力がよくなるのか。やはり何か月も続けなければならないのだろうか。あるいは、すぐに効果が現れるのか。運動は、何かを覚える前に行うべきか、それともあとか。
 じつのところ、効果はわりと早い段階で実感できる。実験では、持久力系のトレーニングを定期的に3か月続けた場合、単語を暗記する能力がかなり上がるという結果が出た。
 また忍耐強く続ければ続けるほど、その効果も増大するという。なぜなら、どれだけ記憶力がよくなるか──つまり単語を暗記できる数は、体力と比例しているためだ。健康状態が良好な被験者は、記憶力も大幅に改善していた。健康なほど海馬も成長することを考えれば、これは非常に理にかなった結果といえるだろう。


■4.運動をすると創造性が増す
 この研究論文のタイトル「アイデアを歩かせよう:創造的思考におけるウォーキングの効能」こそが、結果をそのまま表している。被験者が歩きながらテストを受けた場合、5人に4人の割合で好成績を挙げたのである。その差は明らかだった。とくにブレインストーミングと新しいアイデアを出す能力において、歩きながらテストを受けた被験者の成績は、歩かずに受けた被験者をおおむね 60%も引き離していた。
 ただし収束的思考──「正しい」回答や共通点を探す能力は上がらなかった。研究グループの1人、マリリー・オペッツォは次のように述べている。「ウォーキングをしたからといって現代のミケランジェロになれるとはかぎらない。だが、創造のプロセスにおける最初の段階をスタートさせてくれることは間違いない」


■5.運動で学力が伸びる
 アメリカの研究チームは、次のような試みを行っている。スポーツをまったくせず、自由時間には座ってばかりいる肥満気味の小学生たちを集めて、放課後に運動させたのである。子どもたちが参加しやすいように、研究者は好きな運動を自由に選ばせた。ランニングを選ぶ子ども、縄跳びを選ぶ子ども、またボール遊びを選ぶ子どももいた。
 その結果、特別な勉強は一切していないのに、みな一様に算数の試験の得点が上がっていた。また活動量が増えれば増えるほど、試験の得点も高くなった。じつは、たった20分でこのような効果があったのだが、とりわけ試験の得点が大幅に上がった子どもたちは40分以上、息がかなり切れる運動──心拍数が1分間で最大150回まで上がる運動をしていた。


【感想】

◆タイトル並びに、内容紹介を読む限りでは、何がキモとなるかが、一切書かれていないのに、まずビックリ!

その内容紹介も、私が冒頭で引用した短いバージョンだけではなく、実はアマゾンの長い方のフルバージョンの方を見ても、「運動」のウの字も出てこないという徹底ぶりです。

……これはあえて、そのことを隠したかったとしか思えず!?

かといって、上記ポイントで抜き出すのに、運動に関する部分を一切避けるわけにもいかないので、普通にネタバレ(?)というか、むしろいちいち小見出しに「運動」の二文字を入れておきました。

というか、アマゾンレビューには、もう当たり前のようにしっかり書かれているのですけどねw


◆さて、本書では下記目次のように10個の章で「運動のもたらす好影響」について言及しています。

たとえば第2章では「ストレス軽減」に関するお話が登場。

上記ポイントの1番目にあるように、日頃から運動によって心拍数が上がる経験を積んでおくと、ストレスに対する耐性が増す、というロジックは納得できるものです。

細かいことを言うと、定期的に運動を続けていると、ストレス物質である「コルチゾール」の分泌量が減り、ストレスに対する抵抗力が高まっていく、とのこと。

さらに脳内の興奮を鎮めるGABAの作用も活発になるのですが、詳細については本書にてご確認を。


◆続く第3章では、集中力についての解説が。

そもそも頭の中では、私たちは気づかないものの、「唸りのような雑音」が鳴っており、ドーパミンの分泌量が増えると、その「雑音」と、周囲にある一般的な雑音の両方が消えるのだそうです。

ちなみに、ADHDを薬で治療する理論もこれに基づいており、本書ではADHDに関しても「運動」が好影響を与える旨の指摘がありましたが、今回は割愛。

また、「ウォーキングよりもランニングのほうが適している」という指摘も、あくまでドーパミンに関する場合であり、実は各項目ごとに適した運動がありますので、一応ご留意ください。

加えてこの第3章では、「自制心」も運動によって高められる、というお話もありました。

この辺は、『グリット』に注目された方々にとっても見逃せないところだと思います。

やり抜く力
やり抜く力

参考記事:【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)


◆それより当ブログの読者さんにとって気になるのが、運動と学習能力との関係ではないでしょうか?

まず第5章では、「記憶力」に関する言及があり、結論としては上記ポイントの3番目にあるとおり、持久力系のトレーニングを続けると良いのだそうです。

さらに上記では割愛しましたが、実は「運動しながら記憶する」と、最大限の効果が得られるとのこと。

つまり、「トレッドミルの上で歩きながら暗記をする」と、机の上で勉強するよりも良いワケです。

なお、「記憶」とはまったく違う頭の働きが必要な「算数」も、運動によってよりできるようになる、という指摘は、上記ポイントの5番目にあるとおり。

もちろん、算数だけでなく、他の教科と運動についての研究も紹介されており、「9歳児が20分運動すると、1回の活動で読解力が格段に上がった」というデータがあるのだとか。

……ウチのムスコも、私に似て運動らしい運動もしないのですが、今からでも毎朝走らせるべきではないか、と。


◆なお、こうした研究等々について、本文中で一切脚注の記号等がなく、「これは科学的とは言えないかな」と思ったワタクシ。

ところが最後まで読んだところ、巻末に参考文献がびっしり載っていましたのでご安心を。

……もっとも全部英文表記ですし、具体的にどの実験や研究なのかが分からないので、確認もしていないのですが(すいません)。

そして、その参考文献のすぐ前には、脳に関するワードの「用語集」まで付されているのも、脳ネタ本をあまりお読みでない方や、私のように読んでいても用語を忘れがちな人にはありがたい仕様です。

おそらく最後まで読んだ方は、運動をしたくてたまらなくなるのではないか、と思うくらいに運動を推奨している本書。

私も来年中学受験するムスコと、何か運動をしなければ、思ったくらいですから、これはオススメせざるを得ません。


「運動」という副作用のない特効薬を学べる1冊!

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一流の頭脳
第1章 自分を変える「ブレイン・シフト」
第2章 脳から「ストレス」を取り払う
第3章 カロリンスカ式「集中力」戦略
第4章 「やる気」の最新科学
第5章 「記憶力」を極限まで高める
第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す
第7章 「学力」を伸ばす
第8章 「健康」な頭脳
第9章 超・一流の頭脳
第10章 「一流の頭脳」マニュアル


【関連記事】

【脳科学】『2時間の学習効果が消える! やってはいけない脳の習慣』横田晋務(著),川島隆太(監修)(2016年08月12日)

【脳トレ?】『脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド』アルバロ・フェルナンデス,エルコノン・ゴールドバーグ,パスカル・マイケロン(2015年10月27日)

【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)

【脳】「記憶力をのばしたい!」キャスリン・ジェイコブソン・ミラン(2008年07月23日)

【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

形容詞を使わない 大人の文章表現力
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当ブログではおなじみである石黒圭さんの文章術本。

「60%OFF」と値引率が高めなこともあり、Kindle版が実質600円弱、お得となります。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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