2018年09月10日
【仮想通貨?】『これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話』堀江貴文(著),大石哲之(監修)

これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「徳間書店 書籍50%OFFセール」の中でも大人気となっている1冊。おなじみ堀江貴文さんが、大石哲之さんの監修のもと、仮想通貨について語りまくった作品です。
アマゾンの内容紹介から。
お金は変わる。そしてなくなる。ビットコインが目指した自由。イーサリアムがもたらす大変革。そして訪れる僕らとお金、組織との新たな関係とは?堀江貴文が説く、仮想通貨と「これからの経済学」
なお、まだ中古が1000円以上しますから、このKindle版が600円弱、お得となっています!

Bitcoin / Hektorej
【ポイント】
■1.「投機」が必要だった仮想通貨前項まで、僕は仮想通貨に対して、自分自身が感じる面白さを簡潔に書いていったつもりだ。
だが、一方でああいった経済史からの観点で、多くの人がビットコインに興味を持つとは、まったく思っていなかったのも事実だ。
はっきり言おう。ビットコインが流行るために必要だったのは「投機」だった。「儲かるだろう」という投機目的で、多くの人が入ってくることが必要だった。
実際に、4年前に受けたある取材では「ビットコインなどの暗号通貨が日本で爆発的に普及するために必要なことは?」と問われ、「投機です。投機」 と即答している。
日本で仮想通貨が流行ったのは、それが投機の対象として魅力的だったからだ。
確かに投機そのものは、別に社会に対して何もいいことはないと僕も思う。投機という言葉に、ネガティブな印象を持つ人も多いだろう。しかし、それはそれでいいと僕は思っている。
■2.資産防衛としての仮想通貨
僕たちは日本円という、世界的に見ても、非常に強力とされる通貨のもとに暮らしている。国の借金はものすごい額になっているが、幸いにして政情は安定しているし、軍事クーデターが起きるリスクもない。今から1年後、いきなり日本銀行券が紙くずになる可能性は限りなく低いだろう。
だが、世界を少し見渡してみれば、そんな国は珍しい部類に入る。(中略)
2013年にはギリシャ経済危機に端を発し、地中海の小国・キプロスで金融危機が起きる。ユーロ圏では初めてとなる預金封鎖が発表されると、金融機関に依存しないビットコインは大きな注目を集め、ビットコインの価格は上昇した。
過去に7回のデフォルトを起こしているアルゼンチンのような国では、自国通貨より米ドルが信用されているが、米ドルより扱いやすい通貨代替物としてビットコインが使われている。ちなみにキプロスでは大学の授業料をビットコインで支払えるようにもなっている。
■3.イーサリアムの特徴「スマートコントラクト」とは?
ローンの遅延や故障が発生した場合には、購入者か販売者いずれかには、相手方への支払いの義務が発生する。しかし、本当にそれが支払われるかどうかはわからない。拒否されるかもしれないし、のらりくらりかわされるかもしれない。
このようなケースでお金を回収するためには、法的に契約が正しいと明らかにして債権を確定させた後、最終的には裁判所に強制執行を求めることになる。手間もコストも甚大で、とても割に合わない。
スマートコントラクトは、こうした契約条件の取り決めや証明・執行の方法までを自動化させるアプリケーションやプログラムと考えてもらえばいい。ごく簡単に言えば、支払いが遅れたら、購入者の口座から販売者の口座に自動的に遅延損害金が移るようなプログラムが組めるということだ。
■4.ICOのキモは「議決権の有無」
報道などでICO関連の話題を確認する限り、世間の大半の興味は「ICOでひと儲け!」か「ICOの危険性」のどちらかだ。少しビジネスをかじっている人ならば、流行りの資金調達方法として考えるかもしれない。
でも、こんなものは全部表層的な話である。ICOの本当の面白さは別のところにあるのだ。
それは、議決権の有無にヒントがある。
今まで巨額の資金調達をするためには、株式市場に上場、つまりIPOすることが一番の近道だった。だが、通常の場合、株式には議決権がついている。大株主は株主総会で経営陣を交替させることだってできる。株を買われるということは、企業の一部を投資家に売るということだ。
ICOの場合、トークンを発行するだけなので、そこに議決権は存在しない。つまり、これはいくら資金調達を行っても、そのプロジェクトが買収されないことを意味している。
■5.メルカリは「シェア経済」
日本発のビジネスで、今、最もシェアリングエコノミーやトークンエコノミーに近いところにあるのが、第4章でも言及したメルカリだろう。
メルカリが爆発的に流行った背景には、「インスタ映え」の影響が大きい。
これまでは友達におしゃれのアピールをする時は、直接会っておしゃれな洋服を見せて、自己承認欲求を満たしていた。ただ、その方法は1回に会える人数も限られている。インスタに写真を上げれば、もっと手軽に効率良く、承認欲求が満たされる。
だから、お金がある人はZOZOTOWNで洋服を買って、インスタに写真を上げたあと、メルカリに流すという行動に出る。お金がない人は、メルカリに流れた服を買って、やっぱりインスタに上げて、再びメルカリに流す。
これは、結果的にシェア経済ということだ。投資と消費の差がなくなり、凄まじい勢いでリセールマーケットが拡大していく。
【感想】
◆仮想通貨をメインテーマにした作品を読むのは、本書が初めてだったのですが、なかなかバランスよく書かれた良書だと感じました。それはもちろん、堀江さんが技術畑の人だけに、仮想通貨の仕組みを分かった上で書いている点は大きいと思います。
また専門的な部分については、監修である日本デジタルマネー協会理事の大石哲之さんが見てらっしゃるだけに、ぬかりもなく。
……ちなみに、当ブログを古くからお読みの方は、かつて大石さんがスキルアップ系の作品を多々出されているのはご存じだと思いますが、元々は外資系のコンサルの方です。

コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ
参考記事:すぐに使える「ロジカルシンキング・リーディング」テクニック5選(2009年09月04日)
◆まず第1章では、現状の把握や、2度の大きな事件(「マウントゴックス事件」「コインチェックNEM流出事件」)について解説。
特に最近起こった後者については、「モザイク」と呼ばれるマーカーを付けながらも、最終的には追跡できなかった点が印象的でした。
これを堀江さんは「銀行強盗が大量に盗んだ1万円の紙幣番号を把握しているのと同じ」と表現。
確かに銀行に持ち込んだら一発でアウトでしょうが、街角のたばこ店で使われたり、反社会的集団に流れたら、どうしようもありません。
また、上記ポイントの1番目にあるように、仮想通貨がいくら理屈として優れていたとしても、ブームになるには投機的な側面が必要だったことは、堀江さんも認めてらっしゃいます。
そもそも決済に使うには、ビットコインでも最低10分かかるのでは、店舗としては割に合わないでしょう。
◆続く第2章では、ビットコインをテーマに、その仕組みと技術的なお話が展開されています。
ぶっちゃけこの辺は、どなたが書いてもあまり変わらないと言いますか、特に抜き出す必要もないと感じたので、今回はハイライトは引いたもののバッサリ割愛。
ただし、用語的な部分はしっかり説明されており、仮想通貨の仕組みに関してひと通り学ぶことができると思いますので、初心者の方は要チェックで。
逆にある程度ご存知の方は飛ばしていただいて良いと思います。
◆一方第3章は、上記ポイントの3番目にある仮想通貨「イーサリアム」がテーマ。
「スマートコントラクト」も名前だけは聞いていましたが、今般本書を読んで、初めて理解しました。
もっともこのイーサリアムでも、「第2のマウントゴックス事件」と呼ばれるものが起こっていたとは……。
さらに同じ第3章からは、上記ポイントの4番目の「ICO」についても触れておきました。
なるほど「議決権の有無」というのは、言われて初めて気が付いた次第。
ちなみに、本書でも触れられているのですが、これはGoogleの親会社であるアルファベットにおける「議決権10倍株」みたいなものですね。
◆なお、最終章ではシェアリングエコノミーについても言及しています。
上記ポイントの5番目のメルカリは、厳密な意味での「シェア」ではありませんが、最初から売ることを前提として買う場合、実質的にはその差額分だけ負担しているに過ぎません。
そうなると、もはや「所有」という意味合いが変わってきているわけで、確かにこれはもう「シェア」だな、と。
またこの第5章では、「クラウドファンディングでLCCを作って飛行機を飛ばす」みたいなお話も登場しており、さすがアイデア豊富な堀江さんらしいです。
今から仮想通貨本を読む方にオススメの1冊!

これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話
第1章 僕らは1000年に1度の転換期を迎えた
第2章 ビットコインと自由
第3章 イーサリアム革命
第4章 国家と通貨と仮想通貨
第5章 トークンエコノミーの中で
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
ビジネスの世界で戦うのなら ファイナンスから始めなさい。
まさに今日のご本にも、ある意味関係する1冊。
中古は値崩れ気味ですが、送料を考えるとKindle版がお買い得です!

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