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2018年08月06日

【自己肯定感】『人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの』川野泰周


人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの (単行本)
人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの (単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、人気のあった自己啓発書。

著者の川野泰周さんは、精神科の治療に禅やマインドフルネスをとり入れているというお医者さんです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「自己肯定感とは何か? それは、自分を支える根源的な心の力のことです。そして、この力は、誰でも、いつからでも、何歳であっても高めることができます。これは精神科医として、また禅僧として、さまざまな心の問題と向き合ってきた経験から得た確信です」(著者)

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【ポイント】

■1.自己肯定感とは何か?
 自己肯定感――これと似た言葉に「自尊感情」というものがあります。
 この2つは混同されていることが多いようですが、自己肯定感と自尊感情は似て非なるものです。自尊感情は「他人との比較」のなかで得る、自分のほうが優れている、成功している、高い地位についている……といった、いわば「優越感」であり、一時的なものでしかありません。
 一方、自己肯定感は誰かと比べてという相対的なものではなく、「自分という存在は大切である」という絶対的な、確信的な、揺るぎない感覚です。
 自分を支える根源的な「心のありよう」、あるいは「心の力」――。
 それが自己肯定感です。


■2.「いま」「目の前」にある「1つ」のことだけやる
 後悔も、不安も、自己肯定感の低下を招く要素です。そんなどうすることもできないこと、どうにもならないことは「放っておく」。それが禅(マインドフルネス)の考え方です。
 放っておくというのは、過去についていえば、過去をないことにして忘れるとか、過去を無視するとか、そういうことではありません。どんな過去であっても、
「そういうことがあったなぁ。それもかけがえのない経験なんだな。だからいまはそのまま受け取っておこう」
 と事実を事実として率直に受け容れるということです。
 これが過去に「ケリ」をつける最良の方法です。そのうえでこう考える。
「自分ができることは『いま』『目の前』にある『一つ』のことしかない」
 これは禅の教えそのものですが、そうであるなら、そのことにひたすら集中する。そのことを味わい尽くす。それしかないのではありませんか。


■3.怒りを上手に封じ込める「三段階分析法」
 怒りが込み上げてきたとき、まず、「思考」に注意を向けます。どのように考えたから怒っているのか――。
 それを明らかにするのです。(中略)
 次に「感情」を分析します。悔しい、憎い、情けない、許せない……。自分がどんな感情を抱いているかを見ていきます。
 そして、最後に身体の「感覚」を分析します。胸が締めつけられるようだ、心臓の鼓動が速くなっている、身体が熱っぽい、手が震える、足が地に着いた感じがしない……さまざまな感覚に気づくはずです。
 頭に血がのぼり、「この野郎!」となっているときは、いわば、怒りに支配されている状態なのです。相手を罵倒したり、手を上げたりしてしまうのは、この状態から離れられないからです。
 しかし、「思考」→「感情」→「感覚」の三段階で分析することで、怒りに支配されている自分を客観視することができるのです。「怒りの支配の外側に出られる」といういい方をしてもいいと思います。


■4.相手の感情は無視し、事実だけを受け止める
 相手の言葉を受け止めるとき、大きく影響するのは、その「表情」や「語調」といったものです。感情をあらわに、語調厳しく叱責されれば、言葉そのものよりそのことに圧倒され、キモが縮み上がるということにもなるわけです。
 しかし、相手が伝えたい事実はあくまで「言葉」にだけあるのです。であるならば、表情や語調は 捨象 してかまわない、ということになりませんか。事実だけをピックアップして、頭のなかで文章化するのです。
 例に挙げたケースでいえば、「資料のミスを指摘された」というのが事実。雷を落とされたように感じようが、諭されているように感じようが、事実としてはこれだけのことなのです。
 怒りの感情を向けてきた上司は、たまたまその日の朝、奥さんとケンカをして虫の居所が悪かったのかもしれません。(中略)
「資料にミスがあった」という事実以外の、相手の感情的要素にとらわれるということは、こうした相手のプライベートや生い立ちにまでも介入するのと同じことです。


■5.人にいわれて、うれしかった言葉を思い出す
 人は好意的な言葉を案外覚えていないものです。心にチクリときた言葉のほうがいつまでも記憶されていたりします。私自身も「いいね」系の言葉はあまり残っていませんが、逆に「ダメだね」系の言葉はいくつも思い出すことができます。
 それでも、意識して記憶をたどるとうれしかった言葉が思い出されます。小学校時代に、「ドッジボールがうまいね」「一輪車に上手に乗れるね」……たしかに、そんなふうにいわれてうれしくなったことがありました。
 うれしいと感じたのは、それが自分を肯定してくれる言葉だったから、その言葉によって自分が自己肯定感を持てたからでしょう。
 つまり、「うれしかった言葉を思い出すことは、自己肯定できていた自分にあらためて出会う」ことなのです。
 いまこの瞬間からはじめられる、おすすめしたいワークです。


【感想】

◆それほど厚くはない(単行本で254ページ)本なのですが、ハイライトを引きまくってしまいました。

やはり1つには、著者の川野さんが、精神科医でありながら、禅僧でもあることが大きいような?

それぞれの立場からでも本書のテーマに関して書けるところ、双方の視点から言及している分、奥行きが深くなったと思います。

また、そもそもの言葉の定義もキチンと説明してくれているのもありがたかったところ。

上記ポイントの1番目にある「自尊感情(自尊心)」や「優越感」「万能感」と、「自己肯定感」の違いを、今般改めて理解しました(詳細は本書を)。


◆「自分は自己肯定感があるから大丈夫」と思っている方も、実は結構怪しかったりするもの。

たとえば「完璧主義者の自己肯定感は概して低下しやすいもの」なのだそうです。

なぜならば、「自分自身をなかなか肯定できないから、なんとか肯定するところをつくろうと、自分に課題を課す」から。

また、頑張りすぎる人も要注意!

無理を重ねるのは「現状に満足できない、もっといえば、いまの自分を受け容れられない」とも言えるわけで、やはり自己肯定感が高いとは言えません。

この辺に心当たりのある方は、上記ポイントの2番目のTIPS等が収録された、本書の第1章を熟読してください。


◆一方第3章では、「怒り」がテーマです。

何でも「モンスターペアレント」のような怒りっぽい人というのは、被害者意識が強いのだとか。

またDVの加害者も自己肯定感が低いと考えられるのだそうです。

なぜならば、そういった人が自分を肯定できないのは、自分が「無力である」「恥ずかしい存在である」と考えており、その苦しみから逃れるために、自分より弱い存在をコントロールすることで、自己肯定をするから。

これはパワハラする上司も同じことです。

本書の読者さんが、こうした「加害者」だとは思いませんが、本書では「怒りを鎮める」方法をいくつか伝授。

その1つが上記ポイントの3番目の「三段階分析法」です。

なお、これを行った後に、仕上げに「深呼吸」をすると良いのだそう。


◆続く第4章のテーマは、ビジネスシーンにおける自己肯定感の高め方。

上記ポイントの4番目の「相手の感情は無視し、事実だけを受け止める」というTIPSは、非常に大事だと思います。

また、割愛した中にも「自己肯定感を高く保つ目標設定法」や「穏やかな自己価値観を育む」といったアドバイスもありますから、お見逃しなく。

さらに最後の第5章では、「自己肯定感を高める、10のワーク」と題して、具体的なワークが紹介されていました。

上記ポイントの5番目もその1つであり、他にも「4つのやりたいことを書き出す」「赦しのワーク」といったところがありますから、ぜひお試しを。


自己肯定感を高めたい方なら、必読の1冊!

人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの (単行本)
人生がうまくいく人の自己肯定感: 努力より、環境より、才能より大事なもの (単行本)
はじめに
序 章 努力より、環境より、才能より大事なもの
第1章 自己肯定感の高い人、低い人の差はここに出る
第2章 もっと"マインドフル"な人間関係をつくる
第3章 「怒り」をどうコントロールするか
第4章 だから、この人は仕事がうまくいく
第5章 自己肯定感を高める、10のワーク


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【編集後記】

◆昨日ご紹介した「学び直し本フェア」の中で人気だったのはこの辺でした(順不同)。

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
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世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史
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雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科
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