2018年09月14日
【文章術】『人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける』吉田裕子
人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、当ブログでは定番の人気テーマである「文章術」の新刊。著者の吉田さんは、難関大学の受験塾で指導する傍ら、テレビやラジオ、雑誌等のメディアにも登場されているという方です。
アマゾンの内容紹介から。
時間をかけずに、一流の文章がすらすら書けるトレーニング本。シンプルな型にはめるだけで、あっという間にうまく書いている人と同じ文章力が身に付きます。「うまく書けない」「時間がかかる」「書こうとすると疲れる」「何が言いたいかわからないと言われてしまう」、そんな問題を一挙に解決!
版元がダイヤモンド社さんだけに、Kindle版はしっかりお安くなっています!
Correction Key / CreditDebitPro
【ポイント】
■1.「意見・理由・具体例」の3点セットで書く納豆が好きだ。なぜなら、おいしいから。たとえばタカノフーズの「しそ海苔納豆」は、紫蘇の香りがさわやかで、少し甘みのあるタレも食べやすく、初心者にもおすすめだ。このように詳しく語れば、たた「おいしい」と連呼するよりも、客観的な意見に聞こえますね。
このように、意見・理由・具体例を3点セットで述べてこそ、説得力が発揮されるのです。3点セットで書くことを心がけてください。
慣れるまでは、多少わざとらしくとも、意見の後に接続語「なぜなら」「たとえば」で始まる文を付ける習慣を持つといいでしょう。
■2.皆が同意する話から入る
最初は、身近な話や一般論、これまでの常識など、誰もが共感・納得するところがら入るのです。・こんな経験、皆さんもあリますよね。こうして皆が必ず領くところから入り、読み手が「たしかにそうだなぁ」と領いたところで、
・一般にこう言われている。(中略)・しかし〜と、本当に訴えたい意見に入っていくのです。
・実は〜
・これからは〜
遠回りに感じるかもしれませんが、まずは聞く耳を持ってもらうことが重要ですからね。自分の意見が独特だと思うときほど、入りをソフトにしましよう。丁寧に共通認識を増やしていきます。共通認識を増やし、「この人のいうことは共感できる」と思ってもらうのです。独自の意見でも、十分に共感を得た後に伝えれば、「たしかに」と領いてもらえる確率が上がります。
■3.相手の意見をいったん「たしかに」で受け止める
「たしかに」は譲歩の語で、自分とは対立する意見を受け止めるときに使われる言葉です。日常会話でも、「たしかに君の言うこともわかる」というように使われます。
「たしかにそういう面もあるね」
この「たしかに」が入ると、異なる意見の人を受け入れる余地がある、大人の余裕を感じさせるのです。暴走せず、冷静に意見を述べている人という印象が生まれます。
この「たしかに」は「でも」「しかし」という逆接とセットです。「たしかに君の言うこともわかる。でも、田中さんの立場もあるからね」(中略)というように、あとで改めて自分の意見を主張するものなのです。最終的にはこちらの考えを伝えるのですが、ひたすら言い続けるよりも、いったん向こうの見解を受け止めてから言うほうが、意見の違う人に届きやすくなるのです。「たしかに」と理解や共感を示すことで、聞く耳を持ってもらいやすくなるわけです。
■4.字数を増減させる3要素
字数を増やすときに意識すべきは、次の3要素です。・対比(「〇〇は〜だが」「これまで〜だったのに対し」など。譲歩(「仮に〜しても」も)字数を増やすと、話が飛んでしまう人もいるのですが、対比・理由・例の3要素を追加すると意識すれば、話題のブレがなく文章を長くすることができます。
・理由(「〜ので」「〜から」。「〜するため」などの目的も)
・例(「たとえば〜など」「〜のように」)
逆に、字数をしぼり込む際には、対比・理由・例を削ることを意識するといいのです。それらを削れば、ズバリ結論だけの文章になります。
■5.謎かけの発想で志望動機を書く
この謎かけの発想は、文章を書くときにも応用することができます。こちらは少々使い古された例ですが、結婚生活はマラソンだ。どちらも、長い間、飽きずに投げ出ささずに地道に走り続けなくてはならない。というように、2つのものの共通点を語るかたちで文章を書くことができるのです。
この書き方は、志望動機を書くときにこそ生きます。謎かけの基本形を用いて、
「私とかけまして、御社と解きます。その心は〇〇」
のかたちで発想するのです。すなわち、A=私の興味・関心や能力、将来のビジョン、これまでの経験の2つのどこかに共通点がないかを考えるのです。
B=御社(会社の事業・ビジョン・組織風土、担当業務)
【感想】
◆世間に文章術本は多いものの、類書とは少々テイストの異なる作品でした。まず1つは、各項目ごとに必ず練習問題が複数問、付されていること。
それもおまけ程度に掲載されているのではなくて、項目によっては全体の3割近くを占めていますから、かなりチカラが入ったものです。
……本当はそれらを上記ポイントで抜き出したかったものの、問題と答えの両方を書くと、ボリューム的にかなり多くなってしまうので、泣く泣く割愛した次第。
◆もう1つは、この「問題形式」と関係あるかもしれないことなのですが、著者の吉田さんが大学受験塾の講師であるせいか、アプローチの仕方が違う印象を受けました。
たとえば本書の「はじめに」では、このように言われてまして。
文章技術の習得は数学学習に似ています。これを文章術に応用すると「効果的な文章技術を理解し、公式化し、それを簡単な練習問題で定着させ、実生活の文章作成に活かす」となり、まさに本書の構成がそうなっているという。
数学ではまず、公式がどう成り立つのかを証明で理解し、公式を覚え、それを使用する簡単な練習問題を解きながら身に付けます。その後、応用問題に挑戦します。
この学びの順番を文章を学ぶことにも応用すればいいのです。
かといって、完全な「受験仕様」というのとはちょっと違います。
実際、吉田さんは社会人向けの通信講座を多数開校している産業能率大学総合研究所で、「文章力を磨く」という講座のテキストを執筆したところ、多くの講座の中でも五指に入る人気なのだそう。
つまり、私たちが必要としている「文章力」が、「ロジカルに」身に付く仕様になっているワケです。
◆具体的に中身を見ていくと、上記ポイントの1番目や4番目は、確かに「公式化」されている感じ。
もっともポイントの1番目のTIPSは定番と言いますか、類書でも見かけるものです。
ただし本書の場合、それを練習問題と解答例で、しっかり確認させているという(この問題では、例文を読んで「意見・理由・具体例」の部分に線を引かせる等)。
一方、ポイントの4番目のお話は、私は今般初めて知りました。
ちなみにこの項目は、本当は要約がテーマであり、その練習問題では、約1000字の例文を100字に要約させ、それをさらに40字と13字にまで要約させています。
これがなかなか圧巻なので、できれば本書でご確認いただきたいところ。
◆また、上記ポイントの2番目のお話は、「一貫性の法則」の項目の中で紹介されていたものです。
「最初のうちに『うん』『うん』と頷かせておく」というので、「はいはい『フット・イン・ザ・ドア』ね!」と思っていたら、「しかし〜」で本題に入るというアラワザ!?
つまり、最初のうちの「YES」は、「フット・イン・ザ・ドア」とは違い、自分自身に対する共感を持ってもらうためのものになります。
そしてそれによって「自分の意見が印象に残る」ことを目的としている次第。
……私だったら、自分の意見が独特な場合、もっと極端な意見を言って「それに比べたらマシ!」としちゃいそうですがw
◆最後のポイントは、文章術は文章術ですけど、「どう書くか」以前の「何を書くか」のお話。
吉田さんご自身も、転職される過程で
A=私(塾講師)という設定で志望動機を考えられたのだそうです(共通点であるCをどうしたかは、本書にてご確認を)。
B=御社(婚活支援サービス)
さらに吉田さんではない別の設定ではありますが、A、B、Cの順番を変えて、提出できるレベルの志望動機を2パターン挙げる辺りは、文章術本としての面目躍如かと。
正直、本書に収録された練習問題をしっかりやったら、それは文章力も身に付きます罠。
私は時間がないので飛ばしてしまいましたが、いつかしっかり解いてみたいと思っております。
文章術を基礎から学べる1冊!
人一倍時間がかかる人のための すぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける
第1章 国語の先生でも明確に答えられない文章の基本
第2章 言いたいことがきちんと伝わる文章の作り方
第3章 魅力が10倍増す文章の作り方
第4章 人にわかりやすく説明するときの文章の作り方
第5章 「書く」の実践トレーニング
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【編集後記】
◆本日から開催されるKindleセールから。Amazon.co.jp: 【35%OFF以上】ディスカヴァー・トゥエンティワン33周年キャンペーン (9/27まで): Kindleストア
リンク先には「35%OFF以上」とありますが、パッと見た感じ「48%」くらいの作品が多いです。
当ブログでご紹介した本も何冊かあるので、後でキチンと記事にするかもしれませぬ!?
ご声援ありがとうございました!
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